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Laboro.AI、第2の創業期へ AI受託開発パートナーから企業進化の共生体へシフト、2030年に売上高100億円超を目指す

Laboro.AI 創業からの沿革

椎橋徹夫氏(以下、椎橋):みなさま、本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。株式会社Laboro.AI代表取締役CEOの椎橋徹夫です。これより、「第2の創業期」の成長戦略についてお話しします。よろしくお願いします。

まず、「第2の創業期」に向けて、これまでの「第1の創業期」について簡単に振り返ります。当社は2016年に創業し、まず「カスタムAI」という事業を開始しました。その後、「ソリューションデザイン」という方法論を確立し、「バリューアップ型AIテーマ」を掲げて注力してきました。

2023年には東証グロース市場に上場し、創業から10年でプロジェクト実績として400を超える取り組みを行いました。従業員数は現在120名程度となり、100名を超える規模に成長しています。

AI技術に関しても、この10年間は世の中で大きな進化と変化があったと捉えています。ちょうど10年前の2016年は、ディープラーニングの革命によりAIのブームが到来し、AIに関する取り組みが台頭してきました。

その後、強化学習や最適化の分野においては、当社も非常に力を注いできました。それに加え、生成AI、大規模言語モデル(LLM)の登場を経て、昨今ではAIエージェントやフィジカルAIなど、AI技術の進化が牽引するかたちで市場環境も大きく変わってきています。

当社はそのような背景を踏まえ、この創業10年のタイミングで「第2の創業期へ」を掲げ、経営の新たなフェーズを進めていきたいと考えています。

創業から一貫するLaboro.AIのミッション

その中で、創業から一貫して掲げているミッションは、今後も変わりません。「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」というミッションを大きく掲げ、その実現に向けて進んでいきたいと考えています。

中核にある「カスタムAI開発」

「第1の創業期」は当社のビジネスの中核として、カスタムAI開発、カスタムAIソリューション事業を構築してきたことが大きなハイライトです。

また、顧客企業に合わせて最適なカスタムAIのソリューションを開発し、それを事業に組み込んでいくという独自のメソッドを「ソリューションデザイン」という名称で蓄積してきました。振り返ると、こちらも当社の中核を形成する重要なポイントとなっています。

注力する「バリューアップ型AIテーマ」

当社は「バリューアップ型AIテーマ」を掲げてきました。AIの取り組みは現状、特に国内では業務効率化やコスト削減を目指すものがまだ多いと考えています。その中で、ビジネスモデルの深化や既存事業の根本的な変革、新しい市場の創出につながるような新製品やサービスをAIで開発することを「バリューアップ型AIテーマ」と呼び、この分野への注力を続けています。

企業進化と生物進化の関係

企業が進化していくためには、今後も非常に速いスピードで進化していくAI技術に対応し、最先端の技術を取り込んで進化し続けることが重要です。そこに向き合うことが、当社の目指すべき方向性だという理解に到達していることが、「第1の創業期」の到達点であると考えています。

400超のカスタムAI プロジェクト実績

この10年間で、さまざまな顧客企業と取り組みを進めてきました。スライドに記載しているように、日本を代表する多くの企業と取り組んできたことも、「第1の創業期」の10年間のハイライトだと考えています。

国内産業に対する課題認識

このような10年間を積み重ねてきたことを踏まえ、中期の成長戦略として、これまでで初めて中期経営計画および成長戦略を発表しました。これを「第2の創業期」の成長戦略と位置づけたいと考えています。

まず、「第2の創業期」というこれからの中期を考えるにあたり、国内産業に対する課題認識を整理しています。現在、国際的にAIの技術革新が非常に速いスピードで進んでおり、特に米国や中国が先陣を切ってAI開発を進めている状況です。

この中で、国内産業に目を向けると、国や官の取り組み、経済面の両方を見た際に、果たして最善のかたちで進んでいるのかという疑問があります。米中に比べると、やはり少し遅れをとっていると言わざるを得ないと考えています。

また、こうした状況の中で、「AI小作人化」という言葉が使われることもあります。海外のインフラや技術に依存し、それを活用するだけにとどまると、国際的に大きな価値が生み出されている現状において、特定の領域をリードする役割を果たすことは難しいのではないかと考えています。

そして、国内におけるAI活用の取り組みに目を向けると、依然としてコスト削減や業務効率化にとどまる事例が多いのではないかということが、現場の実感としてあります。

AIを活用して企業価値や産業価値を向上させるといったバリューアップ方法論が、まだ十分に確立されておらず、欠如している状況だと考えています。このような課題感は、当社の反省も込めて、非常に強く感じています。

そこで、「コスト削減」を超えて「企業進化」を進めていく取り組みに寄り添い、力強く推進していきたいと考えています。ここにコミットしていくことが、「第2の創業期」における当社の思いです。

第2の創業で目指す姿

「第2の創業期」で目指す姿について、少し言語化しました。やや抽象的な表現にはなりますが、スライドに記載のとおり、これからあらゆる企業が最先端のAIを取り入れ、進化し続けることが非常に重要だと考えています。

この進化し続ける力を企業内に生着させ、その能力を成長させる状態を築くことこそが、当社の目指す姿ではないかと考えています。

また、このような使命を担う企業体は、現状ではまだ世の中にあまり存在していないのではないかと考えています。このような、いわば新業態を創出するという面で、グローバルにおいて企業の進化を共に作っていく存在として、世界的な先駆者となることを目指しています。これを実現していきたいというのが、大きな目標として「第2の創業期」で考えているところです。

全体としての環境認識として、「第1の創業期」の振り返りでもお話ししましたが、現在、市場は非常に速いスピードで変化しています。その中で現状を維持し、これまでどおりの経営を続けること自体が非常に大きなリスクであるという危機感を強く持っています。

この状況を逆に捉え、大きくチャレンジすることで、グローバルな視点で大きな成長や飛躍を生み出せる機会であると認識しています。これを背景に、これまでとは少しモードを変え、ダイナミックかつスピーディに、もう一段の成長と飛躍を目指す期としたいという強い思いを持っています。

中長期に目指す姿を言語化すると、まず重点領域として、国内に限定せず、世界の中で事業を牽引するような存在を目指していきます。また、日本国内では、特定の領域に留まらず、産業構造全体の進化に関わる存在となりたいと考えています。

具体的な重点領域として、この10年間、当社が特に注力し、取り組みを進めてきたのが、先端モノづくりの領域です。これは難易度が高いがゆえに、日本が国際的に強みを持つ製造業の領域であり、当社の現在の強みとなっています。

先端モノづくりの領域では、現在、グローバルにおいてAIインフラの整備が進展しています。AIデータセンターの建設が進み、それに必要な半導体や電子部品の製造が、今後さらに重要で活発な分野となることが見込まれます。

こうした動きに加え、アメリカでは製造業を国内に回帰させる再工業化が掲げられており、これが先端モノづくりの領域と非常に相性が良いと言えます。

そのため、これまで積み上げてきた当社の先端モノづくりにおけるAIの競争力を基盤として、この領域で日本国内にとどまらず、グローバル市場でプレゼンスを確立していくことに取り組みたいと考えています。

同時に、現在、製造業以外の幅広い産業領域でもAIの活用を進める取り組みを行っていますが、これを国内でさらに重点的に広げていきたいと考えています。

2030年の到達点のイメージとしては、国内企業がAIを取り入れて進化していく際に、Laboro.AIがパートナーとして真っ先に選ばれる存在となることを目指していきたいと思っています。

目指すポジショニングとサービスモデル

少し解像度を上げて、ポジショニングやサービスモデルをどのようにアップデートし、当社が進化していくかという点をご説明します。

スライド左側に、提供形態と提供機能を示した図を掲載しています。この10年間で当社が構築してきた強みとしては、提供形態では、テクノロジーとビジネスをつなぐ、高度な専門人材によるプロジェクトを通じたプロフェッショナルサービスです。非常にクオリティの高いサービス提供を行ってきました。

提供機能では、従来、企業の戦略全体に関わることを掲げている一方、まずは現場で実際にAIソリューションを開発・実装することに強く重きを置いて取り組んできました。そのため、専門人材によるAIソリューションの開発や実装においてクオリティの高いサービスを提供してきたことが、この10年間で積み上げた強みとなっています。

これに対し、今後は「第2の創業期」において、当社自身が最もAIネイティブな存在となることを目指します。

専門人材に加え、当社の中で育てるAIエージェントやAIがヒトと融合したかたちで協調しながらプロジェクトを進め、顧客の変革を提供するかたちにシフトすることを、1つの重点テーマとして掲げています。

もう1つは、これからさらに現場でのAI実装を越え、全社レベルでAIを常に取り入れながら、継続的に進化させていくことを経営としてどう実現するのか、こうしたニーズや論点が非常に重要になってくると考えています。これに伴い、企画や戦略構想の力を当社としてもさらに強化していきます。

この内容をまとめたものをスライド右側に示しています。これまでは、個別のAI開発における受託開発のパートナーという位置づけで見られることが多い状況でした。今後は、企業進化の共生体として、進化を共に作り上げ、進化する能力を顧客企業の一部としていくパートナーとしての立ち位置を、より明確かつ強固にしていきたいと考えています。

これを進めるにあたり、これまでは専門人材によるAIの個別開発を主軸としていましたが、現在は開発部分を中心に、AIが非常に大きな力を発揮する中で、「SYNAPSE Project Runtime」として当社の専門人材と連携して動くAIの技術基盤を強化していくことが、1つの重点テーマとなっています。

さらに、専門人材が担う役割としては、端的に言うと、顧客企業のChief AI Officer(CAIO)としての機能をより強く担い、支えていくことを目指します。これに向けて、専門人材やチームの強化を進めていく考えです。

戦略と目標 まとめ

スライドに、あらためて「第2の創業期」の戦略と目標をまとめています。まず、キーメッセージについてです。スライド左側にスローガンを記載しています。これまで「AI受託開発パートナー」がメインの立ち位置となっていました。

そこから、企業が継続的・本質的に企業価値を向上させるために進化していく、その「企業進化の共生体」という立ち位置に変わっていこうということが、大きなスローガンになっています。

もう少し具体的にお話しすると、1つ目のポイントとしては、専門人材と技術基盤の2つを一体で強化していきます。これにより顧客への提供価値や提供力を向上させ、その結果として収益力を強化し、収益を拡大していくことを目指します。

また、これらの力を活用する方向性として、1つの重点領域として先端モノづくりを起点とし、国内市場にとどまらない展開を本格的に目指していきます。さらに、特に国内市場を中心として、幅広い産業分野に対し取り組みを一層拡大していきたいと考えており、ここを明確に進めていきたいと思っています。

これからこのような取り組みを一段加速するために、資本や提携関係などを活用しながら、非連続的な成長、インオーガニックな成長を推進し、大きな展開に結びつけていきたいと考えています。

スライド右側に目標を記載しています。IRにおいては、投資家のみなさまや市場とのコミュニケーションのあり方について、これまでのスタンスを一部変更していきたいという点があります。

これまで当社は、対外的に開示する目標については、現時点で一定の確度でお約束できる数値を精査し、それを現実的なかたちで共有・開示するというスタンスを取ってきました。このような、いわゆる数値によるコミットメントに重点を置いた開示を行ってきました。

しかし、これから非連続な成長を目指す際には、現時点で投資家のみなさまに数値を提示してコミットするのは適切とは言えない、誠実ではない場合もあると考えています。一方で、非連続な成長を進めるためには、これまでの延長ではない新しい戦略についてきちんと開示することが適切である場合もあると考えています。

そこで、投資家のみなさまに2つお約束したいと思います。1つ目は数値目標としてコミットする部分、2つ目は数値には組み込まずアップサイドとして、戦略やチャレンジとしてコミットする部分、この2つについて両方ともコミュニケートしていきたいと考えています。

2030年までの目標についてご説明します。まず、数値コミットについては、既存のカスタムAIを中心とした事業をさらに進化・拡張していく方針です。人員数を増やし、1人あたりの生産性を向上させ、これらを掛け合わせることで成長を実現していきます。

数値コミットについては、2030年9月期に売上高は100億円を少し超える規模を目指します。2026年9月期に比べると約4倍の規模であり、年間成長率に換算すると約40パーセントの成長を計画しています。また、営業利益については、利益率をより筋肉質化し向上させることで、2030年9月期に20億円を少し上回る営業利益を目指していきます。

戦略コミットについてご説明します。こちらは、さらなるアップサイドを目指す内容となっています。それぞれについては後ほど詳しくご説明しますが、1つ目は、先ほどお話しした「SYNAPSE Project Runtime」という技術基盤を活用し、ストック収益の創出にチャレンジします。

2つ目は、国内市場にとどまらず、海外市場への進出を図ります。3つ目は、M&Aや資本提携などを中心とした資本戦略を通じて、大きく成長を加速させることを目指していきます。

連結売上高・営業利益計画(ベース計画)

それぞれの内容について、少し詳しくご説明します。まず、先ほどお伝えした中期の数値コミットとしてのベース数値について、現時点での計画をお話しします。2030年9月期には売上高で100億円を少し超えるライン、営業利益で20億円を少し超えるラインを目指していきたいと考えています。

売上高の成長率については、過去3年間で年間およそ20パーセントを上回る成長を遂げてきました。これに対し、掲げている成長目標は40パーセントを少し超える水準です。意識的に成長の角度を変え、挑戦していきたいと考えています。

営業利益に関しては、利益率のさらなる向上を目指し、筋肉質化を図っていきます。2026年9月期の営業利益率の着地見込みは15パーセントです。ここから20パーセント程度まで引き上げることを目指しています。これを目標数値として掲げ、実現に向け取り組んでいきたいと考えています。

計画の実現に向けた取組み全体像

中身について分解してお話しします。まず、数値コミットと戦略コミットの両方を支える前提として、経営体制をさらに進化させていきます。

数値コミットについては、フロント人員数の増加による組織の拡大、1人あたりの生産性の大幅な向上に取り組みます。アップサイドとしての戦略コミットについては、技術基盤を活用したストック収益の創出、グローバル市場への展開、資本戦略の加速に挑戦していきたいと考えています。

a 経営体制の進化

前提部分として経営体制の進化についてご説明します。今年5月頃から各タイミングでの開示に合わせて、段階的に公表してきました。そのステップとして、2027年9月期に入ったこのタイミングで、経営体制を少しアップデートするかたちで、CXO体制が現段階では完成形に近いかたちに整ってきています。

新しいところとして、スライド右下に記載のとおり、執行役員CRO(最高収益責任者)と執行役員CIO(最高インキュベーション責任者)についてお話しします。

この2名は従来フロント部門をリードしてきましたが、新たにChief Revenue OfficerおよびChief Incubation Officerとして、CXOの立場からビジネスをさらに強力に推進していく体制を構築し、経営陣の強化を図っています。

併せて、スライド左側をご覧ください。これまで開示してきたとおり、代表取締役COOとして執行全体を担ってきた藤原は、昨日の9月末をもって経営から離れることとなりました。藤原が担ってきた業務は新しいCXO体制に完全に引き継がれ、現在、新しい体制での動きが始まっています。

b 人材戦略の方針

数値コミットを支える1つ目として、フロント人員数を拡大していく方針です。スライド右側に示しているとおり、2026年9月期末のフロント人員数は88人を見込んでいますが、この3年程度で約2.3倍の200人を少し超える規模に増やしていく計画です。

一方で、フロント人員は採用・育成の難易度が非常に高く、希少価値の高い専門能力を持つメンバーで構成されています。そのため、このスピードで組織を拡大することは簡単ではないと考えています。

そのような中で、AIをフル活用することで採用の対象をポテンシャル層まで広げ、より早い育成を進めることを通じて、スピーディな組織拡大においても質を向上させ続けます。このように拡大を実現していきたいと考えています。

b 採用の裾野拡大(イメージ)

エンジニアに関しては、AIを活用した開発の進展がさらに加速する中で、AI駆動型の開発を世界でも先駆的かつ最前線で推進できるエンジニアの採用と育成を強力に進めていきたいと考えています。

AIコンサルタントに関しては、ジュニアとしてプロジェクトマネジメントを担うメンバーについては、AI基盤の助けを受けながら連携を深められる人材を迅速に育成します。それに加え、シニアメンバーとして、より一歩進んだChief AI Officerのような戦略構想を担える人材の強化および増員を進めていきたいと考えています。

c 開発中 技術基盤「SYNAPSE Project Runtime」(仮称)

1人当たりの生産性を向上させ、人員拡大の加速剤となるこの技術基盤ですが、今回あらためて「SYNAPSE Project Runtime」という名称をつけ、これを対外的にも共有しながら育てていくことを掲げています。

「SYNAPSE Project Runtime」が具体的にどのようなものかについてですが、スライド左側に示しているとおり、AIの取り組みを進めるのに必要なピースを揃えたAIエージェントが詰まった仕組みと考えていただくとよいかと思います。

具体的には、AIを含むさまざまなデジタルアプリケーションを動かすためのシステムインフラ基盤、AIを動かすためのAIモデル運用基盤、AIモデルを開発するためのAIモデル開発基盤、これらをセットにしたAIシステム開発のエージェンティック基盤が下にあります。

その上に、AIプロジェクトを進めるためのプロジェクトマネジメントの方法論を体現し、それを学んだAIが常駐するAIプロジェクトマネジメント基盤があります。

これは、当社が過去10年かけて積み重ねてきた「ソリューションデザイン」という手法を学んだAIエージェントが装備されている基盤です。これらをすべて組み合わせたものを「SYNAPSE Project Runtime」という名称で呼んでいます。

c (参考)技術基盤の展開のステップ

「SYNAPSE Project Runtime」を活用した成果創出の方法についてです。まず、数値コミットの裏側としては、何よりもまず社内でこれを活用し、当社のオペレーションをAIネイティブ化することで人材育成や採用の加速を図ります。

さらに、顧客企業とのプロジェクトにおいては、プロフェッショナルチームだけが作業するのではなく、プロジェクトの中にこの技術基盤を組み込み、「SYNAPSE Project Runtime」のAIが人とともに稼働する状態を実現します。これにより、プロジェクトの課金体系も進化させていきます。

次に、長期的な戦略としてのコミットについてです。数値にまだ組み込まれていないアップサイドの部分として、この技術基盤をストック収益につなげていきます。プロジェクトが終了した後もこの技術基盤が顧客企業の中で育っていくことで、継続的な収益、いわゆるストック課金を生み出していきます。

そして、この技術基盤を起点として、海外市場においてもカルチャーを超えたさまざまな取り組みを提供できるような仕組みを構築していきます。また、資本戦略においても、この技術基盤を活用しながら、買収先や提携先のバリューアップを加速させていきます。

これらのすべての取り組みの中核に「SYNAPSE Project Runtime」という当社のノウハウを組み込んだAIエージェントの仕組みを据えて進めていきたいと考えています。

c 1人当たりの生産性の向上 : 具体事例とKPI

1人当たりの生産性向上について、現在すでに成果が出ている事例があります。「SYNAPSE Project Runtime」に当たる仕組みを活用することで、例えば営業にかかる時間が早期に3割程度圧縮され、スピードが向上しています。

特にインフラ構築やエンジニアリングといったAIと相性が良い部分では、従来2週間かかっていた作業が3時間程度で完了するようになり、約95パーセントの効率化を達成しています。こうした成果がすでに表れてきています。

これらの成果を踏まえ、1人当たりの売上生産性については、2026年9月期には1人当たり約3,000万円の売上高を目標としていましたが、これを今後3年間で1.5倍に引き上げ、約4,500万円を達成することにチャレンジし、コミットしていきたいと考えています。

c-1 技術基盤課金モデルへの進化 : 具体事例とKPI

1人当たりの作業生産性が向上した場合に、それを売上の成長に転化する取り組みを進める中で、工数だけが削減されてしまうと、人に対する課金の場合、売上や単価の減少につながる可能性があります。そのため、先ほどの「SYNAPSE Project Runtime」という技術基盤から直接的な収益を創出していきたいと考えています。

KPIとしては、3年間で技術基盤の課金比率を14パーセント程度に引き上げ、技術基盤が直接収益をもたらすラインを構築していきたいと考えています。

また、後ほど資本戦略のところでご説明しますが、今回投資を行ったディープテック系ベンチャーであるマテリアル・コンセプト社に対する取り組みでも、「SYNAPSE Project Runtime」による生産性の向上が非常に重要な役割を果たすと考えています。

e 先端モノづくり領域(半導体・電子部材)の海外進出

戦略コミットとしてアップサイドのチャレンジについてです。1つ目は、先端モノづくり領域を起点とした海外展開で、特に米国市場をターゲットとしています。

当社がこれまで注力し、競争力を強めてきた先端モノづくり領域におけるAIの活用については、米国がAIインフラを整備し、製造業を国内回帰させていく流れにおいて生じるニーズとの相性が非常に良いと考えています。

米国が製造業を回復させようとする際に、製造のノウハウを持つ人材が決定的に不足するという課題に対して、当社がこれまで培ってきた製造ノウハウを取り入れたAIエージェント群がキラーソリューションとなり得る可能性が見出せると考えています。

また、当社のグループ企業にCAGLAという会社があります。CAGLA社は、非常にインターナショナルなエンジニアメンバーで構成されており、同社を1つの起点としてグローバルタレントをさらに集積させることで、日本市場にとどまらない国際的な展開を目指します。

すでにさまざまな探索を進めており、スライド右側に記載しているとおり、米国のシンクタンク系企業と連携し、製造業における米国での取り組みにAIを導入するなどの情報発信を始めています。今後も探索をさらに加速していきたいと考えています。

f 非連続な成長に向けた資本活用 : 基本方針

M&Aや非連続な成長であるインオーガニックな成長についてです。これまでにお話ししたすべての事業をさらに加速させる上で、非常に重要な戦略テーマとなっています。

資本を通じた成長活動として、これまで主に探索してきたのは「領域1」です。SI系企業やAI関連企業など、当社と近いケイパビリティを持つ企業をM&Aを通じてグループに迎え入れることで、カスタムAIとしてのカバー範囲や規模をスケールさせていくことを目指し、探索してきました。

今後も継続的に機会を探索しながら、非連続にケイパビリティを拡張していきたいと考えています。

ただし、それだけではなく、追加で「領域2」「領域3」にも取り組んでいきます。AIを活用してバリューアップしていく対象をM&Aで取り込んだり、企業へ出資して協働したり、業務提携を進めたりすることにより、さらなる加速を図ることが非常に有効な手段となると考えています。

そのような中で、中期の成長戦略に基づき開示したのが、先ほど少しお話しした東北大学発のディープテック系ベンチャー、マテリアル・コンセプト社への出資および提携です。

f (参考)マテリアル・コンセプト社への出資について

マテリアル・コンセプト社についてもう少しお話しすると、同社は東北大学発のディープテック系ベンチャーであり、銅をペースト化した材料である「銅ペースト」を開発している企業です。

銅ペーストの用途としては、半導体や太陽光パネルといった分野が挙げられます。これらは、これからのAIインフラ整備や先端モノづくりにおいて非常に重要な領域であり、材料の革新を起こす可能性を秘めた、非常に有望で楽しみな技術を持つ会社です。

また、材料開発については、当社がこれまで培ってきたモノづくりを加速するAIとの相性が非常に良いため、AIを活用して材料開発のスピードを加速させたり、従来では発見が難しかった材料を見出したりすることに共同で取り組んでいきたいと考えています。

また、マテリアル・コンセプト社は生産・製造の一部を自社で担っています。製造において昨今非常に注目を集めているフィジカルAIを実際の現場で活用するために、一緒になって先駆的な探索を進めて力を入れていくことを重要なテーマとして掲げています。

27年9月期の売上高・営業利益の計画

2030年までの成長戦略についてお話ししました。最後に、今期2027年9月期の事業計画の位置づけについてお伝えし、説明を終わりたいと思います。

2027年9月期の通期計画はスライドに示しているとおり、売上高は37億1,300万円、営業利益は4億400万円を見込んでいます。売上高の成長率は、2026年9月期の着地見込みが25億7,800万円のため、前年比44パーセントの成長となります。

営業利益については、この後ご説明しますが、意図的に少し抑えた計画となっているものの、2026年9月期を上回り、前年比6パーセントの成長を計画しています。

27年9月期の投資計画

利益についてご説明します。売上高37億1,300万円を生むために必要なコストをシンプルに計画すると、営業利益はおおよそ6億円、営業利益率は約17パーセントとなります。そのため、2026年9月期から利益率の改善が見込める計画であることが出発点としてあります。

その上で、今回、中期の成長投資として2億1,900万円を投資に振り向けることを織り込み、営業利益を4億400万円に抑える計画としています。

この2億1,900万円の投資の内訳は、スライド右側に記載しているとおりです。大きく分けて4つの分野に投資します。1つ目は、これまでご説明してきた「SYNAPSE Project Runtime」という今後の事業展開の中核を担う技術基盤の開発を加速させる部分で、ここに3分の1程度を投資する計画です。

2つ目は人材投資です。継続的に増員を進めていきますが、特にここから成長の角度を変えるために、先行投資を行った上で採用と育成を加速させていきます。着火剤として、一定の投資を行うということです。

3つ目はプロダクトへの投資です。「未来リサーチ」については、今回の中期の成長戦略では特に触れませんでしたが、プロダクトタイプの事業を立ち上げる中で、2027年9月期は収益化に向けた重要なフェーズとなります。そのため、ここに対して一定の投資を行う予定です。

4つ目は、組織規模を倍増させることを見据え、さまざまな経営機能を強化していくために、体制構築へ投資を行います。ここには、M&Aや資本戦略を強力にリードする新しいチームの立ち上げなども含まれています。

以上、中期の成長戦略および今期2027年9月期の計画についてご説明しました。

質疑応答:マテリアル・コンセプト社への出資理由と今後の出資可能性について

司会者:「なぜ数ある事業会社の中で、まずマテリアル・コンセプト社への出資を決めたのでしょうか? また、今後もこういったかたちでマイノリティ出資によるベンチャービジネスとの協働案件を増やしていく方針ですか?」というご質問です。

椎橋:一般的に、当社のような立ち位置の企業におけるインオーガニック戦略というと、M&Aが念頭に挙がってくることが多いかと思います。一方で、ディープテックベンチャーへの出資や、出資を含めた技術開発・事業開発を共同で進めていく取り組みは、当社の戦略と非常に相性が良いと考えています。

このようなかたちでバリューアップし、技術の成長を図りつつ、収益の成長も狙っていくことは、1つの戦略としてこれからも模索していきたいと考えています。特に、説明でも触れましたが、半導体やAIインフラの整備に関連する先端モノづくり領域の革新を担うようなベンチャーは、将来的に企業価値が非常に大きく成長する可能性を秘めています。

また、そうした技術を加速するAI技術は、今後ますます重要性が増していきます。その中で、出資を含めた提携関係を持ち、踏み込んだかたちで技術開発や事業開発にAIを活用することは、大手企業とプロジェクトで取り組む際とは異なる深さで、異なるアップサイドを見据えた取り組みができます。

このような取り組みを戦略の1つとして、これからも模索していきたいと考えています。

質疑応答:企業進化の共生体へのシフトによるビジネスモデルと収益構造の変革について

司会者:「受託開発パートナーから企業進化の共生体へのシフトにより、どのようにビジネスモデルが変わり、どのような収益構造に変わっていくのでしょうか?」というご質問です。

椎橋:スライドに示している全体像をご覧ください。まず、技術基盤が収益を生み始める部分は、いわゆる人月の課金といったところから具体的なビジネスモデルやマネタイズモデルへと変化していくところだと思っています。

ベースの計画の中で、プロジェクトを通じて技術基盤が収益を生み出していくステップとして、事業モデルの変化や拡張を進めることが、まず1つ目のステップとなります。そして、技術基盤の「SYNAPSE Project Runtime」を企業進化の種と見立てると、進化の共生体として、その種を提供し芽を出すところまでプロジェクトとして一緒に取り組みます。

さらに、当社のプロフェッショナルチームが別のテーマに移行した後も、この企業内には「SYNAPSE Project Runtime」という基盤が残り続け、それが成長して木となることで、ストック型の収益がさらに継続的に生み出されることとなります。我々のビジネスモデル自体が大きく変化していく点が、1つ目の重要なポイントだと考えています。

もう1つは、CAIOという言葉を使いましたが、Chief AI Officerという役割で経営の観点からAI戦略を考える支援を行い、当社もこの機能を一部担いながら共同でカバーすることで、個別プロジェクトの推進を超えて経営全体に入り込み、より速いスピードで、より広いテーマを企業全体で見出していくことが可能になります。

その結果、顧客企業との取り組みの規模感がさらに拡大し、収益構造にも変化が生まれていきます。このように、具体的に大きな変化を実現していきたいと考えています。

質疑応答:「SYNAPSE Project Runtime」の競争優位性と顧客が基盤利用料を支払うインセンティブについて

司会者:「独自基盤『SYNAPSE Project Runtime』の競争優位性と、顧客が基盤利用料を支払うインセンティブはどのようなものがあるのでしょうか?」というご質問です。

椎橋:まず、AI技術を企業が取り込んで進化するために必要な機能が、ワンストップでトータルに提供されている点がポイントです。

その中で、特にスライドの図の下部に示しているAIシステム開発基盤については、さまざまなプラットフォームがエージェンティックプラットフォームというかたちで世の中に登場しています。当社のユニークなポイントは、その上に示しているプロジェクトを推進するための方法論・ノウハウをAIエージェントに落とし込んでいる点にあります。

こちらは「ソリューションデザイン」として、ビジネスと技術を両方つなぎながら、企業内でAIを実際に活用できるかたちで取り組みを進めていくための方法論を過去10年にわたる試行錯誤を通じて体系化してきました。ここが当社のユニークな差別性となっています。

そのノウハウを十分に吸収したAIエージェントが揃っており、これが当社のユニークネスであると考えています。

その上で、この基盤を活用した取り組みは、足元ではすでに複数の顧客企業とのプロジェクトで始まっています。重点領域を中心に、これまで当社が培ってきた競争力を評価していただき、共に取り組みを進めていくこととセットでこの仕組みを埋め込むことで、早期に採用され、実用化される状況が足元でも見え始めています。

このような展開を模索していくことで、今後さらに競争力を高められるのではないかと考えています。

質疑応答:「SYNAPSE Project Runtime」の提供の現状について

司会者:「ストック収益の創出がアップサイドの計画に入っていますが、技術基盤の提供はまだ行われていないのでしょうか? スライドには『一部機能はリリース済み』と記載があります」というご質問です。

椎橋:こちらのスライドで整理していますが、実際に顧客プロジェクトの中でこの技術基盤を使用し、この技術基盤に対して課金するかたちは、現在すでに実現しています。このようなケースをプロジェクトとして増やし、広げていく方向の取り組みが現在進行しています。

一方で、プロジェクト終了後、当社チームが離れた後も技術基盤が継続的に使用され、進化を続けることで、ストック収益として当社にリターンをもたらすという状況はまだ構築できていません。

この点が、戦略コミットのアップサイドとして示している部分と、すでに一部具現化しており内数として数値計画に含めている部分との違いになります。結論としては、すでにプロジェクト内で技術基盤を活用して課金するかたちは実現できており、現状はこれを拡大していく段階にあります。

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