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静岡ガス Research Memo(4):2026年12月期中間期の補正後経常利益は49.7%の大幅増益

■業績動向

1. 2026年12月期中間期の業績概要
2026年12月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比0.5%減の103,066百万円、営業利益で同10.4%減の8,828百万円、経常利益で同6.2%増の9,895百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同2.9%減の6,540百万円となった。

都市ガス料金には原料費調整制度が導入されており、原料の貿易統計価格の3ヶ月平均値に基づき、原則として料金を毎月調整する。原料費としては、都市ガスの原料として使用されるLNGやLPGの輸入価格を用いており、たとえば、12月検針分の都市ガス料金は、7月~9月のLNG平均輸入価格とLPG平均輸入価格に基づいて決まるため、必然的にタイムラグが発生する。この結果、タイムラグが及ぼす影響として、原料価格下落局面では増益要因、原料価格上昇局面では減益要因となり、静岡ガスではこの影響をスライドタイムラグとして開示し、実力外の利益変動要因として、補正項目として開示している。さらに、同社の原料調達価格と、日本における輸入LNGの加重平均価格との差異について、同社はこれをCIF差として「原料価格・その他」に含める形で開示している。このほか、補正項目については、匿名組合投資分の為替差損益も一定の影響を及ぼしている。これは出資先の田原バイオマス発電所が、バイオマス燃料調達に際してドル建ての長期為替予約を締結していることによる。

売上面では、前期期中のグッドリビングなどの連結子会社化やシズガスアメリカの事業開始等の増収要因を、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整等の減収要因が上回った。利益面では、スライドタイムラグの影響が39億円の減益要因となる一方、為替影響による匿名組合投資利益等を営業外収益へ計上した結果、営業利益では減益、経常利益では増益となった。親会社株主に帰属する中間純利益は、前年同期に法人税等の税効果会計による調整により利益が押し上げられた反動から減益となった。

なお、都市ガス事業のスライドタイムラグや匿名組合投資に関わる為替差損益などの、同社の実力外要素による利益の振れが大きい。そのため、同社では実力ベースの利益として、前述の2項目を補正した経常利益(以下、補正後経常利益)も示しており、同利益では前年同期比49.7%増の131億円となった。この増減要因分析を見ると、増益要因としては、中東情勢の悪化に伴う原油価格の上昇の影響や、メイクアップカーゴの受入によるCIF差改善を主因として「原料価格その他」が43億円、「為替差損益(匿名組合投資以外)」が5億円、グッドリビングなどの連結子会社化等により「関係会社その他」が5億円となり、減益要因としては、家庭用ガス販売量減少に伴う粗利低下による「都市ガス販売量」で5億円、M&A及びデューデリジェンス費用計上を主因とする「販管費・製造費その他」で6億円となった。

ガス事業はスライドタイムラグの影響を除けば大幅増益
2. 事業セグメント別動向

(1)ガス事業
都市ガス販売量は前年同期比0.9%増の805百万立方メートルとなった。内訳を見ると、家庭用は主に冬場の平均気温が前年より高かったことにより同4.6%減の51百万立方メートル、業務用は既存顧客の稼働減等により同5.6%減の35百万立方メートル、工業用は大口需要家の稼働増加により同1.0%増の438百万立方メートル、卸供給は同2.7%増の281百万立方メートルとなった。売上高は、原料費調整制度によるガス販売単価の下方調整等により同5.9%減の78,282百万円となり、セグメント利益は主にスライドタイムラグの影響により同13.4%減の8,946百万円となった。

(2)LPG・その他エネルギー事業
LPG事業は、M&A等により使用中戸数が前年同期比1.9%増の85千戸となり、販売量は同0.8%増の31千トンとなった。電力事業は、新規顧客開拓により使用中戸数が同5.2%増の107千戸となり、販売量は同15.1%増の313百万kWhとなった。これらの結果、売上高は同4.1%増の16,703百万円となり、セグメント利益は同32.9%増の1,686百万円となった。

(3)その他
売上高は、前期期中のグッドリビング等の連結子会社化などにより、前年同期比56.3%増の14,250百万円となる一方、セグメント利益はM&Aによる取得関連費用の発生により同57.8%減の129百万円となった。

成長投資を加速するなかでも、高い財務健全性を維持
3. 財務状況及び経営指標
2026年12月期中間期末の財務状況を見ると、資産合計は前期末比943百万円減の194,930百万円となった。主な内訳を見ると、固定資産が不動産会社等の連結子会社化や保有株式の時価上昇に伴い投資有価証券を中心に8,971百万円増加した一方で、流動資産が原料代金決済のタイミングによる現金及び預金の減少等により9,915百万円減少した。負債合計は前期末比9,690百万円減の47,480百万円となった。固定負債が繰延税金負債や借入金の増加等により3,000百万円増加した一方で、流動負債が主に原料代金決済のタイミングによる買掛金の減少等により12,690百万円減少したことによる。純資産は、中間純利益の計上による利益剰余金増加などから、前期末比8,747百万円増の147,450百万円となった。

安全性指標については、2026年12月期中間期末の自己資本比率が72.5%、D/Eレシオが0.15倍となるなど、同業他社と比べても極めて高い財務健全性を維持している。また、現預金残高が有利子負債残高を上回る実質無借金を継続していることも、同社の高い信用力を支えている面がある。収益性指標では、2025年12月期のROA(総資産利益率)が5.5%、ROEが8.1%となり、財務健全性を維持しつつも相応の収益性を確保できている。ROEについては、海外事業を積極展開する都市ガス大手2社より低い水準にあるが、日本取引所グループによる決算短信集計結果によると、2025年度のプライム市場の電気・ガス業の平均ROEは6.02%であり、これとの比較においては業界平均を上回る水準にある。

4. キャッシュ・フローの状況
2026年12月期中間期の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比で見ると税金等調整前中間純利益がやや増加したが、仕入債務の減少や法人税等の支払いなどを主因として減少し、5,891百万円の収入となった。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期には北米シェールガス事業における権益取得に伴う大型投資があったため、それとの対比では減少となったが、海外、電力・再エネ、くらしサービス事業などでの成長投資や、ガス導管網の拡張などのレジリエンス投資等を中心に6,788百万円の支出となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計)は897百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払いや借入金の返済等により4,837百万円の支出となり、現金及び現金同等物の中間期末残高は2025年12月期末比5,644百万円減の27,011百万円となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 古川 聖治)

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