■リソー教育の今後の見通し
1. 中期経営計画
同社は2027年2月期からスタートする3ヶ年の中期経営計画を策定した。基本戦略として既存事業では、「グループ間生徒紹介の仕組化」による在籍生徒数の確保と売上単価の向上、「DX推進による業務効率化」による利益向上施策に取り組むことで業績向上に取り組むほか、新規事業の育成を通じて、成長基盤の拡充を図る方針である。最終年度となる2029年2月期の業績目標として、売上高で39,100百万円、営業利益で3,640百万円、経常利益で3,640百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,200百万円を掲げた。年平均成長率は売上高で4.5%、各利益は10%台を見込んでいる。人件費の増加傾向は続くものの、グループシナジーの創出やDX推進による業務効率化等により、営業利益率は2026年2月期の7.9%から2029年2月期に9.3%へ引き上げ、ROEも10%台を維持する方針である。なお、2年目の2028年2月期には人件費や賃借料の増加に対応すべく、授業料の改定を予定しているため、営業利益の増益率が加速する計画である。
(1) 新規事業の取り組み
新規事業では、「TOMASの映像授業コンテンツの展開」「名門会オンライン授業のFC展開」「スクールTOMASの事業拡大」「こどもでぱーとの新規展開」に注力する方針である。
a) TOMASの映像授業コンテンツの展開
TOMASが2025年3月より駿台で開発された通塾型の映像授業コース「駿台Diverse」(高校生対象)を一部の校舎(14校)で開講した。1講座月額14,300円(税込)からとリーズナブルな価格で提供している点が特徴である。これまでは受験に必要な副教科まで受講すると高額となることから、早期退会の一因となっていたが、映像授業コースを開講することで受験までに全科目の受講が可能となり、高校生の早期退会が減少するだけでなく、1人当たり売上単価の向上にも一定の効果をもたらしている。
2027年2月期中には、新たにAIを駆使した「推薦対策講座」もリリースする予定で、推薦対策を強化することで新たな顧客層の取り込みも狙う。2027年2月期では24校でサービスの提供をしており、2028年2月期にはすべてのTOMAS校舎で映像授業コースを開講する計画である。2029年2月期までの3年間累計で約4億円の売上高を見込んでいる。なお、「駿台Diverse」のニーズが高いと判断すれば、運営主体となっている駿台TOMASで「駿台Diverse」単独の校舎の展開も検討対象となる。
b) 名門会オンライン授業のFC展開
名門会の収益拡大施策として、難関校指導の「講師不足」に悩む地方の小規模学習塾をターゲットに、名門会講師(約1,000名)による双方向オンライン個別指導のサービスをパッケージで提供する「MOPS(名門会オンラインパーソナルスクール)」のFC事業を展開する。加盟塾は講師の新規雇用が不要となるほか、難関校志望の生徒数を獲得できる可能性があり、導入メリットは大きい。まずは「双方向オンライン個別指導」の直営校を3年間で4校開校し(1校は2026年4月に南柏校を開校)、収益モデルを確立したのちにFC展開する計画である。
今後10年間で1,000校の加盟塾を獲得し、10年後の年間売上高として30億円を目指す。加盟塾の売上高の10%をロイヤリティ収入として計上することを計画している。2026年2月期の名門会の売上高は約51億円となった。今後、MOPS事業が本格化すれば、収益規模のさらなる拡大が期待される。なお、2029年2月期までの3年間累計の売上高としては3.4億円を見込んでいる。
c) スクールTOMASの事業拡大
スクールTOMASの学校内個別指導事業は、首都圏だけでなく全国の私立学校に導入が拡大している。導入校の地域別構成比では、首都圏が50%、近畿圏が30%、残りが地方都市となっており、最近では愛知県や福岡県で導入校が増加している。私立学校においても教師の過重労働問題が深刻化しつつあるなか、進学実績の向上と教師の負担軽減に資する同社サービスへの評価が、地方圏でも高まっていることが背景にある。また、地方では講師確保が課題となりやすいが、オンライン個別指導を提供できる点も同社の強みとなっている。
同社では年間10校前後のペースで導入校数を拡大し、10年後までに私立校で200校以上の導入(私立学校内個別指導シェアで20%以上)を目指しており、20名の営業人員で全国約1300校の私立学校に継続的にアプローチしている。公立校からの問い合わせも増えているが、公立校の場合は導入の決定権を各自治体の教育委員会が持っているため、価格戦略やビジネスモデルを含めて検討していく必要があり、まずは私立校への導入を優先する計画である。
なお、学校内個別指導におけるオンライン受講率は地方校への導入が進むことで上昇することが予想され(現在のオンライン受講率28%→5年後の目標50%)、対応するための人材配置と生成AIの活用も進める。売上目標としては2029年2月期に前期比1.5倍増となる約54億円、10年後に同4倍増となる140億円を目指す。年平均成長率では13~14%と2ケタ成長ペースを見込んでいる。
d)こどもでぱーとの新規展開
成長戦略の1つとして、ヒューリック、コナミスポーツとの3社共同プロジェクトである「こどもでぱーと」を首都圏で20棟展開する計画だ。2029年2月期までの3年間ではプロジェクト化している6件(自由が丘、本八幡、渋谷、麻布、千代田区、その他1棟)のうち、役員会で決議したプロジェクト3件(自由が丘、本八幡、千代田区)を業績計画に織り込んだ。既に開業している2拠点と合わせて3年間の累計売上高で約27億円を見込んでいる。
自由が丘(東京都目黒区)については、2026年9月に開業する新築ビルにオープンする予定で「伸芽会」「伸芽’Sクラブ学童」「伸芽’Sクラブ託児」の3つのブランドを同一フロア内に展開する。本八幡(千葉県市川市)については建設中の新築ビルが2027年春に竣工予定となっており、複数ブランドが入居する見通しである。また、渋谷(東京都渋谷区)については2027年、麻布(東京都港区)については2028年にそれぞれ竣工予定となっており、順調に進めば中期経営計画の期間内に売上貢献することが見込まれる。特に、幼児教育事業のブランドを中心に展開が進むと見られ、同事業の売上成長をけん引する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)