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テノックス Research Memo(6):中期経営計画において5つの重要戦略を展開

■中期経営計画

1. 中期経営計画
テノックスは、2018年に目指すべき企業像となる長期ビジョンを策定した。「人間尊重、技術志向、積極一貫」という経営理念の下、長期的に変化する社会ニーズに適応した技術革新に積極的に取り組むことで新たな価値と市場を創出するとともに、基礎工事を通して社会に「安全」と「安心」を提供し、すべてのステークホルダーが豊かさを実感できる、100年企業を目指したサステナビリティ経営の実現を目標としている。こうした長期ビジョンの実現に向け、これまで中期経営計画を策定し一定の成果をあげてきた。しかし、担い手不足や働き方改革など労働環境の変化に加え、物価高騰や供給不安、環境配慮型社会の加速といった社会変化への対応も迫られている。また、東京証券取引所(以下、東証)からの企業価値向上の要請もあって、資本効率の高い経営を行う必要も生じている。

このため、長期ビジョンのPhase3となる中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)では「未来を拓く、新たな一歩」をスローガンに、これまでの中期経営計画の事業成果をベースに、「織り込む力」によって中期的にストックを拡大する「事業別戦略」、新技術の開発を継続して長期的な成長を促進する「開発戦略」、環境付加価値の向上やDXによる担い手不足解消を図る「環境・デジタル戦略」、人財投資やリスク管理体制強化による持続可能な成長のための「経営基盤の強化」、株主資本コストを上回るROEを実現する「資本効率経営の推進」という5つの重要戦略を展開することとした。また、事業や各戦略を補完するため、M&Aを一層積極的に推進する方針となった。これにより、2027年3月期に売上高270億円、経常利益15億円、ROE8%を目指すこととした。また、東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請を踏まえ、収益性の向上と資本コストを意識した経営を強化し、株主資本コストを上回るROEを実現する方針である。

「グレーターテノックス」が始動

2. 中期経営計画の進捗
中期経営計画2年目の2026年3月期の成果として大きかったのは、「グレーターテノックス」が始動したことである。ジャパンホームシールドとの資本・業務提携により、住宅市場を新たな成長領域として取り込み、両社が持つ人材、技術、ノウハウ、設備などの経営資源を相互に活用し、「グレーターテノックス」としてのシナジーの早期創出を目指す。住宅市場での基礎工事の本格的な展開など、単独では実現できない成長力の発揮が期待される。加えて、土木建築コンサルティング全般等事業やベトナム事業も、収益貢献度が大きくなってきた。このように、既存の基礎工事の安定成長を軸に、M&Aや業務提携を通じて子会社・関連会社の成長を促進することによって、基礎工事を強化するとともに事業領域を広げていく同社の成長パターンができたようだ。

このほかの進捗として、開発商品のうちCP-X工法の第1号として2026年5月に千葉県浦安市の案件がスタートした。一方、テノキューブは主力テノコラムとの複合提案が奏功して前期で既に5件の施工を実現、従来では対応できなかった領域の受注が拡大した。脱炭素では、従来のScope1(燃料)・2(電気)・3(その他)の取り組みや、CP-Xとテノキューブという環境配慮型新工法の拡販開始に加え、新たな取り組みとして2027年3月期に使用予定の軽油の一部(85kL)を、植物由来の軽油代替燃料であるHVO燃料に切り替える(40百万円のコスト負担で220t-CO2削減予定)。海外事業では、コンクリートパイル製造工場の買収は断念したが、ベトナム経済が回復を強めるなか施工体制の強化によって、大型プロジェクトの受注が急拡大した。人的資本では、研修や業務へのAI活用を強化したほか、2026年8月に予定している本社移転で業務環境の改革も進める計画である。資本効率経営の推進では、目標の「DOE2%以上」を上回る増配を続けている。

このように中期経営計画は順調に進捗しているが、中期経営計画最終年度の2027年3月期予想は、目標値に対して売上高も経常利益も未達の予想となっている。売上高については、リニア中央新幹線プロジェクトの受注遅れで20億円が先送り、CP-X工法の立ち上げ遅れで20億円が未実現となったことが要因である。このため経常利益も未達の予想となったが、売上総利益率が向上し持分利益も取り込めそうなことから、当期純利益はおおむね社内目標線に着地する見込みのようだ。ROEについては、収益力改善や投資シナジーの早期発現に加え、配当積み増しも視野に達成を目指しているところである。以上のように、「グレーターテノックス」への進化を見せはじめたこともあり、重要戦略的には非常に順調に進捗していると言える。なお、リニア中央新幹線プロジェクトは、現状、2027年3月期から順次受注が開始され、2029年3月期〜2030年3月期にピークになると予想されており、次期中期経営計画に期待が高まる。

■株主還元策

DOEは目標の2.0%以上を上回る3.0%を達成

同社は設立以来、業績の向上と財務体質の強化に努めることを経営の基本とし、株主への還元を重要課題の1つとして位置付けてきた。このため、業績や財務状態に加え、中期的な見通しも勘案したうえで安定的な配当を決定するという方針である。こうした配当方針の下、中期経営計画で資本効率経営を推進していることもあり、DOE2.0%以上を目安に積極的な配当を実施、純資産の積み上げに伴う増配の継続や機動的な自己株式の取得によって、株主の期待に応えていく考えである。これにより、2026年3月期の1株当たり配当金を60.5円(中間配当26.0円、期末配当34.5円)とし、DOEは目標の2.0%以上を上回る3.0%を達成した。2027年3月期は62.0円(中間配当31.0円、期末配当31.0円)を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)

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