■ラサ商事の業績動向
3. 財務状況及び経営指標
2026年3月期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比306百万円減少の32,952百万円となった。主な要因は固定資産が時価上昇に伴う投資有価証券の増加757百万円などにより1,001百万円増加する一方、流動資産が売上債権や棚卸資産の減少により1,308百万円減少した。負債合計は同1,878百万円減少の9,519百万円となった。主な要因として流動負債が仕入債務や短期借入金を中心に1,665百万円減少、固定負債が主に長期借入金の減少により212百万円減少した。純資産合計は同1,571百万円増加の23,433百万円となった。剰余金配当と自己株式の取得があったが、利益の積み上がりに加えて、その他有価証券評価差額金が時価上昇に伴い増加した。
経営指標については、2026年3月期の安全性指標のうち、自己資本比率が前期比5.4ポイント上昇の71.1%となり、流動比率は同38.6ポイント上昇の276.0%と良好な水準にある。また、現金及び預金が有利子負債を上回る実質無借金経営を継続するなど、高い財務健全性を維持している。収益性指標では、ROEが同0.9ポイント上昇の10.5%、売上高営業利益率が同1.0ポイント上昇の10.5%となり、中期経営計画の経営指標の目標を上回ったが、大型案件獲得による利益押上げの影響が反映されている。同社が独立系という事情も勘案すれば高い財務健全性を維持することは重要と考えられるため、財務健全性を大きく損なわない範囲で、株主還元に加えて、M&Aを含めた成長シナリオに道筋をつけることが課題となろう。
4. キャッシュ・フローの状況
2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、前期比で仕入債務の減少があったが、棚卸資産の減少や利益拡大等により2,136百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、保険積立金の積立、払戻以外に特に動きはなく25百万円の収入となり、フリー・キャッシュ・フローは2,161百万円の収入となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払821百万円及び自己株式の取得533百万円に加えて、借入金返済が進んだことにより、2,232百万円の支出となった。この結果、現金及び現金同等物の期末残高は前期末比70百万円減の5,662百万円となった。フリー・キャッシュ・フローを、株主還元とともに借入金返済に配分しており、財務構成の改善につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)