ムゲンエステートは、投資用・居住用マンションを中心に中古不動産の買取・再販事業を行う業界のパイオニアであり、高収益企業である。
2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期は、売上高が前年同期比18.8%減の26,743百万円、営業利益が同49.4%減の2,773百万円、経常利益が同56.6%減の2,142百万円、親会社株主に帰属する中間純利益が同60.2%減の1,320百万円と、減収減益となった。
売上高では、主力の買取再販事業で、海外投資家需要の減退に伴う国内投資家向けの販売活動強化策の効果が中間期では限定的であったこと、高価格帯及び大型物件の販売が低調に推移したことが減収の主要因となった。内訳では、投資用不動産で前年同期比1.8%増の12,531百万円となり、国内投資家向けの販売施策が奏功し、一棟収益物件の販売が増加した。一方で、居住用不動産は、同36.5%減の12,068百万円となり、販売件数は横ばいも、高価格帯物件の販売が進捗せず、減収となった。販売エリアに関しては、首都圏中心ではあるものの、地方エリアの売上高構成比は同15.0pt増の20.0%と上昇した。海外投資家向けの売上高構成比は同20.6pt減の24.7%に低下した。不動産特定共同事業は、荻窪プロジェクトの完売により増収となった。賃貸その他事業では、販売用不動産及び固定資産の増加により同30.1%増の1,777百万円と増加した。利益に関しては、減収の影響に加え、収益性の高い大型物件の販売件数減少により粗利率が同3.9pt低下したことなどにより減益となった。四半期毎の業績では、売上高、各利益ともに、第2四半期単独が第1四半期単独を上回って進捗している。
2026年12月期の業績見通し
2026年12月期は、売上高は前期比9.8%減の61,599百万円、営業利益が同22.3%減の8,588百万円、経常利益が同27.3%減の7,237百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同28.4%減の4,770百万円と、売上高および各利益ともに中間期の実績および今後の不動産市況を踏まえて下方修正された。
主力の買取再販事業では、国内投資家及び実需層への販売を強化するとともに、販売ルートの拡大や地方エリアの強化、柔軟な価格戦略などにより売上・利益を積み上げていく方針である。事業別では、投資用不動産で前期比7.4%増の33,143百万円予想、居住用不動産で同29.7%減の22,818百万円予想と修正され、投資用不動産へのシフトを強める。海外投資家需要が限定的な状況を踏まえ、販売ルートの拡大施策として、地方銀行を含む金融機関との連携強化を推進していく。不動産開発事業は、竣工済物件の早期売却を進める。不動産特定共同事業は、草加プロジェクトの年内販売に向けた営業強化と販売ルートの拡大を進める。第2四半期の仕入れ額は、前年同期比1,046百万円減の22,256百万円となり、採算性を重視した仕入を徹底した。販売用不動産残高(第2四半期末)は80,982百万円と十分である。中間期を終えて修正後の通期業績予想に対する進捗率は、売上高で43.4%、営業利益で32.3%と下期偏重となる予想である。海外投資家の需要が限定的となる環境変化時において、柔軟な価格設定や国内投資家へのシフトなど対応力が鍵となる。
成長戦略・トピック:中古マンション市場は潮目を迎えるも、柔軟に対応するリカバリー策を強化
不動産業界をとりまく環境は、都市部を中心に投資用不動産への旺盛な需要が市場の押し上げ要因となる一方、資材価格及び人件費の高騰に伴う建築コストの上昇や、日銀による政策金利の引き上げ等の下押し要因が交錯する局面にあり、先行きは不透明な状況が続いている。
中古マンション市場は、インフレの影響を直接受ける新築市場と比較して影響を受けにくいものの、首都圏の中古マンション成約件数(2026年6月)は前年同月比1.3%減と3ヶ月連続で前年同月を下回った。成約平米単価と成約価格は微減、在庫件数は4ヶ月連続で前年同月を上回っており、都市部の不動産市況における潮目の変化が見られる。居住用マンションに関しては、低価格帯と高価格帯の二極化の傾向が強まる。同社では、得意の高価格帯で、中国を中心とした海外顧客の減少の影響を受けたが、国内富裕層や台湾など他地域でのリカバリー策を強化する。具体的対策例として、金融機関連携に加え(前述)、全国に配置されている約250名の営業社員が、複数地域で連携して成約を目指せる体制を整え、相乗効果を狙っている。一方で、都心の賃貸物件の空室率は低水準で推移しており、賃料上昇も追い風となり、収益不動産の価値は堅調であり、市場が大きく調整する懸念は少ない。
株主還元策:2026年12月期は10円減配の通期104円(中間期52円済、期末52円)予想
同社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けており、長期的な事業拡大のため財務体質の強化と内部留保の充実を図りつつ、安定した配当を継続することを基本方針としている。利益配分は、業績の水準やバランスシートをベースとする資本コストや資本収益性等を総合的に勘案し、中長期的な連結配当性向の目標水準を40%以上としている。2025年12月期からは中間配当が導入され買いやすくなった。2026年12月期は、年間配当104円(前期比10円減、中間期52円、期末52円)、配当性向51.3%を予想する(修正後)。通期業績予想の修正と今後の市況を踏まえ、期末配当予想が期初予想比26円減配の52円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)