■オービーシステムの今後の見通し
2. 中期経営計画
2024年5月に単体の中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)を公表したが、H&Tの買収に伴い同年10月に連結ベースの計画に修正した。最終2027年3月期の売上高は単体で85億円を目標とし、さらに業務提携やM&Aなど新事業の創出・拡大により連結で100億円規模を目指す点は変わらないが、利益目標は変更し、営業利益を9.3億円から10.4億円に、親会社株主に帰属する当期純利益を7.2億円から7.6億円にそれぞれ引き上げた。ただし、2027年3月期の期初計画は利益面が中期経営計画の同目標値を下回るものとなっており、上振れ着地に期待がかかる。
中期経営計画では、「既存事業の拡大」と「新事業の創出・拡大」の2軸で成長を加速させる。業務システム開発力・人材の計画的な強化と特徴ある技術/ソリューションを保有する企業との業務提携により新たな付加価値を提供し、新たな取引先を開拓し既存事業を拡大する。また、幅広く協業できる企業との業務提携・M&Aにより新事業を創出・拡大する戦略だ。
既存事業については、銀行オープン勘定系ソフト開発への継続的対応、保険系システムのマイグレーションニーズの拡大、電力会社の脱メインフレームの動きの拡大、自治体情報システム標準化ニーズの拡大等、「2025年の崖」に代表される銀行・社会分野等のインフラ領域でのオープン化、マイグレーションニーズが依然として増大している。この状況に対応するためには計画的な開発人員強化が最大の課題だが、同社では新卒採用を中心としつつも、経験者の中途採用、従業員の友人や知人をリクルートしてもらうリファラル採用、過去に退職した社員を再雇用するアルムナイ採用等、採用手法を多角化させて社内人材を拡大していく考えだ。同社は、経験豊富な社内人材が中心となって取引先の開発をけん引できる強みを生かして、取引先からの信頼を得て受注拡大しているため、社内開発人材の確保の優先度合いは極めて高い。加えて、現在120社超のBP企業との連携を深めるとともに、開発品質を維持・確保できる新規BPとの連携拡大も進めていく。実績としては、2024年4月には前年の2倍以上となる新卒52名を採用し、2025年4月も新卒49名、2026年4月には新卒46名を採用した。また、H&TとGCで約130名の人材とBPも一定確保してきたことで、足元では1,000名超の開発体制を構築している。なお、社員の6割近くが20代、30代の若手社員であり、若手社員によるイノベーティブな事業推進やAIスキルの早期浸透等にも期待がかかる。
また、教育投資を強化することで、専門性を有する人材育成と業務システム開発力を強化する。特に2026年3月期は全社・段階的AI教育などに予算を投じた。ほかにも、AI開発/DX推進に際して開発の現場では一般化しつつあるAIコーディングアシスタント「GitHub Copilot」も新卒研修に組み込んでいる。主要取引先である日立製作所グループも標準的に同ツールを利用して生産性を向上する方針であることも踏まえれば、AIフレンドリーな新卒社員の早期かつ実践的な育成に資する取り組みだろう。加えて、社内の教育制度も拡充し、資格取得をサポートしていく。AIやIoT、ロボティクス関連、クラウド関連等の新技術は、新デジタル分野として同社に必須の技術であり、技術革新へ対応していくためリスキリング支援を手厚くし、部門間異動を柔軟にすることで事業変革への対応、社員のやる気をサポートしていく。2026年4月末時点で150名の資格取得(Azure、AWSの実施するAI資格取得)が完了している。
さらに、既存取引先との事業規模拡大に対応しつつ、生産性を向上していくために、特徴ある技術/ソリューションを持った企業との業務提携やM&Aを加速し、取引先への新たな付加価値の提供や新たな取引先の開拓によって事業の成長スピードを加速させる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 若杉 孝)