■会社概要
1. 会社概要と経営体制
アクシスは、金融、公共社会インフラ、情報通信を主要顧客とする独立系SIerである。金融分野で培った深い業務知識と豊富な開発実績を強みとしており、銀行や自治体向けシステム開発で高い評価を獲得してきた。顧客には大手銀行グループを含む金融機関、自治体、通信事業者などがあり、長期的な取引関係を築いている。同社の競争力の源泉は、「失敗しないプロジェクトマネジメント」と「徹底した収支管理」にある。不採算案件の発生を抑制しながら安定収益を確保し、創業以来35期連続で黒字経営を継続している。加えて、無借金経営を維持しており、強固な財務基盤を有する。近年は、AI、ServiceNow、クラウド移行支援などの高付加価値領域への展開を進めるとともに、リアルタイム運行管理システム「KITARO」をはじめとする自社サービスの拡大にも注力している。
「デジタルで社会に貢献する」をビジョンに掲げ、4つの経営理念の下で事業を展開している。
1) 全社員の物心両面の幸せを実現する
2) 公明正大に判断し、素直な心で全力で取り組む
3) 全社員が同じベクトルを持つことに努める
4) 事業を通して社会・人類に貢献をする
社名「アクシス」は英語のaxis(軸)に由来する。IT業界において中心的な役割を担う「軸となる企業」を目指すという創業時の思いが込められている。
同社の事業は、システムサービス事業とITサービス事業の2事業を展開している。システムサービス事業は、金融・公共・通信向け基幹系システムの開発を中心に、要件定義から設計、開発、保守・運用までを一貫して提供する。一方、ITサービス事業では、クラウドサービス、デジタルコンサルティングサービスを提供しており、リアルタイム運行管理システム「KITARO」や中小企業向けDX支援サービス「まるっとアクシス」など、自社サービスも提供する。
経営体制は、創業者で代表取締役会長執行役員CSOの小倉博文氏と、代表取締役社長執行役員CEOの横田佳和氏を中心に構成される。取締役7名(うち社外取締役3名)、監査役4名(全員が社外監査役)による体制を敷き、監査役会設置会社として強固なガバナンス体制を構築している。2025年12月末時点の従業員数は545名で、内訳はシステムサービス事業508名、ITサービス事業13名、全社24名となっており、システムエンジニアを中心とした組織構成となっている。
2. 沿革
同社は1991年6月、コンピュータシステムの開発、販売、調査、研究、コンサルテーション、運営管理などを目的として東京都品川区に設立された。創業以来、金融向けシステム開発を主力事業として成長するとともに、M&Aや事業承継を活用しながら事業領域を拡大してきた。創業以来の強みである「失敗しないプロジェクトマネジメント」と「徹底した収支管理」を武器に、金融機関向けシステム開発を中心に事業基盤を確立した。その後は顧客基盤の拡大とサービス領域の多様化を進め、着実な成長を遂げている。2010年代に入ると、事業拡大を本格化させた。2012年6月にはシンガポールに子会社を設立し、海外展開に向けた足掛かりを築いた。国内では2014年11月に(株)テクノスクエアとの資本業務提携を実施し、2017年4月には同社を吸収合併した。これにより、技術力の強化と顧客基盤の拡大を実現した。
2018年10月には、オークネットからの吸収分割によりクラウドサービス事業を承継した。これを契機として、現在のITサービス事業の主力サービスであるリアルタイム運行管理システム「KITARO」の提供を開始し、ストック型ビジネスの基盤を構築した。さらに、2021年4月には(株)ヒューマンソフトの全株式を取得し、2023年1月に吸収合併を実施した。事業拡大と並行して、品質管理体制や情報セキュリティ体制の強化にも取り組んでいる。2010年3月には、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001」の認証を取得した。さらに、2024年8月には品質マネジメントシステムの国際規格「ISO 9001:2015」の認証を取得しており、サービス品質の向上と顧客からの信頼獲得を推進している。
開発体制の強化では、開発リソースの安定的な確保とコスト競争力の向上を目的に、全国でニアショア開発拠点の整備を進めてきた。2006年1月に沖縄支店、2015年6月に仙台支店、2017年3月に福岡支店を開設したほか、2017年12月には大阪事業所(現、大阪支店)を開設した。これにより、全国の顧客に対応可能な開発体制を構築している。
2020年9月には、社会的信用力や認知度の向上に加え、資金調達力の強化や優秀な人材の確保を目的として東京証券取引所(以下、東証)マザーズ市場に上場した。2022年4月の市場区分見直しに伴い東証グロース市場へ移行した後、安定した収益基盤や継続的な利益創出力を背景として、同年9月に東証スタンダード市場へ市場変更した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)