■要約
平和不動産リート投資法人は、平和不動産グループの投資法人であり、中小規模の事業所が集中し、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITである。平和不動産は全国各地の証券取引所やオフィスビルを賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化や札幌再開発事業を推進するなど、再開発事業のデベロッパー事業を幅広く展開している。こうした経験とノウハウをリート運営に活用できることが、同REITの強みである。
1. 2026年5月期の業績概要
2026年5月期(第49期)は、営業収益11,525百万円(前期比7.7%増)、営業利益6,627百万円(同10.7%増)、経常利益5,678百万円(同9.0%増)、当期純利益5,677百万円(同9.0%増)と、営業収益及び各段階利益は、おおむね修正予想どおりに着地した。内部成長では賃料収入年成長率は前期比0.8ポイント上昇の4.5%へ向上し、外部成長でも、借入余力の活用と公募増資による物件取得が進展した。財務運営では、健全な財務基盤を維持した。投資主還元強化の方針に基づき、資産入替による18期連続の譲渡益計上と一時差異等調整積立金の取崩しにより、1口当たり分配金(DPU)は3,990円(同40円増)と21期連続で過去最高水準を更新した。増配は、従来以上に「投資主還元の強化」に経営の軸足を置いた結果であると弊社では評価する。
2. 2026年11月期及び2027年5月期の業績見通し
2026年11月期(第50期)は、営業収益9,558百万円(前期比17.1%減)、営業利益4,600百万円(同30.6%減)、経常利益3,481百万円(同38.7%減)、当期純利益3,480百万円(同38.7%減)を見込む。2027年5月期(第51期)は、営業収益9,764百万円(同2.2%増)、営業利益4,734百万円(同2.9%増)、経常利益3,497百万円(同0.5%増)、当期純利益3,496百万円(同0.5%増)を予想する。DPUは「投資主還元の強化」の方針に基づき、内部留保の取崩しにより、2026年11月期は4,030円(同40円増)、2027年5月期は4,040円(同10円増)と、引き続き過去最高水準の更新を予想する。これらの予想は今後発生する物件譲渡益や物件取得に伴う収益増加は織り込んでおらず、保守的な稼働率やNOI利回り※を前提にしている。このため、新たな物件譲渡及び物件取得などによって達成可能であると弊社では見ている。
※ 実質利回りとも言う。実績賃貸業利益(年換算)/((期初帳簿価額+期末帳簿価額)÷2)×100で計算。
3. 中期目標と成長戦略
同REITは、2025年5月期より「NEXT VISION II+」を始動させ、3つの強化を通じて投資主価値を最大化する施策の拡充に取り組んでいる。「内部成長の強化」ではバリューアップ投資による賃料収入の成長を加速する。「資産回転型戦略の強化」では、譲渡益獲得の継続とバリューアッド運用による含み益以上の実現益創出を目指す。「投資主還元の強化」では、一時差異等調整積立金の取崩しや譲渡益の還元の継続を図る。中期的な数値目標として(1) 分配金4,200円、(2) 資産規模3,000億円、(3) 内部成長として賃料収入年成長率6%とROI10%、(4) 格付AA、(5) 2030年までにGHG(温室効果ガス)90%削減(2018年比)と再生可能エネルギー電力100%、を掲げている。目標達成に向け、潤沢な内部留保残高と含み益の活用などの「攻め」の資金活用によって、バリューアップ工事や物件入替によるバリューアッド戦略を推進することで、サステナブルな投資主還元を目指す。今後予想される金利上昇に対しては、バリューアップ工事による賃料増額によって吸収する計画である。数値目標達成に向けて順調に進捗しており、DPUの成長を支える賃料収入年成長率を従来目標の5%から新たに6%に上方修正するなど、本格的な「Growth」の時代に入った。投資主還元の強化を目指す目標設定は投資主に高く評価されると弊社では見ており、引き続き今後の進捗状況が注目される。
■Key Points
・2026年5月期決算は賃料収入の増加及び譲渡益の寄与で増収増益。DPUは21期連続で過去最高を更新
・2026年11月期、2027年5月期もDPUの最高更新を予想。保守的な前提で達成は十分に可能
・「NEXT VISION II+」を通じて投資主価値の最大化に取り組む。目標達成に向けて順調に推移
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)