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リケンNPR Research Memo(3):経営統合シナジー最大化に向けてグループ再編を実施

■事業概要

1. グループ再編
経営統合シナジー最大化に向けて2026年4月1日付で国内グループ組織再編を実施し、リケン及びNPRの営業・技術開発・コーポレート機能をリケンNPRへ承継し、戦略策定・統括機能を集約して同社は事業持株会社へ移行した。また旧リケン、旧NPRの枠組みを取り払い、グループの事業をピストンリング事業、船用・産業用事業、精機部品事業、素形材事業、配管機器事業、半導体・エレクトロニクス関連事業の6事業に分けて各事業部を設置した。これにより、戦略立案・意思決定などスピード感を重視した機動的な運営を進めるとともに、利益率や資産効率などROICを意識した事業運営を行う。製造部門については再編により同社の直接の子会社とした。グループガバナンスに関しては、組織再編を機にグループ内で統一感を持ったルール化を進めるとともに、同社が戦略・方針決定面で強くリードし、変化に強い強靭で効率的なガバナンス体制を構築する。これらの国内グループ組織再編でシナジー創出を加速させる。なお2026年6月1日時点で国内連結子会社は16社、海外連結子会社は21社、持分法適用関連会社は6社となった。

国内の具体的な組織再編としては、リケンはピストンリング事業製造子会社に移行して社名を(株)リケンNPR新潟に変更、NPRは精機部品事業製造子会社へ移行して社名を(株)リケンNPRプレシジョンに変更、理研熊谷機械(株)はリケン熊谷事業所の精機部品事業を承継して社名を(株)リケンNPRプレシジョン埼玉に変更、(株)リケンキャステックはリケン柏崎事業所の素形材事業を継承して社名を(株)リケンNPRキャステックに変更、(株)日ピス岩手はNPRのピストンリング製造関連資産を承継して社名を(株)リケンNPR岩手に変更、理研商事(株)はNPRの汎用製品等商社事業を承継して社名を(株)リケンNPR商事に変更した。このほか、会社分割を伴わない社名の変更も行っている。

海外については、2025年7月に米国子会社のミシガン事業所の閉鎖を発表し、2026年2月にはタイの子会社を合併した。また2026年4月には子会社のRiken Corporation of Americaが、米国Hastings Holding Corp.(以下、HHC)の全株式を取得して子会社化した。なお、2026年4月に予定していた米国子会社の統合については統合日を延期した。

自動車用エンジン部品が主力
2. 事業概要
セグメント区分は2026年3月期より変更して、自動車・産業機械部品事業、配管・建設機材事業、熱エンジニアリング事業、その他(EMC※1事業、メタモールド※2、医療・災害救急医療関連製品など)としている。2026年3月期のセグメント別売上構成比(セグメント間取引消去前合計に対する割合)は自動車・産業機械部品事業が74.3%、配管・建設機材事業が10.4%、熱エンジニアリング事業が5.6%、その他が9.7%だった。また地域別売上構成比は日本が51%、中国が6%、その他アジアが16%、米国が12%、欧州が8%、その他が7%だった。

※1 EMCとはElectro-Magnetic Compatibilityの略で、電磁環境両立性のこと。
※2 メタモールドはリケンNPRグループで生産する金属粉末射出成形製品の登録商標。

自動車・産業機械部品事業は、エンジン部品であるピストンリング、バルブシートを主力として、自動車エンジン・トランスミッション・駆動・足回り関連の焼結部品・樹脂部品・素形材部品、産業機械部品、船舶用エンジン部品なども展開している。なおカムシャフトの生産体制見直しに伴い、2024年11月にリケンとブラザー精密工業(株)の合弁会社(株)リケンブラザー精密工業の株式をブラザー精密工業へ譲渡して合弁解消したが、カムシャフト素材の提供は継続している。2026年4月にはHHCを子会社化した。HHCは米国とチェコ共和国に製造拠点を持ち、北中米の補修ピストンリング市場で圧倒的なブランド力を誇っている。「RIKEN」ブランド及び「NPR」ブランドに「Hastings」ブランドが加わることで、ピストンリングの残存者利益の獲得と、グローバルな補修用市場におけるトップポジションを確実なものとする。また事業ポートフォリオ改革の一環として、2027年9月をもって素形材事業におけるカムシャフト以外の製品(ステアリングナックル・ハウジング、その他足回り部品、油圧部品など)の国内生産を終了する。インドネシアの子会社における素形材事業は継続する。

配管・建設機材事業の主力製品は管継手などの配管用機材である。2023年5月にはリケンが配管用継手大手の日本継手(株)を子会社化し、国内配管継手業界トップとなった。

熱エンジニアリング事業は、独自開発の金属発熱体「パイロマックス(R)」やセラミックス発熱体「パイロマックススーパー(R)」の開発・製造・販売、及びそれら活用したヒータユニット・工業炉などの加熱処理を展開している。2024年2月にはリケンが、低温領域の中小型ヒータユニットに強みを持つ(株)シンワバネスを子会社化した。M&Aも活用して半導体製造装置向けの拡大を推進している。

その他は、電波暗室の開発・販売を手掛けるEMC事業、メタモールド(R)事業、医療・災害救急医療関連事業などを展開している。

高度な精密加工・表面処理・材料・粉末冶金技術などに強み
3. 特徴・強み
主要製品であるピストンリングの主な役割には、エンジン燃焼室で燃焼ガスの漏れを封じるシール機能、潤滑油(エンジンオイル)のコントロール機能、燃焼熱を逃がす伝熱機能などがある。300℃という過酷な条件の燃焼室内で使用され、エンジン性能に直接関わる重要機能部品である。高品質のピストンリングを供給できるメーカーは、世界でもリケンNPRを含む4社(米国1社、独1社、日本2社)に実質的に限定されている。低フリクション化や耐摩耗性向上、高性能・高品質の材料と表面処理などの高い技術力が求められるが、両社とも高度な精密加工・表面処理・材料・粉末冶金技術などを強みとして、トヨタ自動車や本田技研工業をはじめとする世界の主要な自動車メーカーに幅広く製品を供給している。

事業環境変化に対応して事業ポートフォリオ改革を推進
4. リスク要因と対策
リスク要因としては景気変動・感染症・災害・その他の影響による自動車生産台数の減少がある。ただし、グローバル自動車市場は新興国における自動車普及の進展などで緩やかに拡大基調であり、同社にとっては全体の自動車生産台数の増減よりも、世界的な脱炭素社会の流れを背景とする環境規制の影響(エンジンの低燃費化、ガソリンエンジンの減少、エンジンのクリーン化への対応、自動車のEV化など)がリスク要因となる。同社は、ガソリンエンジンのさらなる低燃費化、水素・代替燃料などを使用する次世代エンジンへの対応など、エンジンの進化に向けた技術開発を推進するとともに、EV化の流れも踏まえて非ICE※領域での事業拡大にも注力し、事業ポートフォリオ改革を進めている。

※ ICEとはInternal Combustion Engineの略で、内燃機関(ガソリンエンジン)のこと。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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