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アートネイチャ Research Memo(5):前中期経営計画では新規顧客や新領域の確保などに課題

■アートネイチャーの中期経営計画

1. 前中期経営計画の振り返り
前中期経営計画「アートネイチャーAdvanceプラン」は、最終年度の2026年3月期は増収、大幅増益となり、売上高は過去最高の446億円を達成したものの、当初計画の523億円に対しては未達となった。ほかの目標も、経常利益率が当初計画10.0%に対して実績7.7%、ROEが同10.3%に対して6.9%と未達であった。未達の主因は、来店顧客数の減少と新領域の事業の未獲得等にある。特に来店顧客数は、女性はおしゃれの一貫という認識が高まっているところだが、既存顧客の高齢化に伴う自然減に加え、競合環境の変化※などによって、男女ともに新規顧客の獲得が難しくなっている。一方で新領域の事業は、本業の周辺領域において、M&Aや新規事業など様々な案件について検討を重ねてきたが、採用に至らなかった。

※ AGAや発毛剤といった隣接業界との競合激化。また、毛髪ケアをする人が増えたこと、スキンヘッドの社会的認知向上により、毛髪に課題を抱えると考える人自体が減少している。

このほかの未達要因として、商品原価については、製造国であるフィリピンの最低賃金上昇や物価高に伴う委託先のコスト増加が想定以上となり、資産や経費の効率性改善でカバーできなかった。サステナビリティの面では、バングラデシュ新工場の稼働はしたものの、営業・管理体制の充足と人財育成については計画未達となった。この結果、近年の利益は伸び悩んでいるように見える。しかし、厳しい環境のなかでもシェアを伸ばしていることに加え、後述するように事業機会が想定以上に多いため、既存事業を押し上げる団塊ジュニアの高齢化が進む前に、前中期経営計画の未達要因となった5つの課題(顧客基盤、生産基盤、効率性、新領域、人的資本)を解消できれば、再び利益も成長局面入りすることも可能と考えられる。

「世界一のウィッグライフメーカー」を目指す

2. 長期ビジョン
国内毛髪業市場は、少子化などの影響により長期縮小傾向にあると言われている。一方、このような環境下でも同社のシェアは上昇し続け、国内の競争優位はむしろ拡大傾向にあるが、長期的に見ればリスクと機会が混在している。リスクとしては少子化や競合環境の変化、物価や為替などによる経済的不安定などがある一方、機会としては内需の底堅さやアクティブシニアの増加、素材開発やAI活用の進展などがある。SNSなどデジタルマーケティングについては、生かせれば機会となるが、生かせなければリスクとなる。こうしたリスクを回避し、機会を最大限生かすため、既存の事業基盤の強化と新領域への挑戦が不可欠と言える。そのうえで、毛髪ケアにとどまらず、特に生活領域の毛髪関連ニーズにも対応することができれば、底堅い個人消費を取り込むことも可能だ。

そのため、男性向けには、毛髪課題がないと思っている潜在層にアプローチするための新たな接点の拡大と既存顧客のLTV(ライフ・タイム・バリュー)向上が、女性向けは、男性向けの課題に加えて、世代により異なる販売動線に対応できる新たなチャネルが必要になる。こうした方向性を実現するため同社は、従来のビジネスモデルから進化した「ARTNATURE 2.0」という考え方に基づき、事業領域を毛髪の課題解消から毛髪ケア、そして生活サポートへと広げ、豊かな生活を送るために必要なモノ(商品)とコト(サービス)を拡充することで未来を切り拓く「世界一のウィッグライフメーカー」への進化を図る「2035年長期ビジョン」を制定し、生活コンシェルジュサービスの導入と海外市場への挑戦を打ち出した。海外市場への挑戦では、中期的には海外展開の検討から海外展開の準備へと戦略を進め、長期的には海外での本格展開から海外業績の拡大の実現を目指す。

2030年3月期に売上高599億円、経常利益率6.7%を目指す

3. 中期経営計画
長期ビジョンの第1段階として中期ビジョンを制定し、2027年3月期〜2030年3月期を、国内で勝ち切るために「事業基盤を強化し、新領域に挑戦する」4年間とした。そして中期ビジョンの実現に向け中期経営計画「アートネイチャーFrontierプラン」を策定した。顧客基盤、生産基盤、効率性、新領域、人的資本の5つの重点課題を段階的に解決して売上成長と資本効率の向上を図り、2030年3月期に売上高599億円、経常利益率6.7%(経常利益約40億円)、ROE9.2%を目指す(新リース会計基準適用前の目標値)。中期経営計画のロードマップとして、2027年3月期を事業基盤の強化や新領域への挑戦のための先行投資を実行する仕込み期とし、増収減益を想定した。その後は、2028年3月期を施策の定着、顧客接点とLTVの向上、効率性の改善を通じた収益化を目指す育成期、2029年3月期〜2030年3月期を売上拡大と収益性改善を進めることで国内競争力の強化と新領域の事業の開拓の成果を創出する収穫期とし、中期経営計画の目標達成を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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