マネーボイス メニュー

伊澤タオル、2029年2月期売上高150億円へ 「タオル研究所」オフライン戦略とグローバル展開で成長加速

ログミーIR Meet 2026夏 IR対談・伊澤タオル株式会社

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):個人投資家のKenです。本日はよろしくお願いします。 

三好拓人氏(以下、三好):伊澤タオル株式会社取締役CFOの三好です。よろしくお願いします。

会社概要・ビジネスモデル

Ken:はじめに、会社概要とビジネスモデルを教えてください。

三好:弊社は社名のとおりタオルを専業としています。「タオルといえばこのブランド」とイメージできるものは何かありますか? 

Ken:正直なところ、「今治タオル」以外はあまり思い浮かばないかもしれません。

三好:今治タオルは産地の集合体で、1社が手掛けているブランドではありません。そのため、日本のアパレル業界でいえば「ユニクロ」、炭酸飲料でいえば「コカ・コーラ」のような存在がタオル業界にはなく、メインプレーヤーがいない状況です。

このように、マスマーケットにぽっかりと穴が開いている状態に風穴を開けようとしているのが我々です。「タオルといえば伊澤タオル」「悩んだら伊澤タオルを買えば間違いない」というタオルのスタンダード、それも世界規模でのグローバルスタンダードを作ることが弊社のビジョンです。

事業内容は非常にシンプルです。日用品のタオルを中心に、企画開発、製造、販売を一気通貫で行うファブレス企業です。自社工場は持たず、製造は海外の大規模工場に委託しています。

販売チャネル

チャネルは3つあります。ODM事業、EC事業、キャラクターIP事業を展開しています。ODM事業では、大手小売店のコンビニエンスストアやGMS、ホームセンターなどの黒子役としてタオルの受託業務を行い、お客さまのニーズに合わせたタオルを提案しています。

EC事業では、「Amazon」で「タオル研究所」という自社ブランドを展開しています。「Amazon」の売れ筋ランキングにおいて、タオルカテゴリで1位から3位をすべて「タオル研究所」が占めています。この状況は3年以上続いており、実績とともに消費者のみなさまから強い支持をいただいています。

キャラクターIP事業では、エンターテインメント事業者向けにキャラクター柄のタオルを提供しています。

Ken:我が家でも普段使っていると思います。タオルは消耗品の位置づけなのでしょうか? 

三好:大きく「贈答品」と「日用品」に分類されます。今治タオルなどは贈答品のイメージが強いかと思いますが、当社は日用品に特化しています。

日用品には2つの切り口があります。1つは小売店で販売されているタオル、もう1つはホテルや病院などで繰り返し洗って使用される業務用タオルです。当社がターゲットとしている市場は日用品のタオルです。

市場傾向

Ken:現在の市場は拡大傾向にあるのでしょうか? それとも人口減少などで縮小傾向なのでしょうか?

三好:タオル市場は成熟しています。ここ10年ほどは横ばいの状態で、小売価格で1,600億円程度を維持しています。その中で弊社は、15年で売上を12倍に成長させてきました。市場を世界に広げると一桁規模が変わり、世界全体で約2兆円となります。

差別化と強み

Ken:競合との差別化や御社の強みについて教えてください。 

三好:大きく3つあります。1つは、タオルのサプライチェーン全体をコントロールできる点です。タオルの商流は、製造業者、卸業者、小売業者、消費者という流れになっています。

従来の業界では、それぞれが縦割りの役割を担うがゆえに、消費者ニーズが製造現場に反映されにくく、製造ノウハウが蓄積されにくいことが業界全体の弊害となっていました。その結果、タオルに対するイノベーションがなかなか進みませんでした。

我々は、小売店を「売るプロ」、製造業者を「作るプロ」と捉え、そのハブになることで消費者ニーズを反映し、徹底的に製造を効率化しています。全体をコントロールして良い製品をお客さまに届けるという業界の変革を行ったことが、我々の強みの1つです。

2つ目の強みは、タオルに関する知見やノウハウが圧倒的である点です。当社は1970年の創業以来50年以上、日用品のタオル製造に特化してきました。この10年においては、年間数千件以上の企画を行う中で蓄積されたノウハウがあります。

他の卸業者との違いでいえば、小売店からタオルのオーダーがあり工場に発注する場合、一般的な会社では、工場の言い値で仕入れて販売しています。

一方弊社では、お客さまのニーズに応じた正確な原価計算が可能で、工場に対し仕入れ価格の交渉を行うことができます。ボリュームディスカウントと技術指導により、例えば他社では100円で作られるものを80円で作ることができます。この結果、同じものが手頃な価格で消費者に届くという点で支持をいただいています。

3つ目の強みは研究開発力です。弊社の従業員は現在73名で、東京本社、大阪本社、大阪梅田オフィスの3ヶ所の拠点のうち、東京本社と大阪本社には自社ラボを設けています。ラボでは研究員がタオルの素材に関する研究を日々行っており、自社だけでなく事業会社との共同開発にも取り組んでいます。

ユニクロが東レと「ヒートテック」を開発したように、タオル業界でこれまで主流だったコットン100パーセントに代わり、合成繊維や化学繊維を用いることでタオルに機能性を持たせる技術を事業会社と共同開発してプロダクト化しています。

また、大学との共同研究も行っています。信州大学との研究では、これまで「やわらかい」など感覚的に話されることが多かったタオルの品質を、データに基づいて客観的に数値化することに成功しました。

福井大学とは、製造工程で大量の水を使用することによる環境負荷やコストの増大という業界の課題に対し、製造工程の一部で水を使わず二酸化炭素を用いて製造する技術を共同で研究しています。現在は実証フェーズにあり、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の国家プロジェクトにも採択されています。

このような取り組みによるタオルそのものをアップデートする研究開発力が、他社の追随を許さない大きな強みです。

よく「アパレルとタオルは何が違うのか?」と質問されることがありますが、それらはまったく別物です。アパレルは平面的な繊維で構成されていますが、タオルは表面にループ状の突起を持つ立体構造により、肌触りや吸水性などの機能性を持たせることができます。

この立体構造は、アパレルとは作り方がまったく異なります。そのため、この構造を理解せずに製造を試みても良いタオルを作ることは難しく、弊社にお声がけをいただくケースがあります。弊社はこのような立体構造のタオルを数十年にわたり作り続けてきたノウハウがあり、これが大きな強みとして差別化ポイントとなっています。

営業戦略

Ken:次に、営業戦略についてお聞かせください。 

三好:弊社は4月中旬に、2029年2月期を最終年度とする中期経営計画を発表しました。この計画で、売上高150億円の達成を目標として掲げています。これを実現するための1つ目の戦略として、ODM事業の深掘りと横展開を進める考えです。

現在、主要小売店にタオルを納入していますが、タオルの取扱枠にはまだ拡大余地がありますので、この拡大に向けた企画提案を進めています。

また、昨今はタオルのPB化が業種ごとに広がりを見せています。これまで主流だったコンビニやGMS、ホームセンターだけでなく、ドラッグストアや家電量販店でもタオルをPB化する動きが見られます。

直近では、ビックカメラと弊社が共同開発した新しいタオルのPB製品のリリースを3月に行いました。このように業種を広げたODM事業の拡大が1つ目の戦略です。

2つ目の戦略は「タオル研究所」です。これまで主に「Amazon」で販売されていましたが、実際に製品を見て触って購入したいとの要望があり、今年1月から弊社がODM事業で取引しているお客さまの店舗でオフライン販売を開始しました。

発売4ヶ月目で1,000店舗を突破しましたが、弊社が取引しているお客さまは約5万店舗から6万店舗ありますので、そのアップサイドを活用して売上をさらに伸ばしていきたいと考えています。

3つ目は、一番大きな課題でもあるグローバル市場への展開です。現在の主な取引先はAmazon USです。7月5日に行われるアメリカ建国250周年の記念事業でAmazon USがメインスポンサーに加わっており、オリジナルビーチタオルを製作することになりました。これを弊社が受注し、おそらく日本企業として初めてAmazon USから受注したケースとなります。

他にもさまざまな製品をAmazon USに提供していることから、今回のケースをきっかけにアメリカの主要小売店との取引を開拓していきたいと考えています。

海外では市場規模が一桁変わってきます。まずはアメリカ市場を攻めつつ、ヨーロッパ、アジアなどへの進出も図りたいと考えています。タオルは世界中の老若男女誰もが使うものです。すべての人に届けるグローバル進出を目指していきます。

Ken:アメリカで展開していく時に、競合や特に強い企業などはありますか?

三好:アメリカでは、ウォルマートやターゲット・コーポレーションなどが直接製造しているケースがあるため、それを突破する必要があります。タオルの大きさや柔らかさなども日本とは大きく異なることから、アメリカ市場に合わせつつ、日本の優れた部分も取り入れていきたいと考えています。

アメリカのタオルは大きくてゴワゴワしているイメージですが、実は柔らかいタオルが欲しいという潜在的なニーズがあることが、アンケート結果や現地の方々との対話を通じてわかりました。そのようなニーズに応えるため、日本の技術を取り入れながら進出していきたいと考えています。

生産地の戦略

Ken:次に、生産地の戦略について教えてください。 

三好:弊社はもともと中国を主な生産地としていましたが、チャイナリスクの存在や中国全体での原価上昇を背景にサプライチェーンの分散化を進めており、具体的にはインドへシフトしています。インドにはタオルを生産する世界最大級の工場が複数あり、現在これらの工場との取引を開始し、中国リスクの回避を図っています。

また、インドには輸入関税がありません。中国から日本に輸入する場合は6パーセント程度の関税がかかるのに対し、インドはゼロでコストメリットがあります。さらに、インド工場はタオルの製造では中国工場の後発になるため、効率的な設計による原価低減も見込まれます。

実際に中国製からインド製に切り替えたお客さまの粗利率が5ポイント改善するケースがありました。そのため、2029年2月期までに生産地の30パーセントをインドへ切り替える計画を進めています。

Ken:計画が進めば、粗利もさらに改善しそうですね。

三好:改善していきます。

Ken:現在の粗利率は21パーセント程度ですが、将来的には23パーセントから24パーセントという数字も見据えられるのでしょうか? 

三好:今年も23パーセントで予算を立てています。弊社としてはまず25パーセントを目標に、30パーセントも十分に達成可能だと思っていますし、実現したいと考えています。生産地の見直しに限らず、さまざまな粗利率改善策を講じて30パーセントまで持っていきたいと思います。

Ken:改善が進むことで、かなり伸びていく可能性が感じられますね。

三好:おっしゃるとおりです。

財務と資本戦略

Ken:財務と資本戦略について教えてください。

三好:弊社のビジネスモデルは、ファブレスかつアセットライトで運営しており、少ない資本で多くのキャッシュフローを獲得できるモデルです。そのため、ROEは現状の15パーセント維持・向上を中期経営計画として掲げています。

タオルというのは消費者との距離が近い商材です。正確にはBtoBtoCのビジネスモデルですが、お客さまが弊社のタオルを「タオル研究所」のかたちで直接知っていただくことが多く、消費者の方が株主となるケースも非常に多いと感じています。そのため、株主還元も配当でしっかり実施していきたいと考えています。

もともと配当性向50パーセントの方針で行っていましたが、弊社では海外からタオルをドル建てで仕入れており、為替リスク平準化の観点から、為替予約を最長3年先まで設定しています。この為替予約により、実勢のレートよりも有利な価格で商品を仕入れることが可能です。

ただし、決算上どうしても為替予約の評価が必要となります。そのため、円安では評価益、円高では評価損が発生し、為替レート次第で年間業績が変動します。期末で急激に円高が進むと為替差損が生じ、それが配当性向に影響を及ぼすことで配当が減少するリスクもあることから、1会計期間の為替変動に影響されにくいDOEを採用しています。

前事業年度末の株主資本に対して10パーセントを目安とする配当を、今期から掲げました。1会計期間の為替の変動にも影響されない、安定的かつ高水準な配当を実現していきたいと考えています。

現在はスタンダード市場に上場していますが、弊社のビジョンが「タオルのグローバルスタンダードをつくる」であるように、目指すのはグローバルです。将来的にはニューヨーク市場への進出、中期的にはプライム市場へのステップアップを考えています。それを実現するため、株価の底上げや流動性の向上などを進めていきたいと考えています。

なお、年間2億円ののれん償却費が発生していますが、それを利益に変えるために、現在IFRS(国際会計基準)への移行を進めています。

自社株買いのバランス

Ken:成長する見込みであれば、自社株買いを行ってくれるほうが長期的な株主にとってはありがたいと考えています。多くの企業が流動比率の観点で難しい中、御社にはそれを行う余力が十分あるのではないかと思います。

三好:市場での買い付けは2月1日から3月末までに約3パーセント行いました。今後も機動的に進めたいと考えています。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。