企業情報
設立:2015年9月
事業内容:動画メディアをはじめとする各種メディアの運営およびそれらプラットフォームを通じた広告ソリューションの提供
登壇者名
株式会社エブリー 代表取締役社長 吉田大成 氏
会社概要
吉田大成氏(以下、吉田):株式会社エブリー代表取締役社長の吉田です。まず、会社概要についてです。当社は2015年に設立し、創業10年目の会社です。パーパスとして「明るい変化の積み重なる暮らしを、誰にでも。」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。
サービスミッション
当社の主要サービス「デリッシュキッチン」のサービスミッションについてです。ミッションとして「おいしい楽しい『食事』と『健康』をすべての人に」を掲げ、「食のある日常をもっと豊かにするために、みなさんのそばにあり続けたい」と思い、日々事業活動を行っています。
サービス概要 – 食生活プラットフォーム「デリッシュキッチン」
サービス概要です。「デリッシュキッチン」を「家族の食卓を支える食生活プラットフォーム」と位置づけ、国内最大級の規模へと拡大しています。
当社は広告主であるメーカー、小売流通、生活者という三者をつなぐプラットフォーマーとして、プラットフォームを通じて独自の食生活行動ビッグデータを構築しています。このビッグデータを活用したサービスソリューションの提供こそが、当社の強みです。
ビジネス概要
ビジネス概要です。当社は、大規模なデータ基盤を活用し、食生活プラットフォームを構築してきました。その中で、主にメーカー・小売向けのMarketing Solutionビジネス、いわゆる広告ビジネスと、ユーザー向けのConsumerビジネスを運営しています。
売上構成比はスライドに記載のとおりで、Marketing Solutionビジネスが全体の約74パーセントを占めており、当社の主力ビジネスとなっています。
財務ハイライト
財務ハイライトです。売上高は2025年度に42億5,000万円となり、2024年度から26.5パーセント増の成長を実現しました。
特に主力ビジネスであるMarketing Solutionビジネスは、2024年度から2025年度にかけて38.6パーセント増という高い売上成長率を実現しています。直近の2026年度についても、同様の売上成長が期待される見込みです。
スライド右側のグラフは営業損益の推移を表していますが、継続的な売上成長に伴い、2026年度には黒字化を実現し、今後は利益拡大フェーズに移行していくタイミングとなります。
At a Glance
At a Glanceについてです。スライドの黄色で示しているサービスに関する指標を「Platform KPIs」、青色で示している主力ビジネスに関する指標を「Business KPIs」としてご紹介します。
まず、Platform KPIsについてです。「デリッシュキッチン」を展開しているオンラインメディア領域では、アプリ・ウェブの月間アクティブユーザー数(MAU)が3,100万人を超え、SNSのフォロワー数も1,300万人を超えています。これらはいずれも国内最大規模です。
また、プラットフォームとしてユーザー基盤や規模を構築できている要因は、料理のプロが作ったコンテンツにあります。
当社では管理栄養士や料理専門家を社員として採用しており、これらのメンバーが作成したレシピのプロコンテンツ数が現在5万7,000本を超える状況となっています。さらに、このレシピコンテンツは、ユーザーから5段階評価で4.4という高い評価を得ています。
昨今、「ChatGPT」や「Gemini」などのAIサービスが浸透する中で、「Webメディアのトラフィックが減るのではないか」「足元で減っている」などとよく言われていますが、当社のサービスはそれに逆行するかたちで、現在も成長を続けています。
プロが作成したコンテンツは、当社の資産であるとともに、AIフレンドリーなサイトとして評価される要因にもなっていると考えています。
また、レシピという特性上、AIサービスからの引用数も増加傾向にあります。「ChatGPT」や「Gemini」を通じてAIに問い合わせた方が、実際に手順を詳しく確認したいタイミングで当サイトを訪問する流れができています。これにより、AIがさらなる進化を遂げる中でも、引き続き当サイトは強い成長を維持できると考えています。
最後に、足元で強化しているリテールメディア領域のKPIとして、店頭デジタルサイネージ設置台数は1万1,000台を超えており、国内最大規模となっています。
まとめると、オンラインメディアおよびリテールメディアの両方で国内最大規模のプラットフォームを実現しています。
続いて、Business KPIsについてです。主力ビジネスであるMarketing Solutionビジネスの売上高は、2025年度に31億4,000万円と2024年度比プラス38.6パーセントの大きな成長を遂げています。
また、当社が注力しているロイヤル顧客については、年間の顧客単価が1,000万円以上の顧客を指します。このロイヤル顧客社数は2025年度末に62社となり、2024年度比プラス47.6パーセントの高い成長を実現しています。
競争優位性
競争優位性についてです。
当社の競争優位性の最大の基盤は、食生活行動ビッグデータとなります。このデータ基盤をもとに、「食の生活を『知る』」「トレンドを『つくる』」「食の購買を『動かす』」という、3つの優位性を有しています。
食生活行動ビッグデータ
競争優位性の最大基盤となっている「食生活行動ビッグデータ」についてご説明します。
当社は、オンラインとオフラインを融合させた食生活行動ビッグデータを所有している唯一の食生活プラットフォームです。オンライン接点に関する保有データとしては、属性情報や行動情報になります。料理初心者や料理上級者といった料理スキルに関する情報や、食の嗜好性に関するデータを収集しています。
例えば、「ピーマンが少し苦手」「現在子育て中で、かさ増し料理を求めている」といった情報です。このように、食の領域にバーティカルに取り組んでいるからこそ、他にはない独自のデータを所有しています。
また、オフライン接点に関する保有データとしては、購買データや人流データになります。特に、従来は可視化が難しかった店舗での購買データをオンラインのIDと紐づけることが可能です。
例えば、朝10時に「デリッシュキッチン」でハンバーグのレシピを閲覧した方が、その後お昼12時に食品スーパーで挽肉を購入する、といった行動をIDベースで追跡できる仕組みとなっています。
このように、生活者の食のモーメントを常に把握しつつ、生活者、メーカー、小売流通に向けてソリューションを展開しています。
①食の生活を「知る」- ユーザーデータに基づき生活者インサイトを解析
競争優位性の1つ目、「食の生活を『知る』」についてです。ユーザーデータを活用して生活者インサイトの解析が可能となっています。
具体的には、検索頻度のスコア分析により注目度の高い食トレンドを可視化したり、季節指数の分析を通じて地域特有の需要傾向を可視化したりすることが可能です。例えば、今年上半期には冷凍ストックといった調理方法が人気となる傾向が見られました。直近では、メキシカン料理が新たなトレンドとして生まれていることが確認されています。
また、過去の傾向だけでなく未来予測も行っています。例えば、年末に向けて続く物価高の影響により節約食材への関心が根強い中、新たな節約食材として厚揚げを活用したレシピが人気となると予測されています。
このように、生活者の食トレンドや興味・関心を常に把握しており、このデータをもとに広告主のマーケティングプランの上流段階から共に策定できる点が、当社の強みです。
②トレンドを「つくる」- デリッシュキッチンのトレンド創出力
競争優位性の2つ目、「トレンドを『つくる』」についてです。これは「デリッシュキッチン」のトレンド創出力になります。
スライド左側のグラフにあるように、当社は常に高いエンゲージメント率を実現するコンテンツ制作力を保有しています。また、多くのアクティブユーザーやフォロワーを抱えるプラットフォームを活用し、広告配信を行うことで高いリーチ力を実現しています。
この掛け合わせにより、常に広告主とともに新しい食のトレンドを創出することが可能です。
③食の購買を「動かす」- リテールメディアの構築
競争優位性の3つ目、「食の購買を『動かす』」についてです。これは、リテールメディアの構築力になります。
購買タッチポイントに近い店頭デジタルサイネージを約1万1,000台設置し、日本最大規模の展開を行っています。これにより、全国にリテールメディアを構築しています。当社のデジタルサイネージの特徴は、スライド中央の写真にあるように、大型モニターを中心に展開することで高い視認性を誇る点です。
さらに、これらのデジタルサイネージでは、当社が所有するプロが作成したレシピコンテンツを配信するとともに、広告配信時には陳列棚との連動を行うことで、より高い販促効果を実現していることが強みとなっています。
③食の購買を「動かす」- 食品卸との連携によるリテールメディア戦略
当社の強みであるリテールメディアの構築力は、食品卸との連携によって実現しています。
具体的には、当社の高い技術力やデジタル広告商品の開発・運用力、動画レシピコンテンツといったアセットに加え、食品卸がもともと持つ全国食品小売に対する営業網とオフライン販促施策の実績を掛け合わせることで、小売業向けにリテールメディアの構築から広告収益の拡大までを提供しています。
また、広告主向けには、広告施策から陳列までを一気通貫で行い、売上効果の増大を図っています。さらに、オフライン販促施策をデジタル販促へシフトしたり強化したりすることも可能です。
当社ソリューションを活用した広告効果向上の実現
こちらのスライドは、当社の強みであるソリューションが、圧倒的な広告効果の向上を実現していることを示しています。
生活者の購買行動に合わせてデジタルやリアルの両方で広告配信を行うことにより、中央のグラフに示された事例のように、広告配信前と配信後で全国のPOSデータがどの程度引き上がったかを、当社のプラットフォームで確認・効果測定できる仕組みとなっています。
また、POSの引き上げ効果だけでなく、購入者がどの程度リフトしたのか、同一カテゴリ商品に対するリフト率、さらには性別や年代別にどの層が特にリフトしたのか、料理スキルが初心者の層と上級者の層のどちらが引き上がったのかといった点を、詳細に分析することが可能です。
実績として、2026年度に実施したタイアップ広告配信では、全案件のうち8割でPOSが引き上がったことが確認されています。平均POSリフト率も120パーセントという高い成果を挙げています。
仮にテレビCMを実施した場合、同程度の効果を得るには1億円から2億円単位の費用が必要ですが、当社のプラットフォームでは数百万円から1,000万円程度の規模の広告出稿で十分な効果を出すことができ、広告主にとって非常に費用対効果の高い広告商品となっています。
成長戦略① – ロイヤル顧客の増加に伴う持続的な売上成長
当社の成長戦略の1つ目は「ロイヤル顧客の増加に伴う持続的な売上成長」です。ロイヤル顧客とは、年間の顧客単価が1,000万円以上の顧客を指します。
スライド左側のグラフが示しているとおり、Marketing Solutionビジネスの売上高は大きな成長を遂げています。この売上高の大半を占めるのがロイヤル顧客からの売上であり、ロイヤル顧客社数の増加が高い売上成長率につながっています。
このロイヤル顧客社数については、中央のグラフが示すように、2024年度の42社に対して2025年度は62社となり、47.6パーセントの成長を実現しています。また、2026年度以降についても、ロイヤル顧客社数の増加が予測されています。
成長戦略③ – 今後の拡張領域
今後の拡張領域について、2つ挙げています。1つ目は、スライド左側に記載の小売向けのCRMシステムです。
この「小売アプリ」には、デジタルポイントカードやクーポンなどの機能が搭載されています。アプリの提供に伴い、食生活行動ビッグデータとして、人流データや購買データのさらなる増加を目指しています。また、クーポンなどを活用することで、新たなリテールメディアによる広告枠拡大に伴う収益増加を図っています。
2つ目は、スライド右側に記載の「デリッシュAI」と呼ばれるレシピ提案AI機能です。
当社は現在、「デリッシュキッチン」のアプリが提供するレシピサービスをAI料理アシスタントへと変革することを目指しています。これまでは、人参やジャガイモなどの食材名やハンバーグなどのレシピ名で検索いただいていました。
この「デリッシュAI」を活用していただくことで、例えば「今日は暑いからさっぱり系のレシピを教えて」「明日はお父さんの誕生日だから何を作ればいいかを教えて」「今はダイエット中なので少しカロリー抑えめの料理を教えて」というように、食材名やレシピが決まる前のタイミングから当社のプラットフォームをご利用いただくことを想定しています。
こうした活用により、新たに食生活行動ビッグデータとして、料理を決める前のインサイトデータが取り込まれるかたちになり、さらにマーケティング活動の中で活用していただくことを目指しています。また、利便性の向上によるユーザー数増加に伴い、プレミアム会員などの収益拡大も目指しています。
フライホイール戦略
最後に、食生活プラットフォームの拡大を目指したフライホイール戦略についてご説明します。
スライド左側はユーザーサイド、右側は法人サイドです。従来から、スライド左上に記載のユーザー数の拡大を基盤とし、スライド中央に記載のデータ拡張に取り組んできました。また、データ拡張に伴い、右下にあるソリューションの高度化に取り組むことで、さらなるロイヤル顧客の拡大を実現してきました。
ロイヤル顧客の拡大に伴い、小売サイド、法人サイド、広告主サイドから新たなデータを取り入れることで、左下にあるサービス開発の強化を進め、さらなるユーザー基盤の拡大を目指しています。
つまり、フライホイールの「8の字」をしっかりと回していくことで、食生活プラットフォームのさらなる拡大を目指す方針です。
質疑応答:本日の株価の受け止めについて
質問者:本日の株価の受け止めについて教えてください。
吉田:初値が公開価格を上回る結果となったことは、投資家のみなさまから一定の期待を寄せていただいた証だと受け止めています。
この期待に応えられるよう、引き続き事業成長と収益拡大に一層取り組んでいきたいと考えています。
質疑応答:今回のIPOでの期待について
質問者:今回のIPOで、何を期待しているのか教えてください。
吉田:IPOにおいては、資金調達手段の多様化、知名度向上による採用競争力の強化、社会的信用の獲得による取引先との関係性強化が主な狙いとなっています。
特に、当社のさらなる成長戦略の1つであるリテールメディア領域は、ビジネスとして非常に大きな拡大領域だと考えています。食品卸企業や小売企業との取引は、長期的な連携を前提としています。その中で、上場企業としての透明性や信頼性が、今後さらに企業間取引をスムーズにすると考えています。
このように、当社事業を拡大していくことを目的として、今回の上場を目指しました。
質疑応答:採用強化と成長戦略について
質問者:調達資金を採用活動費および人件費に充てるとのことですが、今後どのような人材の採用を強化して、それによってどのように成長につなげていくのか教えていただけますか?
吉田:主に営業職とエンジニア職の2つを強化していきたいと考えています。
先ほどご説明したとおり、当社は各種広告商品の拡販や提案力の強化が、今後の売上成長の肝となるため、その意味で営業職を強化したいと考えています。
もう1つはエンジニア職です。データ基盤の拡大や、新しいソリューション、プロダクトの開発を強化することで、他社にはない優位性を作れると考えています。
特に、これら2つの職種の採用を強化していきたいと考えています。
質疑応答:株主企業・ベンチャーキャピタルとの関係性と支援について
質問者:株主との関係についてご質問です。KDDIや伊藤忠食品などの事業会社とは、これまでどのような支援があり、今後どのような関係性になるのでしょうか?
また、ベンチャーキャピタルとして有力な企業が出資しているように見受けられますが、そのような企業がどのような役割を果たし、御社の成長にどのように貢献してきたのか、お聞かせください。
吉田:事業会社については、KDDIと伊藤忠食品や加藤産業などを中心とする食品卸の大きく2つに分類されると思っています。
伊藤忠食品や加藤産業などの食品卸については、現在進めているリテールメディアの拡大に向け、全国のスーパーとの連携における営業網として活用しています。
今後も食品卸と連携しながら、小売業のDX化、リテールメディア化の支援とともに、デジタル販促費の市場拡大を目指し、パートナーシップを築きながら取り組んでいきたいと考えています。
KDDIについては、ご出資いただいた当初のタイミングにおける目的は、KDDIのECサイトにおけるライブコマース事業の協業でした。
このサービスについては、2026年9月末をもってクローズする予定ですが、それ以外の領域についても引き続き新たなアライアンスを組んだり、連携を強化したりする方向で話を進めています。そのため、引き続き事業連携を模索していきたいと考えています。
次に、ベンチャーキャピタルについてです。創業当初にベンチャーキャピタルの方々よりご出資をいただき、その後、事業会社の方々にもご出資いただくかたちとなりました。特に当初は「デリッシュキッチン」サービスの拡大に向けて、さまざまな知見やアドバイスをいただきました。また、先ほどご説明した大手企業とのアライアンスの窓口としてもご支援いただきました。
引き続き、当社の事業拡大について多くのアドバイスをいただいており、今後の成長にも期待していただいている状況です。これからも期待に応えられるよう、さらなる事業成長に取り組んでいきます。
質疑応答:上場を意識した時期と注力した取り組みについて
質問者:上場を意識し始めた時期と、上場に向けて特に注力した点があれば教えてください。
吉田:上場については常に意識していました。特に本格的に意識し始めたのは、2年ほど前だと思います。創業当初は、さまざまな計画がある中で、まず「デリッシュキッチン」のサービスを展開してきました。
しかし、その中で広告主のニーズとして、オンライン上で広告を出稿するのであれば、先ほどご説明したように、オフライン側のデータと突合させ、購買データをしっかりと取得することが求められる場面が多かったと思っています。
そのような背景を受け、リテールメディアを特に強化し始めたのは、約6年前からです。当社としても、オンライン側とオフライン側の領域で一定の基盤を構築するところまで、まずはしっかりと取り組もうと考えていました。
そして、約2年前のタイミングで、スーパーなどからPOSデータを提供いただくようになり、基盤として成果が出始めたことで、売上の成長もさらに加速しました。その中で、収益化、利益化が可能だと見えたタイミングで、上場を本格的に意識し、より取り組みを強化していきました。
質疑応答:生成AI時代におけるレシピ検索と今後の施策について
質問者:生成AIが人々のレシピ検索の方法を変えている中で、どのような施策を今後打ち出していく予定でしょうか?
吉田:まず、生成AIをもとにレシピを検索される方や、それ以外の料理全般を検索される方が増加傾向にあることは、足元のデータでも確認しています。
一方で、当社にはデータ自体の強みがあります。プロが作成したコンテンツであることや、その信頼性がユーザーやAIから高い評価を得ている状況です。引き続き、このようなAIフレンドリーなサイトであること自体については、どちらかに分散するよりも、両立可能な部分だと考えています。したがって、レシピ関連の強化を継続していきたいと考えています。
また、レシピを検索される方の多くは、レシピ名や食材名で検索する傾向にあります。しかし、今後は生成AIのアプリ上で、より複雑なキーワードや栄養素を含めた検索を希望する方が増加していくと見込んでいます。
そのような需要に応えるためには、まず、自社の「デリッシュAI」の中で、生成AIプラットフォームを上回る回答を提供できるかどうかが非常に重要だと考えています。この要となる部分に関しては、主に2つの強みがあります。
1つ目は、多くのユーザーの行動データを保有していることです。例えば、かさ増し料理を好む方が、それ以外に好きな料理のデータなども当社は持っています。これは生成AIが持っていない領域のデータであり、過去のデータ資産を活用可能です。
2つ目は、ユーザーのファーストパーティデータです。ピーマンが苦手であることや家族構成などのデータを、生成AIに覚えさせる以前に、当社のほうにしっかりと取り込んでいただいています。これに基づき、最適な回答を提供できるのではないかと思っています。
みなさまは、スマートフォンを1人1台お持ちだと思います。当社はその中に料理の専門家が1人いるという世界観を作りたいと考えています。
「料理のプロに相談したい時には『デリッシュキッチン』のアプリを立ち上げる」といった世界観を構築することで、他の生成AIアプリとの差別化を明確に打ち出していきたいと考えています。
質疑応答:リテールメディアにおける競合との差別化ポイントについて
質問者:成長戦略の1つ目である「ロイヤル顧客」が、鍵となっていると理解しました。投資家目線で見るとリテールメディアは、おそらく競合他社も力を入れている分野であり、ロイヤル顧客を増やしていくこと、継続的に活用していただくことが重要になると考えています。
それに対して、競合他社との差別化ポイントをどのように伸ばしていくのかを教えてください。
吉田:当社の競争優位性として、独自の食生活行動ビッグデータが強みになると思っています。オンライン側のデータ保有に加え、オフライン側では各小売企業と連携しながら、購買データを直接ご提供いただいています。
おそらくイメージされる競合企業はさまざまあるかと思いますが、全量データを取得できるプラットフォーマーやサービス会社はほとんど存在しないのが現状です。そのような中で、すべてのデータをもとに広告効果を可視化でき、広告主のみなさまに安心してご出稿いただけることが、当社の強みだと考えています。
まずは、効果自体をPOSデータと突合しながら確認できるプラットフォームであることが重要です。それを、多くのユーザー数や大手のデータをもとにパッケージで提供できる点が、1つ目の優位性だと考えています。
次に、オンラインメディアに限らず、オフライン側の領域でデジタルサイネージを活用している点です。当社のデジタルサイネージ設置数は1万1,000台に達しました。特に、大型サイネージを各店舗に導入することで高い視認性を実現しており、これが大きな違いとなっています。
また、当社のデジタルサイネージを利用することで、店舗内の売上が確実に伸びることが確認できています。同様のソリューションは他にもありますが、データに基づいて分析を行い、効果を出せるアセットをしっかりと持っている点が大きな違いだと考えています。
質疑応答:2026年以降の営業利益黒字化と利益成長の見通しについて
質問者:2026年から営業利益が黒字化するということですが、今後の利益成長のイメージがあれば教えてください。
吉田:スライドに記載の内容が、まさに今後の利益面や足元の状況を踏まえた内容となっています。足元の利益についてですが、販管費は社内で一定の比率に基づき、ほぼフラットな状態を維持しながら、売上成長を実現しているというのが現状です。
今後についても、販管費は一定のコントロールを行いながら、引き続き高い売上成長を実現していきたいと考えています。その結果、近い将来において営業利益率20パーセントを達成するという照準を定めています。
質問者:大きな投資は一巡したということでしょうか?
吉田:おっしゃるとおりです。今回の上場の準備期間中に、プラットフォームとしての基盤をしっかりと構築したことが、大きな要因です。
その結果として、全体の人件費に対する売上生産性が高まり続けています。顧客単価の増加に伴い、売上生産性も上昇している状況ですが、さらに拡大を目指していけると思っています。
また、社内ではAIの利活用が進んでおり、それによって工数を大幅に圧縮できている点も大きなポイントです。
質疑応答:KDDIグループ会社との取引終了の背景と今後の方針について
質問者:KDDIグループ会社とのいくつかの大きな取引が9月末で終了します。この背景について教えてください。また、今後はそのような大きな取引先への依存度を減らす方針なのでしょうか?
吉田:スライドの財務ハイライトをご覧ください。KDDIの売上は、Marketing SolutionビジネスやConsumerビジネスの売上ではなく、「その他」に分類される売上に含まれるかたちになります。
おっしゃるとおり、2026年9月30日をもって、KDDI子会社との取引は終了します。したがって、今後は「その他」の売上の部分は計上されなくなります。こちらは両社間での協議において、先方のご事情や事業の方向性の検討を経て、終了という結論に至ったという背景があります。
一方で、当社としても1社の売上に依存することや、このような競合の関係において、「その他」の売上が一定規模を占めていた部分が大きかったと認識しています。
そのため、現在ではMarketing Solutionビジネスでしっかりと効果を証明しつつ、売上を伸ばしていくことにフォーカスしています。実際に、広告効果を示す中で、売上が積み上がっている状況です。「その他」の割合を減らし、人員についてもMarketing Solutionビジネスに振り向けていく方針です。
1社への依存をなくしながら、効果証明に基づいた売上成長を目指していくかたちになります。
質疑応答:株主還元について
質問者:株主還元についての考え方を教えてください。
吉田:株主への利益還元は、当社にとって重要な経営課題の1つだと認識しています。ただし、現時点では成長投資の資金確保を優先しており、上場直後については無配を想定しています。
今後、ある程度安定的に利益を創出できたタイミングで、キャッシュアロケーションを明確にした上で、配当の実施について検討していきたいと考えています。