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トーヨーカネツ、物流ソリューション、タンク製造に加え環境・防災で新たな価値を創造 2030年売上高900億円を目指す

本日のご説明

大和田能史氏(以下、大和田):みなさま、こんにちは。トーヨーカネツ株式会社代表取締役社長の大和田です。本日はご多忙のところ、トーヨーカネツグループの会社説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、トーヨーカネツがどのような事業を行っている会社なのか、現在の姿からこれまでの歩み、そしてこれからの方向性や展望についてお話ししたいと思います。

会社概要

大和田:まずは会社概要です。当社は1941年に創立し、今年で86年目を迎えます。東証上場からは66年目となり、プライム市場では機械セクターに分類されています。連結子会社は16社で、売上規模は約600億円です。

「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」という社是のもと、創立以来、社会課題の解決に貢献してきました。具体的な事業内容については、まず会社紹介の動画をご覧ください。

(動画始まる)

ナレーション:必要なものが必要な人に届くのは、物流システムを支える会社があるから。必要なエネルギーが必要なところに届くのは、インフラを支える会社があるから。

トーヨーカネツは創立以来、「わが社は 常にすすんで よりよきものを造り 社会のために奉仕する」という社是のもと、物流ソリューションとエネルギータンクの最先端技術を取り入れ、時代のパイオニアとして社会インフラの高度化に貢献してきました。

そして現在、革新的な技術と実行力で社会課題を解決する「ソリューションイノベーター」となることを掲げ、物流ソリューション、プラントに加えて、次世代エネルギー開発、みらい創生という4つの事業を展開しています。

物流ソリューション事業では、トーヨーカネツは物流システムのコンサルティングから設計、開発、製造、施工、メンテナンスまで、お客さまにとって最適なソリューションをワンストップでご提供します。

幅広い業種のニーズに対応し、システムを構築するとともに、多様化・高度化する物流システム事業に応えるソリューションにも対応しています。さらに、オープンイノベーションにも積極的に取り組み、AIやロボティクスなどの最先端技術を導入し、次世代物流システムの構築を目指しています。

そして、空港の大規模化にも対応しています。羽田空港をはじめとする国内空港の8割以上に、高い信頼性を誇る手荷物搬送システムを納入してきました。

自動手荷物預け機をはじめ、高速ベルトコンベア、水平分岐装置など、手荷物にも優しい先進技術を活用した独自のシステムにより、より迅速かつ安定した搬送を実現し、快適な空の旅を支えています。

プラント事業では、トーヨーカネツは高いプロジェクト遂行能力とメンテナンス技術を強みとし、高品質で安全性を備えたタンクを世界中に5,700基以上納入してきました。世界トップクラスのタンクメーカーとして、設計から施工、メンテナンス、改修工事に至るまで、トータルエンジニアリングを提供します。

次世代エネルギー開発事業では、タンクメーカーとして培ってきたコア技術の1つに、タンクの大型化にも対応する優れた溶接技術があります。新工法や新素材を取り入れながら、常に新しい技術に挑戦し、世界のエネルギーインフラを支え続けています。

近年ではその技術力を活かし、世界最大級となるLNGタンクを建設しました。さらに、カーボンニュートラル社会を目指し、次世代エネルギーへの転換に寄与するための大型液化水素タンクの実用化など、さまざまな技術開発を推進しています。

みらい創生事業では、サステナブルな社会の実現に向け、物流ソリューションやエネルギータンクに加え、新たな事業を創出します。環境問題の解決、防災対策や労働人口減少を補う産業機械の開発など、幅広いニーズに応えることで、新たな価値の提供を目指します。

「ACTION FOR THE FUTURE 期待を超える実行力で、未来を支えるチカラになる」

(動画終わる)

3つの事業

大和田:動画にあったとおり、トーヨーカネツは3つの事業を展開しています。

1つ目は、物流ソリューション事業です。この事業では、生協、空港、ネット通販などの物流センター内部のシステムを設計から施工、メンテナンスまで一貫して行っています。

2つ目は、プラント事業です。主に国内製油所の原油タンクなどのメンテナンスを手がけています。タンクに関連して新規タンクの受注活動や、次世代エネルギーとして期待される水素の貯蔵タンクの開発を行う次世代エネルギー開発センターもあります。

3つ目は、みらい創生事業です。環境・防災分野を中心に、アスベスト検査や河川、地滑りなどに関する計測機器の製造・保守を行う子会社を統括しています。また、M&Aに関する活動にも取り組んでいます。

現在の売上比率は、物流が約60パーセント、プラントとみらい創生がそれぞれ約20パーセントとなっています。

目指す未来

大和田:当社グループが目指す姿は、「社会課題の解決で未来を支え続ける」会社です。社是を経営理念とし、経営ビジョンは「革新的な技術と実行力で、社会課題を解決する『ソリューションイノベーター』」です。

私たちは、もの作りの会社として、常に新しい技術やソリューションを取り入れることを目標に掲げています。また、それを実行に移すことが最も重要であると考え、「ACTION FOR THE FUTURE」をスローガンに事業を推進しています。

マテリアリティ

大和田:経営のアクションとして優先的に取り組むべき重要な経営課題、マテリアリティを示したものがこちらのスライドです。

大きく変化を続ける経営環境に対応し、事業を通じた社会課題の解決、競争力強化、経営基盤という3つのテーマで昨年度に見直しを行い、新たに8つのマテリアリティを策定しました。

特に、事業を通じた社会課題の解決については、「プラント」で低炭素社会の実現、「みらい創生」で生活環境や防災環境の強靱化、「物流ソリューション」で現場の省人化・無人化を実現することで、サステナブルな社会を構築していきます。

今後もマテリアリティに基づき、積極的にESG経営を推進していきます。

中期経営計画(2025~2027年度)

大和田:前期は、過去2番目の売上高となる596億円を達成しました。今期は過去最高となる売上高650億円を計画しており、増収増益を目指しています。

現中期経営計画全体では、M&A効果や営業外損益、特別損益は数字に織り込まず、本業の利益でROE8パーセント以上を達成することを目標としています。

スライド下部の図は、今後3年間の事業活動による収入と調達した資金の使途を示しています。

株主還元については、持続的かつ安定的に株主さまへ配当できるよう、DOE(株主資本配当率)4.0パーセント以上を方針とし、中期経営計画期間中に50億円以上を株主のみなさまに還元する見込みです。

株価を意識した経営の主な実績

大和田:最後に、資本コストと株価を意識した経営の結果をご説明します。

私が社長に就任した2022年4月直前の株価は1,266円でしたが、昨年度終了時点では2,753円となりました。株価を意識し、2023年度には自己株式の取得、昨年度には普通株式の2分割を実施しました。また、株主還元についても安定的な配当を実施しています。

その結果、昨年度終了時点でのTSR(株主総利回り)は200パーセントを超え、ベンチマークである配当込みTOPIXを大きく上回る結果となりました。

国内・海外の事業実績(物流・タンク)

大和田:ここからは、当社がこれまでどのような事業を行い、どのように歩んできたのかについてご説明します。

スライドの世界地図は、これまで当社が製品を納入してきた地域を示しています。創業当初は、社会の動きに合わせてボイラーや橋、鉄塔の製造などを進めてきましたが、業務が多岐にわたり非効率な状況でした。

そこで、1955年にはタンクと物流に経営資源を集中しました。これら2つの異なる事業が互いに業績を補完し合いながら、成長を続けています。

現在は国内を中心に営業展開を進めていますが、納入実績はスライドに示した図のとおり、タンクは東南アジア、中東、アフリカで、物流はアジアの空港を中心に実績を積み上げてきました。

実績 物流ソリューション事業

大和田:当社の強みについて、これまでの実績を踏まえてご説明します。まずは、物流における強みです。

スライド左上に記載のある生協は、市場規模が3兆円を超える大きな市場です。当社は、その配送に必須であるピッキングシステムで70パーセント以上のシェアを占めています。

次に、右上の国内空港についてです。空港で預けられた手荷物を便別に仕分けし、到着地で利用者のもとへ運ぶ手荷物搬送システムは、国内空港の80パーセント以上で導入されています。

到着した空港で手荷物を受け取る際、ターンテーブルのベルト部分に「TKK」と記載があれば、それは当社の製品です。羽田空港にも、当社のシステムが採用されています。

左下のネット通販についてです。「Amazon」や「アスクル」などに代表されるネット通販でも、トーヨーカネツは活躍しています。みなさまがネット通販で購入した商品は、大量に保管されている商品群からいかに迅速にお届けするかが求められており、その心臓部とも言えるシステムを当社が担っています。

最後に、ここ数年「市場拡大」というテーマで取り組んできた、製造業への進出についてです。

もの作りには、当社が得意としている原料供給システムや半製品保管システムなどが必要です。しかし、この分野では現在も人海戦術が多く用いられており、今後は省人化や自動化のニーズが増加すると予想しています。

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):物流ソリューション事業の競合環境についておうかがいします。国内にも、かなり大きな競合がいらっしゃると思います。そのすみ分けや違いについて教えていただけますか? 

大和田:当社の最も得意とするところは、課題解決型の提案、いわゆるソリューションです。

したがって、キーとなるハードは当社でも開発・保有していますが、それ以外の技術に関しては、世界の物流技術の発展が非常に速いと感じています。そこからオープンイノベーションで技術を取り入れ、それらを組み合わせて顧客に納入することが、当社の特徴だと思います。

ただし、納入して終わりではなく、メンテナンスをすべて当社が行うことが顧客から信頼を得ている部分だと考えています。

Ken:お客さまとの日頃からの距離感も、非常に重要になってくるということですね。

大和田:そのとおりです。我々は生協や空港、ネット通販といった分野で強みを持っています。メガ企業のような規模ではありませんが、そのようなお客さまに寄り添うかたちでしっかりとフォローできていると考えています。

メンテナンス拠点は全国に14ヶ所あり、メンテナンスサービスの面でも十分にお客さまに寄り添った対応ができていると思っています。

実績 プラント事業(タンク)

大和田:次に、タンクについてです。数年前の『会社四季報』をご覧いただいているかと思いますが、新たに「トーヨーカネツは、世界第2位のタンクメーカーである」と記載されています。国内外でタンクの実績は5,700基を超え、極低温および大型タンクの製造に強みを持っています。

一例として、関西で納入した23万キロリットルのLNGタンクがあります。これは世界的に見ても最大級で、直径91メートル、屋根を含む高さが60メートル、一般家庭約33万戸分の年間使用量に相当するガス貯蔵が可能です。徳島県は約31万戸であることから、徳島県の約1年分のガスを貯蔵できる大きなタンクを製造しているとお考えください。

また、最近は特に国内の原油タンクのメンテナンスを中心に事業を展開しており、昨年度にはマレーシアで複数の低温タンク再生プロジェクトを受注し、現在も工事中です。

最後に、右下の図にあるように、次世代エネルギーとして期待されるマイナス253度の超極低温を持つ大型液化水素タンクを、政府機関との共同で開発しています。マイナス253度とは絶対零度に近い非常に低温であり、その温度を保温する技術は非常に難易度が高いことから、国の機関と協力して開発を進めています。

その技術が完成するまでの間は特に原油タンクのメンテナンスが中心となりますが、水素利用が本格化するまでのつなぎとして、アンモニアや排出されたCO2を液化して貯蔵するタンクが役割を果たすと考えています。そちらについても、当社ではすでにそれを建設する技術を確立しています。

主力事業の変遷

大和田:これまでの姿を示す最後のスライドでは、事業ごとの売上推移を表しています。折れ線グラフをご覧いただくと、2017年にオレンジ色の線と青い線が交差しています。青い線は物流を示し、オレンジ色の線はタンクを示しています。

2017年には、タンクから物流事業へと主力が入れ替わりました。同じ年に「みらい創生」というプロジェクトを立ち上げ、現在ではそれが事業化されている状況です。

ビジネスモデル(市場環境と中長期戦略)

大和田:ここからは、今後の成長戦略とポートフォリオについてお話しします。こちらのスライドは、全体のビジネスモデルを示したものです。

当社の事業は、「物流ソリューション」と「プラント」を基盤とし、第3の柱として成長しつつある「みらい創生」の3つから成り立っています。

物流ソリューション事業は主力事業として、今後も拡大を目指します。プラント事業は、これまでお話ししてきたタンクを指しており、安定収益の確保を目的としています。みらい創生事業は、事業シナジーを活かして新たな価値創造を図ります。

獲得した資金は、拡大を続ける物流市場とこれから形成される環境・防災事業であるみらい創生事業に、成長投資として投入していく方針です。

収益の向上(事業成長戦略)

大和田:各事業の長期的成長戦略についてお話しします。まずは物流ソリューション事業について、スライド上部からご説明を進めていきます。

社会課題として、物流は労働人口が減少していることが挙げられます。この課題に対し、当社は無人化ソリューションの実現を通じて解決できると考えています。

中長期の事業環境については自動化ニーズが高まっており、物流戦略の優劣が経営業績に大きく影響する時代が近年到来しています。

当社が得意とするネット通販においても、日本のEC化率は依然として低い水準にあり、今後も成長が続くと予測されていることから、市場は拡大傾向にあります。

この需要に応じて、新設および既存センターのリニューアルも獲得し始めています。さらに、スライド下部に記載されている青色の「メンテナンス・サービス」も今後増加していく見込みです。

また、最下部に「戦略」と記載がありますが、事業成長をさらに加速させるため、当社はハードソリューションの会社でありながら、現在はソフトウェア開発にも非常に力を入れています。特にWMS(倉庫管理システム)のプロトタイプを数年かけて開発し、完成させました。

加えて、「AWS(Amazon Web Services)」とAIを活用した開発プロジェクトも開始しています。現在は物流関連システム群によるソフトソリューションを提供できるよう、開発を進めています。

また、世界中から厳選したオープンイノベーションに取り組み、ソリューションの価値向上を図ります。これにより、物流センター内の入荷から出庫までの全領域において、当社の活躍の場を拡大していきます。

当社はこれまで出荷系の仕組みに強いメーカーと評価されてきましたが、これを入荷から保管に至る全領域へと広げていくことを目指しています。

その重要な鍵となるのが、WMSです。お客さまのニーズに合わせたかたちで納入できることがポイントの1つであり、現在はその開発を進めている段階です。

Ken:こちらのスライドについて、新領域や製造業向けについてうかがいたいと思います。

2030年までに、どの程度の規模を期待されているのでしょうか? また、製造業といってもさまざまな業種があるかと思いますが、対象となる業界についても教えていただけますか?

大和田:まずは物流という切り口で見た場合、売上規模として、2030年には600億円を目指しています。全社的には900億円を目標にしていますが、物流が主力事業となっているため、現時点では350億円から370億円程度の売上となっています。

この分野については、先ほど申し上げた業務領域である入荷や保管に広げることで、おそらく450億円ほどまで伸ばせるのではないかと考えています。さらにM&Aを組み合わせることで、600億円という目標を掲げています。

次に製造については、当社の売上比率では現時点で物流全体の約10パーセントにとどまっています。しかし、この分野を拡充する中で、製造業ではものそのものを作るメインのラインだけでなく、部品を供給したり半製品を保管したりといった部分が必須となります。

当社のノウハウとして、製造業におけるメインラインを手掛けるのではなく、原材料をリアルタイムに供給したり、半製品になったものを保管したりという部分で最もお役に立てると捉えています。この領域であれば、食品や機械など、どの分野の製造業にも対応できるのではないかと考えています。

Ken:先ほど「AWS」のお話がありましたが、ここが提携することでAIなどがさまざまに関わっているというお話かと思います。この2年から3年でAIが急速に発展していますが、物流業界への影響や、将来的に考えていた部分からなにか変化があったのかについても教えていただけますか? 

大和田:AIというと、これまではどちらかといえば、仮想空間内での需要予測のような用途に使われることが多かったかと思います。

ただ、我々は物流という現場で物を動かさなければならないという課題があります。その観点からすると、AIはさらに進歩していく必要があります。

例えば、最近では「フィジカルAI」と呼ばれる領域が取り沙汰されており、センサとAIを組み合わせたものや、現在「Amazon」やアメリカの一部では二足歩行ロボットが稼働し、物をピッキングしたり、梱包したりしています。これらは、AIとフィジカルな部分、すなわちフィジカルAIがなければ実現が難しい分野です。

先ほど申し上げた無人化ソリューションでは、ロボティクスが1つの重要なポイントになると考えています。その中でもフィジカルAIは必須であり、今後こちらがますます成長していくのではないかと思っています。

収益の向上(事業成長戦略)

大和田:次に、プラント事業についてです。プラント事業では、低炭素社会の実現を目指し、「クリーンエネルギー社会の実現」を目標としています。

ただし、現在は国内原油タンクのメンテナンスが主な収益源となっています。先ほど申し上げた次世代エネルギーについては、スライド右側に「水素タンク」と記載していますが、このような将来に向けた開発を進めています。

とはいえ、日本の電力事情においては、依然として原油への依存度が非常に高いのが現状です。そのため、現在は原油タンクのメンテナンスが主な収益源となっています。

なぜこれが収益源になるかというと、原油タンクは「8年に1回必ずメンテナンスをしなければならない」と法律で定められているために、常に仕事が発生するということが1つのポイントになっています。

特に、昨今の中東情勢や関税問題といった急激な情勢変化に伴い、エネルギー環境への注目が非常に高まっています。

また、私が社長に就任した頃、2030年頃には水素社会の始まりが見えるのではないかと考えていました。しかし最近の情報では、その時期が2040年頃に先送りされる可能性があるとされています。

これは、まだ当社が現在取り組んでいる原油タンクのメンテナンスが継続的に必要とされることを示していると考えています。

ただし、低炭素社会への動きが完全になくなるわけではありません。特に当社が最近手掛けた新しいタンクでは、航空燃料であるSAF(持続可能な航空燃料)のタンクを新設しています。

スライドには「アンモニア・MCH、CO2タンク」と記載されていますが、これから低炭素化を目指す中で、例えばアンモニアと石炭を混ぜることで二酸化炭素の排出量を減らしたり、発生したCO2を貯蔵したりといったニーズが、水素社会が訪れるまでの間に生まれると考えています。

現在は新規タンクが減少しており、タンクメーカーの数も減少傾向にあります。しかし、当社はメンテナンスを軸にしっかりと収益を確保しながら、次の大型水素タンクの開発につなげていきたいと考えています。

当面の安定収益の面では、プラント事業を引き続き堅実に展開していける見通しです。

収益の向上(事業成長戦略)

大和田:続いて、環境・防災に軸足を置いた、みらい創生事業について説明します。

最近ニュースでもよく取り上げられているように、災害の激甚化が深刻な問題となっています。これに対する予知や予防の実現に向け、社会にぜひ役立ちたいと考えています。

今年の秋には政府による防災庁の発足が予定されており、国は「徹底した事前防災」という方針のもとで予算を組んでいます。したがって、今後この市場は創成期にあると見込んでいます。

特に、当社は最近M&Aを実施した会社として、水位・水量の計測機器に強みを持つ環境計測株式会社と、地面の傾きを測る傾斜計で実績のある坂田電機株式会社の2社があり、シナジー効果を創出しています。

例えば、この2社を組み合わせることで、大雨による地滑り災害を未然に防止したり、二次災害を予知したりといった、新たな生活インフラのソリューションを提供できると考えています。

ここはシナジーの延長線上がまだ必要であることから、今後もM&Aを進めながら環境・防災ビジネスを開拓し、収益化を図っていきます。現在はまだ挑戦している領域です。

Ken:M&Aをかなり積極的に進められているかと思います。先ほどもお話がありましたが、足元のPMIの進捗や、今後さらにどのようなシナジーを期待されているのか、そしてどのようなターゲットを目指していくのかについてお聞かせいただけますか? 

大和田:先ほど、みらい創生事業の歴史についてお話ししましたが、2017年にタンクと物流の主力が入れ替わった段階でもう1つ事業を作り、経営を安定させようという動きの中、みらい創生事業を立ち上げました。

「みらい創生」という言葉を使用し始めた背景としては、いきなり第三の事業といっても、初めは「何をしたらいいんだ?」という思いがありました。

当社の中期経営計画は3年間のスパンで進んでいますが、新たな中期経営計画は昨年スタートしており、「みらい創生は何をやるのか?」という軸足を環境・防災に置くかたちで進めてきました。

そのため、防災庁をはじめとする関係機関との連携を進めながら事業を成長させる段階にあり、現時点ではまだ未知数の部分も多いものです。

一方、普及においては、国や自治体が本腰を入れない限りなかなか広がりません。現在は当社として可能な限りの普及活動を行っている段階であり、具体的にどのようなかたちでどのエリアで事業を実施していくのかについては、もう少し時間がかかると見ています。

ただし、環境計測株式会社や坂田電機株式会社にはこれまでの事業経験があるため、収益面では堅実に進めています。それを基に、どのようにシナジーを生み出し、環境・防災領域へと展開していけるか、新たな事業の創出を進めていきたいと考えていることから、現在は創成期にあると考えています。

収益の確保(2つのメンテナンスビジネス)

大和田:最後に、物流ソリューション事業とプラント事業における収益再現性の高いメンテナンスビジネスについて整理します。

メンテナンスは当社だけでなく、一般的に言われているように、特にもの作りの会社において利益率が非常に高いものです。

新規案件は受注額が非常に大きい一方、メンテナンスは利益率が非常に高いという特徴があります。表現が適切かわかりませんが、「金のなる木」ともいえる部分があると考えています。

例えば、スライド上部に物流ソリューション事業に関する説明がありますが、新しく完成したセンターすべてにおいてメンテナンス業務を受注しています。現在は壊れてから直すのではなく、物流が止まらないようにすることに力を入れています。

特に、物流センターの高度化が進む中では、多くの商品をお客さま、あるいはBtoCでは消費者へ迅速に供給するために、構造化された仕組みが必要不可欠となっています。

以前は「壊れてから来てくれればいいよ」というものでしたが、現在は「事前に対応してくれ」というものになり、メンテナンス契約の比率が大幅に上昇しています。

また、メンテナンスは市場全体としても成長しており、この数年で売上高は2023年の80億円から、130億円以上に拡大しました。今期は150億円を目指す段階にあり、非常に大きな伸びを見せています。

次に、スライド下のプラント事業は、もともと行っている主要事業がタンクのメンテナンスです。「北は北海道から南は九州まで」と言いたいところですが、実際には中国地区までをカバーしています。常時、約100基のタンクを開けてメンテナンスを行っており、こちらも徐々に利益率が向上しています。

また、当社は5,700基を保有しています。世界第2位のタンクメーカーというネームバリューがあり、品質と安全性において非常に高いお客さまの信頼を得ていることからも、利益率の向上につながっているのが現状です。

Ken:物流ソリューション事業のメンテナンスが積み上がっているというお話がありましたが、御社が手掛けた最近の新規案件については、基本的にその後のメンテナンスを受注できることが大半であると認識してよろしいでしょうか? 

大和田:100パーセント定期メンテナンスをお約束することはできませんが、メンテナンスの受注は100パーセントです。

Ken:新規案件を手掛ければ手掛けるほど、メンテナンスは基本的に積み上がっていくということですね。加えて利益率が高いため、メンテナンスの部分で収益を上げているという認識でよろしいでしょうか? 

大和田:そのとおりです。

Ken:では、プラント事業についても質問です。メンテナンスの利益率が、2023年度と比べて大幅に改善されています。こちらの背景について、および今後さらに改善する余地があるのかについても教えてください。

大和田:1つは、先ほどタンクを製造する企業が減少しているとお話ししましたが、お客さまは定期的にメンテナンスを希望されるため、複数年契約が徐々に増加しています。

これによって当社としても計画を立てやすくなり、その計画に基づいてプロジェクトがスムーズに進むことで、利益率の向上につながっています。

もう1つは、自動化技術の開発、自動溶接などの省人化への取り組みです。これらが営業利益率の向上に非常に寄与していると考えています。

Ken:ちなみに、原油関連の企業がメインであるというお話もありましたが、それ以外の事業について、例えば化学などの分野はいかがでしょうか? 

大和田:実は、メンテナンスが必要なのは原油タンクが主となります。これは、不純物が非常に多いために内部で腐食が進むことが原因です。

そのため、メンテナンスが必要になるのですが、低温タンクや低温の薬品タンクなどは腐食が進まないため、それほどメンテナンスの必要がありません。

ただし、少なくとも現時点では原油タンクがなくなることはありません。電力においてもまだ原油に依存している部分が非常に多いため、この状況はしばらく続くのではないかと思っています。

Ken:確かに、原油タンクがなくなるという予測についても、「想定よりもEVが伸びないため、残しておきます」といった報道がありましたよね?

大和田:出光興産が製油所を閉鎖すると報道されていましたが、方向転換して閉鎖を取りやめるようです。大手の石油元売り各社も方向性が少し変わってくるのではないかと考えているため、当社にとっては追い風となります。

2030年のポートフォリオ変化

大和田:続いて、ポートフォリオの変化についてご説明します。当社は、2030年を1つの関所と位置づけています。中期経営計画も、この2030年からバックキャストして作成しました。

新たな取り組みとして、当社グループは来年から持株会社へ移行し、事業ポートフォリオの強化を図っていく予定です。

スライドの薄い色の円に示されているのが、現状の物流ソリューション事業です。2030年には濃い色の円が示すような状態を目指しており、物流ソリューション事業においてはソフト開発を進め、業務範囲を広げていきます。

また、製造業やこれまで参入していなかった市場に進出し、市場拡大を目指します。こちらが、当社の成長エンジンとしての役割を果たすと考えています。

みらい創生事業は新しいチャレンジに取り組んでおり、今後の成長が期待できる分野です。

一方、プラント事業については、水素関連事業が普及するまでは右肩上がりの成長事業とはいえませんが、安定収益を着実に確保していきたいと考えています。

2030年の売上と株価を見据えた経営

大和田:「株価はどうなんだ?」という点について、まず、当社は2030年に売上900億円を目指しています。

これまでの実績を見ると、2020年から2025年までで約1.4倍の伸びを達成しています。この倍率を基にすると、2030年に900億円の売上が実現する計算になりますが、そう簡単ではないと認識しています。

物流ソリューション事業は、我々にとってのエンジンです。ここの売上高をまずは自分たちの努力で450億円、M&Aを通じて600億円、プラント事業で150億円、さらにみらい創生事業で150億円と設定しています。

プラント事業とみらい創生事業は現在100億円から120億円の売上高を達成しており、多少の努力で目標達成が可能であると考えています。このようにして、合計900億円の目標に向けて取り組んでいきます。

特に、現在お聞きいただいている株主・個人投資家のみなさまにお伝えすることとして、当社は資本効率を高めながら、本業でROE8パーセントを目指したいと考えています。これまでにROE9.5パーセントを達成したこともありました。ただし、この数値には政策保有株の売却益なども含まれていたため、今後は本業での実現を目指します。

また、昨年度はPBRも1倍を超えていましたが、現在はやや低下しています。そのため、まずは1倍を確実に回復し、その後、時価総額の増大に向けてしっかり取り組んでいきたいと考えています。

さらに、先日には20億円規模の自社株買いを実施しました。IR活動においても、東証からの指導を踏まえ、当社も積極的に専門部署を設置しました。加えて、日本国内のみならず、欧州、北米、アジアへも足を運び、機関投資家のみなさまと直接お話しする機会を設けています。

このような取り組みを進めることで、売上高の増加や資本効率の向上を実現し、最終的には企業価値を高めていきたいと考えています。ぜひ、本日お聞きのみなさまのご支援をお願い申し上げます。

ブツリューとタンくん

大和田:「ブツリュー」と「タンくん」については番外編ですが、最近ではIR活動と並行して広告活動も展開しています。

こちらのスライドは、横浜スタジアムのバックネット裏です。特に右バッターの右側、ピッチャーが投げてバッターが打つ際に必ず映るため、ぜひご覧いただきたいと思います。東京駅や羽田空港にも設置していますので、ぜひご覧ください。

質疑応答:受注残高と受注環境の評価と見通しについて

分林里佳氏(以下、分林):「今後の業績を占う上で、受注残高は重要な指標だと考えています。現在の受注状況について、案件の採算性や継続性という観点でどのように評価されていますか? また、今後の受注環境の見通しもお聞かせください」というご質問です。

大和田:まず、受注残高については、具体的な金額をここで申し上げるのは難しいのですが、少なくとも昨年度より多い状況です。

特に物流ソリューション事業では、昨年度は大型案件が一巡して売上と利益がやや減少した部分もありましたが、現在は回復傾向にあります。また、経営の健全化を考えると大型案件への依存は好ましくないため、その点も改善されつつあります。この部分については、しっかりと目標値に向けて努力していきたいと思います。

受注環境については、物流ソリューション事業を中心に非常に良好です。プラント事業においても、100基を超える契約や複数年契約を求めるお客さまが非常に多く、この分野も十分に進められると考えています。

みらい創生事業については、これから挑戦が始まる段階です。多少の上振れや下振れはあるかと思いますが、短期間で少しずつ状況を確認しながら、経営側でさまざまな施策を検討していきたいと考えています。

質疑応答:プラント事業の位置付けと今後の成長戦略について

分林:「物流システム事業の印象が強い一方、プラント事業(タンク)も長年培ってきた強みのある事業だと思います。今後の成長戦略の中で、タンクをどのように位置づけており、どのような市場機会を期待されていますか?」というご質問です。

大和田:当社は創業時からタンクと物流事業を手がけており、それらに加えてみらい創生事業があります。2017年から事業の転換を図ってきましたが、それでもなお、タンクと物流事業は国内外で高い信頼を得ていると考えています。

持株会社への移行は、この点が背景となっています。トーヨーカネツと言えばタンクと物流の2つの事業があると認識されており、これまでも、それらの関連事業のうちどちらかの事業と協力したいというお話が多くありました。

そこで、持株会社に移行すれば、それぞれの事業を独立した会社として明確に分けることができ、外部からも視認性が向上します。その結果、アライアンスを組む際にも利便性が高まると考えています。

これまで自助努力のみで成長路線を追求してきましたが、現在の社会情勢を踏まえると、外部の力を活用しながら成長を目指すことが重要です。このような方針のもと、来年度から持株会社としての体制をスタートさせる予定です。

回答として適切かはわかりませんが、さまざまな企業とアライアンスを組みながら成長を目指していきたいと考えています。

質疑応答:配当と自社株買いのバランスについて

Ken:私から追加で1つ質問です。配当に加えて、自社株買いも積極的にされているということですが、配当と自社株買いのバランスは社内でどのように議論されていますか? 

大和田:当社は株主還元を非常に重要に考えています。一昨年までの中期経営計画では配当性向に基づいて配当を実施していましたが、この方法では収益によって変動が大きくなります。

そのため、昨年度はDOE4.0パーセント以上を基準とし、結果として配当性向にすると62パーセントを超える水準となっています。

また、株価の変動を注視しながら中長期的に企業価値を向上させつつ、株主さまへの還元を考慮するため、市況を見ながら自社株買いも実施すべきだと判断しています。数年前にも行いましたが、今回も同様の目的で実施しました。

Ken:自社株買いについては長期的な投資家への配慮もあり、長期保有の株主にとって非常にありがたい取り組みだと思います。

質疑応答:足元の事業環境と中期計画達成の見通しについて

Ken:「足元の事業環境について教えてほしいです。通期での中期経営計画の数字は本当に達成できるのでしょうか?」というご質問です。 

大和田:当社のメイン事業は、物流とプラントです。全体の6割の売上が物流で占められており、物流がどのように売上と利益をしっかり上げるかが1つのポイントになると考えています。

市場環境自体については、先ほど触れたECにおいて、当社は「Amazon」や「アスクル」で培った技術を横展開している最中です。ただし、欧米などの先進国と比べると、EC比率は日本ではまだ低い状況であり、現在も右肩上がりで成長しています。当社の技術もこの成長局面でお役立てできると考えています。

反対に、業界の横展開や製造業への進出も現在始めています。先ほども述べたとおり、業務領域を広げる中で、当社は出荷業務を得意としてきましたが、新たに保管や入荷業務にも取り組んでいます。

また、オープンイノベーションを通じて導入した機器が製造業へ徐々に浸透し始めています。これからさらに成長が期待できると考えており、努力を重ねながら、しっかりと実現させていきたいと思います。ちなみに、市場環境も良好です。

大和田氏からのご挨拶

大和田:トーヨーカネツは、社会に貢献する会社として絶対になくなってはいけない企業であり、これからも社会の役に立つことができると考えています。

株主・投資家のみなさまのご期待に応えるべく、株主還元にも力を入れて取り組んでいます。全社一丸となって社会のために尽力していきますので、引き続き応援をよろしくお願いします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:現在PBR0.97倍ですが、自信をもってアピールされていますので、来期までにPBR1倍達成およびそれを維持できるという認識でよいでしょうか?

回答:本中計最終年度でROE8パーセントの達成を目標としていますが、目標達成に向けた課題解決や、積極的なIR活動などによって当社の状況を投資家のみなさまによりご理解いただくことにより、PBR1倍以上を維持できるよう努力していきます。

<質問2>

質問:手荷物搬送システムは成田空港のチェックインカウンター近辺で見かけますが、それは貴社の製品でしょうか? 可能であれば荷物の識別タグも自動で手荷物につけていただけるとなお良いと思います。

回答:ご意見ありがとうございます。成田空港にも当社製の手荷物搬送システムが導入されていますが、技術のさらなる向上を目指し開発を進めていきます。

<質問3>

質問:LNG船は気化して運ぶと思いますが、これを液体に戻す作業はLNGタンク内(貴社のタンク技術)なのでしょうか?

回答:LNG船によって主に液化されたメタンが輸送され、基地に到着後、他社の技術により気化し、ユーザーの元に運ばれます。

<質問4>

質問:みらい創生事業を第三の柱としていますが、売上や利益への貢献が本格化するのはいつ頃を想定していますか?

回答:2030年に売上150億円を目標としており、環境・防災分野でのシナジー効果を高めて目標達成に向けて取り組んでいきます。

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