■要約
サンマルクホールディングスは大手外食チェーンである。創業以来の経営理念に「We Create the Prime Time for you」(私たちはお客様にとって最高のひとときを創造します。)を掲げ、セントラルキッチンを持たずに店内で調理を行うことにこだわり、人々のより豊かな心と生活の形成に「食」を通じて貢献することを目指している。
1. パスタ業態、牛カツ業態、カフェ業態が主力
同社はレストラン事業(ベーカリーレストラン業態、パスタ業態、牛カツ業態、その他業態)と喫茶事業(カフェ業態)を営み、主に直営店を通じて全国展開している。主力ブランドは洋食レストランの「ベーカリーレストラン・バケット」、スパゲティ専門店の「生麺専門鎌倉パスタ」、牛カツ業態の「牛カツ京都勝牛」と「牛かつもと村」、セルフサービス喫茶店の「サンマルクカフェ」などである。2026年3月期末時点のグループ合計店舗数は868店舗(直営814店舗、FC54店舗)となった。「サンマルクカフェ」は不採算店整理がおおむね完了したため、新規出店再開・店舗数純増戦略に転換した。同社の特徴・強みとしては、できたて・焼き立てのおいしさを届ける「店内調理へのこだわり」や、直営店を基本として従業員と同社の経営理念を共有していることなどがある。
2. 2026年3月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
2026年3月期の連結業績は売上高が前期比24.7%増の88,432百万円、のれん等償却前営業利益(営業利益+のれん及び商標権の償却費)が同75.0%増の7,334百万円、営業利益が同41.3%増の5,149百万円、経常利益が同31.8%増の5,058百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.5%増の2,705百万円となった。前回予想(2025年11月13日付の上方修正値)を上回る大幅営業・経常増益で着地した。牛カツ業態の通期連結(前期は第4四半期よりP/Lを取り込み)効果に加え、既存業態の既存店売上高が「サンマルクカフェ」を中心に想定以上に好調に推移した。喫茶事業における付加価値を加えた商品開発による価格転嫁や店舗オペレーション効率化なども寄与した。のれん等償却前営業利益率は同2.4ポイント上昇して8.3%、営業利益率は同0.7ポイント上昇して5.8%となった。レストラン事業は牛カツ業態の原価率が既存業態に比べて高いため全体として営業利益率が低下したが、喫茶事業の営業利益率が大幅に上昇した。
3. 2027年3月期は小幅増益予想だが保守的
2027年3月期の連結業績予想は売上高が前期比5.2%増の93,000百万円、のれん等償却前営業利益が同2.1%増の7,485百万円、営業利益が同2.9%増の5,300百万円、経常利益が同0.8%増の5,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.2%増の2,900百万円としている。既存店売上高の想定は同103%程度である。店舗展開は新規出店が40~50店舗、退店が30~35店舗で出店超過の計画としている。売上面は新規出店効果や既存店売上の好調で増収を見込む。コスト面では牛カツ業態において食材(牛肉)価格高騰に伴う原価率悪化を見込むほか、物流費の増加、京都への本社移転に伴う地代家賃の増加などを見込んでいる。さらに経済動向の不透明感なども考慮し、各利益は保守的な計画として小幅増益予想である。
4. 中期経営計画の目標値を上方修正、「サンマルクカフェ」は店舗純増戦略に転換
同社は2024年5月に策定した中期経営計画(2025年3月期~2029年3月期)について、牛カツ業態のM&A及び既存事業の進捗を踏まえ、2025年11月18日付で目標値を上方修正(M&Aに伴い利益目標を営業利益からのれん等償却前営業利益に変更)し、新たな目標値を2029年3月期の売上高1,000億円、のれん等償却前営業利益90億円とした。基本方針として、1) 「鎌倉パスタ」を中心とするパスタ業態のポテンシャル最大化、2) 「サンマルクカフェ」の出店再開・店舗純増による成長、3) 国内外における牛カツ業態の成長加速として、新規M&Aの検討も継続する。「サンマルクカフェ」については、従来は店舗運営効率の改善を重点施策としていたが、店舗運営が十分に改善されたと評価し、出店再開・店舗純増に戦略転換して成長を目指す。収益性の向上が顕著であり、新たな成長ステージに入った可能性があると弊社では評価している。
■Key Points
・パスタ業態、牛カツ業態、カフェ業態が主力
・2026年3月期は上方修正値を上回る大幅営業・経常増益で着地
・2027年3月期は小幅増益予想だが保守的
・中期経営計画の目標値を上方修正、「サンマルクカフェ」は店舗純増戦略に転換
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)