免責事項
須藤正樹氏:本日はお忙しい中ご視聴いただき、誠にありがとうございます。ラクオリア創薬株式会社代表取締役の須藤正樹です。本日は、2026年12月期第2四半期(中間期)の決算および足元の状況と今後の展望についてご説明します。
スライドは免責事項です。説明は割愛しますので、別途ご確認ください。
目次
本日は、スライドに示している7項目についてご説明します。
エグゼクティブサマリー
2026年12月期中間期のハイライトをご説明します。まず、連結業績です。ロイヤルティ収入は前年同期比14.4パーセント増と伸長しました。中間期までの収支が計画どおりに進捗したことから、通期の業績予想は据え置いています。
事業収益は14億5,500万円、営業損失は3億3,800万円です。個別の内容については、後のスライドであらためてご紹介します。なお、自己資本比率は70.6パーセントへ改善しました。
上市品の状況についても後ほどご説明しますので、詳細な説明は割愛しますが、「テゴプラザン」の成長とグローバル展開が継続しています。韓国における上半期売上は前年同期比15.4パーセント増、販売国は20ヶ国へ拡大し、適応症の追加や米国での承認取得に向けても進展があります。
また、ペット用医薬品「GALLIPRANT」「ENTYCE」「ELURA」についても、ロイヤルティ収入は引き続き順調に推移しています。
他社にライセンスした導出資産については、外部パートナーを活用した価値の顕在化が前進しています。詳細は後ほどご説明しますが、Lazarus Pharmaceuticals, LLCグループ(以下、Lazarusグループ)との導出契約や、Velovia Pharma, LLC(以下、Velovia社)によるオプション権の行使がありました。
創薬基盤の面では、HK inno.N社との共同研究、子会社ファイメクスによるアステラス製薬株式会社との共同研究、さらに理化学研究所との共同研究の開始があります。財務面では、HK inno.N社との資本業務提携による財務基盤の強化が実現しました。
下半期はロイヤルティの拡大、導出資産の進展、新規導出や共同研究契約の獲得などを通じて収益を積み上げ、成長投資を両立させることで、通期計画の達成を目指していきます。
当社の企業価値は三層構造で成り立っている
個別の数字をお伝えする前に、当社の企業価値の全体像をご説明します。スライドに示している図のとおり、当社の企業価値は三層構造で構成されています。積み木のような図ですが、建物に例えて3階建ての1階、2階、3階としてご説明します。
1階は、安定収益基盤です。「テゴプラザン」やペット用医薬品などの上市品からのロイヤルティ収入が、日々の事業運営や次の成長に向けた投資を支えています。これが現在のキャッシュを生み出す土台です。
2階は、導出資産・パイプライン価値です。すでに導出された資産や既存のパイプラインの価値を高め、マイルストンやロイヤルティといった収益機会を広げる層となります。近い将来から中期にかけての価値を生む部分です。
3階は、創薬基盤・新規成長領域です。創薬基盤そのものを強化することで、将来の開発候補品と次の導出資産を創出していきます。こちらは、中長期の成長を担う層です。
1階で現在を支え、2階で短中期の価値を生み、3階で中長期の成長を実現するということで、この3つが積み重なって当社の企業価値を構成しています。本日は、適宜この三層構造を用いてご説明します。
2026年12月期中間期の進捗
当中間期の進捗を整理しています。まず、1階の安定収益基盤についてです。「テゴプラザン」は韓国での売上が好調に推移しており、市場での存在感が一段と高まりました。
また、米国での開発などを通じて、既存市場の成長と新市場への展開が同時に進んでいます。ペット用医薬品についてもロイヤルティ収益は順調です。土台の収益基盤は着実に厚みを増しています。
次に、2階の導出資産・パイプライン価値についてです。当中間期においては、消化器疾患のパイプラインに関して、米国のLazarusグループと導出契約を締結しました。また、Velovia社が動物薬に関するオプション権を行使したのも、こちらに当たります。外部パートナーを活用しながら、保有資産の価値を顕在化させる取り組みが前進した上半期となりました。
そして、3階の創薬基盤・新規成長領域についてです。競争上の理由により、すべての取り組みをお話しすることはできませんが、HK inno.N社との共同研究、理化学研究所との計算化学およびAIに関する共同研究、子会社ファイメクスにおける標的タンパク質分解誘導剤、いわゆるTPD創薬が該当します。
これらはいずれも、将来の開発候補品と次の導出資産を生み出すための布石です。当中間期は会計上では損失を計上しましたが、企業価値の観点では1階、2階、3階のすべてで着実に歩みを進めた半期であったと考えています。
2026年12月期 中間期 業績概要
具体的な業績についてご説明します。中間期の業績数値です。当中間連結会計期間の事業収益の総額は14億5,500万円、前年同期比5.2パーセントの減収となりました。事業費用の総額は、前年同期比3.9パーセント増の17億9,400万円です。
これにより、営業損失は3億3,800万円、経常損失は3億2,600万円、親会社株主に帰属する中間純損失は4億6,600万円となりました。純損失が経常損失を上回っているのは、法人税など1億4,000万円を計上したためです。また、EBITDAは1億1,200万円の赤字となりました。
なお、通期の連結業績予想については、2月に公表した内容から変更はありません。下半期には契約一時金やマイルストンなどの収益を計上し、通期での黒字達成を目指して取り組んでいきます。
事業収益の内訳・進捗
事業収益の内訳・進捗についてです。通期計画である39億8,000万円に対する進捗率は36.6パーセントでした。内訳として、ロイヤルティが12億2,800万円、その他の収益が2億2,700万円となっています。
ロイヤルティは前年同期比14.4パーセント増と順調に伸びており、これは「テゴプラザン」をはじめとする既存の上市品が堅調に推移していることを示しています。
一方で、その他収益は前年同期比50.9パーセント減と大きく減少しました。この要因として、前年同期に比べて契約一時金やマイルストンなどの一時的な収益計上が限定的だったことが挙げられます。これが今回の減収の主な要因となっています。
四半期推移 | ロイヤルティ収入とその他収入
スライドに、2022年以降の四半期推移をロイヤルティ収入とその他収入の2区分で示しています。当中間期業績が前年同期比で見劣りしている主な要因は、その他収入の減少です。当中間期はマイルストンや新規導出契約に伴う一時金がなく、その他収入は2億2,700万円で、前年同期の4億6,200万円に大きく劣っています。
ロイヤルティ収入は毎四半期に得られるもので、比較的安定していることが見てとれるかと思います。通期では昨年実績の22億4,200万円を超え、さらに伸びが期待される中間期の数字となりました。
一方、その他収入には契約一時金、マイルストン、研究協力金などが含まれますが、これらは開発進展や提携のタイミングに依存し、四半期ごとに変動しやすい特徴があります。当社の過去の実績でも、年の後半に偏りがちです。
当中間期の実績によりご心配をおかけしているかもしれませんが、期初計画に対しては想定どおりの進捗であり、通期の連結業績予想を据え置き、期末に向けて収益を着実に積み上げていく方針です。
連結貸借対照表
連結バランスシートです。資産は前期末比4.7パーセント増の110億600万円となりました。現預金が約13億円増加していますが、これは主に今年1月にクローズしたHK inno.N社との資本業務提携拡大に伴う資金調達の影響です。
売掛金・契約資産は約11億円減少し、回収が順調に進んでいます。長期借入金・未払金・契約負債も順調に減少しており、負債は前期末比12.2パーセント減少しました。
純資産は、前述の資本業務提携で得た資金により、資本金・資本剰余金が約14億円増加しました。中間純損失による減少はありましたが、全体として資本増強効果が上回り、前期末比13.6パーセント増となっています。
その結果、自己資本比率は前期末比5.5ポイント増の70.6パーセントに改善しました。現預金の増加、有利子負債の削減、自己資本比率の改善が同時に進んでおり、研究開発投資および事業成長に向けた財務余力が一段と向上しています。
キャッシュフロー
キャッシュフローについてご説明します。当中間連結会計期間末の現金および現金同等物は、前期末比14億5,200万円、率にして44.8パーセント増加の46億9,300万円となり、キャッシュポジションが大きく改善しました。
営業キャッシュフローは、税金等調整前の中間純損失の影響を受けつつも、売上債権の減少が10億7,500万円のプラスに寄与しているほか、のれん償却額や減価償却費といった非現金費用の寄与もあり、6億1,300万円のプラスとなりました。
投資活動については、投資有価証券の償還と取得があり、さらに子会社株式の取得もあったため、全体で2億9,200万円を使用しました。財務活動では、10億9,900万円の資金流入がありました。主な増加要因は先ほど述べた株式発行による収入であり、一方で長期借入金の返済などによる資金流出もありました。
HK inno.N社との資本業務提携の拡大
バランスシートとキャッシュフローが改善した背景の1つに、HK inno.N社との資本業務提携の拡大があります。
2026年1月29日に、予定どおり払込みが完了しました。第三者割当による調達資金の額は約14億1,100万円です。これが先ほどご覧いただいた資本金および資本剰余金の増加、そして財務キャッシュフローにおける株式発行による収入に該当します。
提携の目的は、資金調達による財務基盤の強化と、割当先であるHK inno.N社との連携のさらなる強化の2つです。
業務提携の内容としては、日本における「テゴプラザン」の独占的な開発・製造・販売権の許諾に加え、当社が保有する開発化合物の価値向上に関する協力、および共同研究の実施などがあります。
当第2四半期においても、後にご説明する代謝・内分泌疾患領域の共同研究をはじめとした取り組みが進行中です。財務面の強化と創薬パイプラインの拡充を同時に進める中長期の成長に向けた戦略的パートナーシップと位置づけています。
資金の状況と配分
資金の状況と配分については、5月の発表から大きな変更はありません。今後3ヶ年の事業収益見通しは128億円、手元資金は53億円に増加しています。コミットメントラインによる借入枠と新株予約権によるエクイティ調達を合わせると、約190億円のキャッシュを3年間で確保できる見込みです。
資金の配分については、2028年まで探索研究投資を中心に投資を進めていきます。また、株主のみなさまへの還元に関しては、現在のところ成長性の拡大を優先したく、配当については財務基盤の強化に応じて実施するという従来の方針を維持しています。自己株式の取得については、利益剰余金を十分に確保できた際に、機動的に検討していく方針です。
当社発の上市医薬品4製品
ここからは、冒頭で示した3階建ての構造に沿って順にご説明します。まず、1階の安定収益基盤です。すでに上市製品からのロイヤルティ収入が、日々の事業運営および次の成長に向けた投資を支えています。
スライドに、当社発の医薬品4製品を掲載しています。ヒト用では胃酸分泌抑制剤の「テゴプラザン」、ペット用では有効成分としては「グラピプラント」と「カプロモレリン」の2つ、製品としては「GALLIPRANT」「ENTYCE」「ELURA」の3品目です。
ヒト用医薬品 | テゴプラザン製品概要
ヒト用医薬品である「テゴプラザン」についてです。「テゴプラザン」は、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)と呼ばれるクラスの医薬品です。胃酸に関わる疾患は数多く、プロトンポンプ阻害剤(PPI)と呼ばれる薬があるものの、アンメットニーズは依然として残っています。
PPIは優れた薬ですが、服用を始めてから効果が出るまでに数日を要します。一方で、「テゴプラザン」は、服用後30分で効果が現れるという即効性や、強力な効果・持続性が特長です。世界の消化性潰瘍剤市場は2兆円規模と言われてきましたが、そろそろ3兆円に達するのではないかと考えられています。市場規模のトップ3は、中国、米国、日本です。
「テゴプラザン」は当社が研究に携わった低分子化合物であり、日本を含む全世界の権利を韓国のHK inno.N社に許諾しています。同社が開発とグローバル展開を進め、現在では20ヶ国で販売されています。
韓国におけるK-CABの売上高は引き続き好調に推移
韓国での販売は引き続き好調に推移しています。韓国での製品名は「K-CAB」で、2026年上半期の処方ベース売上高は1,200億ウォン、日本円にして約132億円でした。前年同期比15.4パーセント増と引き続き堅調で、胃酸分泌抑制剤での市場シェアは15パーセントを記録し、第1位を維持しています。
また、直近の動きとして、5月15日にお知らせしたとおり、2026年4月に全領域の製品を対象とした外来処方売上ランキングで、グローバルファーマの製品を抑えて首位を獲得しました。
販売されている1万種以上の医薬品の中で最も売れた薬となりましたが、これは単なる売上高の話にとどまらず、「テゴプラザン」の価値が医療現場と患者さまに高く評価され、名実ともにNo.1になったことを証明する象徴的な進歩であると言えます。
また、昨年の韓国における消化性潰瘍剤の市場規模はおよそ1,620億円で、2019年比で約1.8倍に達しました。この時のP-CAB製品のシェアは26.4パーセントであり、P-CABの伸びが市場拡大を促している側面が強いと考えています。
韓国における適応症追加
韓国における適応症の追加についてです。こちらは第2四半期ではなく、先月27日に開示した内容ですが、このたびHK inno.N社が「テゴプラザン」についてNSAIDs誘発性潰瘍の予防に関する承認を取得しました。
NSAIDs誘発性潰瘍とは、痛み止めとして広く使用される非ステロイド性抗炎症薬の服用が原因で、胃や十二指腸の粘膜が損傷を受けてできる潰瘍です。上腹部の痛み、吐き気、胸やけ、場合によっては消化管出血を伴うこともあり、NSAIDsを長期に服用する患者さまにとっては大きな課題となっています。
今回の承認は、NSAIDsの長期投与患者を対象に「テゴプラザン」25mgと、既存のPPIである「ランソプラゾール」15mgを比較した臨床試験の結果に基づくものです。
24週時点の胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発生率で、「ランソプラゾール」に対する非劣性が示されました。さらに、12週時点で胸やけ症状のない患者さまの割合が対照群と比べて統計学的に有意に高い結果が得られています。安全性については、11種類のNSAIDsを用いて24週間の投与期間で評価されました。
今回の追加により、韓国における「テゴプラザン」の承認適応症は6つとなり、同じクラスの製品の中で最多となっています。
本件の事業への示唆としては、3点挙げられます。第1に、これまで治療の対象とされていなかった新たな予防ニーズを取り込むことで、韓国市場でのさらなる浸透が期待できます。第2に、適応症の広がりが製品の競争力を一段と強化します。第3に、業績面では今期への影響は限定的と見込まれますが、中長期的な成長に寄与すると考えています。
テゴプラザン | グローバル展開の状況
「テゴプラザン」のグローバル展開の進捗についてご説明します。現在、日本を含む世界57ヶ国で開発・製造・販売などの事業活動を進めています。スライドの地図上で緑色で示している国で製品が販売されており、韓国や中国をはじめとする20ヶ国です。
当第2四半期において、承認手続きの面で進展がありました。1つはベラルーシでの販売承認の取得、もう1つはオーストラリアで販売承認申請が行われたことです。このほか、ブラジルや南アフリカでも承認審査が進行中であり、中東・北アフリカにおいても承認審査段階に入った国があります。
既存市場では、韓国と中国が順調に推移しています。中国では2025年にP-CAB製品としてトップの位置を獲得し、現在も順調だと聞いています。
北米では、米国において承認申請が行われ、現在審査中です。今年5月には、第Ⅲ相臨床試験の結果の一部が国際学会「Digestive Disease Week 2026」で発表されました。こちらは後ほど詳しくお話しします。
米国市場はテゴプラザンのグローバル展開加速化の鍵
ここからは、「テゴプラザン」の今後を左右する米国市場について詳しくご説明します。「テゴプラザン」の次の成長ステージは、やはり米国市場への参入であると考えています。
米国の消化性潰瘍剤市場は約4,000億円で、世界有数の大型医薬品市場とされています。この大きな市場には、いまだ多くのアンメットニーズが存在しています。既存治療の中心であるPPIでは、約4割の患者さまで症状が十分に緩和されないとの報告があります。
また、重症のびらん性胃食道逆流症(EE)の患者さまは合併症のリスクが高く、治癒だけでなく、その後の維持療法が重要となります。
つまり、米国市場では、より早く、より強く、そして持続的に胃酸分泌を抑制できる薬剤が求められています。これはまさに「テゴプラザン」の特徴が発揮される領域です。EE、非びらん性胃食道逆流症(NERD)に加え、維持療法を対象とする承認が取得できれば、当社にとってもロイヤルティ収入の成長機会となります。
それだけでなく、「テゴプラザン」が名実ともに「グローバル・ブロックバスター」の地位を得るための重要なステップになると考えています。次のスライドで、承認取得に向けた第Ⅲ相試験の結果について詳しくご説明します。
米国承認に向けてPPIとの差別化を第III相で明確化
スライドに、米国の第Ⅲ相臨床試験「TRIUMpH試験」の結果を示しています。「テゴプラザン」は、EEおよびNERDのいずれにおいても、すべての主要評価項目および副次評価項目を達成しました。
「テゴプラザン」は、大規模な臨床試験によってPPIに対する優位性を確立した、世界で初めてのP-CABとなります。
5月に開催された学会では、重症のEE患者を対象とした試験結果が報告されました。具体的なポイントとして、早期治癒については投与2週目の完全治癒率が74.1パーセントに達し、対照薬であるPPI「ランソプラゾール」の54.5パーセントを19.6ポイント上回りました。
さらに、長期維持に関しては、24週目の完全治癒維持率が76.4パーセントとなり、「ランソプラゾール」の44.3パーセントに対して32.1ポイントの差がついています。
安全性・忍容性は「ランソプラゾール」と同程度で、長期投与後の血清ガストリン値も正常範囲内に維持されています。臨床上の意義は大変大きく、早期に治し、その状態を長く保つという両方において明確な優越性が示されたと言えます。
事業面についてもお伝えします。米国市場ではP-CABとPPIの差別化が問われており、今回の結果はその裏づけとなるものです。これにより、市場浸透とロイヤルティの成長を後押しすることが期待されます。今後については、2027年1月の承認取得を見込んでいます。
ペット用医薬品 上市3製品
ペット用医薬品の3製品についてです。こちらは引き続き、販売国において安定的な売上を継続しています。
犬の慢性骨関節炎の治療薬「GALLIPRANT」は、当社のロイヤルティ収益に安定的に貢献しており、日本でも販売されています。ご視聴いただいているみなさまの中にも目にされた方がいらっしゃるかもしれません。
グレリン受容体作動薬の「ENTYCE」は米国のみでの販売ですが、「ELURA」は日本でも販売されており、販売国が順次増加しています。いずれも高齢化に伴ってニーズが高まるため、今後は処方がさらに増加することが期待されます。ここまでが、1階の安定収益基盤についてのご説明です。
Lazarusグループとの導出契約
2階の導出資産・パイプライン価値をご説明します。この層は、近い将来から中期にかけて価値を創出する層とご理解ください。当中間期には、具体的に2つの進展がありました。順にご説明します。
まず、6月に公表したLazarusグループとの導出契約についてです。消化器系の導出準備プログラムであった5-HT4作動薬とモチリン受容体作動薬の2つについて、Lazarus Pharmaceuticals, LLC傘下のポートフォリオカンパニーであるGiathera Pharmaceuticals社(以下、Giathera社)およびGiovel Pharmaceuticals社(以下、Giovel社)にそれぞれ導出しました。
いずれもヒト用医薬品分野における独占的なライセンスを付与するもので、今後の開発および商業化は両社が主導します。
5-HT4作動薬は消化管運動機能の改善を目的とした化合物で、第Ⅰ相臨床試験を終了しています。モチリン受容体作動薬も、消化管運動不全疾患への適用が期待される経口の低分子化合物で、前臨床試験を終了しています。
Lazarus Pharmaceuticals, LLCは、消化器領域の専門人材によって設立された米国企業で、アセットごとに独立した開発会社を設立し、外部資金を活用して開発を推進するモデルを採用しています。出口戦略には、IPO、M&A、製薬企業との提携が想定されます。
外部資金を活用した価値創出モデルの実践例
ただいまご説明した導出契約が当社にとってどのような意味を持つかを、さらに掘り下げてご説明します。従来、社内の資源、すなわちヒト・モノ・カネに限りがあることから、開発の優先度を上げにくい資産が存在していました。
今回はそのような資産を1つの資産につき1社という体制で専用の開発会社に導出し、外部資金によって開発を再始動させる組み立てです。具体的には、5-HT4作動薬をGiathera社へ、モチリン受容体作動薬をGiovel社に導出し、それぞれの会社が資金調達と開発を行います。
当社は、自社の資本を投じることなく開発を進め、開発や販売の進展に応じたマイルストンやロイヤルティのかたちで成功時に価値を回収していきます。さらに、Giovel社については株式の割当を受ける権利も確保しているため、事業体の成長そのものを取り込むことが可能です。
契約一時金を設定せず、後段のリターンを重視した設計としています。これは、導出先が開発を進めやすくする意図的な組み立てであり、開発の進展確率を高めることを優先したものとご理解いただければ幸いです。
当社の企業価値を3階建てに例えてご説明していますが、本件はその2階部分、すなわち導出資産・パイプラインの価値向上を目指した取り組みです。自社で抱える選択肢だけでなく、外部の開発主体にパイプラインを育成してもらい、将来の収益化につなげていきます。
Velovia社による動物薬のオプション行使
5月に公表したVelovia社による動物薬のオプション権行使についてご説明します。こちらは、ヒト用医薬品として保有していた既存アセットについて、動物薬という新たな用途と価値を開拓する取り組みです。
過去の経緯について簡単に振り返ると、2024年4月に当社保有の4つの開発化合物を対象に、動物用医薬品を開発するためのオプション付きライセンス契約をVelovia社と締結しました。
その後、Velovia社による開発可能性の評価が進められ、このたび、そのうちの1つの化合物についてオプション権が行使されました。当社はオプション行使に伴う一時金を受領し、Velovia社は当該化合物に関する独占的な権利を取得しています。
将来の価値として、開発の進展に応じた開発マイルストンや商業化に至った場合の販売ロイヤルティ、さらには売上マイルストンを今後の進展に応じて受領する可能性があります。
Velovia社は、Aratana Therapeutics社(以下、Aratana社)の創立者であるDavid Rosen氏により設立された企業です。
Aratana社はM&Aの結果、現在はElanco Animal Health社となっており、当社の重要な収益源である「GALLIPRANT」「ENTYCE」「ELURA」を開発した企業でもあります。このように、動物薬分野において実績と信頼関係のあるパートナーとの連携となります。
本件は先ほどお話ししたLazarusグループとの協業の先行例と言えるかもしれません。今後もVelovia社との連携をより強固にし、開発支援を継続することで、動物用医薬品としての価値の最大化に努めていきます。
研究開発パイプラインの状況
研究開発パイプラインの一覧です。疼痛、消化器、がん領域を中心に、複数のプログラムを展開しています。スライドの左から右に、前臨床から臨床段階までの進捗を矢羽根で表しており、上段が導出済みのもの、下段が導出準備中のものです。
先ほどお話ししたとおり、第2四半期には、5-HT4作動薬とモチリン受容体作動薬をそれぞれ導出しました。また、動物薬については、Velovia社がオプションを行使しています。これらはオレンジの丸で示しています。
未充足のニーズに応える画期的新薬を患者さんのもとに
3階の創薬基盤・新規成長領域についてご説明します。こちらは、次の導出資産を生み出し、中長期的な成長を担う層です。まず、その前提となる当社の創薬に対する考え方を確認します。
当社の原点は、アンメットニーズに応える画期的な新薬を患者さまにお届けすることです。その戦略の根本は、これまで医薬品の創出が困難とされてきた疾患関連遺伝子を創薬力の強化によって開拓する点にあります。
図で示しているとおり、ヒトの遺伝子約2万5,000のうち、疾患に関連する遺伝子は約3,000です。しかし、その中で従来の技術で薬を作れる、いわゆる「ドラッガブル」の標的は約500です。残る大半が、薬にできないとされてきた「アンドラッガブル」の領域です。
この領域を新たな技術によって薬が作れる状態、すなわちドラッガブルに転換していくことがバイオテックである当社の目指す創薬であり、3階の創薬基盤への投資はここに向けられています。
創薬研究基盤 | 低分子化合物および新規モダリティ
アンドラッガブルな標的に挑むために、当社が実施している手段はモダリティの拡張です。創薬研究基盤の強化はバイオテックの生命線であり、当社は引き続きこれに力を注いでいます。当社が豊富な実績を持つ低分子化合物は、今後も重要な柱となります。その上で、新規モダリティへの投資を進めています。
新規モダリティには、アンドラッガブルなタンパク質に挑めるという利点があるほか、技術そのものを強みとして、効率的かつ持続的に新規パイプラインを生み出せるという戦略的な狙いもあります。
具体的には、子会社ファイメクスが取り組む標的タンパク質分解誘導剤のほか、ラクオリア創薬が手がける多様な取り組みがあります。それぞれの特徴については、スライドに記載しています。
標的タンパク質分解誘導剤(TPD)
子会社ファイメクスが手がける標的タンパク質分解誘導剤(TPD)についてご説明します。TPDは、生体内に備わる不要タンパク質の除去機構を利用した新たなモダリティです。従来の低分子薬がタンパク質の働きを阻害するのに対し、TPDはタンパク質そのものを除去することで作用します。この点が最大の特徴です。
幅広い標的タンパク質を対象にできること、そして触媒的に作用するため低用量でも薬効の持続が期待できるなど、従来のモダリティにはない利点があります。
こうした特徴から、TPDは次世代創薬の有力なアプローチとして注目されており、今年5月には世界で初めてTPDの医薬品が米国で承認されるなど、実用化フェーズに入りつつあります。当社にとっても、この流れを捉えることが3階の価値を高める上で重要と考えています。
RaPPIDS | E3リガーゼの選択肢を拡張するプラットフォーム
ファイメクスの創薬プラットフォーム「RaPPIDS」の特徴と強みをまとめました。「RaPPIDS」は、従来型のTPD創薬における課題とされていたE3リガーゼの制約から離れ、選択肢を拡張することで、適用範囲と開発効率の向上を実現するプラットフォームです。
「RaPPIDS」の特徴と強みは、大きく分けて4つです。1つ目は高い生産性、2つ目はE3リガーゼに対するアプローチの独自性、3つ目は独自の新規E3リガーゼに結合する分子をすでに同定していること、4つ目は経口分解剤の創出に向けた設計力です。詳細は別途ご覧いただければと思います。
RaPPIDS | 新規E3バインダーの応用
こちらのスライドでは「RaPPIDS」が実際の創薬プロセスにおいてどのように機能するかを示しています。「RaPPIDS」では、まず「分解できること」を起点に探索を行い、その後に最適なE3リガーゼを選択するという「分解ファースト」のアプローチを採用しています。
このアプローチにより、ヒット探索からリード最適化までを一貫して効率化し、従来のTPDワークフローと比較して迅速な創薬の探索が可能となります。また、従来のキメラ型分解剤にとどまらず、モレキュラーグルー型分解剤の設計にも適用可能で、幅広い創薬戦略に柔軟に適用できる点も特徴です。
「RaPPIDS」は、E3リガーゼ依存という従来の制約を超えることで、TPD創薬における新たなアプローチを提示するプラットフォームです。この領域における課題への認識が高まる中で、グローバルの創薬プレイヤーにもその意義が認識され始めています。中長期的な成長を支える重要な基盤と位置づけ、当中間期に技術基盤の強化と事業開発を進めています。
理化学研究所との共同研究 | 創薬のスピードと成功確率を高める
6月に発表した理化学研究所との共同研究についてご説明します。本共同研究は、理化学研究所の本間光貴ユニットリーダーとの連携により、計算化学・AI技術の創薬応用に取り組むものです。
本間氏は製薬企業の出身で、ファイザー株式会社時代の私の元同僚でもありますが、現在はインシリコ創薬基盤の開発を主導する国際的な研究者です。本共同研究では、理化学研究所と当社がそれぞれ有する知見や技術を活用し、スライドに示している3つの創薬支援技術の確立を目指します。
当社の狙いは、これらの技術を創薬研究におけるDMTAサイクル、すなわちDesign(設計)、Make(合成)、Test(評価)、Analyze(解析)の各工程の加速に役立てることで、サイクルを早く回しながらも1周ごとの精度、すなわち成功確率を高めることです。
AIは人間の研究者に取って代わるものではありませんが、研究者が使いこなすことでその力を発揮します。当社が培ってきた創薬の知見とAIを掛け合わせ、創薬のスピードと成功確率の双方を高めることで、パイプラインの創出力を強化していきます。
HK inno.N社との戦略的協業が三層の価値創出を加速
HK inno.N社との戦略的協業について、あらためて位置づけを整理します。この協業は、単なる資本関係にとどまらず、三層の企業価値創出のすべてを加速させる力になると考えています。
まず、1階部分である安定収益基盤の面です。「テゴプラザン」の日本国内での事業化を同社に託し、その他の国や地域においても両社の連携により価値の最大化を図ります。上市地域の広がりは、そのままロイヤルティ収入の積み上げにつながります。
次に、2階の導出資産の面です。共同研究の成果についてHK inno.N社の開発力とグローバルなネットワークを活用することで、導出機会を広げることが可能となります。短中期の価値顕在化のスピードを高める部分です。
そして、3階の創薬基盤の面です。共同研究を通じて、HK inno.N社が強みを持つ代謝・内分泌疾患領域に進出していきます。当社にとって新たな領域への足掛かりとなり、中長期の成長を支える基盤の拡張につながります。このように、すべての階層に効果をもたらすのが、この協業の特徴です。
HK inno.N社との協業による疾患領域の拡大
研究開発ポートフォリオにおける疾患領域の拡大についてご説明します。スライド右端をご覧ください。こちらは現在の状況を示しており、現在、当社はHK inno.N社が強みを持つ代謝・内分泌疾患領域に進出し、共同研究を通じて創薬研究を行っています。
2010年の「テゴプラザン」のライセンスで始まった協業は、15年の時を経て共同での創薬研究へと発展しました。この積み重ねを土台に、高い付加価値と大きな事業化の可能性を持つ、第二、第三の「テゴプラザン」の創出につなげていきます。
市場評価と企業価値顕在化に向けた課題
足元の収益拡大と中長期的な成長に向けた事業基盤の構築は着実に進んでいますが、市場評価や株価の点では課題が残っています。スライドに示しているグラフは、2026年1月5日を100とした相対株価の推移を示しています。
中間決算の発表前日である8月13日時点で、グロース指数はプラス6.9パーセント、TOPIXはプラス20.1パーセントと推移している一方、当社の株価はマイナス46.9パーセントと軟調です。足元の事業価値と将来の成長可能性を市場評価に十分に結びつけられていないことが課題であると認識しています。
背景には、マイルストンや契約一時金といったイベント収益によって四半期業績が変動しやすいという当社の構造が影響している可能性があります。昨今のバイオ企業の株価形成においては、短期の数値が重視される傾向が全体的に見受けられます。
「テゴプラザン」のグローバル展開や創薬基盤の強化といった中長期的な価値の創出は着実に進んでいます。しかし、短期の数値のみでご評価いただく場合、実態以上に業績が揺らいで見えてしまう点が当社の収益構造の課題となっています。
この課題に対し、三層構造の成果を可視化し、丁寧にご説明する必要があると考えています。これにより、短期の変動に左右されない継続的な企業価値の向上に結びつけていきます。
想定されるカタリスト
最後のパートでは、今後想定しているカタリストを三層の構造ごとに、短期・中期に分けてご説明します。短期を2026年、中期を2027年から2028年としてまとめています。
まず、1階は「テゴプラザン」です。米国においては2027年初頭の承認を見込み、販売開始は同年半ば、売上の本格的な立ち上がりは2028年と想定しています。日本ではHK inno.N社が後期臨床試験に向けた準備を進めており、欧州については現地製薬企業との契約締結が期待されます。
次に、2階の導出資産・パイプライン価値です。TRPM8遮断薬は、第Ⅱ相試験への移行が期待されています。また、導出準備プログラムのフラッグシップであるグレリン受容体作動薬とIRAK-M分解誘導薬については、年内の導出を目指しています。
5-HT4作動薬とモチリン受容体作動薬については、開発の進展に応じたマイルストンの獲得が中期的な視野に入っています。
そして、3階の創薬基盤・新規成長領域です。ファイメクスがアステラス製薬社と実施している共同研究を着実に前進させること、さらに研究段階から収益を得るモデルを拡大し、新たな提携を獲得することが重要な目標です。
このように、当社のカタリストは三層構造であり、複数のプログラムが並行して進み、段階的に発現していく仕組みとなっています。これらが実現することで、リスクの低減、収益の可視化、事業価値の顕在化が企業価値に反映されていきます。当社は、一つひとつのカタリストの着実な実現を目指し、企業価値および株主価値の向上につなげていきます。
今後の重点方針
最後に、今後の重点方針です。4つの方針を進めていきます。1つ目は「テゴプラザン」の価値最大化です。販売国と適応症の拡大に加え、米国での進展を提携先と連携して進めていきます。ロイヤルティ収入の持続的な拡大につながる取り組みです。
2つ目は、導出資産の開発加速です。TRPM8遮断薬、5-HT4作動薬、モチリン受容体作動薬などのプログラムについて、提携先と連携しながら開発を進めていきます。これらは、マイルストン獲得の確度とスピードの向上にも直結します。
3つ目は、成長ドライバーの創出です。共同研究を進めるほか、ファイメクスがアステラス製薬社と取り組むTPDの共同研究から開発候補品を生み出していきます。また、新たな共同研究や技術提携を継続的に開拓し、中長期的なパイプライン価値を積み上げていきます。
4つ目は、投資規律・開示の強化です。収益性と市場評価を両立する上で欠かせない取り組みと考えています。
これらを同時に進め、カタリストの確度とスピード、企業価値への転換力を高めていきます。本日ご説明した3階建て構造を一段ずつ着実に積み上げ、企業価値の向上につなげていきます。引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
質疑応答:事業開発の強化について
「事業開発の強化の戦略が重要だと考えています。ファイメクスでは人材採用など明確な施策をとっていると認識していますが、ラクオリア創薬単体としてはこれまでの状況を踏まえて、どのような課題認識の下で、どのような機能強化を行っているか、具体的に教えてください」というご質問です。
当社としても、三層構造の企業価値の向上を図る上で、事業開発が重要な役割を果たすと認識しています。一般的に事業開発とは導出活動、つまり売り込みをイメージされることが多いのですが、当社ではもう少し広い範囲で捉えています。主に3つの役割があります。
1つ目は、導出候補の資産や共同研究テーマを提携先に提案し、新たな提携や導出につなげる役割です。これは典型的なものです。
2つ目は、既存の提携先との連携を強化し、導出済みの資産の価値最大化を支援する役割です。パートナーとの継続的な情報共有や協力関係を通じて、成功確率を高めることが重要となります。これら2つの役割は、当社の三層構造では3階建ての2階部分、場合によっては1階部分にも寄与します。
3つ目は、市場や提携先企業との対話を通じて、製薬企業が求めるパイプラインや技術の動向を把握し、研究開発にフィードバックする役割です。こちらは、3階の創薬基盤に関わる重要な機能となっています。
人材については、ファイメクスではご指摘のとおり、TPD領域での共同研究の開拓を進めており、それに焦点を当てた人材の強化も行っています。
ラクオリア創薬本体としては、事業開発活動の強化が重要な経営課題であるという認識を持っています。ラクオリア創薬は、三層構造の1階から3階まですべての役割を担っており、人材および体制の両面から強化を進めていきます。
質疑応答:Lazarusグループへの導出に関するリスクについて
「Lazarusグループは実績や資金などの公開情報が限定的であるため、資金調達が進まず開発が停滞し、臨床に至らないリスクについて懸念しています。そのようなリスクについてどのように評価し、それを踏まえた上で本導出に至ったのかを教えてください」というご質問です。
当社では、このスキームの実行体制や今後の開発体制、開発計画について総合的に検討を行っています。資金調達リスクや開発の停滞リスクは、医薬品開発ではすべての開発案件に存在するものであり、本件についても当然あると認識しています。
その上で、今回Lazarusグループと契約を締結した理由は、同社が消化器領域における知識と経験を持ち、有力なパートナーとなり得ると判断したためです。今回の契約では、開発および商業化は相手方が行い、当社はマイルストン収入とロイヤルティを得る権利を保有しています。
一方で、将来の開発成功や資金調達の状況について当社が保証する立場にはありません。そのため、臨床試験が実施される可能性について確率を申し上げることは控えますが、当社は本案件が前進する合理的な可能性があると評価したため導出を行っています。
質疑応答:「テゴプラザン」で期待される適応症追加や剤形追加について
「『テゴプラザン』の韓国でのNSAIDs適応症追加についておめでとうございます。『テゴプラザン』はまだ適応症追加や剤形追加などの余地があると思いますが、以前から言われている中国注射剤以外で期待しているものがあれば教えてください」というご質問です。
お祝いのお言葉をいただき、誠にありがとうございます。「テゴプラザン」は、韓国をはじめ各国で市場浸透が進んでいますが、国ごとに開発戦略には差があると感じています。中国での注射剤開発は、それぞれの国や地域の医療ニーズに合わせた取り組みの1つと言えます。
また、適応拡大や剤形の追加、新たなエビデンスの蓄積による価値向上の可能性は、依然として存在していると考えています。
ただし、個別の開発プログラムや適応症追加の候補に関して、当社から期待度や優先順位について具体的にコメントすることは控えます。これらは、現地の提携先企業が判断する事項であるためです。
その上で申し上げると、当社が期待しているのは特定のテーマというよりも、「テゴプラザン」の全体的な価値が適応拡大や剤形追加を通じて中長期的にさらに成長することです。三層構造でご説明している企業価値において、「テゴプラザン」は1階の中核資産であり、ここが拡大することによる収益基盤の強化の効果は非常に大きいと考えています。
質疑応答:研究開発投資の成果と株価改善策について
「長年にわたり御社の成長を見守ってきましたが、毎年多額の研究開発費を投じているにもかかわらず、具体的な成果が十分に見えてこない現状に大変苦慮しています。成果の停滞が株価低迷の一因となっているのではないかと懸念しています。
したがって、現在の研究開発の進捗および成果に関するご説明と、今後の株価低迷に対する具体的な改善策についての見解をお聞かせください」というご質問です。
当社を長年にわたりご支援いただき、現状も引き続きご支援いただいていることに対し、心より感謝申し上げます。
ご指摘いただいたとおり、当社は長年にわたり研究開発投資を継続してきた一方、その成果が株主のみなさまから十分に見えていない、または株価に反映されていないと感じられる点について認識しています。
ただし、研究開発は着実に進展しており、ロイヤルティ収入、1階部分の価値の中核である「テゴプラザン」やペット用医薬品は、過去の研究開発投資の成果です。
当中間期においても、Lazarusグループへの導出、Velovia社によるオプション権行使、共同研究、そしてファイメクスによる研究開発活動など、将来の企業価値創出にあたる進展がありました。
三層構造でご説明したとおり、1階は上市によるロイヤルティ、2階は導出資産・パイプライン価値、3階は創薬基盤・新規成長領域で構成されています。この層を積み上げることで、企業価値を高めていきます。
ただし、ご指摘のとおり、「ラクオリア創薬は研究開発に意識がいってしまっているのではないか」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私は研究開発自体が目的とは考えていません。重要なのは、その成果を企業価値として顕在化させ、最終的に株主価値につなげることだと考えています。
株価についてはコメントする立場にはありませんが、これら三層の価値向上とその可視化に継続して取り組み、それを投資家や市場にわかりやすく伝えることが重要と考えています。今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
質疑応答:市場の信頼を取り戻すための具体的なアクションについて
「資料に株価が『市場評価につなげきれていない』と記載されていますが、足元では信用買い残が約160万株と高水準で推移しており、株価の上値の圧迫要因となっています。成果の可視化以外に、IR活動の強化や株主還元、あるいは早期の業績着地の事実の提示によって市場の信頼を取り戻すための具体的なアクションをどのように考えていますか?」というご質問です。
「早期の業績着地の事実の提示」とは年の上半期に業績を着地させることだと思いますが、信用買い残を含めた需給に関しては、市場参加者のさまざまな判断によって形成されるものであり、当社が直接コントロールできるものではありません。
一方で、当社としては、企業価値の向上と、それを市場のみなさまに適切にご理解いただくことが経営の重要な責務であると考えています。これまで研究開発や事業開発を通じて価値創出に取り組んできましたが、その価値を市場評価につなげきれていない部分があるのは先ほどお伝えしたとおりです。
そこで今回、当社では三層構造というかたちで企業価値の全体像を整理しました。収益基盤、導出資産、将来の成長領域がどのようになっているかを、価値の内容や時間軸に沿って整理し、よりわかりやすくお伝えする取り組みを開始しました。
また、IR活動として、決算説明会資料の充実や説明会動画の書き起こしに加え、新たに「ENVALITH(エンヴァリス)」というサービスを用いた取り組みも始めています。
いずれにせよ、根本にあるのは事業の成果です。「ロイヤルティ収入の拡大」「導出資産・パイプライン価値の顕在化」「創薬基盤から新たな成長を生み出すこと」の3つを着実に前進させることが、最終的な市場からの評価につながると考えています。
株主還元については、これまでお伝えしたとおり、現時点では研究開発や事業開発への再投資を優先しています。ただし、株主還元を軽視しているわけではありません。収益基盤や財務基盤、成長投資機会、そして当社の資本政策をどのように考えるかといった転換点が近づいていると認識しています。そのバランスを踏まえながら、引き続き検討を進めていきます。
質疑応答:HK inno.N社との共同研究に関する詳細について
「HK inno.N社との代謝・内分泌疾患領域の共同研究に関してです。HK inno.N社は近年、肥満領域を強化し、非インクレチン型の低分子肥満薬の研究にも取り組んでいます。
今回の共同研究でも御社が強みとするGPCRやイオンチャネルの技術を活かし、経口低分子や既存治療とは異なる作用機序など、次世代の肥満・代謝治療を意識した研究となる可能性はありますか?」というご質問です。
まず、この共同研究は現在進行中の案件であるため、研究テーマや標的適応症など具体的な内容については公表していません。その点はご理解いただけると幸いです。
その上で申し上げると、代謝・内分泌疾患領域は世界的にアンメットメディカルニーズが大きく、非常に重要な領域であると認識しています。また、当社はご認識のとおり、これまでGPCRやイオンチャネルの領域での創薬を強みとして研究開発を進めてきました。
今回の共同研究においても、当社の創薬技術や知見を活用して価値創出を目指している点や、複数の取り組みを行っている点に変わりはありません。ご指摘のとおり、代謝・内分泌疾患領域においては、近年さまざまな作用機序やモダリティへの関心が高まっています。
当社としても大きな可能性を感じている分野であり、相応の努力を注いでいますが、研究段階の案件については競争上の理由からお話しできることが限られる点については、ご理解いただけると幸いです。
質疑応答:下半期における収益計上の見通しについて
「今回、上半期に計上されなかったマイルストン収入や契約一時金収入を下半期に見込んでいるとのことですが、具体的にどのような案件を想定していますか?
また、その収入が入る時期について、現時点でわかる範囲で教えてください。すでに契約が決まっていて下半期の計上を見込んでいるものなのか、それとも今後の契約成立を前提としているものなのか、教えていただけますか?」というご質問です。
まず、当社は通期業績予想を据え置いています。この据え置きの前提となる下半期の収益には、マイルストン収入や契約一時金収入など、一時的な収益を一定程度見込んでいます。一方で、個別案件の内容や時期、進捗状況、交渉の具体的な段階については、契約交渉への影響等を鑑みて具体的な回答は差し控えます。ご了承ください。
また、ご質問の「すでに契約が決まっているのか、それとも今後の契約成立を前提としているのか」についても、個別案件の細部に関わるため、コメントは控えます。現時点で特定の案件や時期について示すことはありませんが、通期業績予想の達成に向けて取り組んでいます。
なお、当社の業績予想は、各案件の進捗状況や実現可能性を踏まえて策定しています。ただし、現時点では個別案件ごとの計上時期や金額について具体的にお知らせするのは難しい状況です。この点についてはご了承ください。収益計上の見通しに重要な変化が生じた際には、適宜適切に開示します。
質疑応答:「テゴプラザン」のロイヤルティ収入の拡大見通しについて
「『テゴプラザン』は、韓国において売上が累計で1兆ウォンを超え、中国でも病院採用が進むなど、製品として大きく成長していると認識しています。
一方で、ロイヤルティ料率や契約詳細が非開示であり、成長に関して御社が受け取るロイヤルティがどの程度拡大するのか見えにくい状況です。中国や米国で成功した場合でも、ロイヤルティが大きくならないのではないかという懸念を市場は持っていると思います。
『テゴプラザン』の今後の主要市場の成長により、御社が受け取るロイヤルティ収入にはどの程度の拡大余地があると考えているのかをお聞かせください」というご質問です。
当社はロイヤルティを受領していますが、契約条件の詳細は開示していません。そのため、提携先が発表していない予想に基づく具体的な将来規模の見通しについては困難です。
ただし、グローバルに販売地域を拡大し、適応症の追加や新たなエビデンスの創出が進むことで、長期的なロイヤルティ収入の成長につながると期待しています。現在の主要な成長ドライバーとしては、韓国市場の成長と中国市場の拡大が上半期の業績を牽引してきました。
今後も価値向上につながる多くの要素が存在していることから、成長の余地は依然としてあると考えています。
多くのご質問をいただき、ありがとうございました。以上をもちまして、ラクオリア創薬株式会社2026年12月期中間期の決算説明会を終了します。すべての質問をご紹介できず、大変申し訳ありませんでした。
本日はお忙しい中、ご視聴いただき誠にありがとうございました。引き続き、ラクオリア創薬へのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。