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レイヤード上場会見、予約・問診・決済等で医療DXを支援 導入先は約6,000施設、AI活用のBPaaSで成長領域を拡大

企業情報

社名:株式会社レイヤード
設立:1998年7月
事業内容:医療機関向けDX支援プロダクト事業および広告配信事業

登壇者名

株式会社レイヤード 代表取締役社長 毛塚牧人 氏

会社概要

毛塚牧人氏(以下、毛塚):株式会社レイヤード代表取締役社長の毛塚と申します。資料に沿って当社の概要をご説明します。よろしくお願いします。

当社は1998年に創業した比較的古い会社です。福岡で創業し、現在も本社は福岡にあります。北は北海道から南は沖縄まで、医療機関のサポートを行っている会社です。

沿革

もともと当社は、施設のデジタルサイネージ事業からスタートした会社ですが、2017年頃から医療DX市場に参入し、業績を伸ばしてきました。

2022年には医薬品卸最大手のメディパルホールディングスと資本提携、医療データを扱うメディカル・データ・ビジョンと資本業務提携を結びました。

医療におけるDX領域と当社ポジショニング

当社は、いわゆる医療DX市場の中でも「診療業務プロセスのDX」という領域にフォーカスして活動しています。

強固なマルチプロダクト・エコシステム

例えば、電子カルテなどは医療制度に対応するシステムですが、当社が提供している予約、問診、決済といった診療業務プロセス領域は、患者さまと医療従事者が接する部分のシステムとして位置付けられます。特に昨今、医療機関が深刻な人手不足など厳しい状況に直面している中、業務の効率化と収益の拡大を支援する仕組みとして提供しています。

我々のプロダクトはマルチプロダクトであり、入口としては電話の自動応答システムから予約、問診、オンライン診療、決済の部分まで、患者さまが医療機関を受診する際の業務フロー全体にまたがるプロダクトを幅広く展開しています。

また、このような全体にまたがる基盤を持ち、6,000弱の顧客数を有しています。こうした幅広い顧客基盤を持つ会社は、上場企業の中でも数少ないと考えています。

売上高比率

足元の業績として、2026年6月期の売上は約19億8,000万円となりました。このうち、約半分がSaaSのストック収入、30パーセントほどがイニシャル収入、残りが広告収入です。これらの収入構成により、バランスよく事業成長を遂げてきました。

Executive Summary

また、先ほどお話ししたとおり、顧客基盤も順調に成長しており、現在は約6,000の顧客数を有しています。トップラインについても、CAGR(年平均成長率)は28.8パーセントと、ここ数年着実に成長を続けてきました。

さらに、この2期ほどで利益創出のフェーズに移行しており、2026年6月期には経常利益率が約17パーセントまで改善しています。今後さらに利益を創出していく段階に入っていけると考えています。

医療業界における、大規模な就業人口と労働集約的な産業構造

市場環境についてお話しします。医療、介護、福祉の領域は、就業人口が約900万人ほどの市場です。労働市場全体が約6,800万人であることを踏まえると、7人に1人あるいは8人に1人がなんらかの医療、介護、福祉分野に従事していることになります。この業界は、非常に労働集約型の産業であると言えると思います。

医療領域における事業特性比較

コロナ禍以降、日本における医療DXの進展は非常に遅かったとみなさまも感じられたかと思いますが、そのような中で、当社は医科診療所にフォーカスしています。

医科診療所の施設数は約10万ヶ所あり、コンビニエンスストアが約6万ヶ所であることを考えると、コンビニよりも多い数のクリニックが存在します。さらに、患者数についても、歯科や訪問看護、調剤薬局と比べても患者数の多い施設です。医科診療所は非常にボリュームの大きな市場であると同時に、人件費も大きな市場であると捉えています。

このような市場を医療DXによっていかに効率化するかが、当社の大きなミッションであると考えています。

マルチプロダクト戦略

我々が提供しているサービスは、電話の自動応答や予約、問診などを通じて、医療機関内での電話対応の時間や患者さまの待ち時間を短縮し、医師の診察効率を向上させることで、医療機関を受診する患者さまのスループットを改善することに最大の価値があると考えています。これにより、医療機関の経営において省人化・効率化と収益拡大の両面を支援する会社です。

我々の特徴は、電子カルテを中心とした統合型システムではなく、電話・予約・問診といった機能を切り分け、各プロダクトを個別に提供するマルチプロダクト型である点です。

このようなユニット型で、組み立てブロックのように組み合わせてご提供できることにより、医科診療所でも診療科目ごとに異なる業務プロセスに対応可能です。このため、業務プロセスが異なる医療機関に対しても柔軟に導入できる点が、当社の非常に大きな強みだと考えています。

また、各プロダクトが独立していることで得られる開発スピードや、新たなプロダクトを継続的に新規開発できる点も、当社のもう1つの大きな特徴だと考えています。

代理店網を活用した「レバレッジ・セールス」

我々の資本関係についてですが、医薬品卸最大手のメディパルホールディングスとアライアンスを組んでいます。この2、3年間でメディパルホールディングスとの資本業務提携により、売上高や販売数が拡大しており、現在では全体の約60パーセントが代理店経由での販売となっています。

クリニック向けのセールスは、1件1件を個別に訪問しなければならない市場であり、営業効率が非常に悪いマーケット環境でした。しかし、この代理店網を活用したセールスにより、売上や販売件数を拡大してきたことは、当社の強みの1つであると感じています。

顧客増加で収益効率が向上する「スケーラブル運営」

将来的な成長戦略についてお話しします。医科診療所が10万施設ほどある中で、現在、我々のサービスは6,000施設への導入にとどまっています。顧客数の拡大については、まだ十分な市場の可能性があると考えています。この2年から3年の間に、2万施設から3万施設程度までの拡大は十分に達成可能であると認識しています。

また、当社はマルチプロダクト戦略を展開しています。例えば、1つの製品をすでに導入いただいている医療機関に対し、2つ目や3つ目の製品をご契約いただくクロスセルの推進も、ここ3年ほどの短期的な戦略としてさらに拡大していきたいと考えています。

当社が目指す未来

我々が究極的に目指すのは、医療機関の現場から医療事務作業をゼロにすることです。これは中長期的な目標として進めていきたいと考えています。

既存SaaSビジネスの伸長

現在、AI技術の成長と進化が著しい中、当社はSaaSを導入することで、医療機関の業務を改善し標準化していきます。さらに、標準化された業務については、当社が提供するBPaaS(Business Process as a Service)のサービスによって、当社側でその業務を引き受けることが可能になると考えています。

SaaS×BPR×AIによるAIリモート医事サービス

BPaaS事業においては、単にBPO(Business Process Outsourcing)として人を配置するのではなく、AIを活用して繰り返し作業や単純作業を自動化しつつ、ベテランスタッフが最終判断を行うというかたちでのリモート医事サービスを、今期中に提供予定です。

AIリモート医事サービス|最もペインの大きい「算定・レセプト業務」を引き受ける

SaaSを導入した際に現場で残る受付業務や診療報酬に関わる算定業務などをファーストターゲットとして、業務プロセス全体をBPaaSサービスとして提供し、これを今後さらに拡大していきたいと考えています。

質疑応答:創業28年目での上場の狙いについて

質問者:創業してから28年と長い歴史がありますが、この時期に上場した狙いについてお聞かせください。

毛塚:一番大きな理由は、市場の拡大という意味でもコロナ禍の影響かと思っています。

みなさまもニュースなどでご覧になったように、諸外国と比べて日本のIT環境、特に医療を取り巻くIT環境が非常に遅れていることが明らかになりました。そうした中、当社が提供している予約、問診、電話の自動応答といったサービスへの需要が大きく拡大してきたという背景があります。

また、昨今では人件費の高騰や人材不足が深刻化し、特に地方を含む医療機関では事業継続が難しい状況になっています。このような状況の中で、効率化および省人化を進めることは非常に急務であると感じています。

そのため、当社としてはいち早くサービスの提供先を拡大し、より成長していきたいと考え、このタイミングで上場を決意しました。

質疑応答:株主還元の考え方について

質問者:今のところ無配当とのことですが、株主還元の考え方についてお聞かせください。

毛塚:我々の中長期的な目標として、売上成長率はおおむね20パーセント程度、OPマージンは20パーセントから25パーセント程度をターゲットとしています。

株主還元についても、このような方針のもと、OPマージンが20パーセントを超えた段階から本格的に取り組んでいきたいと考えています。この方針は、今回我々がスタンダード市場を選択した理由の1つにもなっています。

医療という業界の中で信頼性を持って事業を運営するためには、急激な成長ではなく、巡航速度を保ちながら順調に成長し、一定の利益をしっかりと確保した上で、それを還元する経営を意識したいと考え、スタンダード市場を選んでいます。

質疑応答:スタンダード市場を選んだ理由について

質問者:スタンダード市場を選んだ理由についてお話がありましたが、グロース市場、あるいは地方証券取引所も候補に入りそうだと考えています。あらためて、なぜスタンダード市場にしたのかお聞かせいただけますか?

毛塚:それは社内でもいろいろと議論になりました。グロース市場のいわゆる「時価総額100億円基準」の話もありますが、我々としては、スタンダードであろうとグロースであろうと、その基準は守っていくべきラインだと思っています。市場選択において、それが我々に影響を与えたということは、正直なところありません。

どちらかというと、株主からの視点を意識しています。赤字を出してでも急激な成長を追求するのではなく、適切な成長と適切な利益を経営として志向していきたいと考えています。スタンダード市場であれば、株主からもそのような視点で期待されるのではないかと考え、スタンダード市場を選びました。

質疑応答:上場によるメリットと期待について

質問者:上場によって何が得られると考え、何に期待されていますか?

毛塚:我々は問診をはじめとしたさまざまなSaaSシステムで医療データを扱っています。現在、月間で数百万人規模の医療データを扱っており、これらは要配慮個人情報に該当するため、セキュリティを含めて非常に注意を払う必要があります。

そのような情報を扱う企業として、しっかりとしたガバナンス、そして当然ながらコンプライアンスの体制を整備することは社会的責務であると考えたことが、もともと上場を目指した理由の1つです。

今回の上場にあたり、東京証券取引所によるガバナンスやコンプライアンスを含めた審査を受け、一定の基準をクリアできたのではないかと思っています。少なくとも、一定以上は信頼が得られる会社になったのではないかと考えています。これが上場による我々の大きなメリットの1つです。

また、先ほどからお伝えしているとおり、我々が事業を展開する医療分野は社会保障の一環であり、みなさまの税金によって賄われている部分が非常に大きい市場です。そのため、「社会的公器」としての役割を果たしていくことを、経営の中で非常に強く意識しています。

もちろん、資金調達という目的もありますが、このような信頼感を持って、社会的責務を果たしていく部分を重視していきたいと考えています。

質疑応答:医療IT市場での事業拡大とAI活用について

質問者:今後どのように事業を拡大していくのかうかがいます。「SaaSの死」と言われている中でも、医療系のSaaSは死なないという現実があります。

御社は急激な成長より安定的な利益確保を意識されているとのことですが、あくまで成長していかなければならないとも思います。今後どのように事業拡大を目指していかれるのか、ロードマップのようなものがあれば教えてください。

毛塚:まず足元の話ですが、みなさまも感じているとおり、予約制度が整っていない医療機関は依然として多くあります。さらに、紙の問診票や現金のみの決済、非常に長い待ち時間といった負の部分も、まだまだ多く見受けられます。

そのような状況で、デジタルやITをきちんと活用できる社会を実現するために、これから5年、10年という視点で考えれば、市場の拡大は十分に実現できると考えています。

なによりも医療機関、特に医科診療所の領域は、医師が理事長や院長を務め、数名のスタッフが働くという、一人親方モデルに非常に近い経営形態です。そのため、彼ら自身でITを活用していくことが難しいと感じています。そうした状況の中で、我々が積極的に入りこみ、IT化やDX化を進めていくことへの社会的要請は、依然として非常に高いと考えています。

一方で、「SaaSの死」やAIがこれからどれだけ広がるかという点についてですが、当社としても今期はBPaaS事業として「SaaS×AI」に取り組みたいと考えています。

医療ITの市場規模はこれまで非常に小さく、数百億円程度の規模感でした。しかし今後、BPaaSを推進することにより、人件費を削減しつつIT化やDX化を進めることで、市場は人件費を対象とした新たなかたちに変わっていくものと考えています。

例えば、1つのクリニックを例にとると、IT予算は月間でだいたい10万円程度となっています。その中で電子カルテも含めて、当社は競争を展開しています。

一方で、人件費の面では、医療事務スタッフはどれほど小規模な医療機関でも3人から4人ほどはいるのが一般的です。その数を3人から2人、さらに1人にまで減らすことができれば、月間で数百万円近いコスト削減が可能となります。このように考えると、今後市場が大きく拡大していく可能性があると捉えています。

当社は、AIの活用をさらに広げることで、この市場においてトッププレーヤーとなることを目指していきたいと考えています。

質疑応答:医療のDX化が遅れている理由とその背景について

質問者:先ほど医療ITの市場規模が小さかったというお話がありましたが、そもそも医療のDX化が遅れている理由や背景は、どのようなところにあるのか教えていただけますか?

毛塚:先ほどお話ししたとおり、1つは医科診療所の経営形態です。ドクターは医療の専門家ではあっても、ITにはあまり詳しくない医療機関の経営者であり、また、そこにIT人材を入れることが非常に難しいという経営形態でもあります。医療スタッフが3人から4人いる程度の最小構成なので、ITがわかる人をもう1人雇うことは難しかったのです。これがまず、IT化が進みにくかった要因の1つです。

もう1つは、ドクターの開業年齢が平均すると40代後半から50代前半くらいで、経営者の年齢層が他の環境よりも少し高いことです。また、最大の顧客である患者の平均年齢も50代から60代くらいと高齢者が多い環境であることも、IT化が進みづらい状況の要因の1つだったと思っています。

ただ、先ほどコロナ禍によって大きく変わったとお話ししましたが、医療業界側が変わっただけではなく、生活者側のITの使い方が非常に大きく変わったと感じています。例えば、新型コロナウイルスワクチンの接種では、Web予約が主流だったかと思います。それをきっかけに、高齢者もWeb予約を非常によく利用するようになりました。

このような状況を含めて、今まさに医療がIT化していくための基盤がようやく整ってきたと感じています。

質疑応答:本社移転の予定について

質問者:本社を福岡県福岡市に構えていらっしゃるかと思いますが、今後、東京や他の場所に移転させる予定はありますか?

毛塚:現在のところ、移転の予定は特にありません。当社は創業地である福岡に大変お世話になってきたという思いが強くあります。また、近年では、地方の企業が不便さやハンデを背負わなくなる時代が到来していると、この5年ほどで強く感じています。

これは医療の分野とは少し異なる話ではありますが、地方を元気にしていくことも企業としての社会的使命の1つだと捉えています。地方の企業として存在感を増していくことを目指し、引き続き取り組みを進めていきたいと考えています。

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