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ファブリカ Research Memo(6):収益化フェーズを迎え、業績は過去最高を更新する見込み

■ファブリカホールディングスの今後の見通し

1. 2027年3月期の業績見通し
2027年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比10.1%増の11,630百万円、営業利益が同14.8%増の1,400百万円、経常利益が同14.2%増の1,400百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.2%増の900百万円を計画している。成長投資フェーズが一段落し、収益化フェーズに本格的に移行、売上・利益のすべての指標において過去最高を大きく更新する見込みである。

同社は、AI技術の開発機能と営業・マーケティング機能の一体化による市場投入スピードの加速及び収益機会の拡大を図るため、セグメント区分を再編する。具体的には、これまで独立したセグメントであったAI事業を「ビジネスコミュニケーション事業」に統合し、一体的に運営する体制へと移行した。また、従来AI事業セグメントに内包されていた研究開発機能については親会社へ移管し、グループ全体の技術基盤強化を担う独立した機能として位置付けている。これにより、報告セグメントは「ビジネスコミュニケーション事業」「オートモーティブプラットフォーム事業」「オートサービス事業」の3セグメント体制となる。

ビジネスコミュニケーション事業の売上高は前期比12.5%増の7,530百万円、営業利益は同11.1%増の1,970百万円を見込む。引き続き高い成長が見込まれるSMS市場においてシェア拡大を図りつつ、2026年5月に刷新した新ブランド「オーロラX」へのサービス統合によるブランド認知強化やクロスセルの促進を進める方針である。さらに、これまで投資を続けてきた音声AIサービスの新規収益化も計画に織り込んでいる。

オートモーティブプラットフォーム事業の売上高は前期比14.4%増の2,000百万円、営業利益は同26.0%増の350百万円を見込む。2026年4月にリリースした中古車の業者間取引サービス「symphonyワンプラ」の成約件数の積み上がりや、今後リリース予定の経営最適化判断ツール「symphonyインサイト」によるARPU(1ユーザー当たりの平均売上)向上により、これまでの先行投資を回収する収益化フェーズへの移行を計画している。

オートサービス事業の売上高は前期比1.2%減の2,100百万円、営業利益は同78.4%増の70百万円を見込む。売上高は微減を計画しているが、利益率の低い中古車販売の比率を下げ、単価が上昇傾向にある事故車修理の比率を向上させる事業構成の最適化や、車検基本料金の値上げ改定により、収益性の大幅な改善を推進する。

2. 中長期の取り組み
持続的な企業価値向上のため、成長投資を積極的に実行する方針である。資金使途は事業投資、M&A、株主還元の3点を中心とし、2027年3月期からは投資フェーズから収益化フェーズへの移行により、すべての指標で過去最高の更新を目指している。

事業投資はAI技術を活用した新規サービスの開発と既存事業領域の拡大を対象とする。音声AI構築プラットフォーム「project: On」の商用化に向けた先行投資を継続し、収益貢献に向けた基盤整備を完了させた。音声AIエージェントと電話通信をつなぐクラウド通信基盤「onBridge」は、2026年5月より「Aurora SIP Trunking」へとブランド名を変更し、SMSやIVRを包括した新ブランド「オーロラX」の一翼として、法人向けコミュニケーション領域での展開を加速させている。オートモーティブプラットフォーム事業においては、2025年8月に自動車整備業務支援システム「symphony整備請求」をリリースし、対象顧客を従来の約5倍となる15万拠点へと拡大した。また、2026年4月には全国7万台超の共有在庫を活用できる業者間取引プラットフォーム「symphonyワンプラ」をリリースし、今後はAIによる市場分析が可能な経営最適化判断ツール「symphonyインサイト」をリリースする予定だ。これらの新プロダクトにより、ユーザー単価(ARPU)の向上とLTVの最大化を推進する考えである。

M&A戦略では、BtoBビジネスで高いシナジーを見込める企業の獲得を継続する方針である。2026年3月期においては、国内最大級のトラック専門中古車情報サイト「トラックバンク」を運営するオートレックスの株式を取得し子会社化したことで、商用車市場への本格進出を果たした。また、将来のM&A候補とのネットワーク構築を目的としたVC・スタートアップ企業への出資も積極的に行っている。

■株主還元策

配当性向30%を目安に累進配当方針の下、総還元の充実を目指す

同社は、株主に対する利益還元策を重要な経営課題の1つであると認識している。内部留保金については、事業投資やM&Aなどに活用し、自己株式の取得に関しては、資本効率の向上や経営環境の変化に機動的に対応すべく、株価水準等を総合的に判断したうえで柔軟に実施する方針である。剰余金の配当については、2027年3月期より原則として減配を行わない「累進配当」を基本方針として導入した。連結配当性向30%を目安としつつ、業績の成長に応じた継続的な増配を目指している。配当は中間配当と期末配当の年2回を基本としている。

2026年3月期の配当については、業績の回復に伴い、前期比1.0円増配となる1株当たり38.0円(中間19.0円、期末19.0円、配当性向30.6%)を実施した。また、資本効率の向上と株主還元の充実を目的に、約5億円の自己株式取得を機動的に実行している。2027年3月期の配当については、収益化フェーズへの移行による利益拡大を見込み、前期比2.0円増配の1株当たり40.0円(中間20.0円、期末20.0円)を予定しており、上場以来6期連続の増配を達成する見込みである。

株主優待制度は、3月末と9月末時点の200株以上保有の株主を対象に継続実施している。1年未満の保有で各6,000円分、1年以上の継続保有で各12,000円分のデジタルギフト(AmazonギフトカードやQUOカードPay等)を提供しており、長期保有株主を重視した還元姿勢を鮮明にしている。同社は配当と株主優待をあわせた総還元の充実を図り、安定的な利益還元を継続する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 星 匠)

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