ソディックグループの理念体系、価値創造プロセス
古川健一氏:株式会社ソディック代表取締役会長の古川です。本日はご多用のところ、中期経営計画「Grow Forward 2029」の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
当社は今年8月に設立50周年を迎えることになりました。これもひとえに各ステークホルダーのみなさまのご支援とご理解のおかげだと思っています。本当にありがとうございます。
ソディックは、設立50周年の節目にあたり、将来に向けた理念体系を整理しました。スライドに掲げているPURPOSE、MISSION、VISION、VALUEの下、お客さまの課題解決を起点とし、モノづくりを通じて持続可能な社会の実現に貢献します。
これにより、価値の創造と存在意義の向上に努めます。また、各事業を通じて高付加価値なビジネスを展開し、さらなる成長を追求していきます。
中期経営計画 スローガン
今回の中期経営計画は、次の50年に向けた成長を目指すスタートダッシュの4年間にあたります。本計画のコンセプトは、スライド中段に記載している「Sodick Represented」「Sodick Redesigned」「Sodick Reignited」に込めています。
ソディックはこれまでも、そしてこれからも、社是である「創造」「実行」「苦労・克服」のもと、技術力でイノベーションを起こし、お客さまの課題解決をベースに企業価値を向上させていきます。
そして、ここ数年は顕著ですが、時代の変化により、お客さまから求められるものも変化しています。これに対応するため、グローバル体制の再構築や製品構成の変更を含め、グループの再設計に大胆に取り組んでいきます。
ソディックは、この再設計を基に必要な財務戦略を進めると同時に、成長に必要な人材の確保を進めます。役員と従業員が一体となって、企業成長のエンジンを再点火し、この4年間で持続的な成長が可能な体制を整えていきます。
私からコンセプトについてご説明しましたので、圷に引き継ぎます。
中期経営計画の位置づけ
圷祐次氏(以下、圷):株式会社ソディック代表取締役 CEO 社長執行役員の圷です。私からは、本中期経営計画の基本方針、事業戦略、経営基盤についてご説明します。本日はよろしくお願いします。
まずは基本方針についてです。中期経営計画の位置づけについてご説明します。今回の中期経営計画は、これまで進めてきた構造改革を経て、次の成長フェーズへ移行する転換点として位置づけています。当社はこれまで、中国需要を背景に成長し、2018年に過去最高業績を記録しました。
一方で、当時は特定市場や特定用途への依存度が高く、市況変動の影響を受けやすい事業構造が課題となっていました。その後、2023年以降は構造改革を進め、事業体質の改善を図りました。
現在は、2018年当時とは市場環境そのものが大きく変化しています。AI、データセンター、光通信、半導体、航空宇宙、医療といった分野では、高精度・高品質なモノづくりへの需要が世界的に拡大しており、当社にとって新たな成長の機会となっています。
今回の中期経営計画では、このような市場構造の変化を的確に捉え、高精度・高付加価値領域での競争優位性をさらに強化しながら成長を実現していきます。
2029年度には売上高1,000億円、営業利益100億円を目標としていますが、これはあくまで当社の通過点と位置づけており、次の成長ステージへ向かう重要なマイルストーンであると考えています。
中期経営計画の基本方針と主なねらい
中期経営計画の基本方針についてご説明します。本計画では、3つの軸で会社の成長を再定義しました。ポイントは右側に記載している「主なねらい」です。
まず、事業戦略としては、顧客の課題解決を起点とし、競争優位を確立することで持続的な成長につなげます。次に、経営基盤については、次の50年に向けて「再点火(Reignited)」するため、体制・人材の両面から基盤を「再デザイン(Redesigned)」していきます。最後に、財務戦略としては、資本効率の向上と成長投資の両立により、企業価値の最大化を図ります。
なお、本日は主なポイントに絞ってご説明しますが、他にDX戦略や資本市場との対話強化なども併せて推進していきます。
中期経営計画の各種指標
本計画の目標指標です。数値については、2026年2月に公表した内容から変更はありません。本計画では、売上高1,000億円、営業利益100億円、営業利益率10パーセントの達成を目指しています。この中で、当社は特に営業利益額を最重要指標と位置づけています。
外部環境の影響を受けやすい事業である中でも、安定的に収益を確保できる体制への転換を重視しています。また、PBR・ROE・EPSといった資本効率の向上も重要視しており、早期の水準向上を目指します。
事業別各種指標
ここからは、当社の各事業戦略についてご説明します。スライドに、営業利益100億円達成に向けた事業別の内訳を記載しています。2025年度の42億円から、4年後の2029年度には100億円まで拡大する計画です。
まず、工作機械事業では、主力である放電加工機に加え、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、レーザー加工機といった先端加工領域を成長ドライバーとして育成していきます。また、工程・運用・環境を統合したソリューションモデルへの転換を進めることで、収益性の向上にも取り組みます。
産業機械事業では、収益性の改善を最重要テーマと位置づけ、光通信分野を中心とした高精度成形需要の拡大に加え、高付加価値案件へのシフトやターンキー提案の推進、アフターサービスの強化を図ることで、高収益体質への転換を目指します。
特に、AIやデータセンター関連の需要拡大に伴い、MTフェルールといったコネクタをはじめとした高精度成形分野において、事業機会が拡大していると認識しています。
食品機械事業においては、製麺機や無菌包装米飯製造装置に加え、菓子・パン・惣菜分野への展開を進めることで売上拡大を図ります。さらに、海外展開の強化により事業規模を拡大し、利益額の成長にもつなげていきたいと考えています。
その他事業については、将来の成長領域への投資および育成事業と位置づけています。金属3Dプリンタ技術を活用した新製品開発や自動化システム、半導体関連製品、環境関連事業などの分野への展開を進めています。
これらの各事業の役割を明確にしながら、営業利益100億円の達成を支えていきます。
重点領域
当社が重点的に取り組む成長領域についてご説明します。まず、スライド左側に示しているAI・データセンター市場についてです。AIや生成AIの普及を背景に、データセンターでは高速・大容量通信への対応が進んでおり、関連部品や設備にはより高い精度と信頼性が求められています。
当社は、放電加工機や射出成形機を通じて、光コネクタや半導体関連部品などの高精度加工領域で強みを発揮しており、今後の事業機会の拡大を見込んでいます。特に光コネクタ分野では、通信量の増加に伴い多心化が進んでおり、コネクタ内部にはさらに高い加工精度が求められる状況となっています。
当社の放電加工機や射出成形機は、このような微細・高精度加工領域での採用が拡大しています。また、半導体・半導体製造装置関連でも、高精度な加工ニーズが高まっています。さらに、データセンターを支える周辺設備分野にも、当社技術の活用機会が広がっています。引き続き、これらの分野に注力していきます。
次に、食品機械分野についてです。共働き世帯の増加や中食需要の拡大により、惣菜・菓子・パン市場が堅調に成長しています。当社は、長年培ってきた製造ノウハウと真空成形技術を活用し、省人化や衛生対応などのニーズに応えています。国内に加え、海外展開も順次進めており、安定的な成長が期待できる事業領域です。
以上のように、AI・データセンターといった高成長市場と、安定的に成長する食品機械分野の双方で当社の強みを活かしながら、持続的な成長を目指していきます。
事業別戦略
工作機械事業の戦略です。本事業では、高精度加工を核に、工程・運用・環境を統合したソリューションモデルへの転換を進めることで、収益性の高い事業構造への移行を推進しています。
基本方針は3点あります。まず、高精度・高再現性技術を強化し、安定した加工品質を実現することで、高付加価値領域への適用拡大を目指します。
次に、加工条件や工程設計を含めたプロセス全体の最適化を行い、お客さまの生産性向上に直接貢献するソリューションビジネスの提供を強化します。さらに、サポート体制を強化し、アフターサービスや運用支援を拡充することで、アフタービジネスの拡大を進めていきます。
これらの取り組みを通じて、単体の機械販売に依存しない収益構造への転換を図り、継続的な付加価値の創出につなげていきます。
2029年度の目標値として、工作機械事業では売上高710億円、営業利益102億円を掲げています。これらはあくまでビジネスモデル転換の結果としての数値であり、本質は売上の拡大だけでなく、収益構造そのものの変革にあると考えています。
事業別戦略
工作機械事業の戦略を3つの基本方針に分けてご説明します。まず1つ目は、「高精度・高再現性技術の深化」です。加工条件の最適化や装置性能の高度化により、作業者に依存せず安定して同一の精度を再現できる技術を強化し、お客さまの品質安定と歩留まり向上に貢献していきます。
また、高精度については現在、AIやデータセンター、半導体関連が活況ですが、防衛を含めた航空宇宙産業、エネルギー、医療などの分野に加え、次の成長分野とも言われているヒューマノイドロボットなど、より高精度が求められる成長分野への展開も進めています。
2つ目の基本方針は、「工程全体を最適化するソリューション提供」です。従来は単体機械として加工プロセスの一部を提供していましたが、今後は加工・搬送・測定を一体化し、プロセス全体の効率化を実現していきます。
さらに、用途・業界別のソリューション展開も進めています。昨年子会社化したイタリアのAltForm社は、単なる金属3Dプリンタ販売会社ではなく、顧客に製造ライン全体を提供するソリューション企業です。当社は、その強みを取り込みながら、工程全体で価値を提供するビジネスモデルへの転換を加速していきます。
3つ目の基本方針は、「アフタービジネスの強化」です。サポートセンターによる遠隔支援や保守サービスの強化を通じて、稼動後も継続的に価値を提供する体制を構築していきます。また、消耗品や加工ノウハウを含めたサービスのパッケージ化により、安定した収益基盤の確立を図ります。
以上の3つの方針を一体で推進することで、単体機販売に依存しない収益構造への転換と、付加価値の高いビジネスモデルの確立を目指していきます。
事業別戦略
産業機械事業の戦略についてです。本事業では、高付加価値領域への集中とソリューションの拡大により、高収益体質への転換を進めていきます。
基本方針は3点あります。まず、高精度・小型化技術を軸に、MTフェルール分野などにおける競争優位性を強化し、高付加価値需要を着実に取り込んでいきます。次に、ICT、車載、医療などの成長分野に経営資源を集中し、ニッチトップ領域を拡大していきます。
さらに、顧客サポートの強化やターンキーによる付加価値の提供を通じて、ソリューション型ビジネスへの転換を進めていきます。
これらの取り組みにより、2029年度に売上高130億円、営業利益13億円、セグメント利益率10パーセントを目指します。
事業別戦略
産業機械事業の基本方針について具体的にご説明します。1つ目は、「高精度領域での競争優位確立」です。当社はMTフェルール分野で強みを持ち、AIやデータセンター需要の拡大に伴い、より高精度な成形ニーズの取り込みを進めています。
足元では受注が大きく拡大しており、これに対応するための生産体制の強化を進めている最中です。また、小型高精度機の展開を通じて、多品種化や高精度化といった市場ニーズに対応していきます。
2つ目は、「ニッチトップ分野への集中」です。当社が強みを発揮できるICT、車載、医療、軽金属、リサイクルなどの領域に経営資源を集中し、汎用市場ではなく、収益性の高い分野へのシフトを進めていきます。
3つ目は、「ソリューション・サービスの拡大」です。成形条件の最適化やメンテナンス支援、ターンキーでの提供を通じて、装置単体ではなく、工程全体として価値を提供していきます。
以上の取り組みにより、高付加価値領域への集中と収益性の改善を同時に進め、産業機械事業の高収益体質への転換を実現します。
事業別戦略
食品機械事業の戦略についてです。本事業では、新市場開拓とグローバル展開を通じて収益基盤を強化し、持続的に成長できる事業構造の確立を進めていきます。
基本方針は3点あります。まず、「既存市場の競争力強化」です。製品リニューアルによる商品力の向上と、原価低減による収益性の改善を進め、既存市場での競争力をさらに高めていきます。
次に、「新市場・高付加価値領域への展開」です。先ほどお話しした菓子・パン・惣菜分野への展開に加え、他社との協業による提案力強化を通じて、新たな需要の取り込みを図ります。さらに、「グローバル展開と事業基盤の強化」を進めます。海外市場の開拓・拡販と販売体制の再構築により、成長の土台を強化していきます。
これらの取り組みにより、2029年度には売上高100億円、セグメント利益13億円を目指し、セグメント利益率13パーセントの水準を確保していきます。成長に向けた投資を進める中で、一時的に利益率が変動することはありますが、引き続き高い収益性を維持していく方針です。
事業別戦略
食品機械事業の具体的な取り組みについてです。既存事業である製麺機や無菌包装米飯製造装置の競争力を強化するとともに、菓子・パン・惣菜分野への展開も進めます。さらに、海外市場の開拓・販売、サービスの強化にも取り組み、食品機械事業を当社の安定収益事業として成長させていきます。
事業別戦略
その他事業の戦略についてです。本事業は、当社の工作機械や射出成形機を活用した金型成形事業、およびセラミックスやLED照明などの要素技術を基盤に展開しています。
2023年度に赤字となっていましたが、その後の構造改革により収益性の改善を進め、2025年度には黒字転換を果たしました。現在は成長に向けた基盤が整った段階にあります。
事業テーマは、高付加価値製品の創出と新市場展開による成長加速です。具体的には、半導体関連分野などの成長市場に向けて、当社の技術を活用した高付加価値製品の開発・展開を進めています。
次に、自動化設備やシステム販売を通じ、単体製品から課題解決型のソリューションビジネスへの転換を図り、収益性の向上を目指していきます。さらに、新規事業の事業化や外販拡大を通じて、収益源の多様化と顧客基盤の拡大を推進します。
これらの取り組みにより、2029年度には売上高60億円、営業利益5億円、セグメント利益率8パーセントの達成を目指します。
事業別戦略
その他事業では、金属3Dプリンタを活用した半導体向け高付加価値部材の開発や、自動化システムとの連携によるソリューションの展開、LEDおよび要素技術の外販強化を進め、新たな収益源の創出につなげていきます。
外部知見の活用 アドバンテッジパートナーズ社(AP社)との各種施策の推進
ここからは、経営基盤の強化についてご説明します。まず、アドバンテッジパートナーズ社との連携に関する取り組みについてです。
当社は昨年、アドバンテッジパートナーズ社と資本および事業提携を行いました。同社は経営支援や事業成長に関する知見を有するパートナーであり、現在さまざまな取り組みを進めている段階です。
当社では、「グローバル」×「ソリューション提供」×「高付加価値化」を軸に、事業成長に向けた施策を整理し、推進しています。具体的には、販売力の強化、ソリューション提案の高度化、管理体制の整備、M&Aの検討などを中長期的な取り組みとして進めています。
こうした取り組みを進めるにあたり、アドバンテッジパートナーズ社の持つ経営管理、事業企画、外部ネットワークといった知見を活用しています。当社としては、アドバンテッジパートナーズ社との連携を通じて、変革のスピードをさらに高めたいと考えています。
人材戦略
人材戦略です。本計画では、自律・共創の考え方を基盤とし、「真のグローバル企業」の実現に向けて、グローバルを起点とした多様な人材が価値を生み出す組織作りを目指しています。
当社は次の50年に向けて「Reignited(再点火)」を掲げており、人材面においても組織と人の力をあらためて引き出し、成長に向けた原動力を高めていきます。採用・育成・活性化・働き方の4つの観点から各施策を進め、特にグローバル人材、AI・DX人材、マネジメント人材など、今後の成長を担う人材の強化に重点を置いています。
また、社内業務におけるAI活用やDXの推進を通じて、業務の高度化と効率化を進め、生産性の向上にも取り組んでいきます。
これらにより、生産性の向上および収益成長を支える組織への転換を進め、真のグローバル企業としての競争優位の確立につなげていきます。技術だけでなく、人材と組織の力を高めることが、次の成長ステージにおいて重要であると考えています。
サステナビリティ
サステナビリティに関する取り組みです。当社では、サステナビリティを重要な経営課題の1つとして位置づけています。環境マネジメントへの対応、人材の多様性の促進、ガバナンスの強化などの取り組みを継続して推進しています。
一方、本中期経営計画では、2026年2月に公表した内容から大きな変更はありません。そのため、本日は詳細な説明は割愛しますが、企業価値向上を支える重要な基盤として、引き続き取り組みを進めていきます。
最後になりますが、今回の中期経営計画は単なる数値計画ではなく、構造改革を経てソディックが次の成長ステージへ進むための計画となっています。高精度加工技術を核に、顧客の課題を解決するグローバル企業、ソリューション企業を目指していきます。私からは以上です。
続いて、常務の高木より財務戦略についてご説明します。
資本コストや株価を意識した経営の推進
高木正人氏:取締役 常務執行役員、財務責任者の高木です。私からは財務戦略についてご説明します。2026年2月の決算発表と同時に開示した内容から基本的に変更はありませんが、足元の状況を踏まえ、あらためてご説明します。
資本コストや株価を意識した経営の推進についてです。まず、ROEは足元で改善が進んでいるものの、目標としている8パーセントの水準には至っていません。引き続き、収益力の向上が課題であると認識しています。
ROEの向上に向けた最優先事項は、本業で安定的に収益を確保することです。これまでご説明してきた高付加価値化やソリューション化を着実に進め、収益性を向上させることで改善を図っていきます。
一方で、自己資本についても改善の余地があると認識しています。当社は海外事業の拡大に伴い、資金が海外拠点に蓄積されやすい構造となっています。その結果、為替が円安局面にある場合、自己資本が増加する傾向があります。
これらを踏まえ、資本効率を意識した経営を徹底し、グローバルベースでの資金効率の最適化を進めていきます。
株価指標であるPBRについては、直近では目標としている1倍を上回る水準で回復しています。当社としては、この状況を一時的なものにとどめることなく、安定的に1倍を上回る水準を維持し、さらに向上させていくことが重要と考えています。
本中期経営計画の着実な実行を通じて、収益性の向上、資本効率の改善、財務基盤の最適化に加え、株主還元の強化やIR活動、ガバナンスの強化を推進し、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
キャピタルアロケーション
スライドに中期経営計画期間中のキャピタルアロケーションを示しています。これらは2月に開示した内容から変更はありません。当社では、事業成長を起点にキャッシュ・フローを創出し、それを成長投資および株主還元に適切に分配することで、企業価値の向上を図っていきます。
中期経営計画期間中に、業績向上により約500億円の営業キャッシュ・フローを創出し、このうち約200億円を戦略投資に充てる予定です。戦略投資については、M&Aやグローバル化の推進に加え、アドバンテッジパートナーズ社からの資金調達約100億円も活用しながら、事業成長の加速につなげていきます。
また、設備投資やR&Dにおいても継続的に投資を行い、収益力の向上と将来のキャッシュ創出につなげていきます。成長投資については、本中期経営計画の数値目標達成には直接織り込んでいません。その先の継続的な成長を見据えた投資として位置づけています。
成長投資と並行して、株主還元には約165億円を充当し、配当と自己株式取得の両面から実施していきます。さらに、資金需要に応じて有利子負債も活用し、成長投資と株主還元のバランスを取りながら、柔軟な財務運営を進めていきます。
M&A戦略
M&A戦略についてご説明します。本計画では、財務健全性を維持しながら成長投資を加速させるため、戦略投資として約100億円規模の投資枠を設定しています。
投資対象として、航空宇宙、電子部品、医療分野などの高付加価値市場でのプロダクトラインアップの強化、先端加工や食品機械領域といった高成長市場におけるソリューションの強化、グローバルプラットフォームの機能高度化および補完を想定しています。
いずれの投資も既存事業とのシナジーを前提とし、事業価値および収益性の向上につながる施策として推進していきます。なお、本投資の効果は中期経営計画の数値目標には織り込んでおらず、将来の成長に向けた追加的な成長機会として位置づけています。
株主還元
株主還元についてです。こちらも2月に開示した内容から変更はありません。当社は企業価値の向上に向け、資本効率を意識した株主還元の強化を進めています。
2025年度まではDOE2パーセント以上、総還元性向40パーセント以上を基本方針としていました。この水準については、投資家のみなさまから多くのご意見をいただき、取締役会で議論を重ねてきました。
その結果、2026年度より株主還元の水準を一段引き上げる判断を行っています。具体的には、基本方針としての総還元性向40パーセント以上は維持しつつ、中期経営計画の4年間累計で総還元性向70パーセント以上を目指す株主還元を実施します。
本方針の達成にあたっては、配当の充実に加え、自己株式取得も組み合わせて機動的に実施していきます。今期においては、すでに約10億円の自己株式取得を実施しており、今後も状況を見ながら追加的な実施を検討していきます。
また、配当については、2026年度に記念配当6円を実施した上で、2027年度以降はこれを基準配当に組み込み、累進配当を継続していく方針です。
以上で私からの説明を終わります。
質疑応答:中期経営計画の数値目標について
司会者:「足元の受注水準を見ると、4年後の売上高1,000億円の目標は低いように見えますが、数値目標は保守的な目標でしょうか? それともチャレンジングな目標でしょうか?」というご質問です。
圷:ご指摘のとおり、足元ではAIやデータセンター関連を中心に受注環境は好調に推移しています。一方で、今回の中期経営計画は、現在の好況がそのまま4年間継続することを前提として策定したものではありません。この計画は、市場環境の変動を織り込んだ上で、持続的に達成可能な内容として策定しています。
また、数値目標については、当社の構造改革を反映したものであり、達成すべきものではあるものの、チャレンジングな目標として捉えています。したがって、今回の計画は足元の受注環境を単純に延長したものではなく、事業構造の変革によって実現する目標として位置づけています。
質疑応答:生産能力について
司会者:「構造改革で工場を縮小・移転しましたが、現在の生産キャパシティはどのくらいでしょうか? 年間何台生産できますか?」というご質問です。
圷:構造改革は生産能力の削減を目的としたものではなく、生産効率と収益性の改善を目的として、工場の集約やレイアウトの見直しを実施しました。その結果、現在の生産体制でも中期経営計画で掲げている売上高1,000億円を達成する生産能力は確保できていると考えています。
当社では、単純な生産台数の拡大ではなく、高付加価値機種の比率向上やソリューションビジネス、アフタービジネスの拡大が成長ドライバーとなっています。そのため、売上成長と生産台数が必ずしも比例するわけではないと考えています。
現在、AI・データセンター関連を中心に一部製品で需要が急拡大しており、産業機械事業においても生産能力の増強を進めています。今後も市場の需要や動向を見極め、人員配置、生産設備、サプライチェーンを含めた能力増強を機動的に進めていきます。
質疑応答:MTフェルールをターゲットとした主力製品の需要について
司会者:「光コネクタ関連製品について教えてください。『EXC100L+』をはじめ、御社が『三種の神器』と呼んでいる製品は、グローバルでの競争優位性があると認識しています。海外の顧客を含め、引き合いや需要の変化がどのように変わってきているのかについて教えてください。
加えて、御社において生産体制拡大の必要性や設備投資拡大などについて、どのように議論されているのかも教えてください」というご質問です。
圷:「三種の神器」は、ワイヤ放電加工機の「EXC100L+」、細穴放電加工機の「K1BL」「K3BL」、小型射出成形機「LP20EH4」の話だと思います。この分野では、データセンターで使用されるMTフェルールの需要が高まっており、さらにMTフェルールの多心化も進んでいます。
多心化が進むことで、金型製造において相当な精度向上が求められており、当社のワイヤ放電加工機「EXC100L+」がそうしたニーズに適しています。金型を作る過程では、まず微細なスタート穴が必要となりますが、この加工においては当社の細穴放電加工機が活用されています。
また、金型を作った後の実際の成形に関しては、当社の「V-LINE」である「LP20EH4」がお客さまから求められています。これらが市場に適していることから、「三種の神器」という表現を使用しています。
データセンターの建設は今後世界中で進むと見込まれています。現在は中華圏が先行しており、次に米国が続く状況です。データセンター建設に伴い、今後グローバルにおいて需要が一層高まると理解しています。
質疑応答:2026年度の計画に対する進捗の評価や手応えについて
司会者:「2026年度の事業環境についてです。第1四半期の業績は好調で、4月以降の工作機械事業の事業環境も好調を維持しているのではないかと推察します。2026年度の計画に対する進捗の評価や手応えなどを教えてください」というご質問です。
圷:5月まで終わり、残り第2四半期、第3四半期、第4四半期があります。具体的な数字は現時点ではお伝えできませんが、当初の今期の予想計画値は売上高で885億円ですので、この数値については必達という方針で、社内で進めています。
質疑応答:地域別売上比率と脱中国依存の方針について
司会者:「地域別の売上比率の方針について教えてください。構造改革で掲げていた脱中国の方針は、どのようになっていますか?」というご質問です。
圷:中期経営計画では特定地域に依存しない成長を目指し、グローバルでバランスのとれた成長を重視しています。現在、AI・データセンター関連の需要を背景に中国市場が非常に活況ですが、当社としては欧米やアジアの各地域においても、それぞれの産業で成長機会が拡大していると見込んでいます。
地域ごとの売上高比率そのものを目標としているわけではなく、当社の得意とする高精度・高付加価値分野での事業機会を世界各地で取り込むことを重視しています。
構造改革の当初にお伝えした脱中国依存については、中国市場から撤退したり事業規模を縮小したりするという意味ではありません。また、2018年当時の中国市場と比較すると、状況は大きく変化しました。当社が目指しているのは、特定の地域・用途に依存しない事業ポートフォリオの構築です。
多様化している状況の中で、さまざまな産業にしっかりと関わりながら事業を展開していきたいと考えています。
質疑応答:AltForm社の業績目標について
司会者:「AltForm社の業績について、2029年度の計画を教えてください」というご質問です。
圷:現時点でAltForm社単体の数値目標は開示していませんが、当社の中期経営計画において、工作機械事業の中での成長およびソリューションビジネス拡大の一翼を担う存在として位置づけています。
当然ながら、AltForm社自体の売上拡大も目指していますが、グループ全体としてどれだけ付加価値を高められるかが重要です。その観点で、AltForm社とのシナジー創出を進めています。
質疑応答:産業別比率と需要動向について
司会者:「産業別の比率を教えてください。AI・データセンター市場を重点領域としていますが、どれくらいの比率と捉えればいいのでしょうか? 放電加工機について、AI・データセンター市場の波が収束すると、その次はどのような市場が来ると見込んでいますか?」というご質問です。
圷:産業別の比率については非開示のため、詳細なコメントは控えます。ただし、ご指摘のとおり、AIやデータセンターは引き続き成長分野であり、今年や来年で収束するとはまったく考えていません。
これに加えて、半導体やデータセンターに関連するエネルギー産業も需要が旺盛です。また、医療産業も安定して成長しています。これらの分野に対して、うまく展開していきたいと考えています。
また、足元でやや低調な自動車産業の回復にも期待しています。このように、特定市場への依存ではなく、複数市場での成長を見込んでいます。
質疑応答:産業機械事業の利益率10パーセント達成に向けた方針について
司会者:「産業機械事業について、セグメント利益率は2025年度で5.3パーセントでしたが、どのようにして2029年度で10パーセントを達成する計画ですか? 値上げ、あるいは原価低減を行うのでしょうか?」というご質問です。
圷:価格改定も利益率改善要因の1つですが、それだけで利益率10パーセントを目指しているわけではありません。むしろ重要なのは高付加価値領域での販売です。射出成形機の業界は競合他社が多く、価格競争も激しいです。そのような領域には当社としてはあまり関与せず、高付加価値領域での販売を強化していく方針です。
また、省人化やターンキーソリューションの強化、アフターサービスの拡大により、事業ミックス全体の改善を図る考えです。価格転嫁だけで利益率を倍増させることは非常に難しいため、事業構造そのものを変えることで達成していきたいと考えています。
AIやデータセンター関連の需要は非常に大きな追い風となっていますが、当社は中期経営計画において、特定市場に依存する事業構造から脱却し、さまざまな産業に関わっていくことを重要なテーマとしています。このような方針の下、利益率10パーセントを達成していきたいと考えています。
質疑応答:食品機械事業の計画において2025年度比で利益率が下がる理由について
司会者:「食品機械事業の2029年度のセグメント利益率が2025年度と比較して下がるのはなぜでしょうか? 13パーセントが目指す水準であるということでしょうか?」というご質問です。
圷:2025年度と比較すると、4年後の2029年度は若干低下する計画となっています。これは競争力低下を見込んでいるわけではなく、将来の成長に向けた成長投資を盛り込んでいるためです。
具体的には、先ほどお伝えした中食分野である菓子・パン・惣菜分野への新規市場展開や海外市場への展開を強化し、販売・サービス体制の拡充など、将来の事業規模拡大に向けた投資を計画しています。そのため、中期的には利益率を若干抑え、売上拡大と事業基盤強化を優先しています。
食品機械事業は、当社グループの中でも比較的安定した収益を生み出す事業です。2029年度に計画しているセグメント利益率13パーセントは、十分に高い収益水準であると考えています。
質疑応答:工作機械事業におけるソリューションビジネスの展開状況と利益率について
司会者:「工作機械事業について、基本方針である『工程全体を最適化するソリューション提供』による売上は、2025年12月期末時点でどの程度ありましたか? また、今期および中期経営計画最終年度では、どの程度を目標に考えていますか? 利益率は高いのでしょうか?」というご質問です。
圷:ソリューションビジネスの内訳は非開示となっています。ただし、ソリューションの展開を拡大している背景には、お客さま側にさまざまな課題が存在するためです。
例えば省人化や生産性向上など、機械単体では実現が難しい部分に対して、当社は自動化の提供や多様なソリューションの提案など、引き出しをたくさん持って事業を展開しています。なお、利益率は高いです。