■フィード・ワンの業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比1.8%減の290,675百万円、営業利益が同27.6%増の8,091百万円、経常利益が同26.9%増の8,612百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同18.4%増の6,377百万円となり、各利益で過去最高益を達成した。
主力の畜産飼料事業においては、畜産飼料の販売数量及び平均販売価格が前期を下回ったことなどから、売上高で前期比3.7%減の223,744百万円となった。販売数量の減少は、暑熱や疾病による飼養頭羽数の減少といった外部環境に加え、不採算販売の見直し等の影響が大きかった。売上原価は、畜産飼料事業の配合飼料の原料となるとうもろこしの相場が低位かつ安定的に推移したことを主因に減少した。売上総利益は、原料価格動向を踏まえた価格改定の実施や採算管理の徹底により収益性が改善し、同6.2%の増益となった。販管費は前期並み(微増)と伸びが抑制され、営業利益では2ケタ増となった。畜産飼料事業のセグメント利益は同20.0%増の10,243百万円であり全社営業利益への貢献度が大きい。水産飼料事業は、高水温や養殖尾数の減少や不採算販売の見直し等によって販売数量が減少し、売上高で同3.0%減の24,863百万円となった。一方、原料価格の低下や採算重視の販売等による収益環境の改善が進み、セグメント利益は同22.6%増の1,426百万円となった。食品事業は、売上高で同10.3%増の42,053百万円、セグメント利益は仕入コストの上昇に加え、マジックパール(株)の新工場の稼働に伴う減価償却費の増加等により、同42.4%減の163百万円となった。
6年間で約600億円の設備投資を可能とする健全な財務基盤を堅持
2. 財務状況と経営指標
2026年3月期末の総資産は前期末比8,847百万円増の133,020百万円となった。そのうち流動資産は同1,613百万円減であり、原料及び貯蔵品が1,818百万円減少したことが主な要因である。固定資産は水産新工場建設等に伴い建設仮勘定が7,356百万円増加したこと等により同10,461百万円増となった。
負債合計は前期末比1,809百万円増の70,634百万円となった。そのうち流動負債は同7,671百万円減であり、短期借入金が11,584百万円減少したことが主な要因である。固定負債は同9,480百万円増であり、長期借入金が8,925百万円増加したことが主な要因である。有利子負債(短期借入金、長期借入金の合計)の残高は2,658百万円減少して24,620百万円となった。純資産合計は同7,038百万円増の62,385百万円であり、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加したことが主な要因である。
2026年3月期の経営指標では、流動比率が184.7%(前期末は159.6%)、自己資本比率が46.4%(同44.0%)となっており、かつコミットメントラインも締結しているため、財務基盤は健全かつ安定している。中期経営計画の投資(6年間で約600億円)を行うための強固な財務基盤を堅持する、業界でも稀有な企業と言えるだろう。また、営業活動によるキャッシュ・フローは17,090百万円と過去最高を記録した。
■今後の見通し
2027年3月期は過去最高益を連続更新予想
2027年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.1%増の317,000百万円、営業利益が同5.1%増の8,500百万円、経常利益が同2.2%増の8,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同1.9%増の6,500百万円と増収とともに、各利益での過去最高益の更新を見込んでいる。
外部環境に関しては、畜産分野における飼養戸数・飼養頭羽数の減少、暑熱や家畜疾病等による需要減少、水産分野における高水温下での給餌制限等による需要減少に加えて、気候変動や地政学リスクを背景とした資源・物流コストの上昇や飼料原料の供給不安も想定され、不透明な状況が継続するものの、食を支える基盤需要は底堅く推移し、飼料流通量の大きな減少はないと見ている。また、中東情勢や気候変動等に伴う飼料原料価格の高騰、エネルギー価格の高騰による製造原価の増加等のリスクはあるが、主力事業である畜産飼料事業では今期の米国とうもろこしの生産量の増加予想、四半期ごとに価格改定が行われる業界特性から、利益は比較的安定的であると見ている。
こうした環境にあって、同社は2025年3月期より中期経営計画をスタートしており、2027年3月期は最終年度にあたる。Purpose、Visionの実現、充実した生産体制と強力な販売ネットワークとの連携、スケールメリットを生かした原料購買力、積極的な設備投資を行える財務基盤、グローバルな知見も生かした研究開発体制、畜水産物販売を通じた価値向上等の強みを生かして、畜産飼料事業を中心とした事業間の連携を強化し、継続的な収益力強化に取り組んでいる。
セグメント別では、主力の畜産飼料事業で暑熱対策製品等の差別化製品を中心に拡販を推進し増収増益、水産飼料事業は、無魚粉・低魚粉飼料の拡販を推進し増収増益、食品事業は前期に取り組んだ収益構造強化が寄与し増収増益と3セグメントすべてで増収増益を予想する。原料の高騰トレンドのなかではあるが、厳しい環境の中でこそ差別化製品や調達力、提案営業力により増収増益が見通せる点でインフレ耐性があると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)