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ミトラグループ、年間8万件超の専門業務を支援 業務自動化で受注余力と利益率向上へ、28年2月期営業利益10億円目標

INDEX

成宮正一郎氏(以下、成宮):みなさま、こんにちは。ミトラグループ株式会社代表取締役社長の成宮正一郎です。本日はお忙しい中、当社のIRセミナーをご視聴いただき、誠にありがとうございます。

当社は金融・不動産・建築・士業専門家の領域で、不動産に関する専門業務を支援している会社です。本日は、当社の事業内容や今後目指す成長について、個人投資家のみなさまにもできるだけわかりやすくご説明します。

本日は、大きく4つのパートでご説明します。初めに当社の会社概要、続いて事業概要、業績と成長戦略、最後に株主還元についてお話しします。まずは、ミトラグループがどのような会社なのかをご紹介します。

4つの専門領域をBPaaSで支える会社

成宮:当社グループは、金融、不動産、建築、士業専門家の4つの領域において、不動産に関する取引プロセスの専門業務を支援する会社です。

当社は2007年に設立し、2014年に上場しました。2026年2月期の売上高は50億7,000万円、営業利益は3億2,000万円、グループの従業員数は314名です。

事業規模をイメージしていただくための数字として、住宅ローンを取り扱うネット銀行6行のうち5行に当社のサービスが導入されています。

また、グループ全体では年間8万件を超える業務を取り扱っており、この件数は当社自身が不動産を売買している件数ではなく、金融機関や不動産事業者、建築事業者、士業専門家のみなさまからお預かりしている多岐にわたる専門業務の取扱件数になります。

そのため、一般の消費者のみなさまが当社の名前を直接目にする機会は多くありませんが、実際には住宅ローンや不動産売買、住宅建築、登記、相続といった身近な場面の背景で不動産取引を支えている会社であるとご理解いただければと思います。

長期グループビジョン

成宮:当社グループが長期的に目指している姿は、こちらのスライドに示されています。「『専門性×革新的サービス』で未来を支える社会インフラ企業へ」という長期グループビジョンを掲げています。

「専門性」とは、士業専門家の業務支援を原点に培った専門知識や業務ノウハウ、リスク管理の力を指します。

一方で、「革新的サービス」は、このような専門性にシステムやデジタル技術を掛け合わせ、従来は複雑でアナログだった業務を、より簡単に、確実に、そして安全にしていくことを意味しています。

このような取り組みを通じて、最終的には社会にとって「無くてはならない」サービスを提供する企業グループを目指しています。

MITRAグループを理解する4つのポイント

成宮:本日の説明でぜひ押さえていただきたいポイントを、4つに整理しました。

1つ目は独自性です。金融・不動産・建築・士業専門家の4領域において、専門業務をBPaaSで支援しています。

2つ目は安定性です。売上高の81パーセントがBPaaSとクラウドシステムで構成されています。

3つ目は成長性です。業務自動化によって受注余力と利益率を向上させ、その先のシェア拡大へとつなげていきます。

最後の4つ目は株主価値です。資本効率の向上と安定配当の両立を目指しています。

これら4つのポイントについて、以降の各スライドで具体的にご説明し、最後にもう一度まとめたいと思います。

MITRAグループのBPaaS

成宮:まずは当社の事業の特徴であるBPaaSについてご説明します。BPaaSという言葉は、あまり聞き慣れない方も多いかと思います。簡単に申し上げると、専門業務をBPO(人)とSaaS(クラウドシステム)を組み合わせ、一連のプロセスとして支援するサービスです。

当社の場合、スライド左側のBPO、つまり専門知識を持った人財やオペレーションセンターによる業務処理と、スライド右側のSaaS、つまり専門業務に合わせて開発したクラウドシステムを組み合わせています。

ポイントは、システムの提供だけで終わらず、そのシステムを使って実際に行われる専門業務の処理まで含めて支援している点です。

お客さまからすると、一連の業務をまとめて任せることが可能です。これにより、専門知識が求められる業務を品質を維持しながら効率的に処理し、お客さまの業務を継続的に支えている点が、当社のBPaaSの特徴となります。

MITRAグループの役割

成宮:では、なぜこのようなサービスが必要なのかという点です。金融機関、不動産事業者、建築事業者、士業専門家の現場では、専門人財の不足、業務の複雑化、デジタル化への対応など、さまざまな課題があります。

一方で、最終的な消費者にとっても、不動産に関する手続きは難しく、時間や手間のかかるものが少なくありません。

そこで当社は、クラウドシステム、専門業務サービス、オペレーションセンターを組み合わせることで、複雑でアナログな業務のデジタル化や非対面化、自動化を推進しています。

これにより、事業者の生産性、利便性、安全性を向上させるとともに、その先にいる消費者に対して、より簡単で便利な取引環境を提供することが、当社グループの役割です。

創業~現在までの変遷(事業領域の拡大)

成宮:当社グループの事業の原点について簡単にご紹介します。当社グループは、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、不動産鑑定士、一級建築士といった士業専門家による合同事務所を原点としています。そこで培った専門知識や業務ノウハウを活かし、まず士業専門家への支援を拡大しました。

その後、住宅ローンに関する手続きを支援する金融領域、不動産売買を支援する不動産領域、さらに住宅建築を支援する建築領域へとサービスの範囲を広げてきました。現在は、金融・不動産・建築・士業の4つのソリューション事業を展開しています。

つまり、当社の4つの事業は、別々に生まれたものではなく、士業専門家の高度な専門性を起点とし、周辺の取引プロセスへ事業領域を広げてきたものです。

MITRAの歩み(時流と環境変化への適応)

成宮:当社グループのもう1つの特徴として、法改正や社会環境の変化をサービス開発の機会としてきた点が挙げられます。例えば、2000年代には住宅ローン手続きを非対面化し、2016年には不動産売買の契約・決済をキャッシュレスかつ非対面で行うサービス「H’OURS(アワーズ)」を開始しました。

近年では、オンラインでの手続きの拡大や相続登記の義務化といった変化に対応し、登記申請システムを持つサムポローニア社をグループ化することで、相続手続きに必要な相関図作成の自動化を進めています。

このように、制度や社会の変化によって新たに生まれる課題を捉え、専門性とテクノロジーで解決してきたことが、現在の事業基盤につながっています。

商号変更の背景

成宮:このような事業領域の拡大を踏まえ、当社は2026年6月1日にエスクロー・エージェント・ジャパンからミトラグループへ商号を変更しました。

旧商号である「エスクロー」には、「中立的な第三者」としての取引を支えるという当社の原点が込められています。この役割や、信頼・誠実・公正という価値観は、これからも変わることはありません。

一方で、現在は4つの領域に事業を広げています。この中で、これまで培ってきた強みを引き継ぎながら、より幅広い分野で社会を支える企業グループへと成長していくという意思を新しい商号に込めています。

以上が当社グループの概要です。続いて、4つの事業において具体的にどのようなサービスを提供しているのかをご説明します。

MITRAグループの提供価値

成宮:まず、全体像をご覧いただいた後に、4つの事業について順番にご紹介します。当社グループでは、金融、不動産、建築、士業専門家の4つの領域で、不動産取引に関わるさまざまな専門業務を支援しています。

図の中央をご覧いただくと、住宅ローン、不動産売買、住宅建築、不動産登記や相続手続きなど、不動産に関連する一連の取引プロセスに当社グループが関わっていることがわかります。

また、このような専門業務の現場では、図の左側に示しているように、非対面化、ペーパーレス化、自動化、業務状況の可視化、そして情報のデータベース化といった対応が求められています。これに加えて、これらの業務には専門知識が必要であり、煩雑な事務作業も多く含まれています。

当社では業務を代行したり、システムによる効率化を図ったりすることで、お客さまが本来の付加価値の高い業務に集中できる環境を提供しています。

また、その先にいる消費者に対しても、手続きの非対面化、デジタル化、自動化を進めることで、利便性と安全性の向上を実現しています。

MITRAグループの競争優位性

成宮:続いて、当社グループの競争優位性についてです。当社には大きく3つの強みがあります。1つ目はDX推進力です。複雑でアナログな専門業務を、自社開発の独自クラウドシステムによってデジタル化し、業務プロセスそのものを改善します。

2つ目はオペレーションセンターです。業界基準に準拠したセキュリティの高い環境下で、安定的に大量の業務処理が可能な体制を構築しています。

3つ目は専門性です。創業以来培ってきた金融、不動産、建築、士業専門家向けの各分野における業務構造や法制度に対する深い知見があります。これらの強みを当社は一体として持ち合わせている点が重要です。

専門知識だけがあっても、またはシステムだけがあっても、大量の専門業務を安定して処理することはできません。当社は、専門知識を持った担当者、その知識を活かす仕組み、安全に大量処理できる体制を組み合わせています。

この組み合わせが当社の参入障壁となっていると考えています。

では、このような強みをどのように展開しているのか、4つの事業の全体像をご覧ください。

4つの事業領域と事業基盤

成宮:金融ソリューション事業では金融機関や保証会社、不動産ソリューション事業では不動産事業者、建築ソリューション事業では建築事業者、士業ソリューション事業では士業専門家を主なお客さまとしています。中央には、それぞれの主力システムと年間の利用実績を記載しています。

4つの領域それぞれにおいて、専門業務とクラウドシステムを組み合わせたサービスを展開していることが、当社グループの事業基盤です。また、スライド右下のグラフをご覧いただければ、現在は利益面で金融ソリューション事業の割合が高いことがわかります。

ストック性の高い安定的な収益構造

成宮:当社グループの事業をご理解いただく上で、もう1つ重要なポイントは収益の安定性です。2026年2月期の売上高において、BPaaSが59パーセント、クラウドシステムが22パーセントを占め、合計で81パーセントがBPaaSとクラウドシステムで構成されています。

これらのサービスは、一度導入されるとお客さまの業務プロセスそのものに組み込まれて利用されます。また、システムだけでなく、専門性を備えたオペレーションとクラウドシステムを一体で提供しているため、お客さまに継続的にご利用いただいています。

これは単発的な売上ではなく、継続利用されるストック性の高い収益構造につながっています。冒頭にご紹介した安定性の背景には、この81パーセントという売上構成があります。

金融ソリューション事業

成宮:ここからは4つの事業が具体的にどのような課題を解決しているのか、順番にご紹介します。

まずは金融ソリューション事業です。この事業では主に金融機関や保証会社に対して、住宅ローンや相続に伴う専門業務を支援しています。例えば、住宅ローンの手続きでは多くの書類や専門知識が必要となり、専門人財の確保やリスク管理が課題となります。

また、相続手続きでは、戸籍を確認して法定相続人を特定するなど事務作業が多く、金融機関にとって業務負担が大きくなりやすい領域です。

住宅ローンでは、専用システム「Escrow Platform System」を活用して手続きの進捗管理や専門業務のオペレーションを行い、さらに担保不動産が融資対象として問題がないかを確認する調査・評価を支援しています。

これにより、金融機関の業務効率化や安定運用、リスク低減に寄与しており、年間の利用実績は約4万5,000件になります。

成長機会としては、ネット系金融機関による住宅ローン取扱拡大に加え、相続関連手続きの需要増加や、AI・自動化を活用した対象業務の拡張を見込んでいます。

不動産ソリューション事業

成宮:不動産ソリューション事業についてご説明します。不動産売買においては、契約から決済までの間に複数の関係者との日程調整や資金の受け渡しが必要となります。

当社の「H’OURS」は、どこまで手続きが進んでいるかをシステム上で共有するとともに、取引資金を安全に管理するため信託口座を活用し、資金の管理や送金を行っています。

これにより、現金を用意したり関係者が対面で集まって資金を受け渡したりする負担を軽減し、安全性や確実性を高めるとともに、取引のキャッシュレス化や非対面化を支援しています。

年間の利用実績は約6,900件です。今後は、不動産取引におけるキャッシュレス需要に加えて、金融機関による担保適格性の判定、すなわちその不動産が融資対象として問題がないかを確認する業務についても需要が拡大すると見込んでいます。

建築ソリューション事業

成宮:次に、建築ソリューション事業についてご説明します。住宅建築の現場では、多くの工程や関係者が関わるため、業務の属人化や品質のばらつき、煩雑な工程管理が課題となっています。

住宅を建てるまでには、実際の工事だけでなく、土地の状況を確認するための測量や設計、建築確認申請など、さまざまな専門業務が必要になります。

当社では進捗管理システムを活用し、現場・本社・関係者の情報をつなげるとともに、現場全体を計測して3Dデータ化する3D点群測量や、建物の高さの基準となる設計GL、建築確認申請などの専門業務を提供しています。

また、企業の課題となっている、担当者による品質のばらつきを抑え、業務の効率化を図るために、業務の進め方やルールを整理して標準化を支援するサービスも行っています。

年間の利用実績は1万8,000戸になります。今後は、規制強化や手続きの煩雑化・複雑化、人手不足を背景に高まる外部委託や業務標準化のニーズに応え、取り組んでいきます。

士業ソリューション事業

成宮:最後に4つ目ですが、当社グループの原点でもある士業ソリューション事業についてです。士業専門家の業務では、お客さまから依頼を受けた案件の管理に加えて、書類の作成や確認、押印、郵送など、多くの事務作業が発生しています。

特に相続では、先ほどの金融機関と同様に、戸籍を確認して相続人を特定したり、相続人同士の関係を整理したりする作業も必要になります。

当社では、司法書士をはじめとする士業専門家に対し、登記や相続業務を効率化するシステムを提供しています。

代表的なサービスは、司法書士業務を総合的に支援する「サムポローニア9」で、司法書士業務支援システムとして業界シェア約30パーセントを誇ります。

その他、本人確認や電子署名を支援する「サムポロトラスト電子署名」、相続手続きにおいて相続人の関係を整理し相続関係説明図の作成を自動化する「AI相続ミツローくん」などを提供しており、現在約2,600ユーザーに利用されています。

これらのサービスによって、人が一つひとつ確認・作成していた作業を効率化し、士業専門家が専門的な判断やお客さま対応に、より多くの時間を割ける環境を支援しています。

士業専門家の業務でも、アナログ対応からデジタルへの移行が進んでいます。また、相続案件の増加もあり、業務効率化だけでなく自動化や正確性の向上に対するニーズも高まっています。相続関連の手続き需要は金融機関や自治体にも多く、これらを成長機会として捉えています。

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):今、4つの事業についてお話しいただきました。事業ごとに、固定料金なのか従量課金なのかを教えてください。

成宮:課金の形態で申し上げると、主力はBPOとSaaSという2つの機能を同時に提供しているBPaaSです。BPOの多くは、処理した件数ごとに費用を頂戴する従量制が主流です。一方で、SaaSについてはソフトウェアの提供になるため、ライセンスフィーや月額利用料として固定料金をいただくものが多いです。

また、「H’OURS」のように、固定と従量の2つを組み合わせた課金形態を一部のサービスで提供している場合もあります。

Ken:ちなみに原価でいうと、やはり人件費が大きな割合を占めるのでしょうか? 

成宮:おっしゃるとおりです。社員の中では、BPOで専門業務を担う人財の割合が高いため、人件費が原価の中で最も大きな構成要素を占めています。また、外部に委託している部分に関しては外部委託費、さらにシステムの開発や運用コストも含まれています。

Ken:先ほども少し触れられたと思いますが、効率化がさらに進むことで、人件費や外部委託費をもう少し抑えることができるというお考えなのでしょうか? 

成宮:まさにそのとおりです。ちょうど進行中の中期経営計画の3ヶ年計画でも、業務の標準化や効率化による生産性向上を1つのテーマとしています。

すべての業務を完全に自動化することは、現状では専門性の面から難しい部分もあります。しかし、可能なところから自動化や半自動化を進めることで、1件当たりの処理工数が、例えば20分から10分、5分に短縮されると、当然コストも下がります。

一方で、需要が増加しているため、削減した余力によって、現在の体制で2倍、3倍の業務をこなせるようにすることを目指しています。

Ken:ある意味、売上にも直結するようなイメージですね。

4事業に共通する成長ドライバー

成宮:ここまで4つの事業をご紹介しましたが、これらに共通する成長の背景についてご説明します。大きく3つあります。

1つ目は労働人口の減少です。いずれの分野でも、専門知識を持った人財を確保し、育成することが難しくなっています。すべての業務を自社で抱えるのではなく、専門的な業務を外部に委託したいというニーズが高まっています。

2つ目はデジタル化の加速です。紙や対面で行っていた手続きや、担当者個人のスキルや経験に頼っていた業務についても、システム化や自動化が求められています。

そして3つ目は、リスクの多様化です。企業は高齢化や法改正、さらにはサイバーリスクなどへの対応が必要となる一方で、業務の品質や安全性に対するニーズがさらに高まっています。

このような環境変化に対し、当社は先ほどご説明した「DX推進力」「オペレーションセンター」「専門性」といった3つの強みを活かしていきます。

これらの強みを基盤として最優先で進めるのが、グループ内における業務自動化です。先ほど申し上げた自動化がこれにあたります。

重点的に進めているのは、シェア拡大です。業務自動化によって生産性や処理能力を向上させ、より多くの受注に対応可能な体制を構築することで、お客さまや取扱量の拡大を図り、事業の持続的な成長につなげたいと考えています。

Ken:2025年4月の建築基準法の改正に伴い、4号特例が縮小されました。これによって検査対象戸数が増えたり、確認申請が長期化して困りごとが増えたりしているという話も耳にしますが、これらの点は御社にとって追い風といえるのか、もう少し具体的に教えていただけますか?

成宮:これは当社にとって追い風だと感じています。実際、現場レベルでも確認申請の業務が規制強化によって複雑化・高度化している状況です。そのため、専門業務を外部に出そうという動きも非常に活発になっており、現場感覚としてもポジティブに捉えています。

Ken:今後も確認項目や構造計算が増える可能性もありそうですが、その点でよりDX化を進めたいといった新たな需要が生まれる可能性はありますか?

成宮:おっしゃるとおり、あると思います。どのセグメントでも専門業務への要求が高まる中で、当社はAIを活用してDX化を進めています。例えば、建築分野では、検査図面と現場の施工状況が一致しているかどうかをAIで自動的に判断する仕組みを導入しています。これまで属人的な判断に頼っていた部分をAIにより効率化し、対応しています。

そのため、規制の強化は当社にとってビジネスチャンスだと捉えています。引き続き、そのような動向を確実にキャッチアップしていきたいと思っています。

業績推移

成宮:それでは、ここからは業績と成長戦略についてご説明します。

まず、これまでの業績の推移についてです。売上高は事業領域の拡大に伴い成長しており、2020年2月期の約32億円から2026年2月期には約51億円まで拡大しました。一方、利益については成長基盤を作るための人的資本投資、すなわち人への投資やDXへの継続的な投資の影響を受けて推移しています。

今期は、売上高および営業利益ともに前期を上回る計画です。

2027年2月期の業績予想と進捗

成宮:今期2027年2月期の第1四半期までの進捗についてご説明します。売上高は12億4,500万円で、前年同期比8.1パーセントの増収となりました。通期計画に対する進捗率は20パーセントです。営業利益は9,300万円で、前年同期を大きく上回っています。ただし、この利益の増加には貸倒引当金の戻入などの影響が含まれています。

貸倒引当金とは、将来代金などを回収できない場合に備えてあらかじめ見積もっておくもので、その一部が不要になったため発生した影響です。このため、第1四半期の利益にはこのような要因も含まれますが、売上は増収基調を維持しており、通期計画の達成に向けて各施策を進めています。

中期経営計画2027目標と現在地

成宮:スライドは中期経営計画の目標と現在地です。当社は2028年2月期に売上高62億円、営業利益10億円を目標としています。

スライド左側のグラフをご覧いただくと、売上高は今期予想ですでに中期経営計画の目標水準に到達する見込みです。一方で、営業利益は今期予想が6億2,400万円であるのに対し、中期経営計画の目標は10億円となっています。

中期経営計画の基本方針では、業務の標準化・自動化による生産性の向上を掲げています。また、お客さまに対しては、より専門性の高いサービスを提供し、対応可能な業務範囲を広げることを目指しています。

同時に社内では業務改革を進め、より効率的に業務を処理できる体制を構築します。このように両面からアプローチすることで、売上の成長だけでなく、利益を十分に残す事業構造の構築を進めていきます。

Ken:売上がほぼ横ばいの予想といいますか、中期経営計画を最初に定めた時期よりも今期の予想がかなり良いという話かもしれませんが、その一方で営業利益が大きく伸びる見込みとなっています。その内訳について教えていただけますか?

成宮:営業利益が伸びる要因としては、2点挙げられます。

1つは、業務の効率化として、標準化、自動化を進めることで生産性向上が寄与する点です。従来30分や20分をかけていた業務を半分程度に短縮する効果が見込まれます。これが1点目です。

もう1つは、不動産ソリューション事業の黒字化や各事業の採算性の改善により、利益を押し上げていくことです。以上の2点が主な要素となります。

Ken:業務改善の部分については、ある程度具体的な進展が見込めているということなのでしょうか? 

成宮:そのとおりです。やるべきことはすでに明確になっているため、現在は3年目となる来期にその効果を発揮するべく最終調整を行っている状況です。

当社グループの成長のための重要指標(KPI)

成宮:では、この成長を実現する上で、当社が重視する指標についてご説明します。

KPIについてですが、これは事業成長を確認するために特に重視している指標のことです。当社グループでは、受注件数を重要なKPIとしています。

利益の仕組みを簡単に表すと、図に示されたように、件数に単価を掛け、その値からコストを差し引いたものが利益となります。つまり、利益を拡大するために重要なのは、受注件数を増加させることです。

ただし、受注件数が増えるに伴い、人手や作業時間が比例して増えてしまうと、コストも増加してしまいます。

したがって、受注件数を増やすだけではなく、1件当たりの作業工数を削減し、同じ体制でより多くの案件を処理できるようにすることが重要となります。

件数を増やすために導入社数や受注件数を拡大する取り組みとしてシェアの拡大に注力し、コストを抑えるためには業務工数を削減しながら処理スピードや品質を向上させる取り組みとして、業務の自動化を推進しています。このうち、最優先で取り組んでいるのが、業務の自動化です。

Ken:先ほどお話に出た不動産ソリューションの黒字化ですが、このポイントはやはり自動化の取り組みにありますか? それとも、さらに売上を伸ばしていくことで黒字化が見えてくるということなのでしょうか?

成宮:不動産ソリューション事業については、今のご質問に関連して、3つの要素があります。

先ほど出ている「H’OURS」というサービスですが、これは不動産の契約や売買をキャッシュレス・非対面で行うもので、新規のお客さまや既存のお客さまからの利用件数が増えてくるという点が1つ目の要素です。

2点目は、主に金融機関がお客さまである担保適格性判定業務に関連する内容です。
当社のノウハウや知見として、不動産の知識があります。

金融機関が融資を行う際には「この不動産を担保に取ってよいかどうか」というプロセスがあります。その判断をする際に行われる担保適格性判定業務は、専門性が非常に求められる分野であるため、この分野の需要が着実に伸びています。この受注件数が増加していることが、2つ目の要素となります。

3つ目の要素として、不動産ソリューション事業には不動産オークションというサービスが含まれています。昨年1年間に営業体制を大幅に強化したことで、取引件数のストックが積み上がり、これが今年度および来年度以降、着実に売上と利益に貢献すると見込まれます。これらの3つの要素が主な要因です。

ご質問についてお答えすると、先ほど申し上げたのは、受注件数の増加が主な要因であるという点です。ただし、同時に業務の効率化を進めることで工数を削減しながら、利益や処理能力を向上させる取り組みも並行して行っています。

最優先施策:業務自動化

成宮:では、最優先施策である業務の自動化についてご説明します。

当社グループは、これまで大量の専門業務を処理する中で、業務の進め方や判断に関する経験やノウハウを蓄積してきました。そのノウハウをもとに、お客さまや担当者によって異なる業務のやり方を整理し、できるだけ同じ手順で処理できるように標準化します。その上で、AIやシステムを活用し、確認作業や入力作業などの自動化を進めています。

これにより、処理能力やスピードを向上させるだけでなく、業務の正確性や品質の向上にもつながります。

スライド右側には、各事業で進めている具体例を記載しています。例えば、不動産ソリューション事業では「H’OURS」における送金業務の高度化や、担保適格性判定業務の効率化に取り組んでいます。

一方、建築ソリューション事業では、従来は担当者が目視で確認していた内容の一部をAIでチェックすることで、業務の効率化や品質の均一化を進めています。

このような取り組みにより、1件当たりにかかる工数を削減し、同じ人員数でより多くの案件を処理できる体制を整えることが、利益率の向上につながっています。

重点施策:シェア拡大

成宮:より多くの仕事を受けられる受注余力を高めることで、業務自動化によって生まれた余力を活用し、重点施策であるシェア拡大、すなわち件数の増加に取り組んでいます。大きく3つの方向から進めています。

1つ目は、既存のお客さまとの取引を深めることです。例えば、現在1つの業務をご利用いただいているお客さまに対して、当社が支援できる業務の範囲を広げることで、1社当たりの取扱件数を増やしていきます。

2つ目は、新規顧客の獲得です。4事業それぞれで、これまで取引のなかった企業にもサービスを導入いただくことで、顧客基盤を広げていきます。

3つ目は販売チャネルの活用です。代理店や全国のネットワークを活用し、より多くのお客さまにサービスを届けていきます。

スライドの右側には、各事業の具体例を記載しています。このように、業務自動化を進めることでより多くの仕事を受けられる体制を整え、受注余力を持たせ、取扱件数を増やすというステップを踏んでいます。

Ken:ネット銀行の6行のうち5行が導入しているということで、サービス範囲の拡大が今後の成長ポイントとのことですが、具体的にはどのような部分をさらに拡大していくのかについて、担保のお話も含めてもう少し詳しくご説明いただけますでしょうか? 

成宮:この部分については、まず新規のお客さまを開拓しながら、既存のお客さまの業務範囲を広げる取り組みを進めています。

例えば、住宅ローンの入口だけではなく、その後の管理業務を受注できないか、あるいは相続といった新たな領域に進出できないかを検討しています。新規のお客さまの獲得に加え、既存のお客さまに対しても受注範囲を広げる取り組みを進めています。

株主還元

成宮:株主還元についてご説明します。まず、配当ですが、2027年2月期から中間配当を開始し、中間3円、期末3円、1株当たり年間合計6円を予定しています。

スライド右側のグラフをご覧いただくと、2024年2月期以降、年間6円の配当を継続していることがわかります。

また、スライド左側には、株主のみなさまからお預かりしている資本を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標であるROEを記載しています。当社が算定している株主資本コストは6.6パーセントです。

今後も、強固な資本基盤を維持しつつ、資本コストを上回るROEの実現と安定配当の維持を目指していきます。

(まとめ)MITRAグループの成長ポイント

成宮:最後に、本日の内容を4つのポイントで振り返ります。

1つ目は、独自性です。「専門性」「DX推進力」「オペレーションセンター」という3つを組み合わせて提供している点が特徴です。

2つ目は安定性です。売上高の81パーセントがストック型のBPaaSとクラウドシステムで構成されている点です。

3つ目は成長性です。人手不足やDX化といった事業者の課題に対し、業務の自動化やシェアの拡大を重点的に進めていることが挙げられます。

そして、4つ目は株主価値で、資本効率の向上と安定配当の両立を目指しており、進行期では年間6円の配当を予定しています。

当社グループは、専門業務をより効率的かつ安定的に提供し、さらに多くのお客さまへのサービス提供が可能な体制を整え、4事業の持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。私からの説明は以上です。

質疑応答:競合と自社の強みについて

飯村美樹氏(以下、飯村):「競合にはどのような企業があるのか、その中での御社の優位性は何なのかを教えてください」というご質問です。

成宮:競合について申し上げると、当社が提供している専門性、クラウドサービス、そしてオペレーションセンター、この3つを掛け合わせている点において、直接的な競合はあまりいないと考えています。

例えば、BPOのみ、もしくはシステムを開発しているSaaS事業者など、部分的には競合と言える事業者は存在します。しかしながら、専門サービスと独自のクラウドシステム、オペレーションセンターを一体として提供することが当社の強みであり、参入障壁でもあると考えています。この点が当社の強みであるとご理解いただければ幸いです。

質疑応答:「AI相続ミツローくん」の導入進捗について

飯村:「『AI相続ミツローくん』における現在の自治体導入状況が知りたいです」というご質問です。

成宮:2026年度(今年度)から、全国で12の自治体に正式導入されています。「AI相続ミツローくん」より前に「相続財産管理システム」というシステムもありましたが、そのシステムを含めると現在16都道府県の25自治体で利用されています。

現在商談を進めているのは、自治体の場合、来期の予算というかたちになります。今年度も非常に多くの自治体と商談やトライアルを進めているというところが、導入の進捗状況です。

飯村:今後は「AI相続ミツローくん」に、自治体が切り替えを進めていく方向になるのでしょうか? 

成宮:これまでは自治体の方がご自身で対応されていました。具体的には、戸籍を集めて目視と経験を駆使し、手作業で対応していたのですが、それを「AI相続ミツローくん」の導入によって改善します。

現在、戸籍の取得自体は、制度上、国が紙での交付しか対応していません。しかし、それをクラウド上にアップロードすることで、わずか5秒から10秒ほどで家系図のようなものを作成できます。これまでアナログで行われていた作業を、「AI相続ミツローくん」を活用することでデジタル化する取り組みを進めています。

飯村:今後、導入する自治体が増えていくでしょうね。

成宮:自治体の方々から多くのお悩みやお問い合わせをいただいており、大きな手応えを感じています。

質疑応答:銀行代理業の取り組みと現状について

飯村:「『会社四季報』2022年2集春号にあった銀行代理業の許可取得はどうなりましたか?」というご質問です。

成宮:銀行代理業を1つテーマにしていたのは、金融ソリューション事業の中において、特に住宅ローンにおける一定のプロセス全体を丸ごと受託するという取り組みを行っているためです。

つまり、銀行代理業を行うことで、受託業務の範囲が広がると考えました。その範囲を広げ、さらに、自社拠点で複数の銀行さまから同じような業務を集約することで、大量処理のスケールメリットを出せないかと試みたのです。

しかし、銀行代理業を取得する場合、1つの銀行ごとに代理権を取得する必要があり、さらに、セキュリティ基準やレギュレーションにより、センターに業務を集約しても、1区画ごとにセキュリティを区切らなければならないといった課題がありました。これは当然のことではありますが、金融機関における合理化や集中処理によるメリットを十分に見出すことができず、結果的に代理業自体は現在も取得していません。

現時点では、積極的に代理業の取得を目指していくということは考えていない状況です。

飯村:内情がよくわかった結果、ということですね。

成宮:おっしゃるとおりです。

質疑応答:株主構成について

Ken:「大株主の中央グループホールディングスとは、どのような会社ですか?」というご質問です。

成宮:簡単に申し上げると、中央グループホールディングスは、現在代表取締役会長を務めている、当社創業者の資産管理会社です。

質疑応答:SaaS導入とBPOサービス提供の関連性について

Ken:「失礼ながら、ちょっとわかりづらい事業をされている部分が大きいかなと感じました。社長ご自身が端的に何の会社という言い方をするのがわかりやすいと思いますか?」というご質問です。

ちなみに、SaaSを導入している企業は、BPOも必ず実施しているようなイメージなのでしょうか?

成宮:そのとおりです。

Ken:この場合、どのように事業内容を表現されることが多いのでしょうか? 

成宮:一番わかりやすい例を挙げると、ネット銀行です。当社がシステムの裏でさまざまな専門業務を担わせていただいていることで、消費者の方々はスマホやタブレット、PCなどを使うだけで住宅ローンを組むことができます。

このように裏から支えている企業で、例えばパソコンで言うと、現在はあまりCPUとは言わないかもしれませんが、そのような存在だと一言で申し上げることがあります。

Ken:なるほど。確かにわかりやすい説明ですね。

成宮氏からのご挨拶

成宮:最後までご視聴いただきありがとうございます。ミトラグループは、専門性と革新的なサービスを通じて、社会に欠かせないインフラを作り上げていきたいと考えています。

お話しした4つのセグメントを着実に成長させることで企業価値を向上させ、「今後楽しみな会社だな」と感じていただけるよう、結果でお応えしていきます。

今後ともミトラグループにご期待いただければ幸いです。本日はありがとうございました。

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