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飯野海運 Research Memo(1):新中期経営計画を策定、成長投資を強化

■要約

飯野海運は1899年に創業し、125年を超える歴史を持つ海運会社である。企業理念(IINO PURPOSE)に「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げている。2026年5月に中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」を策定し、資本効率と成長投資を両立する変革をテーマとしている。重点戦略として事業戦略、財務資本戦略および脱炭素化戦略の3つの戦略を軸に、各種施策の着実な推進と取り組みの強化を図っていく。

1. 事業ポートフォリオ経営の推進で安定収益源を積み上げ
同社は資源・エネルギー輸送を主力とする海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と、本社の飯野ビルディング(東京都千代田区)を主力とするオフィスビル賃貸の不動産業を展開している。海運業は中東積み極東揚げ航路でトップクラスのシェアを誇るケミカルタンカーや、中長期契約を積み上げる大型ガス船などを特徴・強みとしている。不動産業は飯野ビルディングなど東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。両事業とも市況変動の影響を軽減すべく安定収益源の積み上げに向けた取り組みを推進しているほか、海運業では地球環境負荷軽減や競争力強化に向けた取り組みとして環境配慮型の最新鋭・次世代燃料船を積極的に投入し、不動産業では収益力強化に向け海外展開も行っている。

2. 2026年3月期は市況軟化やホルムズ海峡封鎖の影響で減収減益
2026年3月期の連結業績は売上高が前期比10.3%減の127,295百万円、営業利益が同21.4%減の13,439百万円、経常利益が同2.8%減の16,885百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同16.2%減の15,391百万円となった。会社予想(2026年2月5日付の3回目の修正値)を上回ったが、前期比では減収減益で着地した。不動産業は堅調に推移したが、外航海運業においてケミカルタンカーの市況が軟化したほか、3月にはホルムズ海峡の事実上の封鎖によって中東域への配船制限の影響を受けた。営業利益の同36.6億円減少の内訳は、大型原油タンカーが同0.2億円増、ケミカルタンカーが同44.1億円減、大型ガス船が同1.4億円増、ドライバルク船が同1.3億円増、中小型ガス船が同1.5億円減、不動産が同8.9億円増、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同2.8億円減となった。

3. 2027年3月期は不透明感を考慮して減益予想だが下期回復
2027年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比1.3%増の129,000百万円、営業利益が同32.3%減の9,100百万円、経常利益が同60.3%減の6,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同21.4%減の12,100百万円としている。世界経済や中東情勢の不透明感、ケミカルタンカー市況の軟化などを考慮して減益予想としている。中東情勢の影響については2026年6月中にホルムズ海峡の往来が再開され、その後2ヶ月程度をかけて中東地域との海上輸送がおおむね従来の水準に回復することを想定している。特別利益には固定資産売却益約71億円(大型原油タンカー1隻売船)を計上予定である。なお半期別の業績予想は上期が売上高65,000百万円、営業利益3,200百万円、経常利益1,100百万円で、下期が売上高64,000百万円、営業利益5,900百万円、経常利益5,600百万円としている。上期は中東情勢の影響を受けるが、下期は中東情勢の影響が和らいで営業・経常利益が回復に向かう見込みだ。

4. 新中期経営計画(2027年3月期~2031年3月期)を策定、成長投資加速
同社は2050年を見据えた同社を取り巻く事業環境の構造変化を整理し、メガトレンドからバックキャストして「2050年長期ビジョン」及び「2035年中期ビジョン」を描いた。そして2026年5月に新中期経営計画「Transformation for a Sustainable Future」(2027年3月期~2031年3月期)を策定した。新中期経営計画期間を「2035年中期ビジョン」の達成に向けた変革期間(リバランス期間)、そして次の2032年3月期~2036年3月期をリバランス期間後の収益を実現する飛躍の期間と位置付けている。新中期経営計画のテーマには「資本効率と成長投資を両立する変革」を掲げ、投資額については前中期経営計画から倍増の2,000億円(成長・新規事業650億円、主力事業500億円、安定・成熟事業450億円、戦略投資400億円)を計画している。安定・成熟事業で安定資産を積み上げながら、成長・新規事業及び主力事業への投資に転換するリバランスを行うことによって事業ポートフォリオ経営の深化を図る。また新規事業や既存事業の周辺領域へ参入する戦略投資によって収益基盤を拡充する。

■Key Points
・事業ポートフォリオ経営の推進で、安定収益源を積み上げ
・2026年3月期は市況軟化やホルムズ海峡封鎖の影響で減益
・2027年3月期は不透明感を考慮して減益予想だが下期回復
・新中期経営計画(2027年3月期〜2031年3月期)を策定、成長投資加速

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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