■アクシスの中期経営計画
3. 中期経営計画達成に向けたリスク要因
新中期経営計画「Go Beyond」の達成に向けては、AI技術の進化による市場環境の変化、人材の確保・育成、M&A及びPMIの3点が主要なリスク要因として挙げられる。
まず、AI技術の進化に伴い、システム開発工程の自動化や効率化が進む可能性がある。一方で、金融・公共社会インフラ分野では高度な業務知識や顧客との合意形成が依然として重要であることから、AIによる業績への影響は当面限定的とみられる。むしろ、生産性向上や提案力強化を通じて競争優位性を高める機会となる可能性がある。加えて、新中期経営計画の成長戦略を支える最大の経営資源はエンジニア人材である。特に、ITコンサルティング・PM人材やフルスタックエンジニアの大幅な増員を計画しており、人材採用や育成が想定どおりに進まない場合には、案件獲得機会の逸失や事業拡大の遅れにつながる可能性がある。IT人材市場における獲得競争は依然として激しい状況が続いており、人材戦略の成否が中期経営計画達成を左右する重要な要素になると考えられる。
また、成長投資80億円超のうち、高付加価値ビジネスや先端技術、新サービスに関連するM&Aの投資額は40億円超を計画している。このため、案件ソーシングが計画どおり進まない場合や、買収後のPMIが想定どおり機能しない場合には、投資効果が当初計画を下回る可能性がある。加えて、収益貢献までに想定以上の時間を要するケースも考えられることから、M&A実行力とPMI推進力が中長期的な成長のカギとなろう。
同社は創業以来35期連続黒字を継続しており、2026年12月期中間期末時点の自己資本比率は75.9%と高水準にある。さらに、無借金経営を維持しながら潤沢な手元資金を確保していることから、人材投資やM&Aを推進するための財務基盤は十分に備わっていると考えられる。新中期経営計画では高付加価値領域の拡大を通じた収益性向上を目指しており、今後は高付加価値領域の売上構成比の上昇、人材育成の進捗状況、M&Aの実行状況が中期経営計画達成を占う重要な指標になると考えられる。
4. 中期経営計画達成に向けた進捗状況
新中期経営計画「Go Beyond」では、「高付加価値領域の拡大」を重点テーマとして掲げている。2026年12月期中間期において、高付加価値領域の売上構成比と資格取得者数が着実に増加しており、計画達成に向けた順調な進捗が確認できる。
高付加価値領域の売上構成比は、2025年12月期の34.56%から2026年12月期中間期には35.85%へ上昇した。上流工程、ITコンサルティング、システム企画・設計、クラウド・デジタル基盤、セキュリティといった領域の売上拡大が進み、収益性向上に資する事業構造への転換が進展している。また、ノーコード/ローコード開発やデータ利活用基盤導入支援の需要拡大も、高付加価値領域の構成比上昇を後押しした。
さらに、高付加価値領域の拡大を支える基盤となっている人材面でも着実な成果が現れている。同社ではフルスタックエンジニア、ITコンサル・PM、AI人材の育成を重点施策として進めている。2026年12月期中間期末時点で全資格保持者数は269名となっており、前期末比で33名増加した。内訳は、フルスタックエンジニア数が195名(前期末比23名増)、ITコンサル・PMが52名(同3名増)、AI人材が22名(同7名増)である。中期経営計画の実現可能性を高める要因として注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)