目次
柴田直樹氏(以下、柴田):株式会社ナレルグループ代表取締役の柴田です。本日はお忙しい中、2026年10月期第2四半期決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。
本日のご説明は、スライドの構成に基づいて進めます。ポイントは大きく3点に分けられます。
1つ目は、売上収益が前年同期比で7.4パーセント成長し、営業利益は計画を上回って着地したことです。一方で、営業利益は前年同期比で減益となりましたが、中期経営計画で示している成長投資フェーズに沿った想定範囲内で推移しています。
2つ目は、コア事業の最重要課題である稼働率と定着率の改善についてです。稼働率は、営業体制の強化や配置の最適化といった取り組みにより、2026年10月期第1四半期の91.3パーセントから、同第2四半期には91.9パーセントへと下げ止まりの兆しが確認され、改善局面に向けた初期成果が見え始めています。
一方、退職率は、需給調整や配置最適化を進める中で発生した一時的な要因から上昇しており、引き続き重要な経営課題と認識しています。下期では、定着施策を強化することで、さらなる改善を目指します。
3つ目のポイントとして、各成長戦略が「準備・検証」から「実行」のフェーズへ移行しています。特に、付加価値領域の売上は前年同期比で2.5倍となり、新たにBRANU社との業務提携を発表するなど、収益化への道筋が着実に見え始めています。
2Q連結業績ハイライト
連結業績のハイライトについて、ご説明します。
売上収益は126億6,900万円となり、前年同期比で7.4パーセントの増収となりました。建設ソリューション事業を中心に、在籍人数および稼働人数の増加、契約単価の上昇に加え、建設DX人材派遣やBPOといった新たな付加価値領域の拡大も寄与しています。
一方で、営業利益は13億5,400万となりました。営業力・採用力の強化や成長領域への先行投資を継続しているため、前年同期比では減益となりましたが、利益面では計画を上回って推移しています。投資と収益性のバランスを保ちながら成長戦略を実行しています。
重要なのは、単なる売上成長だけでなく、将来の収益源となる建設DXや職人紹介といった新たな領域への投資を進めつつ、利益計画を上回る水準を維持している点です。
2Q連結業績ハイライト
損益計算書の概要です。売上収益は126億6,900万円、営業利益は13億5,000万円となりました。
当社は、昨年12月に公表した中期経営計画において、2026年と2027年を成長投資および基盤構築の期間と位置づけています。そのため、採用や営業体制の強化、建設DX、職人紹介事業などへの投資を継続しています。
利益面では、こうした先行投資の影響を受けつつも、中期経営計画で掲げる成長戦略の実現に向け、基盤整備を着実に進めています。
通期業績予想に対する上期の進捗率は、売上収益が43.3パーセント、営業利益が45.0パーセントです。当社の事業は構造的に例年、下期偏重の収益構造となっています。加えて、下期には稼働率の改善および建設DX領域の収益貢献を見込んでおり、通期業績予想の達成に向けた取り組みを進めています。
なお、現時点で通期業績予想の変更はありません。
四半期連結業績推移
四半期の連結業績推移について、ご説明します。売上収益は継続的に成長しており、四半期ベースでも高い水準を維持しています。
営業利益は成長投資の影響で前年同期を下回る水準にとどまりましたが、中期経営計画で想定している投資フェーズの範囲内で推移しています。
今後は、コア事業の収益力を改善し成長領域を収益化することで、利益成長につなげていきます。
セグメント別業績推移
セグメント別の状況についてです。建設ソリューション事業は売上収益114億円となり、引き続きグループの成長を牽引しています。在籍人数の増加と契約単価の上昇により、増収を実現しました。
ITソリューション事業は売上収益12億6,000万円となりました。既存のITエンジニア派遣に加え、建設業界向けのIT業務支援領域の拡大を進めており、今後のグループシナジー創出を目指しています。
営業利益減少の要因と位置づけ(前年2Q実績比)
営業利益減少の要因についてです。売上拡大による利益押し上げ効果はあったものの、採用強化に伴う在籍人数の増加や需給調整過程における未稼働期間の増加が、利益を押し下げる要因となりました。
また、営業体制の強化を目的とした内勤人員の拡充や、建設DX・職人紹介事業といった成長領域への投資も継続しています。
これらは中期経営計画に基づく先行投資であり、短期的な利益ではなく、2030年に向けた事業ポートフォリオの転換と持続的成長の実現を目指したものです。
営業利益増減分析(対当期2Q計画比)
計画比についてです。売上収益は計画を下回りましたが、需給調整の進捗に応じた採用運営や費用のコントロールを進めた結果、営業利益は計画を上回って着地しました。
今後も成長投資を継続しつつ、収益性とのバランスを意識した運営を進めていきます。
財政状態サマリー
財政状態について、ご説明します。純資産は148億9,000万円となり、利益の積み上げにより着実に増加しています。自己資本比率は61.1パーセントまで上昇し、財務基盤は引き続き健全な状態を維持しています。
営業活動で安定的にキャッシュを創出し、成長投資の原資を内部資金で確保できる体制が整っています。この体制により、中期経営計画に掲げた採用投資や建設DX領域への投資、将来的なM&Aを含む成長投資に対応できる財務余力を確保しています。
主要KPI:在籍人数・稼働人数・稼働率 – 建設ソリューション(ワールドコーポレーション)
各事業の主要KPIについて、ご説明します。まず、建設ソリューション事業の主要KPIについてです。
在籍人数は3,840名まで増加しました。稼働率の底上げに関しては、営業体制の強化や配置の最適化、需給バランスを踏まえた採用数のコントロール等の取り組みを進めています。
2026年10月期第1四半期の稼働率は91.3パーセントで、第2四半期には91.9パーセントまで改善しました。月次ベースでも改善傾向が続いており、稼働率は下げ止まりから改善局面に移行していると認識しています。
一方で、計画水準にはまだ改善の余地があるため、引き続き営業力の強化や定着施策を推進し、稼働率の回復と収益性向上の両立を目指します。
主要KPI:在籍人数・稼働人数・稼働率 – ITソリューション(ATJC)
ITソリューション事業の主要KPIについて、ご説明します。
在籍人数は407名となりました。一方で、稼働率は第1四半期の90.0パーセントから、第2四半期の92.3パーセントへ改善しました。
ITエンジニア派遣に加え、業務改善やDX推進を支援するIT業務支援領域を強化しており、建設業界のDX需要を取り込みながら、新たな収益機会の創出を進めています。
主要KPI:採用人数・退職人数・退職率 – 建設ソリューション(ワールドコーポレーション)
建設ソリューション事業の採用数および退職数の状況についてです。
コア事業の競争力向上を目指し、採用を継続的に強化するとともに、資格取得支援やエンゲージメント向上施策を推進することで、採用と定着の両面から人材基盤の強化に取り組んでいます。
退職率は、第1四半期の32.8パーセントから、第2四半期には33.3パーセントへ上昇しました。これは需給調整の過程における一時的な影響によるものと認識していますが、依然として当社が目指す水準には達しておらず、経営として真摯に受け止めています。
一方、資格取得支援やメンター・メンティー制度の拡充など、定着改善に向けた取り組みを継続して推進しており、現場定着やエンゲージメントの向上に関する一部の指標では前向きな変化が見え始めています。
定着率の向上は、引き続き経営上の最重要課題の1つです。下期においても、各種定着施策を着実に推進していきます。
足元では稼働率に下げ止まりの兆しが見られます。需給調整の進展と定着施策の継続を通じて、採用・定着・稼働の好循環を構築し、下期以降の収益力向上につなげていきます。
主要KPI:採用人数・退職人数・退職率 – ITソリューション(ATJC)
ITソリューション事業の採用数と退職数の状況についてです。
IT業務支援領域の立ち上げを進める中で、人材ポートフォリオの見直しを進めています。その結果、採用数は一時的に減少しているものの、人材定着に向けた取り組みを継続し、将来の事業拡大に向けた基盤整備を進めています。
主要KPI:契約単価
契約単価についてです。建設ソリューション、ITソリューションのどちらの事業においても、契約単価は上昇基調で推移しています。技術者の育成や顧客ニーズに応じた提案力の強化により、付加価値の高い案件の獲得を進めています。
当社の収益成長は、人数の拡大だけでなく、単価の向上による質的成長へと移行しつつあります。今後も単価の向上を収益性改善の重要テーマとして取り組んでいきます。
中期経営計画に基づく重点テーマ
ここからは、成長施策についてご説明します。当社の中期経営計画では、「コア事業の競争力向上」「建設DX事業の収益化」「職人紹介事業の拡大」「生産性の向上」の4つを重点テーマとしています。
本日は、それぞれの進捗状況についてご説明します。
2Q重点施策の実行進捗サマリー
スライドは、4つの重点テーマに関する上期の進捗を総括したものです。
2026年10月期第1四半期は、各テーマにおいて、組織体制の整備やパートナーとの提携、施策立ち上げなど、基盤構築が中心となる四半期でした。第2四半期では、各テーマが「準備・着手」から「実行・推進」のフェーズに移行しました。
コア事業では、最重要課題の1つである稼働率について、改善に向けた動きが見られ始めています。
建設DXに関しては、単なる技術者派遣にとどまらず、DX人材派遣、伴走型支援、BPOといった付加価値領域の拡大を進めています。 上期の付加価値領域における売上は前年同期比254.1パーセントとなり、中期経営計画における収益拡大の主要な推進力として着実に成長しています。
職人紹介事業では、BRANU社との提携に加えて地域の金融機関などとの連携が進み、顧客基盤の拡大に向けた足場固めが進展しました。
生産性向上の取り組みとしては、AI研修の実施やコーポレートDX推進部の新設など、全社的な推進体制を整備しています。
現時点での業績への寄与は限定的ですが、建設DXの案件獲得、職人紹介における提携拡大、生産性向上に向けた推進体制の整備など、各重点テーマにおいて具体的な進捗が確認できています。
中期経営計画の初年度として、各戦略が基盤構築段階から実行段階へ着実に移行しており、各施策ともおおむね計画どおりに進捗していると認識しています。
特に重要なのは、建設DXや職人紹介といった新たな成長領域において、単なる準備段階ではなく、実際の案件獲得や売上の創出につながる動きが見え始めている点です。
今期および来期は、中期経営計画における投資・基盤構築フェーズと位置づけていますが、2028年10月期以降の収益貢献に向けた土台作りは着実に進展しています。なお、中期経営計画の目標として、2030年に売上収益500億円、営業利益50億円の達成を目指しています。
下期以降は、それぞれの取り組みを成果創出フェーズへつなげていきます。中期経営計画初年度として、まずは計画どおりに土台作りを進めることが重要であり、その点においては着実に前進していると考えています。
当社はこれまで施工管理技術者派遣を中心に成長してきました。今後もこのコア事業がグループの成長の中心であることは変わりません。
一方で、人口減少に伴う人材不足が進む中、単に人材を供給するだけではなく、人とテクノロジーを組み合わせて建設業界全体の生産性向上に貢献する企業へ進化していくことが重要であり、重点テーマだと考えています。
現在取り組んでいる建設DX、職人紹介、生産性向上施策は、その実現に向けた第一歩であり、当社の事業ポートフォリオを進化させるための取り組みでもあります。
稼働率向上への取り組み
コア事業の最優先課題の1つである稼働率の向上についてです。
当社では、営業体制の強化、インサイドセールスの確立、営業プロセスの標準化を引き続き推進しています。また、面接官のスキル向上を目的とした教育・トレーニングや、社内全体を対象としたマインド研修を通じて、配属後の定着率向上にも取り組んでいます。
その結果、稼働率は改善傾向にあり、引き続き計画の達成を目指して取り組んでいきます。
定着率向上への取り組み
加えて、人材定着については引き続き重要課題と認識しています。資格取得支援の取り組みやメンター制度の拡充など、各種施策を継続的に推進しています。
なお、令和7年度後期施工管理技術検定では、新たに151名が合格し、資格保有者は累計で516名に達しました。
今後も定着率向上と人材育成を両立しながら、中長期的な競争力強化を進めていきます。下期は、需給調整の進展に加え、エンゲージメント強化策などの施策を継続し、引き続き定着率改善と稼働率回復の両立に重点を置いて取り組みます。
定着施策(エンゲージメント強化)
技術者のエンゲージメント向上施策について、ご説明します。
今期より、テーマ別交流会や社内サークル、ワールド通信(社内動画配信)など、技術者と会社との接点を強化する取り組みを進めています。
特に、2026年1月より月1回開催しているテーマ別交流会は、回を重ねるごとに参加者が増加しています。ふだんさまざまなプロジェクトに配属されている技術者が一堂に集まり、交流を深めています。
その場には、当社の役員や内勤社員も多く参加しており、技術者から現場での業務内容や苦労話、悩みなどを聞くことで、直接的なフォローが可能な貴重な場と位置づけています。
実際、この交流会を通じて技術者との接点が増える中で、参加した技術者から会社に対する前向きな改善提案が得られるだけでなく、親睦が深まったことで、その後の各技術者との関係性が円滑になるなど、非常に良い効果が現れています。
また、技術者を主体とした社内サークル活動についても、今期すでに11サークルが立ち上がり、短期間で総勢450名を超える技術者が参加し、大いに盛り上がりを見せています。
実装型建設DXモデルの推進
実装型建設DXモデルの推進について、ご説明します。
当社は、DXツールを開発する会社ではなく、DXを建設現場で運用するための実装型人材サービスを展開しています。スカイマティクス社およびArent社との提携を通じ、当社独自のモデルとして、人材・プロダクト・実装支援を組み合わせた仕組みを構築しています。
この事業の強みは、お客さまの現場にDXツールを提供するだけでなく、導入後に当社の「伴走型専属人材」を現場に配属し、建設DXツールの運用から定着までを支援できる点にあります。
お客さまの生産性向上とDX開発企業のプロダクト改善の双方に貢献できるポジションを目指しています。
付加価値収益モデルの拡張
建設DX事業領域の収益化の進捗についてです。
規模はまだ限定的ではあるものの、建設DXに特化した人材派遣、請負、BPOなどの付加価値領域の売上が、前年同期比254.1パーセント、前四半期比154.1パーセントと大きく成長しています。
当社は、従来の人材派遣モデルに加え、伴走型DX支援の請負やBPOへと収益領域を拡張することで、今後の収益構造の高度化を進めています。
現在は案件獲得および実装体制の構築・強化に向けたフィジビリティ段階にありますが、今後は顧客現場への導入・定着支援を通じて、徐々に実績を積み上げていきます。
この事業では、人材派遣、伴走型支援、BPOを組み合わせた高付加価値モデルへ展開することで、収益機会の拡大を目指しています。
今期および来期は「顧客基盤の拡大と実装フェーズ」、2028年10月期以降は「収益貢献拡大フェーズ」と位置づけ、中長期的には業界トップクラスの成長性と収益性を目指しています。
職人紹介事業の拡大 -独自の事業基盤を活かした建設人材プラットフォームの構築-
もう1つの強化事業の柱である、職人紹介事業についてご説明します。
当社グループは、全国でも非常に限られた団体のみが保有する、職人の人材紹介の許可を取得しています。この領域は特に高い参入障壁を有している点が特徴です。
また、この領域には、専門工事会社を中心とした巨大な未開拓市場が存在しています。現在、地域の金融機関や大手損害保険会社との連携を進め、販路拡大とサービス高度化の両面から事業基盤の強化に取り組んでいます。
現時点では業績への影響は限定的ですが、地域の金融機関との提携や、この後ご説明するBRANU社との提携を通じて、顧客接点の拡大が進みつつあります。
職人紹介事業については、中期経営計画における新たな成長領域として、事業基盤の構築を引き続き強化しています。
職人紹介事業の拡大 -BRANU社との業務提携(2026年7月1日サービス開始予定)
BRANU社との業務提携について、ご説明します。BRANU社は、全国の建設事業者に対し、建設DXソリューション「CAREECON Plus」(キャリコンプラス)を提供しており、広範な建設事業者ネットワークを有しています。
一方、当社グループは、連結子会社である全国建設人材協会を通じて、協会会員である約2,000社の建設事業者と接点を持っています。会員に向けて、職人の人材紹介サービスと建設業に特化したダイレクトリクルーティングサービス「職人スカウト」というプロダクトを提供・展開しています。
今回の提携により、両社の顧客基盤を相互に活用し、当社グループの人材サービスとBRANU社の建設DXソリューションを組み合わせ、建設事業者が抱える人材不足とDX推進という二つの課題に対して、ワンストップで支援していきます。
サービス開始は2026年7月1日を予定しており、まずはBRANU社の顧客基盤に向けて、当社グループのプロダクト「職人スカウト」を提案していきます。
当社にとって、本提携は単なる業務提携にとどまらず、BRANU社の顧客基盤を通じて建設事業者との新たな接点を獲得するための具体的な施策として位置づけています。この接点拡大を通じて職人紹介の機会を増やし、求人案件および求職者の拡充を図ることで、職人事業領域の成長につなげていきます。
さらに、この取り組みは、中長期的には当社が中期経営計画で掲げる「建設人材プラットフォーム構想」の具体化にもつながる重要な施策であると考えています。
生産性向上への取り組み
最後に、生産性向上への取り組みについてご説明します。当社は中期経営計画において、2030年に技術者8,000名体制を実現することを目指しています。
一方で、事業成長に伴い管理部門の人員を同じペースで増やすのではなく、社内の生産性向上によって持続的な成長を実現していく方針です。そのため、従来の人的運用を前提とした業務プロセスから、標準化・自動化・デジタル活用を前提とした業務基盤へ転換を進めています。
第一歩として、グループ横断型のAI推進プロジェクト「AI Boostプロジェクト」を実施し、各部門における業務改革やAIの活用を推進してきました。
さらに、2026年6月1日付でコーポレートDX推進部を新設しました。この部門は単なるシステム部門ではなく、業務プロセス改革を起点として、BPR、AI活用、システム連携などを全社横断で推進するための重要な組織として位置づけています。
2026年7月には基幹システムの刷新を予定しており、今後は業務効率化や業務品質の向上を通じて人員増加に依存しない成長基盤の構築を進めます。
全社の生産性向上は、中期経営計画で掲げるすべての成長戦略を支える基盤であり、今後も売上成長と販管費増加の非連動化を実現するための重要施策として、継続的に取り組んでいきます。
本日のご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:中期計画達成に向けた事業構造発展の全体像について
司会者:「中期経営計画『Change and Growth 2030』では2030年に売上収益500億円、営業利益50億円を目標として掲げていますが、この目標達成に向けて御社は事業構造をどのように発展させようとしているのか、その全体像について聞かせてください」というご質問です。
柴田:まず中期経営計画の前提についてご説明すると、現在の当社の売上の大部分は施工管理派遣事業のコア事業であり、今後もこちらが中核事業であることに変わりはありません。
一方で、現在のCAGRを維持、もしくはさらに上回るかたちで、派遣人数を1万人、2万人とオーガニックに伸ばし続けるモデルには、構造的な限界があると感じています。
また、当社が得意としてきた未経験者を対象とする施工管理の領域に関しても、建設業全体としては施工管理に限らず広範囲に、人材不足が存在しています。具体的には、職人、施工図の作成やBIMの運用、見積もり、積算、申請代行、DX推進を担う人材など、あらゆるポジションにおいて人材が不足している状況です。
当社は、これまで培ってきた顧客基盤や人材基盤をさらに活用し、周辺領域への展開を進めたいと考えています。今日のご説明でもお話ししたように、いたずらに新規事業を増やしているわけではなく、あくまで既存の事業基盤をもとに横展開していると認識していただければと思います。
その先に当社が目指す姿は、建設に特化した総合人材インフラ企業です。強調してお伝えしたいのは、当社が施工管理派遣から脱却するという話ではなく、この施工管理派遣を核にしながら、建設業界全体の人材課題や人材不足を解決する企業へと進化していくということです。
こちらが、2030年に売上収益500億円、営業利益50億円を達成するための当社の事業構造発展の全体像です。
質疑応答:建設業界における職人紹介事業の重要性およびBRANU社との業務提携の意義について
司会者:「御社は施工管理派遣に加え、職人紹介事業も成長戦略の柱として位置づけています。職人紹介事業を成長戦略に組み込んでいる背景と、第2四半期決算と同時に公表されたBRANU社との業務提携の意義について教えてください」というご質問です。
柴田:まず大前提として、建設業界では職人不足が施工管理の職種以上に非常に深刻であるという実態があります。
そして、なによりも建設職人の市場規模は、施工管理の市場に比べて圧倒的に大きく、未開拓のマーケットゾーンです。建設職人は全国に300万人から340万人存在するといわれており、施工管理技術者が約30万人余りといわれているのと比較して、何倍もの規模を持つ市場です。
また、専門工事会社が非常に多く、建設業界のピラミッド構造の中でも最も大きく、数多く存在するゾーンです。このため、対象マーケットという観点では、施工管理領域に比べ、職人事業領域の市場規模ははるかに大きいと考えられます。
その中で、先ほどご説明したとおり、当社は希少な職人紹介のライセンスを保有しています。さらに、この事業を開始してから、職人のネットワーク、一人親方のネットワーク、および専門工事会社のネットワークを数多く蓄積してきました。
今回、BRANU社との提携により、顧客接点をさらに拡大していけると考えています。また、職人紹介事業は単なる人材紹介にとどまるものではありません。将来的には当社が目指す建設人材のネットワーク形成の一部となることを目指しており、「建設人材プラットフォーム構想」の一部であると位置づけています。
つまり、当社が現在運営している職人紹介事業は単独の事業ではなく、建設業界全体の人材流通基盤そのものを形成する、重要な戦略の1つであると考えています。
質疑応答:建設DX領域における業務提携とM&Aの使い分けについて
司会者:「建設DX領域では業務提携を積極化されている一方で、中期経営計画ではM&Aも成長戦略の1つとして位置づけられています。建設DX領域における提携とM&Aはどのように使い分けていくのでしょうか? また、M&Aを検討する際に重視されているポイントについても教えてください」というご質問です。
三井規彰氏:取締役の三井からご回答します。まず、建設DX領域における当社の基本的なスタンスとして、自社でツールを開発または提供するプロダクト事業者を目指しているのではありません。
当社の強みは、施工管理技術者の派遣を通じて築いてきた顧客基盤や人材基盤、そして建設業界に精通した知見にあると考えています。
そのため、建設DX領域においては、優れたプロダクトや技術を持つ建設DX事業者と連携を図り、当社の顧客基盤や人材基盤を活用して、導入支援や運用の定着支援といった実装部分を担うことを基本戦略としています。
単にツールを販売するのではなく、実際に活用されて成果につながるところまで支援することにより、人材派遣に加えて請負やBPOといった付加価値の高い領域への展開を目指しています。
したがって、建設DX領域における連携の基本形は、あくまでも業務提携と考えています。ただし、案件によっては協業関係をより強固にするために少額の出資を行う可能性もありますが、出資自体を目的としているわけではありません。
一方で、M&Aについては、事業拡大や事業領域の拡張、提供機能の拡張といった観点から、非常に重要な成長戦略と位置づけています。
特に、中期経営計画においては、成長戦略の一環として職人紹介事業の拡大を掲げています。また、建設DX領域に加え、BPOなど成長が期待される領域において、いわゆる機能拡張型の案件を中心に検討していますが、案件によっては顧客基盤や人材基盤の拡大につながる案件も対象に含める考えです。
当社が最も重視しているのは、買収後に具体的なシナジーを創出できるかどうかという点です。「当社の顧客基盤や人材基盤と組み合わせることで、付加価値を高めていけるか、中長期的な企業価値の向上につながるか」という観点で判断を進めていきます。
顧客基盤と人材基盤を軸に、建設DXパートナーとの連携やM&Aを組み合わせることで、建設業界における提供価値の拡大を目指すことが、M&Aに対する当社の基本的な考え方です。
質疑応答:付加価値収益モデルの戦略的位置づけについて
司会者:「御社は施工管理技術者だけでなく、DX人材、BPO人材などの新しい職種カテゴリの供給にも取り組んでいますが、これらの戦略的位置づけと、従来の派遣事業との関係について教えてください」というご質問です。
柴田:建設業全体の人手不足は、施工管理者だけに限らず、DXを推進するための人材や請負、BPOを担当できる人材、さらには建設ディレクターや建設事務所で働く事務員など、すべての分野で不足しているのが現状です。
つまり、建設の生産プロセス全体において、各所でさまざまなポジションの人材不足が生じており、その結果、工事が思うように進まず、場合によっては工程の遅延が発生しているのが現状です。
したがって、当社は施工管理技術者の供給を増やすだけでなく、建設業界が必要とするDXやIT、AIといった新しい技術を活用できる人材や新たな職種の供給にも取り組んでいる状況です。
当社が目指しているのは、現在必要とされている職種そのものを供給する立場に回ることです。これは、派遣事業のコア事業の代替ではなく、既存顧客に対する提供価値のさらなる拡大につながるものだと考えています。
また、派遣事業を縮小して新職種に移行するわけではありません。派遣で培ってきた顧客基盤や人材基盤をしっかりと活用すること、そして、その周辺領域で新たな職種供給を展開する位置づけを築くことが重要だと考えています。
現在、国内では「人口減少時代」といわれる大きな課題があります。この課題に適応した、当社独自の持続可能な人材供給モデルをしっかり構築していきたいと考えています。
人口減少社会という構造的な課題については、単に採用人数を増やしていくだけではなく、採用した人材や当社と接点を持った人材をいかに有効活用していくかという点が、極めて重要であると認識しています。
質疑応答:長期的な経営方針および将来の企業像について
司会者:「5年後、10年後を見据えた時、御社は施工管理派遣会社という枠を超えてどのような企業として認識されたいと考えていますか? 長期視点での経営の方向性について聞かせてください」というご質問です。
柴田:「5年後にどの事業が売上の柱になっているか」と問われましたら、施工管理派遣が引き続き重要な柱であり続けると考えています。一方で、人口減少社会において、人員を増やし続ける成長モデルには必ず限界が訪れると感じています。
これまでのように採用人数を拡大するだけで会社が成長する時代は終わりつつあり、このことをリスクとして捉えています。私が経営者として注目しているのは、この先の課題です。
まず、採用して終わりというモデルではなく、人材との接点を一度きりにせず、長期的にその方々のキャリア形成を、当社に所属していない方々も含めてしっかり支援していきたいと考えています。
そして、それによって建設業界全体における人材の流動化や最適な配置を支える基盤作りを、当社の中で進めていきたいと思います。「このような循環型のモデルを構築することで、将来的に他社に対する競争優位性を保つことができる」と考えています。
5年後、10年後の目指す姿についてですが、建設業界において、人材と企業が最も集まりやすく、最もつながりやすく、最も価値を生み出せるようなプラットフォームを実現する企業になりたいと考えています。
そのためにも、人材、企業、さらにはテクノロジーをつなぐ存在を目指していきたいと考えています。
なぜこのようにプラットフォームやインフラというテーマに沿った企業を目指すのかというと、これらが業界全体にとって絶対になくてはならない存在になると考えているからです。
私のこのような考え方は、ひょっとすると、企業としての存在意義そのものを転換させるような発言に聞こえるかもしれません。しかし、当社は人材を供給する企業から、将来的には建設産業全体の生産性を向上させ、その成長を支える企業へと進化することを目指しています。
したがって、投資家のみなさまに、当社を単なる施工管理の人材派遣会社ではなく、「建設人材インフラ企業」として認識していただくことが、5年後、10年後に目指している姿です。
その実現が当社の中長期的な企業価値の向上につながると確信しています。
質疑応答:ナフサ不足による影響およびリスクへの対策について
司会者:「現在、ナフサの影響はあまり受けていないと考えてよいでしょうか?」というご質問です。
柴田:ナフサ不足の影響によって資材の輸入が非常に遅れていることは認識しています。
実際のところ大型のゼネコンやサブコンに関しては、ある程度必要な資材量を確保できている状態です。ただ、中には目詰まりを起こしているプロジェクトがあることも事実です。また、ピラミッド構造の真ん中から下の層に関しては、さまざまな意見や声を聞くようになってきています。
したがって、現在の計画が遅れる、あるいは場合によっては頓挫する可能性も想定される状況です。ただ、アメリカとイランの戦争終結に関するニュースが報じられており、流通が時間をかけつつも正常化に向かうことが期待されます。
現時点では、建設プロジェクトにすぐさま大きな影響が及ぶとは考えにくいです。人材不足に伴う需要とのバランスを見ても、大きな影響が出るには至っていないと認識しています。
しかしながら、一部のお客さまからナフサの影響についての声を非常に多くいただいています。また、一部では外装材や塗装材料の搬入が遅れることにより、職人や施工管理の人材についても仕事が一時的にストップしたり、遅れが生じる可能性も考えられます。
当社としてもこれらの想定されるリスクを認識し最適な対応策を講じられるよう、社内の体制を整備していくとともに、お客さまと適切にコミュニケーションを図りながら、リスクの解消に向けた取り組みをしっかり進めていきたいと考えています。
柴田氏からのご挨拶
柴田:あらためまして、本日はご多忙の中、当社の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。当社は、中期経営計画における投資および基盤構築のフェーズにあります。
2026年10月期の上期を終えた今、私が最もお伝えしたいのは、成長投資そのものが単なる費用の増加ではなく、当社の事業成長へと明確につながり始めているという点です。
建設DXについては、提携先との具体的なサービスの開始が現在進行中です。職人紹介事業においても、BRANU社との提携により相互送客が可能となり、顧客数や求職者数、そして職人経験者数を着実に増やし始めています。
一方、グループ全体の生産性向上については、まだ取り組みが始まったばかりです。コーポレートDX推進部を新設することで、これまで考えてきた構想を着実に定着・実装するフェーズに進んでいきたいと考えています。
下期以降については、これらの取り組みをきちんと成果につなげることで、2030年に定めた売上収益500億円、営業利益50億円の達成に向け、社内一丸となって取り組んでいきたいと考えています。
その先に当社が目指すのは、単なる人材供給の会社にとどまらず、建設産業全体の生産性向上を支える企業へと進化することです。
5年後、10年後には、投資家のみなさまから、現在施工管理の派遣会社として認識されている当社が、建設人材のインフラをしっかりと作り上げた企業として認識され、成果を出し、建設業や社会に貢献できる企業であると評価されることを目指しています。
この目標に向け、私が先頭に立ち、会社を引っ張りながら具体的な成果を上げていきたいと考えています。
以上で2026年10月期第2四半期の決算説明を終了します。本日はご清聴いただき、誠にありがとうございました。