■米早期利上げ懸念や中東情勢悪化による原油高を嫌気
今週の日経平均は先週末比1009.60円安(-1.6%)の64011.34円で取引を終了した。週初は買い先行で大幅高。先週末の雇用統計が上振れたことで早期利上げ懸念が強まり、米国市場の主要指数は下落したものの、半導体株が逆行高となっていたことで、人工知能(AI)・半導体関連株が上昇を牽引した。ただ、中東情勢を巡る不透明感が強まり原油相場が上昇したため、翌日以降はリスク回避の動きが優勢となって、伸び悩む展開となった。「サウジアラビア当局が複数のエネルギー関連施設で火災が発生したと公表した」と報じられたことから、警戒感が強まる状況となったようだ。また、週前半にはドル円相場が一段と下落する場面もあり、下押しの一因ともなった。
原油相場の上昇、日米での利上げ懸念が強まる中も、10日の株式市場は売り先行後に切り返す動きとなった。TSMCの好調な月次売上高が材料視され、韓国半導体株などが上昇し、国内の関連銘柄にも買いが波及したようだ。ただ、週末11日には大幅反落、下げ幅は一時2000円超の水準となり、8月4日来の水準にまで沈む場面がみられた。フーシ派による港湾都市モカの制圧、イランによる弾道ミサイルの生産再開などが報じられ、中東情勢の緊迫化が一段と強まり、原油先物相場が一時1バレル104ドル台半ばまで上昇、5月中旬以来の高値をつけたことが売り圧力に。また、米国の8月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る伸びとなったことも警戒材料視された。
■日米の金融政策イベントが最大の関心事に
今週末の米国株式市場は上昇。ダウ平均は前日比509.19ドル高の52573.29ドル、ナスダックは同251.31ポイント高の26333.04で取引を終了した。225ナイト・セッションは日中終値比550円高の64510円。8月消費者物価指数(CPI)はコア指数の上昇率が市場予想を上回り、9月連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測が強まった。ただ、原油価格の上昇が一服したことで、市場心理は改善する形となった。
来週は日米で金融政策イベントが予定されており、ともに市場へのインパクトが想定される。CPIを受けて15-16日開催予定の米FOMCでは利上げ実施の可能性が高いとみられる。前任のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長時代と違って事前のコンセンサスが形成されておらず、短期的には、利上げ決定を受けてネガティブな反応を見せよう。一方、利上げ見送りの場合でも、先行きの利上げ実施懸念が拭えない状況に変化はなく、かつ、トランプ大統領が公然とFRBに利下げ圧力をかける中で、独立性に対する懐疑的な見方が浮上することにつながりそうだ。
一方、日銀金融政策決定会合では、6月会合以来3カ月ぶりの追加利上げが確実視されている。中立金利の推計中央値である1.75%までの利上げ継続(さらにあと2回の利上げ)も想定されており、植田日銀総裁の会見も、改めての円安進行につながるようなハト派的な姿勢にはなりにくいだろう。仮に、米国が利上げを見送った場合は、日銀の継続的な利上げ実施が円高の加速化につながる可能性がある。出尽くし感も強まりにくく、株価のアップサイドにつながるようなイベントにはならないだろう。
■翌週にはリバウンド見据える局面も到来へ
9月は米国株を中心に最もパフォーマンスが悪化しやすい月として知られている。逆に言えば、月後半に差し掛かる翌週は、9月通過後の株価リバウンドを見据える局面であるともいえよう。それぞれ期待材料としては捉えにくい翌週の日米金融政策イベントを通過することも、買い安心感を強めやすいと考えられる。一向に改善の兆しが見えない中東情勢や、米中間選挙の接近などは例年と様相を異にしているが、日経平均株価も再度26週移動平均線にタッチするなど調整は進んでおり、近くあく抜けムードは強まることとなろう。
28日には配当権利付き最終売買日を迎えることで、28日から29日には配当再投資の買い需要が発生する。一部試算では、約1.6兆円の先物買い需要が発生するとされており、翌週はこうした買い需要を先取りする動きなども顕在化していこう。また、9月24日には習近平中国国家主席が訪米を予定しているとも伝わっている。国賓待遇としてもてなすとされ、米中関係の改善につながるとの期待感が高まる余地も考えられる。
■日米で金融政策イベントが開催
来週から翌週、国内では、16日に7月機械受注、8月貿易統計、8月訪日外客数、18日に8月消費者物価指数、24日に9月S&Pグローバル製造業PMIが発表される。ほか、17日から18日にかけて日銀金融政策決定会合が開催され、18日には植田日銀総裁の会見が予定されている。また、17日から21日にかけては東京ゲームショウが開催される。なお、19日から23日までシルバーウィークのため5連休となる。
海外では、15日に中・8月小売売上高、8月工業生産、8月都市部固定資産投資、米・9月NY連銀製造業景気指数、16日に米・8月輸出入物価指数、8月小売売上高、9月住宅市場指数、17日に米・8月住宅着工件数、建設許可件数、9月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、新規失業保険申請件数、18日に米・8月鉱工業生産・設備稼働率、23日に米・9月S&Pグローバル製造業・サービス業PMI、24日に米・8月新築住宅販売件数、新規失業保険申請件数、25日に米・8月耐久財受注などが発表される。なお、15日から16日にかけてFOMCが開催され、16日にはウォーシュFRB議長の会見が予定されている。