■業績推移
1. 過去の業績推移
過去の業績を振り返ると、首都圏における資産運用型マンションに対する賃貸需要、購入需要の拡大に支えられて業績は総じて順調に推移してきたと言える。2009年3月期にリーマン・ショックに伴う景気後退の影響で業績のボトムを迎えたものの、FJネクストホールディングスは仕入高を追わずに採算性に合った仕入れを継続するという方針の下、堅実な物件開発を進めたことで、大きな痛手を被った不動産業界においては比較的軽微な落ち込みで乗り切り、その後は景気回復とともに順調に業績を拡大してきた。2016年3月期以降は大幅な増収増益を続けており、売上高は2020年3月期まで5年連続で過去最高を更新した。2021年3月期はコロナ禍の影響により一旦後退したものの、翌2022年3月期にV字回復すると、2024年3月期は初めて売上高1,000億円を突破し、その後も過去最高売上高を連続更新しており、社歴を重ねながらも、同社がまだまだ成長過程にあることを示している。
財務面では、業績の拡大に伴って有利子負債残高も増えてきたが、内部留保の積み増しなどにより自己資本比率も高い水準を維持しており、財務基盤の安定性に懸念はない。
2. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の業績は、売上高が前期比26.6%増の142,374百万円、営業利益が同51.8%増の14,402百万円、経常利益が同51.8%増の14,356百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同54.4%増の10,010百万円と計画を上回る増収増益となり、過去最高業績を大きく更新した。
売上高は、「不動産開発事業」の伸びが増収に大きく寄与した。主力の「不動産開発事業」におけるマンション販売戸数は3,878戸(前期比629戸増)となり、中古マンション販売を含めて過去最多を更新した。単身者を中心に首都圏の賃貸需要は底堅く、購入需要においても将来にわたって安定的な収益が得られる運用商品としての認知の高まりや金融環境の下支え※1もあり、資産運用型マンションに対する需要は堅調であり、平均販売価格についても新築・中古ともに高水準を維持できた※2。売上高が計画を上回ったのは、中古マンション販売が想定以上に拡大したことが主因である。中古マンション市場全体が活況であることや「ガーラ」ブランドの人気の高さ、同社のサポート体制とスピーディな買取再販の実現※3が背景にある。また、「不動産管理事業」も賃貸管理戸数の積み上げ等により着実な伸びを実現した。さらに「建設事業」は好調な受注環境を背景に完成工事件数(マンション建設等)を大幅に伸ばし、今後の売上拡大につながる繰越工事高も大きく積み上げることができた※4。一方、「旅館事業」については、低価格帯の宿へシフトする旅行者の傾向を受け、稼働率が想定を下回りコスト増をカバーできなかった。
※1 金利上昇局面は借入金(ローン購入の場合)の金利負担を増やす要因となる一方、緩和的な金融政策の継続や賃料の上昇、インフレに強い実物資産であることが、不動産市場を下支えしている。
※2 ガーラマンションシリーズの平均販売価格は前期比7.9%増の3,100万円、中古マンションは同5.5%増の2,859万円にそれぞれ伸長した。
※3 2026年3月期の中古マンションの平均販売日数は32.0日(業界平均82.5日)とスピーディな買取再販を実現している。また、在庫として保有する期間は賃料収入が収益源となっており、2026年3月期の賃貸収入売上高は前期比6.0%増の6,543百万円を確保した。
※4 2026年3月末の繰越工事高(マンション建設)は前期末比58.1%増の16,107百万万円に積み上がっている。
利益面では、仕入価格や工事原価の高騰、中古マンション販売の構成比の高まりが利益率を下げる要因となったものの、増収による固定費軽減効果に加え、「不動産開発事業」における大型プロジェクト(ファミリータイプ等)や「建設事業」での選別受注などが奏功し、営業利益率は10.1%(前期は8.4%)に改善した。
今後の業績の伸びに影響する棚卸資産(パイプライン)の状況については、販売用不動産(完成マンション)と仕掛販売用不動産(開発用地及び開発中のマンション)の合計で大きく積み増しており、厳しい仕入れ環境にあるなかでも採算性を重視した仕入れ継続により、パイプラインもしっかりと確保されている。販売用不動産は前期末比約1.5倍の25,431百万円を確保するとともに、仕掛販売用不動産についても45のプロジェクトが進行中である。
財政状態については、棚卸資産を大きく積み増したことから総資産は前期末比8.0%増の113,869百万円となった。一方、自己資本も利益剰余金の積み増しにより同11.3%増の81,127百万円に増加し、自己資本比率は71.2%(前期末は69.1%)に若干上昇した。一方、有利子負債は前期末比19.1%減の14,750百万円に減少し、有利子負債依存度※は13.0%(前期末は17.3%)に低下した。したがって、今後の事業拡大に向けた投資を増やしながらも、財務の安全性は確保されている。また、資本効率を示すROEも13.0%(前期末は9.2%)に大きく改善しており、同社の財務内容は極めて良好と言える。
※ 有利子負債残高÷(負債合計+純資産)×100で算出。
3. 2027年3月期の業績予想
2027年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比6.8%増の152,000百万円、営業利益を同4.2%増の15,000百万円、経常利益を同4.5%増の15,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同4.9%増の10,500百万円と増収増益を見込んでいる。
引き続き、「不動産開発事業」と「不動産管理事業」の持続的成長が増収に寄与する。「不動産開発事業」における販売戸数は4,000戸(前期比122戸増)※を見込む。また、「建設事業」も順調に積み上がった受注残の消化により大幅な伸びを見込んでいるようだ。
※ ガーラ・レジデンスシリーズ343戸を含む。
利益面でも、引き続き工事原価の高騰などが見込まれるものの、増収による収益の押し上げや採算管理の徹底により増益を確保する。営業利益率は9.9%(前期は10.1%)を想定している。
弊社でも、原材料費の高騰や金融環境の変化などの影響には注意が必要であるものの、首都圏における賃貸需要が底堅く推移していることや中古マンションを含めて購入需要が根強いこと、パイプラインを大きく積み増したこと、「建設事業」も受注残が確保できていることなどから、売上高予想の達成は十分に可能であると判断している。また、利益予想についても、原材料価格の上昇などを保守的に織り込んだ水準と見ている。したがって、前期同様、好調な中古マンション販売が想定以上に増えることにより業績が上振れする可能性がある。引き続き、来期以降の業績の伸びにつながるパイプラインの状況のほか、他社との業務提携やM&Aを含む、将来を見据えた取り組みにも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)