■要約
TOKAIホールディングスは、静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を展開する総合生活インフラ企業である。約347万件の「顧客基盤」と多彩な商品・サービスをワンストップで提供する「総合力」、顧客ニーズに即応する「営業力」を強みに、着実に成長を続けている。
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.6%増の244,838百万円、営業利益で同11.0%増の18,699百万円となり、過去最高業績を連続更新した。仕入れ価格に連動した販売価格の引き下げの影響でエネルギー事業が減収となった一方で、継続取引顧客件数の増加(前期末比48千件増の3,471千件)による増収や情報通信事業の法人向けストックビジネスの拡大などで吸収して、売上高は9期連続の増収となった。利益面では継続取引顧客件数の増加による増益や、法人向け情報通信事業、建築設備不動産事業の増益に加えて、エネルギー事業やコンシューマー向け情報通信事業における顧客獲得コストの削減に取り組み3期連続の増益となった。
2. 「中期経営計画2028」の概要
同社は2027年3月期からスタートする3ヶ年の新中期経営計画を発表した。経営基盤の強化による安定的な事業利益拡大と、株主還元強化を両輪として資本効率を高めながら、企業価値の最大化を目指す方針である。成長戦略として、Area(エリアの拡大)・Account(顧客数・契約数・対応業種の拡大)・ARPU(サービスメニューの充実やクロスセルによる1顧客当たり売上単価の上昇)の3軸で事業成長を加速度的に推進する“Triple Accel”戦略に取り組む。2029年3月期の経営数値目標として、売上高2,740億円、営業利益235億円、ROE13.0%、継続取引顧客件数360万件を掲げた。年平均成長率は売上高で約4%、営業利益で約8%となり安定成長を目指す。成長事業として位置付けるエネルギー事業、法人向け情報通信事業、CATV事業では、M&A・アライアンス戦略も積極的に推進する方針で、約200億円の投資枠を設定している。継続取引顧客件数の目標値には、戦略的M&Aの効果を織り込んでいない。
3. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績は売上高で前期比6.2%増の260,000百万円、営業利益で同1.6%増の19,000百万円と増収増益が続く見通しである。賃金改定に伴う人件費の増加や人事・経理システム刷新に伴う費用増があるものの、増収効果で吸収する。主力のエネルギー事業は仕入れコスト高となっているが、第2四半期以降に家庭用で実施する料金改定で吸収し、増収増益を見込んでいる。また、クラウドサービスが好調な法人向け情報通信事業も増収増益基調が続く見通しである。継続取引顧客件数は3,500千件と前期末比で29千件増を見込んでいる。
4. 株主還元方針
株主還元については従来、連結配当性向40〜50%を目安に安定的かつ継続的な配当を実施することを基本方針としていた。また、これまで機動的に自己株式取得を検討してきたが、本中期経営計画では配当性向45%以上に加え、自己株式取得についても100億円以上の具体的な目標を掲げ、機動的に実施していく方針を打ち出した。2026年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の36.0円(連結配当性向43.6%)を実施し、2027年3月期も同2.0円増配となる38.0円(同45.0%)を予定している。なお、株主優待については従来どおり継続する。
■Key Points
・2026年3月期業績は過去最高を連続更新、当期純利益は初の100億円突破
・2029年3月期に当期純利益135億円、ROE13%を目指す中期経営計画を発表
・2027年3月期はシステム費用や人件費増を増収効果で吸収、連続増収増益へ
・配当性向を40〜50%から45%以上に変更、自己株式取得も含めて株主還元を強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)