ログミー IR Meet 2026夏 出展企業対談
塩谷航平氏(以下、塩谷):株式会社hands代表取締役の塩谷航平です。よろしくお願いします。まずは、簡単に事業概要について教えていただけますか?
平石智紀氏(以下、平石):株式会社FUNDINNO執行役員CSOの平石智紀です。当社は、未上場企業の資金調達およびその流通のためのプラットフォームを構築している会社です。
上場株式市場の場合、基本的に東京証券取引所をはじめとする売買市場、証券会社の株式流通機能、信託銀行の株式管理機能、印刷会社の開示機能などの仕組みが整備されています。
一方、未上場株式市場の場合、これらの機能が整備されていないため、流動性が低く、資金調達が進みにくいという課題があります。当社はその課題に対して、未整備であるからこそ、ITを活用したプラットフォーム構築が可能であると考えています。例えば、上場の際には、資金調達は証券会社、開示は印刷会社、流動化は取引所と、サービスごとに別々の会社へ相談する必要があり、その分のコストが発生します。これを一気通貫で行えるようにすることが、発行会社さま・投資家さまにとっての資本の効率化と品質向上につながると考えています。
当社では3領域を展開しており、「プライマリー領域」では、資金を調達できる、「FUNDINNO」および「FUNDINNO PLUS+」というプラットフォームを提供しています。「FUNDINNO」は「第一種少額電子募集取扱業務」の形態でオンラインのみで販売が許可されており、「FUNDINNO PLUS+」は「第一種金融商品取引業」および「J-Ships」の登録により展開しており、オンラインと対面で販売が許可されています。いずれも金融ライセンスに基づいて事業を運営しています。
「グロース領域」では、資金調達後の発行会社さまの支援を行っています。三菱UFJ信託銀行さまと事業連携し、「FUNDOOR」として株式の管理機能を向上するプロダクトを提供しているほか、「FUNDINNO GROWTH」では、人材支援を含むさまざまなサポートも行っています。
「セカンダリー領域」では、「FUNDINNO MARKET」と「FUNDINNO MARKET PLUS+」を展開しています。日本では未上場株式のセカンダリーマーケットはまだあまり発展していませんが、海外の事例を見ると、セカンダリー領域を活性化させることで資金の循環が生まれ、ほかの領域も発展する傾向があります。
当社では、証券会社のライセンスを活用し、未上場株式をオンラインで売買できるプラットフォームを構築しているのに加え、大口の相対取引も実行しています。
当社では10年かけて、投資家さま側の視点で上場株式市場では当然と思われる「購入する」「管理する」「売却する」という一連の機能を循環させる仕組みを整えてきました。
発行会社さま側から見ると、プラットフォームを通じて個人投資家さまに直接アクセスし、資金調達が可能となります。これに加え、株主総会やコーポレートアクション、IR情報といったデータを一元的に管理できる仕組みを提供しています。また、株主さまが株式を売却したい場合や創業株主さまが持分を手放したい場合にセカンダリーマーケットを活用することができます。
海外では、未上場の段階で多くの投資家さまを呼び込んで自由にセカンダリー取引が行われており、その中で発展しているプラットフォームが存在します。
当社はそのような活発に取引が行われる環境を目指して、投資家さまの出資・管理・売却のすべてを1社で完結できるプラットフォームを構築し、その上で大手企業さまと連携を図る独立系の資本政策を進め、上場に至った会社です。
塩谷:まさに未上場企業の資金調達や、未上場株の管理・売買のためのプラットフォームを提供しているということですね。
平石:おっしゃるとおりです。
セカンダリー領域の可能性
塩谷:売買におけるセカンダリー取引のマーケットプレイスは、すでにあるのですか?
平石:「FUNDINNO MARKET」においてオンラインで小口で行っていますが、現状では売上比率も低く、銘柄数も絞っています。ただ、海外の動向を踏まえると、今後オンラインでの売買が進む可能性があると考えています。
現状のマーケットで広がりを見せているのは、「FUNDINNO MARKET PLUS+」として展開している大口の相対取引が中心です。現在は上場基準が高まりIPO社数が減少している状況ですが、未上場企業への資金がある程度入った後、上場に至るまでの規模を大きくしていく流れは非常に歓迎すべきものだと思います。この傾向は海外でも見られます。
その結果、IPOまでの期間が長くなるため、最初に投資した人が10年でExitを見込んでいたものが、15年に延びることになります。そうすると、未上場段階でのセカンダリーによる売却機会の創出で、Exitを経て上場後も保有する投資家さまやクロスオーバー型の投資家さまに引き継いでいくことが必要です。
また、本来でいえば「人」についても同様です。日本の場合、我々も含めて創業メンバーが上場後もそのまま経営を続けるケースが多いですが、場合によっては経営者が交代したり、経営者の側近にあたる第1レイヤー、第2レイヤーの人材が未上場段階で参画したりすることもあります。
ストックオプションや現物株式が売れれば、未上場の段階でも人材が入りやすいという点も考慮し、ビジネスを構築しています。国策としても、資金を集め人材を送り込むという方針が進められており、我々はそのような国のライセンスや制度に基づいてプラットフォームを構築しています。
ポジティブな影響を与える市場環境
塩谷:それでは、市場環境としてどのような状況になると貴社にとってポジティブな影響があるとお考えでしょうか?
平石:市場環境において重要なのは、未上場企業さまの資金調達額が増えることです。政府のスタートアップ育成方針(5か年計画)で投資額10兆円を目指す方針が示されましたが、現状、日本の未上場企業の資金調達額は昨年度で8,000億円程度です。
一方で、米国や中国では30兆円から40兆円にも上ります。日本においてもこれを伸ばしていくことが国策となっており、その中でプライマリー領域への資金流入額、つまり供給量が増えることが重要です。
また、セカンダリー領域においてもM&Aも含めた株式の受け渡しの活発化が期待されます。その結果として、当社の「GMV×テイクレート」という収益モデル上のGMV(流通取引総額)が成長することが非常に大きなポイントとなります。
塩谷:規制緩和や政策について、なにかありますか?
平石:まさに規制緩和によって参入が可能となった事例として、2015年に株式投資型クラウドファンディングと株主コミュニティという2つの制度が創設されました。その際、我々は株式投資型クラウドファンディングについて第1号業者として参入し、他社もその後続々と参入してきましたが、現在はこの分野で9割ほどのシェアを占めています。
次に大きな変革があったのは、2022年です。株式投資型クラウドファンディングは、審査を通過した業者であれば、未上場株式をオンラインで提供することができるのですが、対面勧誘は依然として禁止されており、さらに発行会社さま側の調達上限金額は年間1億円、投資家さま側の投資上限金額は1社に対して1人当たり50万円と制限があります。
これは投資家さまの保護を目的として設定されている上限ですが、規制が厳しく、どうしてもマーケットが限られていると感じます。
ただし、海外ではこうした制約を改正しようとする動きがあり、それを見据えていたところ、「特定投資家向け銘柄制度(J-Ships)」が2022年に設けられ、証券会社のライセンスを保有していれば、対面で上限なく販売できるようになりました。
我々は市場を開拓する際に証券会社のライセンスを取得しています。この制度を活用することで、対面で上限なく資金を募ることが可能となり、1社あたり十数億円規模の調達にも対応できる仕組みを整えています。投資家さま1人当たりの出資額も、数百万円から数千万円といった単位で受け入れています。
なお、私募の規制においては、基本的に49名までと定められています。しかし、特定投資家向け銘柄制度では、継続的な開示義務や開示書類作成の必要はあるものの、49名を超えてのお声がけが可能です。
現時点で、我々が抱える特定投資家さまの数は2026年10月期第2四半期時点で1,895名です。この方々に対し販売が可能となっています。
業績修正について
塩谷:市場環境の変化による修正を出されていると思いますが、以前から市場環境の変化について、貴社は開示していたと記憶しています。
その中の対応策として、発行会社や投資家のターゲット拡大を掲げていると思います。この点について、現在の下方修正のトレンドを踏まえると、今後の判定における1つの変化点となるのではないかと考えていますが、発行会社や投資家の拡大の影響について、どのように見込んでいますか?
平石:上場維持基準が引き上げられ、時価総額が100億円以上になることや、IPO社数が厳選されていくという流れについては、中期的に見るとマーケットにとってプラスだと考えています。上場までにさらなる成長が求められることでプライマリー領域での資金調達が増えるとともに、未上場段階での株主の入替が必要性を増しセカンダリー領域での取引額が増えることが、GMVの拡大に寄与すると見ています。
一方で、想定できていなかった環境変化及びその環境下における我々の課題として、未上場企業の株価が高止まりしている中で、上場時の出口市場の活発さがそれほど高まらないという状況があると認識しています。
バリュエーション調整と案件への影響
平石:未上場株式市場におけるハイバリュエーションの問題については、いくつかの段階がありましたが、今年年初のIPO市場は、上場初値が公開価格を下回る状態が続きました。
AIの台頭が海外を含めて進展する中で、グロース市場でもテクノロジーやSaaS分野の将来性が読みづらいために価格調整の波が見られました。上場マーケットはすぐに価格調整が行われるのに対し、未上場市場では1年に1回、もしくは2年に1回の調達のタイミングでバリュエーションが更新されます。
そのため、例えば直近で100億円規模のバリュエーションで調達していた会社さまが、以前は200億円規模のバリュエーションを上場時に想定していたものの、それが半値になると、未上場市場でも半値に調整せざるを得ない状況になります。
その結果、これまで取扱うことができていた案件が、ハイバリュエーションで取扱えないケースが発生します。そうすると、「バリュエーション調整をしてもらえれば取扱えます」ということになりますが、この調整については、過去に高値で投資を行った投資家さまの許可を取る必要があり、出口を見つける必要があります。
これによってセカンダリー領域が進展していることもありますが、このようにCFOの方々は、出口を見つけてから調達、もしくは調達と同時進行で行うことになります。
そうなった場合に我々としては見送らざるを得ない、取扱いが難しい案件も多くなっています。つまり、バリュエーション調整が進めば資金調達が進むものの、その調整に時間がかかり、案件の創出・開示までの期間が長期化している状況です。
また、昨今のグロース市場における「上場維持基準の見直し」などを背景に、最近ではIPOでのExitに主眼を置きつつも、会社売却も視野に入れて資金調達を行わなければならないケースが増加しており、特に直近半年間はその傾向に拍車がかかったと認識しています。この点も未上場企業のCFOの方々にとっての大きな課題となっています。
Exit手段として会社売却を視野に入れている場合は、資金調達の相手先に事業会社を見据える必要があります。IPOを目指す場合には株主数が多いことは大きなプラス要因となる一方で、M&Aを選択する際にはすべての株主さまが合意してくれるのかという課題が生じる場合もあります。
当社としては、M&Aに際してはステークホルダー間の利害調整が複雑にならないような設計の検討に加え、事業法人からの出資による株主数を増やさない資金調達手段の提案を強化しています。また、将来的には「第二種金融商品取引業」や「投資運用業」を取得することでファンドを組成し、ファンドを通じた発行会社への出資を可能とする構想もあります。
これにより、ファンドを介して富裕層の投資家さまを対象に資金をまとめることができ、Exit時には交渉や調整を行いながら、円滑にM&Aを進められる環境を整えることが可能になります。
塩谷:自社で未上場グロース向けのファンドを運営するイメージですか?
平石:はい、クローズド型のセカンダリーファンドを立ち上げることも視野に入れています。それ以外にもターゲットファンドを組成して現状の発行会社さまのニーズに対応する商品設計へとアップデートを図る予定です。
これらは上場前から成長戦略に含めてきましたが、当初はプライマリー領域での利益成長を示した上で実現しようと考えていました。現在は市場環境の変化を受けて、前倒しでの実装に向けて取り組んでいます。
今後の戦略と成長の見通し
平石:市場の変化からすると、現状で実装する必要が出てきていますが、現段階では先ほど申し上げたとおり、バリュエーション調整を待ち、セカンダリー領域へ対応可能なスキームや新たなファンドモデルを当期の下期にしっかりと準備することで来期以降の成長につなげる予定です。
上場株式市場の環境が劇的に変化する一方、未上場株式市場は年に1回、あるいは2年に1回程度しかバリュエーション調整が行われない状況です。そのため、この年初からの動きを受けて、未上場企業のCFOの方々は非常に苦労されている状況だと思います。
おそらく、資金調達金額や資金調達企業数自体も一時的に減少傾向にあると考えています。全体的に選別が一層強まり調整を待っている状況です。我々もそのようなマーケット環境下で、しっかりと価格調整された案件を投資家のみなさまにお届けすることを目指しています。ステークホルダー間の調整を待ってから当社をご利用いただくという構図です。
そのため、発行会社さまのリードタイムや社数については従来の実績どおりには推移していない点が、今回の修正の背景にあります。修正後の計画は上期と同様の環境が継続することを前提としています。外部環境や案件のタイミングに左右される部分が大きいため、まずは下期の数字にしっかり取り組むことが先決だと考えています。外部環境のみならず当社が必要な機能を実装することによって状況が改善することで、従来の実績に近い数値に戻していけるようにしていきます。
塩谷:状況が改善されれば、営業利益は11億円に近い水準を目指すことができるということですね。
平石:現時点で特定の水準を見通せる状況にはありません。下方修正でお示ししたとおり、いったん前提を引き下げており、まずは下期の数字に取り組むことが先決だと考えています。その上で、セカンダリー領域の施策やステークホルダー間の利害調整を進められる機能実装を図り、当社のプラットフォームをより強固なものにしていくことに注力していきます。
ただ、今回の下期予想については、マーケット環境など我々ではコントロールできない要素があることや実装に一定の時間がかかることもあり、上期と同様の環境が続くと仮定して算出しています。固定費が一定であるため、売上が減少した場合には大幅な利益修正が避けられないという状況です。
塩谷:上期の非常に厳しい環境、いわゆる端境期の状況が、下期にも引き継がれる想定での予想ということでしょうか?
平石:そのとおりです。
塩谷:上場時の会社計画で掲げた11億円という目標も、上場後は外部環境の変化などがありますし、なかなか難しい部分がありますよね。
平石:上場するということはそのような環境変化のもとでも対応し、しっかり計画を守ってコミットすることだと思います。
上場時の業績予測自体は、2025年10月期第3四半期までの過去実績を基に作成しました。当然、我々がプラスアルファで考えていたこともありましたが、それは織り込まずに作り、証券会社や東京証券取引所との厳しいQ&Aの場を経て作成したものです。
第4四半期についても、上場準備の段階で数字の前提が崩れていないかモニタリングしていましたが、年明け以降の環境変化に自社として対応しきれなかった部分がありました。
したがって、来期に向けて再び成長路線をしっかりと示す必要があります。下期も含めて赤字、四半期単位でも赤字の予測となっていますが、損益分岐点は、営業収益ベースで四半期6億円から6億5,000万円程度です。固定費の比率が高い構造のため、この水準を超える営業収益を継続的に生み出せる事業規模を構築できれば、黒字基調に乗せていけると考えています。
塩谷:四半期ごとに、だいたい営業収益が6億円あれば損益分岐点に到達するということですね。
平石:そうですね。足元では、その損益分岐点の水準が6億円から6億5,000万円程度になっています。
塩谷:法改正もあり、貴社は上場時から注目されていたと思いますが、一方で、四半期業績が案件ベースで動いているため、かなりムラがあり、モデルが少し組みづらい印象があります。実際に私も感じているところでもありますが、なにか社内で追っているKPIなどはありますか?
平石:まずは当社の年間や中期的な基礎代謝、つまり成長サイクルについてお話しします。「事業計画及び成長可能性に関する事項」の中ではフライホイールの図でご説明しています。
投資家さまの供給量が増えることで、過去ですと、資金調達は1億円までという業法上の制限があったために投資家数が少ない時には取扱規模も限られていましたが、特定投資家制度の活用および投資家さまが年々増加したことにより、現在は十数億円規模の大型調達にも対応できるようになりました。
これにより、より規模の大きな資金調達を必要とする発行会社さまへもアプローチが可能となり、対象となる発行会社さまの幅が広がるとともに、1件あたりの取扱規模が拡大しています。ユーザーさまにとってのメリットが一番重要であることはもちろんですが、その上で我々の生産性にとってもプラスとなります。そのため、まずは投資家さまの数を増やしていくことが課題だと考えています。
そこで、上場後は特定投資家さま数を公開しています。ちなみに、本来であれば規模や実行数、継続性などの内容も出していきたいところですが、まだ歴史が浅く、そこまでの統計データは出せていないため、今後追跡する方針です。
特定投資家さま数が増えることで年間の供給量、つまり潜在力が拡大します。我々は資産を直接預かるわけではないため預かり額はわかりませんが、投資家さまが投資に充てる資金が増えることで、我々もその部分にアクセスできます。
なお、特定投資家さまは、毎年1回必ず更新が義務づけられており、7月末には更新があります。その際、「もうやりたくないよ」という方々が更新しない場合もあり得ますが、基本的には我々の情報を受け取りたいと希望している方々が着実に積み上がっています。
塩谷:言い換えると、「常にアクティブになっているユーザーさま」のようなイメージでしょうか?
平石:そうですね。実際に実行するかどうかは別として、我々からの案件情報を求めている方々です。ここが積み上がっていくことが最も重要だと考えています。
ただし、四半期や半期ベースになると、案件のラインナップに左右されるため、我々もロングリストやショートリストを作成しながら管理を行っています。
しかし、調達は発行会社さまの存続を左右する重要な部分であるため、先方の経営陣はもちろん、外部のステークホルダーさまや証券会社さまによってもスケジュールやリードタイムなどが影響を受けます。
平均的なリードタイムで管理していますが、3ヶ月単位で予測可能な範囲であっても、予測がぶれる可能性がどうしてもあります。結果として、四半期ごとの業績にボラティリティが生じているのが現状です。
将来的には、ファンドモデルの導入などさまざまなモデルを活用することで、このボラティリティを抑えられるようになると考えています。
塩谷:平準化することが多くなる見通しですか?
平石:そうですね。
海外市場との比較と今後の課題
塩谷:海外市場と国内市場の比較に関連する質問です。現在、セカンダリー領域に関して海外市場はかなり成熟してきている印象があるのに対し、日本市場は「まだこれから」のような状況がある中で、海外市場のようになるにはどのような障壁や課題があるのか、教えていただけますか?
平石:まず挙げられるのはレギュレーションの問題です。富裕層の方々や、特定投資家制度ができたことで投資家数が増えてきていますが、そのような方々の登録や勧誘をしやすくするべきだと考えます。緩くすることで危険性は高まるため難しいところがありますが、この点は進めていく必要があります。
また、未上場のセカンダリー市場が盛り上がらなければなりません。売却機会を提供できる環境が整えば、新旧株主さまの入替が可能になるため、セカンダリー領域の機能が増えていくことがプライマリー領域のさらなる成長にもつながると考えています。
さらに、海外では連続起業家さま、個人投資家さま、ファミリーオフィスさまといった多様な投資家層の拡大が顕著です。日本においても今回の制度が後押ししていく中で、投資家の多様化が進み、上場株式市場のように個人投資家さまと機関投資家さまがバランスよく存在する未上場市場が形成されることが望まれます。
その中で、プロがルールを整備し、それに則ることで個人投資家さまも参加しやすい環境が実現すれば、供給量のさらなる拡大が見込めるのではないかと考えています。
塩谷:なにかきっかけがあると、まさにフライホイールの図で表せるようなかたちで、市場が一気に大きくなるイメージもあります。
平石:我々としてはセカンダリー市場で出口ができると、循環が生まれると考えています。我々のお客さまが売り手にも買い手にもなることで、トランザクションで手数料が発生し、さらにお金が買い手から売り手へ移動します。
これにより、現金化した投資家さまが新たな案件に再投資する流れが生まれます。そこに税制がサポートすることで、上場市場と同様の循環が未上場市場でも起こり、大きな金融効果になると考えています。
それぞれの要素やビジネスモデル、サービスを立ち上げていますが、これらがしっかり循環することが重要です。それが我々の本来目指していた、上場後に作りたかった理想の世界観であり、上場してからはこのフライホイールを回すような活動に投資していきたいと考えています。
個人投資家へのメッセージと展望
塩谷:最後に、個人投資家の方々へメッセージがあればお願いします。
平石:当社は10年をかけて、10期目の最後に上場承認を受け、現在は11期目を迎えています。創業以前から「プライマリー」「グロース」「セカンダリー」という仕組みを通じて、未上場株式市場の資金循環を構築しようと考え、取り組んできました。
海外では、このような仕組みが機能しているからこそ、スタートアップに資金が流れユニコーンが誕生するという仮説をもとに事業を立ち上げ、法改正に対応しつつ、多くの上場プレイヤーの方々と事業連携を進めてきました。
我々はプラットフォーム運営者として単独ではなにもできませんが、投資家さまや発行会社さまとともに、サポートするプロの方々の力を借りながら、一つひとつ課題を達成し、モデルを確立したことで、上場することができました。
今後は、このモデルをさらに進化させ、未上場株式市場への資金供給量を増やし、より大きな循環を生み出していきたいと考えています。上場株式市場の中で、投資家のみなさまに当社の成長戦略をご理解いただき、未上場株式市場にも関心を持っていただけるように努めていきます。
国策として国が競争力を高めるために整備した市場で、法令を遵守しつつ、当社自身の成長を示すのと同時に、産業育成にも貢献し、ユーザーのみなさまを増やしていけるよう邁進します。
中期経営計画と今後の成長戦略
塩谷:中期経営計画を発表されるのですか?
平石:中期経営計画は社内で作成しているものの、今回の業績予想の修正を踏まえ、マーケット環境の見通しが立ちにくい状況であることから、中期経営計画の発表時期については慎重に検討しています。
お客さまのために待つ必要がある一方で、業績にコミットした後には取扱わなければならないといったコンフリクトもあるため、来期の発表については社外取締役を含む役員で協議しており、成長を見込む計画をどこまでお伝えするのかは、慎重に検討したいと考えています。
塩谷:本業に悪い影響が出る可能性もありますよね。
平石:そのため、もう少し検討を重ねたいと考えています。発表する場合には理由を明確にし、発表の仕方についても十分に考えたいと思います。今後ともアドバイスをよろしくお願いします。
塩谷:引き続き、よろしくお願いします。
平石:ぜひ応援してください。ありがとうございました。
塩谷:応援しています。ありがとうございました。