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Hamee:Z世代カルチャーとSPAモデルの融合、新中計でPBR1倍超の早期定着を目指す

Hameeは、2025年11月にNE株式会社のスピンオフIPOを実施、その後はコマース事業を中心としたHameeグループとして新たなスタートを切っている。足元株価は、300円手前で軟調に推移しているが、新中計発表とともにPBR1倍割れ是正(現状0.6倍台)の意欲を示している。

同社は1998年の創業以来、モバイルアクセサリーの企画・販売を通じて成長を遂げ、現在は「Z世代カルチャーとSPA(製造小売)モデルの融合」を掲げている。同社は、世界的な人気を誇るスマートフォンアクセサリーブランド「iFace」を中心に、化粧品ブランド「ByUR(バイユア)」やゲーミングモニター「Pixio(ピクシオ)」をグローバル展開しており、ライフスタイルに寄り添った多角的なコマース事業を推進している。セグメントは、モバイルライフ事業(2026年4月期実績売上高構成比41.0%、事業利益構成比81.2%)を筆頭に、コスメティクス事業(同22.2%、同3.5%)、ゲーミングアクセサリー事業(同17.5%、同0.5%)、グローバル事業にわかれている。2025年11月にはプラットフォーム事業を担っていたNEをスピンオフ上場させ、コマース領域へ経営資源を集中させた。これにより、各事業に最適化された迅速な意思決定とブランド価値の最大化を図る体制を整え、次世代の消費を牽引するマーケットでのさらなる飛躍を目指している。

同社の強みは、第一に圧倒的なブランド認知度とファンベースを持つ「iFace」の展開力にある。主力製品であるスマートフォンケースは、10代後半から20代前半の若年層から絶大な支持を得ており、デザイン性と耐久性を両立した「iFace Reflection」などのヒット商品を継続的に生み出している。特筆すべきは、モバイル関連アクセサリーにおいて世界累計3,800万個以上(26年1月時点)という圧倒的な販売個数を記録している。この強固なブランド支持を背景に、2,000円から5,000円未満というミドル価格帯ながらも高いシェアを維持している。自社サイトや大手ECモールでの直販から、量販店・バラエティショップ等への卸販売まで多様な販路を確保しており、デジタル市場でも売上を築けている。第二に、企画から製造、販売までを一貫して手がける「ZカルチャーSPA」という独自のビジネスモデルが挙げられる。多様なチャネルから得られる顧客データをリアルタイムで分析し、トレンドを素早く反映させた小ロット・高頻度の商品開発を行うことで、在庫リスクを最小化しながら高利益率を確保している。第三に、特定事業への依存から脱却し、化粧品やゲーミング分野へとブランドポートフォリオを拡大させる「マルチブランド戦略」の成功である。韓国発の毛穴管理コスメ「ByUR」はベストコスメ300冠を達成。既存のモバイルアクセサリーで培った販路やノウハウを他ジャンルへ転移させることで、新たな収益の柱を構築することに成功している。コマースセグメントの海外向け売上高比率は18.6%、そのうち米国市場向けが中心となっている。

2026年4月期通期の連結業績は、売上高22,073百万円(前期比3.6%減)、営業利益983百万円(同58.2%減)で着地した。前期比での減収減益は、2025年11月のスピンオフに伴うNE社の連結除外(第3四半期以降は同社損益を含まず)という構造的な要因が主因である。一方、2025年12月に修正した通期予想との比較では、売上高で1.8%、営業利益で36.0%、当期純利益で255.9%上回る着地となった。コスメティクス事業の国内販売拡大が売上を押し上げたほか、商品評価損の減少等による原価改善、本部費用を含む全社的な費用管理の徹底、新規事業の損失縮小、海外子会社の業績寄与が利益の上振れに貢献した。

2026年6月15日には、本決算と合わせて新Hameeグループとして初となる中期経営計画(2027年4月期~2029年4月期)を公表した。最終年度の2029年4月期に連結売上高30,889百万円(NE社影響を除くベースで3年CAGR15.4%)、営業利益1,804百万円(営業利益率5.8%)を掲げ、事業別の売上目標はモバイルライフ10,460百万円(CAGR約8.3%)、ビューティー8,650百万円(同約24.7%)、ゲーミングアクセサリー4,640百万円(同約9.6%)、グローバル7,139百万円(同約24.1%)とした。あわせて限界利益率25.7%(2026年4月期実績22.3%)、在庫回転率2.94回(同1.94回)を主要KPIに設定し、カテゴリー拡張、収益性の構造改善、AI戦略、脱炭素戦略の4つを価値創造のエンジンと位置づけている。資本効率面ではROIC10.0%以上・ROE12.0%以上(2029年4月期)を目標とし、PBR1倍超の早期定着を目指す。なお、中計初年度の2027年4月期は先行投資の継続により売上高22,817百万円(前期比3.4%増)、営業利益502百万円(同48.9%減)を見込んでいるが、NE社の影響を除いたベースでは増収増益(営業利益は前期比92.8%増)の計画である。

具体的な事業ごとの戦略では、モバイルライフ事業は、新型iPhoneの発売サイクルに依存しない収益構造を目指し、モバイルバッテリーなどの周辺アクセサリーやインフルエンサーとタイアップした「BeBling」シリーズなど、IPコラボレーション商品のラインナップを拡充している。成長ドライバーとして期待されるビューティー事業では、ベースメイクカテゴリーの好調を背景にドラッグストアなどへの卸販売を加速させ、2025年11月に投入した新ブランド「ByGLOW」によるインナービューティー分野への参入でさらなるシェア拡大を図る。また、ゲーミングアクセサリー事業の「Pixio」においても、これまでの代理店モデルから自社企画・製造を強化するSPA型ビジネスへのシフトを進めており、モニターアームやデスク、チェアといった周辺機器を含めた「ゲーミング空間のトータル提案」を通じて、中長期的なブランド価値向上と高収益体質への転換を加速させていく計画である。

株主還元については、利益成長に応じた還元と安定的な配当の維持を基本方針として掲げており、配当性向20%以上を掲げ、中計目標の達成後から段階的な引き上げと利益成長に伴う増配を目指す方針を示した。2026年4月期の年間配当は22.50円(配当性向66.5%)を維持した一方、2027年4月期はNE社の連結除外後の利益水準を踏まえ3.00円(同21.2%)を予想している。また、株主優待の変更・拡充を発表しており、従来は年2回、「Hamee本店」または「ByUR公式サイト」で利用できる1,500円相当のクーポンをいずれか1つ選択する形式であったが、2026年10月末日基準の優待からは、iFace・ByUR・ByGLOW・Pixioの各公式サイトで1,000円相当ずつ利用できるクーポン4枚(総額4,000円相当)へと拡充される。自社4ブランドすべてに顧客接点を持たせる設計であり、ファンづくりを兼ねた還元策を一段と強化した格好だ。

総じて、Hameeは主力のiFaceブランドで築いた盤石な顧客基盤と、Z世代カルチャーの重視かつSPAモデルを武器に、モバイル領域以外の成長領域でもプレゼンスを高めている。足元の業績は一時的な市場環境の変化や戦略的投資の影響で利益が圧縮されているが、新規事業の損失縮小や不採算チャネルの整理といった改善施策は迅速に実行されており、収益性の回復に向けた確度は高い。PBR0.6倍台で推移するなか、中長期的な成長戦略の進捗に注目しておきたい。

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