■業績動向
1. 2026年3月期の業績概要
リケンNPRの2026年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%減の163,114百万円、営業利益が同8.8%増の12,847百万円、経常利益が同18.2%増の17,345百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同60.2%増の14,027百万円となった。平均為替レートは1米ドル=149円、1ユーロ=169円(前期は1米ドル=151円、1ユーロ=164円)だった。前回予想(2026年2月13日付で各利益を2回目の上方修正:売上高160,000百万円、営業利益11,000百万円、経常利益15,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益11,000百万円)を上回り、期初時点の減益予想(2025年5月15日付の期初公表値、売上高162,000百万円、営業利益8,500百万円、経常利益11,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,300百万円)に対しては一転増益での着地となった。売上高は前期の合弁事業の解消や世界的な自動車生産台数の減少などの影響で減収だったが、営業利益は自動車関連を中心とする価格適正化効果、経営統合シナジーや生産最適化を含むコストダウン効果により、減収影響、人件費増加、米国関税影響を吸収して増益となった。
売上総利益は前期比3.4%増加し、売上総利益率は同2.0ポイント上昇して25.9%となった。販管費は同1.3%増加し、販管費率は同1.0ポイント上昇して18.0%となった。この結果、営業利益率は同1.0ポイント上昇して7.9%となった。営業利益が前期比で10億円増加となった要因は、販売減少で20億円の減少、為替変動で1億円の増加、価格適正化等で18億円の増加、人件費増加で7億円の減少、合理化・経営統合シナジーで23億円の増加、米国関税影響で4億円の減少、経費他の増加で1億円の減少となっている。営業外損益では為替差損益が1,228百万円改善(前期の差損649百万円に対して差益579百万円を計上)した。特別利益では投資有価証券売却益が897百万円増加(前期の279百万円に対して1,176百万円を計上)したほか、退職給付信託返還益2,975百万円を計上した。特別損失では減損損失が943百万円増加(前期の1,301百万円に対して2,244百万円を計上)したほか、事業構造改善費用409百万円を計上した。
2. セグメント別の動向
セグメント別(セグメント間取引消去前)に見ると、自動車・産業機械部品事業は売上高が前期比3.6%減の123,209百万円で営業利益が同15.0%増の10,405百万円、配管・建設機材事業は売上高が同7.6%減の17,259百万円で営業利益が同46.2%減の644百万円、熱エンジニアリング事業は売上高が同3.7%減の9,204百万円で営業利益が同10.2%減の879百万円、その他は売上高が同3.7%減の16,093百万円で営業利益が同39.0%増の1,497百万円だった。
自動車・産業機械部品事業は前期の合弁事業の解消や顧客の生産台数の減少などの影響で減収だったが、価格適正化効果、経営統合シナジーや生産体制最適化を含むコストダウン効果により増益となった。営業利益率は前期比1.3ポイント上昇して8.4%となった。配管・建設機材事業は建設業界の人手不足や資材費高騰を背景とする需要減少により減収減益だった。営業利益率は同2.7ポイント低下して3.7%となった。熱エンジニアリング事業は減収減益だが、子会社の決算期変更の影響(前期はシンワバネスの決算期変更に伴い、同社の13ヶ月分の業績を連結)を除くと実質的には前年並みであり、半導体製造装置メーカー向けが堅調に推移した。営業利益率は同0.6ポイント低下して9.6%となった。その他は減収ながら大幅増益だった。EMC事業、メタモールドにおいて収益性の高い製品が好調に推移し、営業利益率は同2.9ポイント上昇して9.3%となった。
地域別売上高は日本が同22億円減の831億円、中国が同0億円減の97億円、その他アジアが同26億円減の257億円、米国が同0億円減の202億円、欧州が同4億円減の138億円、その他市場が同19億円減の106億円だった。日本市場は合弁事業の解消の影響で減収、アジア市場では中国は横ばいだったものの、その他アジアがASEANにおける自動車市場低迷の影響で減収となったほか、その他市場では地政学的リスクの高まりに伴って補修用ビジネスが低調だった。
財務の健全性は良好
3. 財務状況
財務面を見ると、2026年3月期末の資産合計は前期末比9,909百万円増加して228,954百万円となった。主に機械装置及び運搬具(純額)が2,059百万円減少、退職給付に係る資産が1,493百万円減少した一方で、現金及び預金が1,083百万円増加、商品及び製品が1,959百万円増加、投資有価証券が8,654百万円増加した。負債合計は同5,094百万円減少して59,281百万円となった。未払法人税等が994百万円増加した一方で、支払手形及び買掛金が578百万円減少、電子記録債務が643百万円減少したほか、長短借入金残高合計が同5,270百万円減少して14,067百万円となった。純資産合計は同15,003百万円増加して169,673百万円となった。利益剰余金が10,398百万円増加、その他有価証券評価差額金が3,643百万円増加、為替換算調整勘定が同804百万円増加、退職給付に係る調整累計額が369百万円増加した。この結果、自己資本比率は同3.7ポイント上昇して70.0%となった。
なお同社の格付については、2025年12月1日付で(株)格付投資情報センターより「A-[安定的]」維持に関するリリースが公表された。キャッシュ・フローの状況を含めて財務の健全性は良好と弊社では評価している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)