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アイリック Research Memo(4):保険分析・販売支援のプラットフォーマー(3)

■アイリックコーポレーションの事業概要

6. 市場環境、リスク要因と課題・対策
保険販売事業における一般的なリスク要因としては、市場環境悪化や競合激化などによる保険契約者数減少、保険会社による営業政策の変更や保険手数料率の変更、個人情報保護、税務当局による保険商品の税務取り扱いの見直し、法的規制・自主規制などが挙げられる。

このうち市場環境について、保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、保険販売における加入チャネル比率(出所:2025年9月29日付の同社の事業計画及び成長可能性に関する事項、(公財)生命保険文化センター「2024年度生命保険に関する全国実態調査」)を見ると、生命保険営業職員のシェアが2012年の68.2%から2024年に56.7%へ低下した一方で、保険代理店のシェアが同6.9%から同15.7%(保険ショップ7.0%、訪問販売8.7%)まで上昇した。複数の保険会社の商品を比較するユーザーの増加に伴って加入チャネルシェアが大きく変化し、保険代理店の存在感が高まっている。

また2026年6月1日施行の改正保険業法では「乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保」などが義務付けられた。これにより、顧客の意向に沿って複数の商品を比較し、推奨理由を挙げて提案することが求められる。同社の「AS-BOX」は保険業界で唯一、複数の商品を同一フォーマットで比較できるシステムである。現在のメインターゲットは生命保険業界向け(募集人数約118万人、うち乗合保険代理店約20万人)だが、今後は損害保険領域(同179万人)への展開も含めて新たなビジネスチャンスが生まれることが予想される。これらの点から、同社にとって市場開拓余地が大きいと弊社では考えている。

■業績動向

2026年6月期は予想を下回り営業減益で着地

1. 2026年6月期連結業績の概要
2026年6月期の連結業績は、売上高が前期比16.3%増の10,964百万円、営業利益が同5.2%減の703百万円、経常利益が同5.5%減の711百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.8%減の392百万円だった。ソリューション事業において想定していた大型案件が顧客都合により未受注となったことを主因に、期初予想(売上高11,288百万円、営業利益844百万円、経常利益848百万円、親会社株主に帰属する当期純利益507百万円)を下回った。売上面は保険クリニック事業の順調な拡大などにより増収で過去最高だったが、利益面は営業費用やマーケティング費用の増加、システム開発の先行投資の影響などにより減益だった。なおEBITDA(=営業利益+減価償却費)は期初予想を下回ったものの、同4.8%増の1,082百万円と小幅ながら増益だった。

全社ベースの売上総利益は前期比13.6%増加したが、売上総利益率は同1.9ポイント低下して76.3%となった。販管費は同15.7%増加したが、販管費比率は同0.4ポイント低下して69.9%となった。この結果、営業利益率は同1.5ポイント低下して6.4%となった。営業利益(38百万円減益)の増減を分析すると、保険クリニック事業の増益要因が、直営店売上高増加で969百万円(既存店で181百万円、新店売上で788百万円)、FC売上高増加で55百万円、減益要因が直営店の営業費用増加で834百万円(新店営業費用発生で585百万円、マーケティング費用増加で116百万円、その他で132百万円)、FCの営業費用増加で同31百万円減少であった。このほかの増益要因は、FA事業の売上高増加で487百万円、システム事業のストック売上増加で278百万円、減益要因はFA事業の営業費用増加で391百万円、ソリューション事業のストック売上減少で19百万円、フロー売上高減少で76百万円、営業費用増加(改正保険業法対応等の先行投資)で128百万円、システム事業のフロー売上高減少で122百万円、営業費用増加で218百万円、その他で5百万円だった。

2. セグメント別の動向
セグメント別(連結調整前)業績は、保険クリニック事業とFA事業が大幅増収増益、ソリューション事業が減収減益、システム事業が増収ながら減益だった。

(1) 保険クリニック事業
保険クリニック事業は売上高が前期比21.4%増の5,817百万円、営業利益が同20.9%増の918百万円と、期初予想(売上高5,675百万円、営業利益731百万円)を上回る大幅増収増益だった。内訳は直営店の売上高が同24.6%増の4,905百万円で営業利益が同22.0%増の749百万円、FCの売上高が同6.4%増の911百万円で営業利益が同16.1%増の169百万円だった。直営店の店舗数増加やWebプロモーションの効果で来店数及び成約件数の大幅増加により増収となり、利益面は大幅増収効果で店舗数増加に伴う営業費用やマーケティング費用の増加などを吸収した。FCも店舗数増加やWeb送客増に伴う増収効果で営業費用の増加を吸収した。主要KPIとして、グループ店舗数は前期末比24店舗増の307店舗となった。直営店の来店数は同30.8%増の40,078件、成約件数は同20.0%増の22,865件となった。成約率は57.1%だった。

(2) FA事業
FA事業は売上高が前期比27.2%増の2,275百万円、営業利益が同566.0%増の112百万円だった。前期に実施した募集人採用施策の成果などにより、期初予想(売上高2,170百万円、営業利益89百万円)を上回る大幅増収増益だった。期末時点の募集人数は同9人増の201名となった。

(3) ソリューション事業
ソリューション事業は売上高が前期比6.5%減の1,388百万円、営業利益が同39.7%減の341百万円と減収減益だった。想定していた大型案件が顧客都合により未受注となったため、期初予想(売上高1,789百万円、営業利益644百万円)を下回った。前期の大型受託開発案件の反動によるフロー売上高の減少や、先行投資による営業費用の増加などが影響した。ただしストック売上は代理店・銀行向けが順調に推移し、前期第4四半期に発生した保険会社1社解約の影響も軽微だった。主要KPIとしてストック売上比率は同3.7ポイント上昇して77.5%、代理店・銀行向け「AS」シリーズID数は前期末比10.0%増の7,782IDとなった。期末時点のMRRは保険会社向けが同1,896千円減の34,508千円、代理店・銀行向けが同1,782千円増の44,780千円となった。

(4) システム事業
システム事業は売上高が前期比8.6%増の1,958百万円、営業利益が同38.1%減の101百万円と、期初予想(売上高1,653百万円、営業利益92百万円)を上回り増収減益だった。売上面はAIプロダクト・クラウドサービスが拡大したが、利益面はフロー売上高の減少や営業費用の増加などが影響した。ストック売上は同24.1%増の1,434百万円となり、ストック売上比率は同9ポイント上昇して83%となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展)

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