■要約
アイリックコーポレーションは、自社開発したワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム(R)」(以下、「保険IQシステム」)を活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。2025年9月には、自らのテクノロジーが持つ“確かさ”を信じて行動する人々が集う場所という思いを込め、タグラインを「Sure Tech Company」に変更した。
1. 保険クリニック事業、FA事業、ソリューション事業、システム事業を展開
同社は保険分析・販売支援のプラットフォーマーとして、「保険IQシステム」を活用した来店型保険ショップ「保険クリニック」の運営(直営、FC)のほか、金融機関・保険代理店・企業代理店向け生命保険現状把握・検索提案システム「AS」シリーズを中心とする保険分析・販売ソリューション、AI搭載次世代型光学的文字認識システム「スマートOCR(R)(以下、「スマートOCR」)」を中心とするAIプロダクト・クラウドサービスなどを展開している。「保険IQシステム」を活用し、最良の顧客サービスをコンサルティングから契約までワンストップソリューションで展開していること、業界唯一の商品比較システムである「AS」シリーズを中心としたソリューションを保険代理店・銀行・保険会社等に対して提供できることが同社の強みである。事業セグメント区分は保険クリニック事業、FA(Financial Advisor)事業、ソリューション事業、及びシステム事業としている。
2. 2026年6月期は予想を下回り営業減益で着地
2026年6月期の連結業績は、売上高が前期比16.3%増の10,964百万円、営業利益が同5.2%減の703百万円、経常利益が同5.5%減の711百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.8%減の392百万円だった。ソリューション事業において想定していた大型案件が顧客都合により未受注となったことを主因に、期初予想を下回った。売上面は保険クリニック事業の順調な拡大などにより増収で過去最高だったが、利益面は営業費用やマーケティング費用の増加、システム開発の先行投資の影響などにより減益だった。なおEBITDA(=営業利益+減価償却費)は同4.8%増の1,082百万円で小幅ながら増益だった。
3. 2027年6月期は2ケタ増収増益予想
2027年6月期の連結業績は売上高が前期比14.5%増の12,556百万円、営業利益が同15.6%増の812百万円、経常利益が同14.4%増の814百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.2%増の444百万円と、2ケタ増収増益を見込んでいる。売上面は各セグメントとも増収を見込み、利益面では、保険クリニック事業の出店加速や人材採用・育成、ソリューション事業のMRR(Monthly Recurring Revenue)拡大に向けた先行投資などによって費用が増加するが、増収効果やストック売上の積み上げによって吸収する。なお3ヶ年計画の最終年度(2028年6月期)の目標達成に向け、2027年6月期は利益成長よりも人材や商品開発等の成長投資を優先する。保険クリニック事業は店舗数増加やWebプロモーション効果により来店数・成約件数が増加基調であること、FA事業は募集人増員などにより収益力が高まっていること、ソリューション事業及びシステム事業では期末に向けてストック売上の積み上げが進展することなどを勘案すれば、好業績が期待できると弊社では考えている。
4. 2028年6月期にROE20%以上を目指し、株主還元も強化
2025年8月に策定した3ヶ年計画(2026年8月期~2028年6月期)では、さらなる成長と資本効率の両立の実現を目指し、最終年度2028年6月期の目標値として売上高15,205百万円、営業利益1,578百万円、営業利益率10.4%、ROE20.0%以上を掲げている。計画2年目の2027年6月期は2ケタ増収増益ながら計画を下回る見込みとなったが、最終年度2028年6月期については計画を据え置いた。株主還元については2026年6月期より基本方針を変更し、連結配当性向の目安を50%以上(従来は30%台程度)に引き上げるとともに、中間配当を開始した。また原則として減配しない累進配当を導入するなど株主還元を強化した。
■Key Points
・2026年6月期は予想を下回り営業減益で着地
・2027年6月期は2ケタ増収増益予想
・2028年6月期にROE20.0%以上を目指し、株主還元も強化
■会社概要
タグラインは「Sure Tech Company」
1. 会社概要
同社は、自社開発したワンストップ型保険分析・検索システム「保険IQシステム」を活用し、保険分析・販売支援プラットフォーマーとして事業展開するFintech企業である。2025年9月には、自らのテクノロジーが持つ“確かさ”を信じて行動する人々が集う場所という思いを込め、タグラインを「Sure Tech Company」に変更した。
2026年6月期末時点で本社を東京都文京区本郷に置き、事業所は本社及び大阪支店(大阪市中央区)である。グループは同社、連結子会社の(株)ライフアシスト(以下、LA)、(株)インフォディオの3社で構成されている。LAは保険販売事業を、インフォディオは「スマートOCR」等のソフトウェア開発を展開している。資産合計は6,415百万円、純資産は3,983百万円、自己資本比率は60.8%、発行済株式数は8,708,000株(自己株式530,667株を含む)である。
2. 沿革
同社は1995年7月に東京都新宿区で設立され、1999年12月に来店型保険ショップ「保険クリニック」を本格始動した。2004年4月には汎用型IQシステム(現 「保険IQシステム」)を完成し、同年7月に「保険クリニック」FC事業を開始した。2018年4月にはインフォディオが「スマートOCR」を開発した。その後、Fintech企業として「保険クリニック」の店舗網(直営、FC)を拡大するとともに、「AS」シリーズ及び「スマートOCR」の開発・拡販を推進している。2023年10月にLAを連結子会社化したほか、2024年8月に(株)人生設計より来店型保険ショップ6店舗を譲受したのを皮切りに、2025年にはブロードマインド、県民保険サービス(有)、アセットガーディアン(株)より店舗を譲受した。株式関係では2018年9月に東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場へ新規上場し、2022年4月の東証の市場再編に伴ってグロース市場へ移行した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)