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ナカノフドー建設:東南アジア中心の海外建設事業に強い中堅ゼネコン、PBR0.8倍台で推移

ナカノフドー建設は、国内建設事業、海外建設事業、不動産事業などを展開する中堅総合建設会社である。1933年に創業し、90年以上の歴史を有する。国内では東京本店、東北、名古屋、大阪、九州などに拠点を構え、建築工事を中心に幅広い用途の案件を手掛けている。海外ではシンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムの東南アジア5カ国に拠点を持ち、シンガポールでは50年超、インドネシアでは40年超の事業実績を有しており、海外事業の歴史が厚い。

建物用途では、工場・生産施設、倉庫物流施設、事務所、教育・研究施設、住宅、宿泊施設、医療・福祉施設など多様な案件を手掛ける。特に足元では、工場・生産施設や倉庫物流施設の比率が高い。国内では製造業の国内回帰、民間設備投資、デジタルインフラ整備などを背景に、工場、物流施設、データセンター関連の需要が堅調に推移している。一方、海外ではサプライチェーン再編に伴う生産拠点移転、半導体関連投資、AI需要拡大に伴うデータセンター建設、高機能物流施設への投資などが追い風となっている。シンガポールでは土地が政府保有であることもあり、現地法人からの発注が多い。シンガポール以外では、工場・生産施設や物流倉庫が中心であり、マレーシアでは外資系企業による半導体関連投資が活況となっている。

2026年3月期時点の用途別売上高構成比は、工場生産39.5%・倉庫物流13.7%・事務所7.4%・教育/研究6.9%・賃貸住宅6.7%・分譲住宅6.5%・宿泊施設5.9%・医療/福祉3.9%・物販/店舗3.6%・データセンター0.7%。また、地域別売上高構成比は、日本55.3%・シンガポール18.8%・マレーシア14.7%・タイ5.3%・インドネシア3.5%・ベトナム2.4%をとなっている。

同社の最大の特徴は、国内建設事業を基盤としながら、東南アジアで長年にわたり事業基盤を築いてきた点にある。中堅ゼネコンのなかでも海外建設事業の売上構成比が高い。短期的なM&Aによって海外事業を取得したのではなく、長年の自前展開によって現地での施工実績、顧客基盤、協力会社ネットワークを積み上げてきたことが競争優位性となっている。海外展開の起点は、既存顧客であった横河電機がシンガポールに生産拠点を設ける際に、同社にも声がかかったことにある。その後、日系企業の海外進出に伴う工場・生産施設の建設案件を起点に、現地での施工実績を蓄積してきた。現在では、日系企業向けにとどまらず、シンガポールではローカル系顧客からの受注も獲得しているほか、マレーシアでは外資系企業による半導体関連投資、タイやインドネシアでは物流施設を中心とした需要を取り込んでいる。

2026年3月期の連結業績は、売上高138,071百万円(前期比24.9%増)、営業利益5,375百万円(同63.8%増)で着地した。海外建設事業における大型案件の進捗と工事採算の改善が寄与した。国内建設事業では売上高が減少したが、選別受注の徹底やリノベーション案件の受注推進などにより売上総利益率が改善した。一方、人的資本投資、教育研修、システム開発などに伴う販管費の増加もあり、国内事業の営業利益は減少した。受注面では、2026年3月期の連結受注高は131,264百万円(前期比8.1%減)となった。国内建設事業の受注高は増加した一方、海外建設事業は前期に大型受注が集中した反動により減少した。次期繰越工事高は148,345百万円と高水準を維持しており、2027年3月期の売上計画を支える材料となる。

2027年3月期の連結業績予想は、売上高150,000百万円(前期比8.6%増)、営業利益3,900百万円(同27.5%減)を見込んでいる。増収ながら減益を見込むのは、2026年3月期に海外大型案件や追加工事による採算改善が利益を押し上げた反動を織り込んでいるためである。一方で、堅調な受注環境に加え、豊富な繰越工事高を有していることから、次期においても高い受注・売上の確保を見込む。

中期経営計画「中計86」では、「国内建設事業のさらなる収益性改善」と「海外建設事業の拡大」を基本方針としていた。最終年度である2028年3月期の目標は、連結売上高127,000百万円、連結営業利益3,300百万円としており、2026年3月期実績時点ですでに目標を上回ったものの、会社側は現時点で中計目標を見直していない。これは、コロナ禍以降の回復基調にある受注環境を背景とした海外建設事業における大型案件の集中や、追加工事獲得による採算改善など、通常水準を上回る収益寄与による影響が大きいものと認識しているようだ。ただし、初年度から中計最終年度目標を上回ったことは、同社の収益力が従来計画を上回っている可能性を示すものであり、今後の中計見直しや資本政策の強化余地も注目される。

今後の成長戦略では、国内建設事業において、収益性重視の受注、リノベーション案件の拡大、協力会社との連携強化、人材育成、技術力向上を進める。国内建設市場では、労務費上昇や技能労働者不足が続いており、受注価格への転嫁力、施工管理能力、協力会社ネットワークの確保が収益性を左右する。同社は一定以上の利益水準を確保できる案件を選別する方針を強めており、売上規模の追求よりも利益率改善を重視している。海外建設事業では、既存国での深耕に加え、外資系顧客への対応強化、営業エリア・事業領域の拡大、拠点体制の強化を進める。マレーシアにおける半導体関連投資、シンガポールにおけるローカル案件、タイ・インドネシアにおける物流施設需要などが中長期の成長ドライバーとなる可能性がある。投資計画については、当初計画から一部見直し、海外事業成長投資、国内M&A、DX・人材投資を拡大する方向にある。

株主還元については、配当性向30%を目安とし、DOE1.5%を下限とする方針を掲げている。2026年3月期の年間配当は38円、2027年3月期の年間配当予想は25円である。同社には株主提案も行われており、相談役・顧問制度、役員報酬の個別開示、大幅増配、自己株式取得などが論点となっている。提案の背景には、同社の財務余力、保有不動産、政策保有株式、現預金、PBRやROEなどの資本効率に対する投資家の問題意識がある。2025年12月末時点で 現預金339 億円、固定資産に計上された投資有価証券 54 億円を抱えており、足元PBR0.8倍台で推移している。会社側は中計に基づく成長投資、M&A、DX・人材投資、協力会社への支払条件改善などに資金を配分する方針であり、短期的な株主還元強化と中長期の成長投資のバランスが今後の焦点となる。

総括すると、同社は国内建設事業の採算改善と東南アジア建設事業の拡大を両輪とする中堅ゼネコンである。特に東南アジア事業は、M&Aではなく長年の自前展開によって築いた事業基盤であり、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナムにおける施工実績、現地ネットワーク、外資・ローカル顧客への広がりが強みである。国内の選別受注による利益率改善、東南アジアでの半導体・物流・データセンター関連需要の取り込み、M&A・人材投資の成果、資本効率改善への対応が企業価値向上のポイントとなろう。

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