メタリアルの連結子会社である株式会社ロゼッタ(国内市場No.1のAI翻訳サービス開発・提供会社)は2026年9月10日、高精度産業翻訳AI「T-4OO」の『超高精度(熟考)』モードにおいて、外部システムから機能を呼び出すためのAPI対応を開始したことを発表した。
先週9月3日に案内された「高精度」モードのテキスト翻訳API対応に続き、今回はその上位に位置し、かつセンテンス単位の修正必要率0.05%で「ほぼ完全自動翻訳」を実現した『超高精度(熟考)』モードが初めてAPIに対応する。ロゼッタが提供する最も精度の高い翻訳を、顧客のシステム側から直接呼び出せるようになる点が今回の中心的な内容となる。
これまで同モードは操作画面からの利用が前提であり、大量文書の処理や定期的な翻訳業務には人手の介在が不可欠であった。今回のAPI対応により、製品マニュアルや契約書など品質が求められる文書の翻訳を、画面操作を介さず既存の業務フローへ組み込むことが可能となる。同社が掲げる新ビジョン「人手修正不要な翻訳AI」は訳文の修正の無人化にとどまらず、翻訳作業そのものの無人化を志向するものであり、今回のリリースはその実務面での一歩と位置付けられる。
7月30日の「高精度」モードファイル翻訳API、9月3日の同モードテキスト翻訳APIに続く今回のリリースにより、約1か月半でT-4OOの主要な翻訳モードがAPIから利用可能な体制が整った。顧客は業務内容や求める品質水準に応じてモードを使い分けながらシステムへ組み込めるようになる。また、APIの開放によりRPAやワークフローツールの一工程として高精度翻訳を組み込む提案も現実的となり、翻訳が単体ツールの利用にとどまらず業務システムの構成要素として定着していくことは、同社の提供する翻訳AIが「担当者が使うもの」から「業務プロセスの一部として自動的に走るもの」へと変わるということになり、他サービスへの乗り換えが起こりにくくなる。中長期的には、契約の継続性や利用量の積み上がりにつながる性質のものとなろう。
本リリースを含め、足もとではロゼッタの開発ペースが加速している。同社は高精度産業翻訳AI「T-4OO」の『高精度』モードの対応言語を、2026年8月25日付で106言語に拡充していた。また、8月6日には、「超高精度(熟考)」モードの翻訳結果画面の「誤訳可能性」コメント欄に、訳文が妥当と考えられる理由を示す「妥当性根拠」を表示する機能を追加し、妥当性の判断とチェック作業を同一画面上で進められるようになり、翻訳後チェックの手間削減と専門分野の翻訳確認の効率化を図った。一連のアップデートは、2025年12月4日に開示した新ビジョン「人手修正不要な翻訳AI」の実現に向けて重要な機能追加を進める流れの中で行われており、新機能の開発ペースが加速している。「超高精度(熟考)」モードの利用増に伴い、コアニーズ層の高精度翻訳の利用ワード数は4月中旬から6月末までの3ヶ月弱で140%超に増加している。
なお、同社は中期的な目標として、2030年2月期に連結売上高150億円を掲げている。これは、2030年から適用される新たな上場維持基準である「時価総額100億円以上」への適合を見据えた目標でもある。
同社の足元の株価は510円、PERは約35倍となっており、第1四半期業績発表を受けての500円半ばから下落した水準にある。ただし、第1四半期の業績悪化は、大型案件の受注遅延や一時的な先行費用に加え、汎用AIによるライトニーズ層の代替という構造的な市場変化が影響したことによるものであり、その環境変化を踏まえて中長期戦略の転換を断行した点については、現時点の株価に十分織り込まれていないと考えられる。株価も420円を下回る水準から、戻りを試す展開となっている。
今後は、コアニーズ層向けAI翻訳の拡大、「完全自動翻訳AI」の投入、FDEによるAI実装支援を通じた収益化が進み、売上成長と利益率の改善が確認されることが、株価見直しの重要なカタリストとなろう。今回はそれが順次進んでいることの開示となる。さらに、M&Aによる事業拡大が計画どおり進展すれば成長シナリオの確度が高まり、2030年2月期の売上高150億円の達成も視野に入る。なお、長期的には売上1,000億円を目指す方針も掲げられている。