■CAICA DIGITALの決算概要
1. 2026年10月期中間期決算の概要
2026年10月期中間期の連結業績は、売上高が前年同期比17.5%増の2,989百万円、営業利益が同103.2%増の52百万円、経常利益が同120.0%増の71百万円、親会社株主に帰属する中間純利益(以下、中間純利益)が同90.4%減の52百万円と大幅な増収増益(中間純利益を除く)となった。なお、中間純利益のみが減益となったのは、前期に計上した一過性の特別利益の反動によるものである。
売上高は、「ITサービス事業」が一部DX案件の失注による影響を受けたものの、総じて堅調に推移したほか、ネクス連結化により新たに追加された「IoT関連事業」が増収に大きく寄与した。一方、「金融サービス事業」は、NFT漫画プロジェクトの推進等を通じた「INO Fine」(審査制NFT一次販売所)の認知度向上に取り組んだものの、本格的な収益化には時間を要する見通しだ。
利益面では、事業拡大に向けた先行費用を継続投入するなかで、「ITサービス事業」における収益性改善(利益重視の案件選別等)や「IoT関連事業」の寄与により営業増益を確保した。
財政状態については、善光総研の連結化(バランスシートのみ)に伴うのれんの計上※等により、総資産は前期末比2,549百万円増の6,836百万円となった。一方、自己資本についても善光総研の連結化(株式交付)に伴う新株発行により同2,459百万円増の6,069百万円に拡大し、自己資本比率は88.8%(前期末は84.2%)に改善した。
※ のれん計上額は2,289百万円。今後10年間にわたり定額償却する予定(年間229百万円/初年度は114百万円)。
各事業別の業績及び活動実績は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
売上高(内部取引を含む)は前年同期比0.1%増の2,557百万円、セグメント利益は同10.3%増の301百万円と売上高は横ばいながら増益を確保した。受注環境が良好ななかで、売上高が横ばいにとどまったのは、見込んでいた一部DX案件の失注によるものである。ただ、コンサル案件の引き合いは堅調であり、海外ベンダーとの連携の下、ソリューション需要の掘り起こしによりDX案件の拡大に結び付ける考えである。一方、主力の金融向けシステム開発分野は、関心が高まってきたAI活用については本格導入前であるものの、システム投資需要は底堅く堅調に推移した。非金融向けシステム開発分野については、引き続きDX及び業務効率化、セキュリティ強化への需要が高水準で推移するも、技術者やビジネスパートナー確保に時間を要し、横ばいにとどまった。フィンテック関連では、AI関連プロジェクトの立ち上げに注力したものの、既存の暗号資産関連プロジェクトは縮小傾向にあり、前年同期を下回った。利益面では、利益重視の案件選別等を通じた収益性改善により、セグメント利益率は11.8%(前年同期は10.7%)に良化した。
(2) 金融サービス事業
売上高(内部取引を含む)は-0百万円(前年同期は-6百万円)、セグメント損失は38百万円(同56百万円の損失)と損失幅が改善した。抜本的な事業再編を進めるなかで、暗号資産の投資・運用のほか、審査制NFT販売所「INO Fine」の運営などを通じたNFTの販売、カスタマーディベロップメントサービスの提供などに取り組んだが、本格的な業績貢献には時間を要している。特に売上高が実質ゼロとなったのは、ビットコイン等の活発な市場が存在する暗号資産の評価損を計上したことが理由である。「INO Fine」については、読者と漫画家がともに出版を目指すNFT漫画プロジェクトにおいて第10弾までの企画を発表したほか、新たなNFTユースケースの創出などにも取り組んだ。利益面では、再編効果(固定費削減)により損失幅が改善したが、依然投資フェーズにある。
(3) IoT関連事業
ネクス連結化により新たに追加されたIoT関連事業の売上高は435百万円、セグメント利益は54百万円となった。ネクスが開発・製造する製品群(M2M基盤を支える通信機器、IoTデバイス等)の販売が好調に推移した。
2. 2026年10月期中間期の総括
2026年10月期中間期を総括すると、見込んでいた一部DX案件の失注により、「ITサービス事業」全体が伸び悩んだ印象は否めないが、新たに追加された「IoT関連事業」が順調に業績へ寄与したことや「ITサービス事業」の収益性改善が確認できた点については前向きに評価できる。また、業種を問わず、生成AI関連投資への関心やセキュリティ対策へのニーズが高まっていること、さらにDXソリューションにおけるコンサル案件への引き合いが堅調であることについては、今後のソリューションモデルへの転換に向けて明るい材料と言えるだろう。活動面でも、需要が拡大している生成AIを活用したAI駆動型開発サービスの提供開始やM2M基盤を支える各種エッジデバイスの販売、Web3型IoT統合ソリューションの実用化に向けた取り組み(詳細は後述)など、今後を見据えたラインナップ強化でも一定の成果を上げることができた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)