マネーボイス メニュー

グロービング Research Memo(7):JI×AI-Xを基盤にAI-PFと投資・M&Aの3本柱で非連続成長目指す

■中長期の成長戦略

1. 今後の成長の全体感・イメージ
グロービングは、今後もJI型コンサルティングを収益基盤とし、AI-X、AI-PF、投資・M&Aを組み合わせることで、人的リソースへの依存度を下げながら成長速度を高める方針である。新たな中長期構想「GoFor2031/Vision2040」では、事業を「JI×AI-X」「AI-PF」「投資・M&A」の3本柱に整理した。JI×AI-XとAI-PFで顧客企業に「経営OS」を実装し、そこで得た資金や業界知見をM&A先の価値向上にも生かす循環を構築する。

2031年5月期に向けては、連結売上高を2026年5月期の115億円から1,200億円へ拡大し、年率約60%の成長を目指す。売上高の70%以上をAI関連とする計画である。基盤事業のJI×AI-Xは2031年5月期まで売上高年平均成長率35%、営業利益率35%を目標とし、AI-PFは同年度に売上高40億円、営業利益率50%を想定する。投資・M&AではAI関連企業を連続的に買収・統合して成長させるロールアップを進め、2031年5月期に売上高600億円を目指す。2032年5月期以降はAI-PFと投資事業の比重を高め、日本の製造業、伝統工芸、食・農業、観光・おもてなしなどへ対象を広げる考えである。

同社が掲げる「AIデジタル荘園構想」は、日本企業に蓄積された技術、匠の技能、企業哲学、現場の知恵をAIで継承し、経営人財と資本を組み合わせて事業価値を高める構想である。最終的には、このモデルを海外へ展開し、日本の価値を世界へ届けることを目指す。コンサルティングフィーを中心とする収益構造には、AI-PFの利用料などの継続収益と、M&A先の価値向上による投資収益が加わるため、成長の源泉は人員数の増加から知識・ソフトウェア・資本の複合活用へ移る見込みである。

2. 経営体制
同社は、2026年8月27日開催の定時株主総会での承認などを条件に、同年12月1日付で持株会社体制へ移行する予定である。現在の同社は「WAOホールディングス」へ商号を変更し、コンサルティング事業とAI事業は新たな事業会社が承継する。同社の現商号はその事業会社が引き継ぐ。持株会社はグループ戦略、経営資源の配分、ガバナンスを担い、各事業会社は環境変化に応じて迅速に意思決定する体制となる。

持株会社化の主眼はM&Aの受け皿を整え、買収後の企業に自律性を持たせながら統合を進める点にある。2031年5月期までは、先端技術を持ちながら収益化や顧客開拓に課題を抱える国内AI企業を主な対象とし、時価総額が数十億円規模の企業を複数社取り込む方針である。同社のCxOとの関係、上流案件の獲得力、単価・稼働率管理、採用・育成の仕組みを移植し、買収先の売上高と利益率の改善を図る。投資先の選定では、戦略コンサルティングで培ったビジネスモデルの分析力、外資系プライベート・エクイティ(PE)ファンド向け支援で蓄積したデューデリジェンス(投資先の事業・財務・法務等を精査する買収監査)能力、人財ビジネスの運営力を活用する。

2032年5月期以降は人財サービス、マーケティング・ブランディング、BPO(業務プロセスの外部委託)などへ買収領域を広げるほか、暗黙知のAI化が競争力を高めやすい製造業や日本文化に関わる事業も対象とする考えである。コンサルティング会社が他社の経営を支援するだけでなく、投資先を長期保有して自ら経営を実践する事業会社・投資会社へ進化する構想であり、持株会社化はそのための組織基盤となる。

3. コンサルティング事業の成長戦略
同社は、AIによる代替が進みやすい人員補完型のコンサルティング市場は縮小すると想定する一方で、経営者の右腕を担うJI人財と、業界・業務に深く根差した知見の価値は残ると判断している。このため、基盤事業を従来型コンサルティングから「JI×AI-X」へ発展させる。経営課題の設定から実行までを担うJIと、AIを前提に業務や組織を再設計するAI-Xを一体で提供し、2031年5月期まで売上高年平均成長率35%、営業利益率35%を目指す。2032年5月期から2040年5月期までは、海外展開を含めて年平均成長率20%、営業利益率35%を目標としている。

2026年5月期のコンサルティング事業は、売上高が前期比35.2%増の11,107百万円、セグメント利益が同34.6%増の5,051百万円となった。連結売上高に占めるJI売上高は68.9億円、売上比率は60%へ上昇し、第4四半期には69%に達した。アカウントの大型化も進み、年間売上高10億円以上が2社、5億円以上10億円未満が4社、1億円以上5億円未満が16社となった。2027年5月期は既存の大型顧客を維持したうえで、10億円近傍まで予算を確保した顧客が新たに2社ある。顧客企業の当事者として参画するJIの特性が、契約の長期化と取引領域の拡大に結び付いている。

今後のサービス提供では、独自のデリバリーモデルが重要になる。第1段階では、ビジネスと業務の双方を理解するシニアクラスのコンサルタントがJI人財として経営者や部門責任者と対話し、変革要件を把握する。第2段階では、FDEとジュニアコンサルタントがAIを活用し、設計、必要な範囲のプログラミング、プロンプト設計を担い、意思決定AIや暗黙知PFを顧客企業へ実装する。第3段階では、実装したAI-PFがデータや知識を取り込み、継続的に価値を生む。基盤モデルは特定企業の技術に固定せず、Anthropic、OpenAI、Microsoft、Googleなどと連携する設計である。シニア人財の経営対話力、FDEの実装力、外部AIの進化を組み合わせる点が、従来のコンサルティングとの差別化要因となる。

人財構成も同モデルに合わせて変える。2031年5月期近傍には、グローバル展開を含めてパートナー、ディレクター、シニアマネージャー、マネージャーの層を厚くし、FDEを30人から300人へ増やすことで、合計800人、売上高500億円を目指す。人財数を約3.7倍、売上高を約4.6倍へ伸ばす計画であり、1人当たり生産性の向上も織り込む。なお、2027年5月期は調整後コンサルタントを四半期当たり約15人増やしつつ、平均年収2,000万円程度を維持するほか、顧客との関係を持つパートナークラス、JI人財、AI人財の採用を優先し、高単価と高生産性を両立できる体制を整える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。