■アイリックコーポレーションの業績動向
3. 財務の状況
財務面を見ると、2026年6月期末の資産合計は前期末比363百万円増加して6,415百万円となった。主に現金及び預金が173百万円減少した一方で、顧客関連資産が275百万円増加、保証金が130百万円増加した。負債合計は同324百万円増加して2,431百万円となった。主に契約負債が125百万円減少した一方で、短期借入金を500百万円計上した。なお長短借入金合計残高は同516百万円増加して532百万円となった。純資産合計は同38百万円増加して3,983百万円となった。主に利益剰余金が16百万円増加した。この結果、自己資本比率は同3.4ポイント低下して60.8%となったが、これは業容拡大に伴う資産・負債の増加が主因であり、特に警戒される水準ではない。キャッシュ・フローの状況にも懸念材料は見当たらず、財務面の高い健全性が維持されていると弊社では評価している。
■今後の見通し
2027年6月期は2ケタ増収増益予想
1. 2027年6月期連結業績予想の概要
2027年6月期の連結業績は売上高が前期比14.5%増の12,556百万円、営業利益が同15.6%増の812百万円、経常利益が同14.4%増の814百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同13.2%増の444百万円と、2ケタ増収増益を見込んでいる。売上面は各セグメントとも増収を見込み、利益面では、保険クリニック事業の出店加速や人材採用・育成、ソリューション事業のMRR拡大に向けた先行投資などによって費用が増加するが、増収効果やストック売上の積み上げによって吸収する。なお3ヶ年計画の最終年度(2028年6月期)の計画達成に向け、2027年6月期は利益成長よりも人材や商品開発等の成長投資を優先する。
半期別には、上期が売上高5,919百万円、営業利益180百万円、経常利益180百万円、親会社株主に帰属する中間純利益87百万円、下期が売上高6,637百万円、営業利益632百万円、経常利益634百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益357百万円を見込んでいる。下期偏重の計画である。同社の収益構造として期末に向けてストック売上が積み上がるため、従来から下期の構成比が高い傾向があることに加え、2027年6月期は上期に重点的に先行投資を実行する方針である。
2. セグメント別業績予想と重点施策
セグメント別業績(連結調整前)は、保険クリニック事業の売上高が前期比15.7%増の6,732百万円で営業利益が同1.9%減の901百万円、FA事業の売上高が同7.6%増の2,449百万円で営業利益が同2.0%減の110百万円、ソリューション事業の売上高が同13.0%増の1,569百万円で営業利益が同23.9%増の422百万円、システム事業の売上高が同14.5%増の2,242百万円で営業利益が同41.7%増の144百万円を見込んでいる。売上面は全セグメントで増収だが、利益面は保険クリニック事業とFA事業が新規出店加速や人材採用・育成などに伴う費用増加により小幅減益、ソリューション事業とシステム事業は大型案件受注を織り込まず、ストック売上の安定的拡大で先行投資を吸収して増益見込みである。
重点施策として、保険クリニック事業では出店(純増数)を2027年6月期20店舗、2028年6月期36店舗と計画しており、店舗開発・運営体制及び人材採用・育成を強化する。また、引き続きWebプロモーションによる効率的な集客、コールセンターからのアフターフォローコールなどにより来店数・成約件数の増加を図るほか、FCも店舗数増加やWeb送客増を推進する。FA事業では引き続き募集人の採用・育成・定着を強化するほか、ビジネスの拡大を目指して同社FA事業部とLA訪問販売部門の融合・シナジー創出を推進する。ソリューション事業ではフロー売上依存からの脱却とMRRの持続的拡大に向けて、「AS」シリーズの機能強化や提供価値の向上、既存顧客へのアップセル・クロスセル、顧客基盤の拡充を推進する。また改正保険業法施行という事業環境の変化をビジネスチャンスにつなげる。システム事業では新たな収益の柱となるAIプロダクトの開発に向けて、研究開発体制を強化するほか、外部パートナーとの連携も強化する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)