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シュッピン Research Memo(5):次世代のターゲットとなる若年層や女性層の獲得が進む

■シュッピンの決算概要

4. 四半期業績とKPIの推移
(1) 四半期業績の推移
2026年3月期は第1四半期が円高進行に伴う免税売上高の落ち込みや店舗売上の低迷により、過去最高水準であった前年同期を大きく下回ったほか、第2四半期は新製品発売(カメラ事業)がなかったことやラインナップ拡充の遅れ(時計事業)によりEC売上も伸び悩んだ。ただ、第3四半期以降は、12月商戦に伴う買替サイクルの活性化(カメラ事業)や在庫の流動化を目的とする販売価格の見直し等による販売促進(時計事業)、円安による追い風(越境EC、免税売上)などにより売上高は回復し、第4四半期は過去最高水準(四半期ベース)を更新した。

(2) Web会員数
2026年3月末のWeb会員数(累計)は78.6万人(前期末比5.8万人増)と順調に積み上がった。InstagramなどSNSの普及により、手頃で身近な趣味としてカメラを始める人が増えたことに加え、これまでのEC強化策が軌道に乗り、同社ブランドや運営サイトの認知度が高まってきたことが背景にあると考えられる。世代別の構成比を見ると年齢層は幅広いが10代~30代の割合は40%を占め、そのうち女性比率は24%と他年代と比べて高く、新たなターゲット層となっている。

(3) Web購入会員数とアクティブ率
Web購入会員数とアクティブ率についても新規会員数が純増するなか、引き続き高い水準を維持している。2025年3月期に導入したポイントプログラムのバリューアップ※1が寄与しているほか、欲しいリスト登録商品数※2や入荷お知らせメール登録数※3も順調に伸びており、それらのOne to Oneマーケティング施策もアクティブ率を高い水準で維持する要因となっている。特に入荷お知らせメールについては、メールやアプリだけでなくLINEでのお知らせ機能を2022年5月より開始したことで配信数が大幅に増加したほか、One to OneマーケティングとAIMD、さらにはAIコンテンツレコメンドとの掛け合わせによりリクエスト配信数※4も堅調に推移している。また動画配信を中心としたコンテンツの拡充にも注力しており、これまで獲得できていなかった若年層視聴者の獲得も進んでいる※5。

※1 ポイントで購入してもポイントが付与される仕組みの導入。顧客満足度やリピート率の向上、新品購入時の優位性などにつながっているようだ。
※2 欲しいリストの新規登録数は月平均約7.2万件で推移しており、2026年3月末には約290万件に拡大した。
※3 入荷お知らせメールの新規登録数も月平均約6,000件で推移しており、2026年3月末には約21万件に拡大した。
※4 上記の「入荷お知らせメール」配信と合わせると四半期で2,744万件の配信数となり、来店客数換算で約610店(同社試算)の実店舗に相当する情報発信力及び顧客接点を生み出していることになる。
※5 2025年1月に自社内にスタジオを新設し、YouTubeコンテンツ強化を図った。2025年10月には「商品紹介動画」として「Map Camera SHOWCASE CHANNEL」を開設したほか、GMTでも2025年6月より「SHOWCASE VIDEO」を開始した。

(4) 中古カメラ買取額
中古カメラ買取額についても、これまでのAI顔認証システムやAIMDに加え、AIコンテンツレコメンドの導入などのEC強化が奏功し、ECでの買取比率は80%水準で推移している。また、先取交換や下取交換も好調に推移しており、EC買取比率の底上げに寄与している。

5. その他トピックス
これまで長く取り組んできた基幹システムのリプレイスが完了し、いよいよ2026年4月から運用を開始した。AI等の最新技術や同社に蓄積されたビッグデータ(データウェアハウス)の活用が柱であり、業務効率化はもちろん、様々なテクノロジーを載せるプラットフォームとしての進化(フロント領域)、並びに経営分析の深化やマーケティング戦略におけるAI活用(コア領域)の両方での価値創出にねらいがある。

6. 2026年3月期の総括
2026年3月期の総括にあたっては、「カメラ事業」及び「時計事業」がともに軟調であった業績面をどう評価するかがポイントと言える。弊社では、前半において様々な外部要因が重なったことが、反動減を含む直接的な業績の悪化要因となったことに加え、買替サイクルの創出(カメラ事業)やラインナップの拡充(時計事業)といった同社事業モデルの要の部分にも間接的な影響を及ぼした結果だと捉えている。ただ、「カメラ事業」については、独自の「One to Oneマーケティング」によるタッチポイントの拡大や動画コンテンツの強化などを通じて、新規会員の獲得や購買促進(アクティブ率)は引き続き好調であることに加え、EC中古買取もAIMDの稼働などにより高水準を維持しており、同社の事業モデル自体の競争力や優位性、市場環境の構造的な変化を示すものではないと言えるだろう。現に下期だけの業績で比較すると、売上高、利益ともに前年同期を上回っており、前半における一過性の落ち込みであったことを示している。

一方、事業モデルがまだ十分に確立されていない「時計事業」については、商品特性から市況や為替変動、関税の影響を受けやすく、その対策が今後の大きなテーマであることに変わりはない。同社では、規模拡大による利幅の確保や商品在庫の回転率を早めることで事業特有の本源的リスクを吸収していく考えであるが、弊社でもEC及びAI活用によりスケールメリットを最大限に享受できる同社の事業モデルだからこそ、実現可能なチャレンジだと見ている。試行錯誤を続けながらも、「カメラ事業」と同様、業界にイノベーションを起こし、独自のポジショニング(特に高価格帯、希少価値の高い商品を中心とする富裕層マーケット)を確立できれば大きな利益を期待できるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

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