決算概要
片山ゆき氏(以下、片山):取締役上席執行役員管理本部長の片山です。株式会社日本マイクロニクスの2026年12月期第2四半期決算概要についてご説明します。
こちらのスライドは四半期ごとの業績を示しており、オレンジ色の列は当第2四半期(4月から6月)の3ヶ月間の実績です。
売上高は282億6,100万円、営業利益は99億900万円となりました。直前の第1四半期(1月から3月)と比較すると、売上高は34.9パーセント、営業利益は75.4パーセント増加しています。
前年同期(昨年4月から6月)と比較すると、売上高は48.8パーセント増加し、営業利益以下の各段階利益はすべて100パーセント以上、2倍以上に増加しました。
決算概要
第2四半期累計の決算概要についてご説明します。
同じくスライドのオレンジ色の列が、上期(1月から6月)の累計実績値です。売上高は492億600万円、営業利益は155億5,700万円となりました。段階利益については、経常利益が162億6,000万円、親会社株主に帰属する中間純利益が114億6,100万円です。
前年同期比は表の右側に記載しています。売上高は前年同期比で48.6パーセント増加し、営業利益以下の段階利益においては、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益のすべてにおいて100パーセント以上の増加率を記録し、2倍以上の金額となりました。
売上高総利益率は51パーセントとなり、前年同期の49パーセントから2ポイント増加しています。
販管費は前年同期比で約7億円増加しましたが、売上高の増加と比較すると、増加率は8パーセントにとどまり、かなり抑えられた水準です。増加の要因としては、製品保証引当金が減少した一方で、人件費および研究費が主に増加したことが挙げられます。
5月13日に開示した第2四半期累計業績予想に対しては、売上高が35億600万円、営業利益が26億5,700万円、親会社株主に帰属する中間純利益が22億6,100万円、それぞれ増加しました。
後ほど社長の長谷川より説明がありますが、昨日8月12日に決算短信と同時に、通期業績予想および配当予想に関するお知らせを適時開示しました。簡単にご説明すると、2026年通期(1月から12月)の業績において、想定レートは1ドル156円としています。業績に係る対ドル1円の為替変動による影響は、3,000万円弱と試算しています。
2026年12月期第2四半期決算の要点
2026年12月期第2四半期決算の要点です。プローブカード事業では、メモリ向けプローブカードの売上高が、前四半期からのシフトおよび生産能力の増強による売上前倒しを背景に、前四半期に続き過去最高を更新しました。
ノンメモリ向けプローブカードの売上高は前四半期比で微増しました。セグメント利益は、DRAM向け高付加価値品の貢献により前四半期比で増加しています。受注高は前四半期比で大きく増加し、HBM(広帯域メモリ)を中心にDRAM需要は引き続き好調です。
TE事業では、売上高は半導体テストソケットが堅調に推移し前四半期比で増加しましたが、セグメント利益は損失を計上しました。半導体テスタ「Testalio」およびプローバ「Excelyze」の受注獲得に向けて、現在顧客による評価が進められています。
四半期業績推移
四半期ごとの業績推移です。スライドのグラフは全社ベースでの売上高、営業利益、営業利益率の推移を示しています。
全社ベースでは過去2年間、すべての四半期で営業利益率20パーセント以上を達成し、安定した収益確保を継続しています。本四半期では営業利益率35パーセントとなりました。
四半期業績推移(セグメント別)
セグメント別の四半期業績推移です。スライド左側に示されているプローブカード事業では、第2四半期のセグメント利益率が41パーセントと高い収益率を記録し、全社ベースの営業利益率を押し上げました。
スライド右側のTE事業は、セグメント損失が4億7,500万円となりました。
四半期売上高(製品別)
こちらのスライドは、四半期ごとの売上高を製品別に示したグラフです。スライド左側のプローブカード事業では、メモリ製品とノンメモリ製品の割合を示しています。
当第2四半期において、メモリ製品の割合は95パーセント、ノンメモリ製品の割合は5パーセントという結果でした。直前四半期比でメモリ製品の売上高は72億円ほど増加し、約1.4倍弱の増加となりました。
スライド右側のTE事業については、検査機器用テストソケットの売上が引き続き中心となっています。
地域別売上高 四半期推移
地域別売上高の四半期推移についてです。スライド左側には売上ベースのグラフが表示されています。当第2四半期の売上高は282億6,100万円です。
その内訳として、日本の売上高が直前の四半期と比較して10億円ほど減少したことが影響し、第2四半期のアジアの売上高比率は92.9パーセントとなりました。
貸借対照表
貸借対照表です。スライド左側が資産の部です。当第2四半期の総資産の金額は1,388億200万円となりました。そのうち現預金は200億4,900万円で、総資産に占める割合は約14パーセントです。有利子負債が64億円あるため、ネットキャッシュは136億円となります。
資産の部の「無形固定資産・投資その他資産」は412億3,900万円となり、直前四半期比で146億円増加しました。これは、投資有価証券勘定の増加が主な要因ですが、新規に株式を買い増したのではなく、時価評価の影響を受けたためです。
スライド右側は負債純資産の部です。グラフの上から3番目の「その他流動負債」が、直前四半期比で34億円ほど増加しています。これは業績に伴う未払法人税等の増加が要因です。
また、グラフの一番下は純資産で、913億2,300万円となり、自己資本比率は65.8パーセントとなりました。
投資等/キャッシュフロー
投資およびキャッシュフローの状況です。スライド左側の「投資等」では、研究開発費、設備投資、減価償却費を四半期ごとに示しています。
研究開発費は前四半期より2億円弱増加し、20億4,700万円となりました。上期累計で39億600万円を研究開発に投資しています。本四半期の設備投資は約43億5,600万円で、主な内容として機械装置への投資が中心です。
スライド右側のキャッシュフローについてご説明します。当四半期の営業キャッシュフローは82億4,600万円、投資キャッシュフローはマイナス39億9,700万円で、フリーキャッシュフローはプラス42億4,900万円となりました。
非常に旺盛な設備投資を継続していますが、フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、当上期においては追加の借入金はありません。
事業環境
長谷川正義氏(以下、長谷川):代表取締役社長の長谷川です。私から事業環境についてお話しします。当社は現在、中期経営計画FV26を遂行しており、この計画は2026年が最終年度となります。
当社の予想では、2023年から2026年の間、プローブカード市場の年平均成長率は18パーセント、昨年比でプラス1パーセントの成長を見込んでいます。
しかしながら、世界経済に目を向けると、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の上昇やインフレ圧力の再燃などにより、不確実性が継続しています。また、地政学リスクの高まりや米中間の輸出規制強化が、グローバル・サプライチェーンに不安定要因をもたらしている中での成長でした。
半導体市場では、AIの用途が学習から推論へと広がりを見せ、GPUやHBMに加え、ASICやCPU、DRAMなどのAI関連半導体が市場を牽引しました。また、AIサーバー向け需要によりDRAMやNANDの価格が大幅に上昇し、その影響で非AI向けメモリでも供給逼迫が続いています。
業績予想(2026年12月期 第3四半期累計)
今後の業績予想についてお話しします。まずは、2026年12月期第3四半期累計の見通しです。オレンジ色の部分が、今回8月12日に発表した2026年第3四半期の予想となります。
売上高は、5月13日に発表した数値よりも26億円増加し、742億円となる見込みです。内訳として、プローブカード事業の売上高は26億円増加し730億円、TE事業は1億円減少し11億円となります。
営業利益は前回開示より5億円増加し224億円、経常利益は231億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は163億円と予想しています。
業績予想(2026年12月期 通期)
業績予想として、当社は2四半期先の数値を発表していますので、通期の数字をお示しします。
今期の売上高は1,038億円を見込んでいます。内訳として、プローブカード事業が1,020億円、TE事業が17億円です。営業利益は314億円、経常利益は320億円、親会社株主に帰属する当期純利益は230億円で、いずれもプラスとなる見込みです。
配当予想についてですが、前期の95円に対して178円とし、83円の増配を計画しています。
設備投資、研究開発投資
設備投資および研究開発投資に関する報告です。中長期的な半導体市場の拡大を見据え、現在の旺盛なメモリ向けプローブカードの需要に対して、生産能力の増強を積極的に前倒しで計画しています。
2024年12月に建設した青森工場新棟への生産設備投資を、可能な限り前倒しで進めています。
半導体技術の進展を見据え、次世代プローブカードの技術開発を加速しています。具体的には、垂直型プローブカードの開発を進めています。
「Testalio」と「Excelyze」は当社が開発しているテスタとプローバであり、現在、受注獲得に向けて顧客先での評価を推進中です。
設備投資額はスライド左下に記載のとおり、通期で210億円を予定しており、右下に示している研究開発投資については89億円を計画しています。
FV26進捗状況
FV26の進捗についてお話しします。2023年から始まった本中期経営計画期間の売上高の年平均成長率が39パーセントで、プローブカード市場の年平均成長率である18パーセントを大きく上回っています。
設備投資と研究開発費については、当初計画を大きく上回る見込みです。これは、設備投資の前倒しや、お客さまの新製品に対応するための新規開発の前倒しが必要となったためです。
営業利益額は300億円台、営業利益率は30パーセントに達する見込みで、当初の想定を大幅に上回るかたちで進行中です。
おかげさまで、前倒ししてきた設備投資などが売上に貢献し、当社として初めて通期の売上高が1,000億円を超える見込みです。
中長期的な事業環境(半導体市場)
事業の概況として、中長期的な事業環境と半導体市場における中長期的な当社の予測についてお話しします。
半導体市場の中心的な牽引力となっているのは生成AI市場だと考えています。この生成AI市場はスケーリング則に基づき拡大を続けており、いわゆるハイパースケーラー企業の旺盛な投資にうまく対応するかたちで、半導体市場は中長期的な成長が見込まれると想定しています。
AIの活用は、学習から推論へと広がり、高性能GPU、ASIC、HBMなどの需要拡大が続いています。また、AIがフィジカルAIへと発展していくことで、今後はロボティクスなどへの応用が拡大し、さらなる成長が期待されています。
さらに、半導体メーカーによる大型投資を背景に、先端Fabの新規増設や生産能力の拡大が進展しています。
2028年に価格要因による売上成長の踊り場が想定されるものの、容量・数量ベースで見た場合、半導体市場は堅調に拡大していくと見ています。
この2028年については踊り場とされる一方で、ちょうどこの時期に各大手メモリメーカーの工場が立ち上がり、量産を開始するタイミングとなるため、一時的に価格が停滞するのではないかと考えられています。
当社としては、プローブカードは価格よりも数量に左右されやすいため、引き続き右肩上がりの成長を見込んでいます。
中長期的な事業環境(半導体DRAM市場、ノンメモリ市場)
中長期的な事業環境について、半導体DRAM市場とノンメモリ市場を取り上げます。
DRAM市場についてはビット数、ノンメモリ市場についてはユニット数で記載しています。そのため、いずれも価格ではなく数量に関する予測であり、右肩上がりで推移すると予想されています。これらはすべてガートナーリサーチを基にした予測で、数値は当社が算出しています。
DRAMとノンメモリの中長期的な予測として、DRAMの場合は2026年を基準として2030年までの平均成長率が16パーセント、ノンメモリ分野については10パーセントの成長が見込まれています。
中長期的な事業環境(プローブカード市場)
スライド右側の緑色の棒グラフは、プローブカードの市場予測を示しています。プローブカードはロジックとメモリの両方を平均して取り扱うため、平均成長率は9パーセントとなっていますが、メモリの成長率はこれを上回ると当社では考えています。
プローブカード市場の中長期的な当社の予測では、AI関連半導体に牽引され、市場拡大が継続すると想定しています。メモリ・ノンメモリの両方で、先端半導体の高性能化に伴いテストが複雑化していることから、プローブカード市場は半導体市場を上回る成長が期待できると予測しています。
メモリ向け半導体については、コンベンショナルDRAMの高騰やHBM・NANDの三次元化により、プローブカード市場の拡大が引き続き見込まれます。
ノンメモリ向け半導体においても、ASIC・CPU・GPU向けプローブカードの市場がさらに拡大していくと予測しています。
加えて、車載・産業用途向け半導体も高性能化および複雑化が進み、テスト需要は底堅く推移すると見込まれます。生成AI向けのICだけでなく、今後は車載や産業用ロボットにも波及していくことは間違いなく、この分野の成長率も上がっていくと考えています。
事業の概況
こちらは、事業の概況をとりまとめたものです。
プローブカード事業では、当社として高性能メモリを中心に旺盛な需要が続いており、メモリ向けプローブカードは好調を維持しています。また、青森工場新棟の増産体制を前倒しで強化し、旺盛な需要に対応していきます。また、次世代HBMに向けた新技術の開発を継続的に推進します。
ノンメモリ向けについては、「MEMS-V」「MEMS-SP」を軸として、車載および産業用途の半導体市場の回復を見据え、新規顧客の開拓を強化します。
高性能ロジック向けの垂直型プローブカードの研究開発については、当社としては待ったなしの状況と捉えています。垂直型プローブカードは今後、メモリ分野での展開も予測されるため、本製品の開発に特に力を入れて取り組む考えです。
TE事業においては、半導体向けテスタ「Testalio」およびエンジニアリングプローバ「Excelyze」の売上拡大を目指し、戦略施策を着実に推進していきます。これら2製品は、本来ならFV26の期間中に売上や利益に貢献する計画でしたが、開発がやや遅れたため、現在ようやく顧客評価の段階にあります。今後の成長にご期待いただければと思います。
また、テストソケットおよび高周波(RF)プローブの研究開発と販売強化策を継続的に推進していきます。この高周波向けRFプローブは、エンジニアリングプローバ「Excelyze」とともに販売可能であり、当社としてもこれらの分野に注力していきたいと考えています。
さらに、製品のさらなる販売拡大に向け、海外拠点でのサポート体制を強化する必要があると考えています。テスタやプローバの販売には当然サポートが伴いますので、この分野でもしっかりと売上利益を伸ばしていきたいと考えています。
質疑応答:製造能力とその拡大計画について
質問者:御社は業界に先行して製造能力を増やされ、現在シェアをどんどん拡大していますが、その製造能力について教えてください。今期、最大でプローブカードの製造能力がどのくらいになるか、また今後どのようなペースや時間軸でどの程度増加する予定でしょうか?
長谷川:貴重なご質問をありがとうございます。当社はプローブカードの増産体制を前倒しで整備しています。ただ、数量については外部には公表していないため売上ベースでお話しすると、今期から来期にかけて、おおよそ250億円から300億円前後となる見込みです。
この数値はプロダクトミックスやお客さまの状況によって変動する可能性があり、生産能力を売上ベースで表すとこうした数字になると考えています。
2027年の前倒しに向けて現在設備投資を進めていますが、進捗状況により数字が変化することもあります。2027年後半には影響が出てくると予想しているため、四半期平均で300億円規模を着実に達成できる体制を構築することを目標に、2028年にはさらにそこに近づけるようにしていきたいと考えています。
質問者:今期の売上計画が1,020億円で、四半期で250億円から300億円ということで、最大でも1,200億円だと、少し物足りなさを感じます。もう少し伸びる余地があるのではないかと感じるのですが、いかがでしょうか?
長谷川:今期は期待に応えるべく、前倒しで投資を進めていますので、先ほどお話しした数字はやや堅めの見通しとして捉えていただければと思います。
質疑応答:地政学リスクなどの影響について
質問者:地政学リスクなどの影響についてうかがいます。開示資料にもあるように、中東情勢を含む世界情勢においては、依然として収束が見通しにくい状況が続いています。また、円安や金利の上昇も継続しているのが現状です。
こうした中で、原材料やエネルギー費用、物流費、人件費などの上昇について、御社ではどのように捉えておられるでしょうか? また、その地政学リスクの影響を軽減するために、今後どのような取り組みを進めていかれるのか、コメントいただけますか?
片山:地政学リスクなどの当社の事業に対する影響に関して、まずエネルギーに関しては、直接的なインパクトはそれほどありませんが、インフラ関連で若干の影響を受けています。
具体的には、クリーンルームの稼働に重油を使用しているなどの理由で一部影響がありますが、その影響も非常に限定的です。現時点で試算した結果、大きな金額、例えば億単位に達するようなインパクトではないと言える状況です。
そして、人件費に関してですが、当社はグローバルベースで従業員を抱えており、各国で人件費が徐々に上昇している状況があります。
当社は期末時点で従業員数が約2,000人に達する見込みですが、そのうち当社単体の従業員数が約1,500人と、非常に多い状況です。したがって、地政学的リスクと人件費の関連については、人件費全体が上昇しているものの、日本国内での人件費の上昇が特にインパクトとして現れていると考えています。
調達サイドについては、地政学的リスクやサプライチェーンを考慮し、必要な分を前倒しで精査しながら発注していることは事実です。特に基幹となる部材については、必要数を精査した上で、事業活動に応じて確保しています。
円安については、当社は今期156円で試算しており、モニタリングをしながら業績への影響をみています。金利については、借入残高が非常に限定的であり、長期ではなく短期で対応し、必要に応じて返済や借入を行う自由度の高いシンジケートローンを組んでいます。そのため、金利の影響は主に短期的な部分に限られる状況です。
長谷川:気になる点として、材料費の高騰によってプローブカードの利益が下がるのではないか、という懸念があるかもしれません。しかし現時点では、原材料は上昇傾向にありますが、プローブカードの価格を引き上げなければならないという状況にはまだ至っていません。
ただし、導入を予定している製造設備において、納期の遅延や材料変更といった問題が一部で生じる可能性はあります。それでも現段階では計画に遅れが生じるという状況には至っておらず、当社のもの作りに関してご懸念いただくような問題は、現時点では非常に軽微と考えています。
質疑応答:メモリ向けプローブカードのシェア拡大と生産能力拡張について
質問者:来年度以降、次の中期経営計画にも関連しますが、先ほどDRAMやメモリ関連中心の需要サイドにおけるビット成長についてお話が示されました。需要は最終的にその分野に依存することになると思われますが、テスト時間が延びる可能性が高く、それに伴い製造難易度が向上することも考えられます。
現状のメモリ用のプローブカードのシェアは40パーセント程度と推測されますが、市場が拡大する中で、今後の生産能力の拡張については、現行水準を維持する方針でしょうか?
それとも、有価証券報告書で開示されている大手のお客さま以外への販売や拡販を目指すのであれば、キャパシティをさらに増強する必要があると思われますし、そうした場合には、結果的にシェアがさらに拡大する可能性もあると考えられます。
このような市場拡大の流れの中で、会社としてはどの程度のシェアを目指し、それに対応するキャパシティを整備していくのか、お考えをお聞かせいただけますか?
長谷川:当社はメモリ向けプローブカードのサプライヤーとして、特にNo.1という地位にあります。そのため、すべてのメモリメーカーさまときちんとお付き合いしていきたいと考えています。
ただ、すべての需要に対応するには、現状のキャパシティでは対応しきれていない状況だと認識しています。来期以降も継続的な投資を発表していますが、これをできる限り前倒しで進めていきたいと考えています。
2028年までは先日発表しましたが、その後についても視野に入れながら、2026年後半から2027年にかけて計画を立てていかなければならないと考えています。
どのDRAMメーカーも当社に対して非常に期待を寄せてくださっています。また、必要とされるユニット数も、これまで以上に正確な数字をいただけるようになっていく見込みです。当社としても、そうした期待に応えられる体制を構築していきたいと考えています。
当社の発表がアジア、日本、アメリカ、欧州という地域別の区分けになっており、分析しにくい部分もあるかと思いますが、日本において少ないシェア率を見ても、日本で十分にカバーしきれていないお客さまがいるということを感じています。
そのようなことも踏まえ、当社としては今後も大型投資を継続していかなければなりません。メモリプローブカードサプライヤーとしてNo.1の地位を維持する上でも、これは必要であると考えています。
質問者:現在、結果的にシェアNo.1ではありますが、リクエストをいただきながら、過去数年間は需要が大きく伸びすぎて供給が追いつかなかったという歴史があるかと思います。その中で、もう一段アクセルを踏んで供給体制を整備していくというお考えでよろしいでしょうか?
長谷川:現状において、おそらくお客さまの視点から見て、決められた納期で安定した数量を供給できる会社として当社を評価していただいているようです。現在もみなさま投資を計画し遂行されているところだと思っていますが、足元では急激に大きなシェアを取るという展開にはならないのではないかとも考えています。
2025年の数値が発表され、当社はメモリ分野で41パーセントのシェアを維持し、1位の座を守ることができました。2026年も引き続き、生産拠点で大きな課題が発生することなく進められており、この2025年を上回るシェアを獲得したいという思いがあります。ぜひとも引き続き応援していただければと思います。それにふさわしい努力も続けていきます。
質疑応答:次期中期経営計画と供給体制の見通しについて
質問者:次の中期経営計画は来年からのスタートで、また4ヶ年計画となるのでしょうか? 大分の土地取得も発表されましたが、実際に建物を作り稼働するまで、2028年から2030年にかけてといったスケジュールになると思います。この期間にどのような供給体制を構築していくかが、来年の中期経営計画の1つのテーマになるのではないかと外部からは見受けられますが、この理解で合っていますか?
長谷川:中期経営計画の発表時期については、きちんと分析していきたいと思っています。2026年までのFV26時点では、HBMがすべてのDRAMメーカーにおいて同じような成長を遂げ、急拡大する計画がまだ織り込まれていない状態でした。
しかし、新しいDRAMのHBMが完成し、今後さらに当社がどのような成長を遂げていくのかについては、しっかりと精査していきたいと思います。
実は当初、FV26を2025年までの中期経営計画とするという目標で進めていました。FV25が初期のスタートの計画だったのですが、最終的にFV26となった背景としては、内容をしっかり精査し取り組むという当社の姿勢が反映されています。この点についてご理解いただければと思います。
また、可能であれば2027年から継続しながら、次の中期経営計画に取り組んでいきたいと考えています。
質問者:では、基本的には来年2月頃、新年度とともに中期経営計画の内容を公表できればよいとお考えでしょうか?
長谷川:それがベストだと思います。
質疑応答:利益率の水準と今後の方針について
質問者:利益率についてですが、すばらしい数字を上げています。第2四半期では採算性の良い案件があったかもしれませんが、実力値として、償却費や労務費がかなり上がっている中でもしっかりと利益を稼げていると思います。この30パーセントといったレベル感には、かなりのこだわりを持たれているのでしょうか?
お客さまの需要に応えるのは当然として、売上高も相応に伸びていくかと思います。先ほど話にあったコストアップ要因も多々出てくるかと思いますが、利益率のレベル感について、なにかご示唆いただけるものはありますか?
長谷川:30パーセント前後を維持しながらがんばっていきたいと思っています。第2四半期は3割を超える非常に良いスコアとなりましたが、その背景としては、第1四半期のものが第2四半期にずれ込んだり、反対に、第3四半期のものが第2四半期に前倒しされたりと、非常にプラス要素を含むかたちでの第2四半期成績となりました。そのため、想定していたよりも良いスコアが出ており、うれしく思っています。
反対に、第3四半期は厳しく、最終的な着地点は30パーセントという水準になるかと思います。ただ、「しっかりと工場を効率的に運用していくことで、これぐらいの利益を出せるんだな」というように現場の意識も高まっていると思いますので、当社としてはこの水準、特にメモリが中心となっている間は維持していきたいと考えています。
質問者:以前よりも1段階から2段階、御社への期待が高まっているように思います。「やればできる」という姿勢を結果で示されたことで、さらに高いレベルの業績を期待しています。
質疑応答:各種事業機会の取り込みについて
質問者:現在、事業環境は非常に追い風が吹いており、韓国の最大手企業はHBMへの投資をさらに加速しています。中国のメモリメーカーも大規模な投資を進めており、日本のNANDメーカーも投資を再開しています。また、DDR5用プローブカードに関しても、需要が大幅に高まると予想されます。
御社はこれらの事業機会をすべて取り込める立場にあるのでしょうか? あるいは、地政学的な理由や競争要因などにより、一部の機会を取り込めない可能性があるのでしょうか? この点についてご回答いただけますか?
長谷川:当社のポジションとして、事業機会を取り込める立場にあると考えています。ただし、すべてのリクエストに応えきれないほどの需要をいただいているのが現状です。
質問者:つまり、需要が発生した場合にはすべて対応できており、輸出規制や「ここは取引がないから今もう売れない」といった問題は一切ない、という理解で間違いないですか?
長谷川:おっしゃるとおりです。いわゆる規制などによって第三国へ販売できないといった制約はありません。
質疑応答:DRAMの需要状況とHBMおよび汎用DRAMのモメンタムについて
質問者:需要状況についておうかがいします。受注については、DRAMにおいてHBMと汎用DRAMを分けて開示されていないことは承知していますが、どちらの需要が強いのでしょうか? また、受注のモメンタムに差異などはありますか?
他社ではHBMについて少し受注が先送りになっているという話も聞こえていますが、御社の顧客ではそのような状況はまったく感じられないのでしょうか? また、非常に多くの受注が入っていることは把握していますが、第1四半期から第2四半期にかけてのモメンタムの変化や、今後の見通しについて、汎用とHBMそれぞれに分けてコメントいただけると幸いです。
戸田繁樹氏(以下、戸田):ただいまの質問については、私、経営企画戦略部長の戸田から回答します。
メモリ向けの売上高については、先ほどご覧いただいたと思いますが、今回は受注に関するお話ということで、メモリ部分の売上のうち、DRAMがほとんどを占めています。その中でもHBMの割合は半分以上を占めており、昨年からの四半期ごとの比較でも50パーセント台で推移しています。そのため、HBM向けの需要は引き続き強い傾向にあります。
汎用DRAMやモバイルDRAMについては、四半期ごとに若干の上下動はありますが、全体的な割合は安定しており、受注高が増加しています。その中でHBMの比率があまり変わっていないことを踏まえると、汎用DRAMなどの需要も比較的強いと捉えられるのではないかと思います。今後も同様の傾向が続くと当社では考えています。
質問者:これほど強い需要がある中で、値上げ対応は考えられないのでしょうか?
戸田:当社では個々の値上げや一律でのプローブカード製品の値上げは行っていません。ただ、先ほど利益率上昇についてお話ししたとおり、技術難易度が非常に高い製品の受注が続いています。そのため、結果的に付加価値の高い製品を当社で受注しており、利益率が上昇傾向にあります。
それに伴い、製品の平均単価も上がってきているのが現状です。一律の値上げはしていませんが、結果的に値上げにつながっているといえると思います。
質疑応答:第2四半期における市場シェアの動向と年間見通しについて
「今四半期のメモリ向けプローブカード分野において、御社の市場シェアはどのように変化しましたか?」というご質問です。
直近の四半期ベースにおいて、シェアという面ではきっちり測れていないのが実情です。競合他社の動向を見ても、各メーカーにおいてメモリ向けのプローブカードの売上は上昇傾向にあります。
当社の第2四半期の売上についても先ほどご説明したとおり、かなり上昇していることから、この第2四半期に限れば当社のシェアは若干上昇しているのではないかと考えています。パーセンテージで測ることができていないため、具体的な数字については申し上げにくいですが、上がっていると見込んでいます。
四半期ごとに競合各社や当社ともに上下動がありますので、トータルでのシェアについては年間を通じて見なければなんともいえない部分があります。ただし、当社ではキャパシティの増加を前倒しで進めていることから、年間を通してのシェアの上昇は期待できると考えています。
質疑応答:TE事業における今後の成長原動力について
「TE事業について、より前向きな見通しをお持ちの理由についてお聞かせいただけますか? また、その原動力となっている製品はどのようなものですか?」というご質問です。
長谷川:まず、現在当社の稼ぎ頭となっているのは、当社で「パッケージプローブ」と呼んでいるテストソケットです。この製品が非常に順調に売上を伸ばしています。台湾や中国などで、今後さらなる売上の拡大が見込まれます。
また、当社の製品は周波数帯の高いエリアにフォーカスしたものですので、ソケットの単価はプローブカードほどではありませんが、比較的利益を取りやすいセグメントを攻めています。
さらに、私の説明の中でも触れたエンジニアリングプローバやテスタについても、今後評価が進むことでお客さまにお届けできると考えています。これらが当社の成長の原動力になると考えています。
質疑応答:第2四半期の売上・利益着地および第3四半期の業績予想について
戸田:「売上高計画について、第3四半期はQonQで減収、第4四半期はQonQで増収という計画を立てている背景を教えてください。また、第3四半期の営業利益のQonQの減益幅が売上高に対して大きい(売上高でQonQマイナス33億円、営業利益でマイナス30億円)と見られている要因は何でしょうか?」というご質問です。
こちらの質問に関しては、私から概略を説明します。第2四半期の売上高についてですが、第1四半期からの売上シフト分の増加と、第3四半期からの前倒し売上があったため、当社の生産キャパシティを超える売上高で実績値が着地しました。
もともと第3四半期ベースで利益率の高い製品を見込んでおり、営業利益率も第3四半期は非常に高い水準を予想していました。しかし、その部分がかなり前倒しになったことも背景にあり、第2四半期の営業利益は当初の想定を大幅に上回るかたちで着地しています。
このように、主に第3四半期からの前倒し分が原因で、売上・利益ともに大きく上昇して着地したのが第2四半期の結果です。
第3四半期については、その前倒し分も含めて、前回の業績予想から若干の減収となっています。また、利益率の高い製品が前倒しされたことで、営業利益率が減少するという背景があり、当初の想定をやや下回る予想となっています。
質疑応答:製品別の受注状況および見通しについて
「製品(HBM、汎用DRAM、NAND)別の受注の引き合いは、どのような状況でしょうか? また、第2四半期の受注は、QonQでどのような水準でしょうか? 第3四半期はどうでしょうか?」というご質問です。
受注の個別数値については、今期から開示を控えているため、数値についての言及は控えます。受注に関して、大まかな定性的な話をすると、売上高水準を上回る受注を第1四半期・第2四半期ともにいただいています。
第3四半期以降についても高い受注を計画しており、受注の水準は非常に高い状態が続くとともに、受注残高も右肩上がりで伸びていくと当社では想定しています。