当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
日経平均株価、8/12大引け時点の理論株価は1万6925円に
ここからの理論株価の動向が一層注目される局面
8月12日の日経平均は184円高の1万6919円となり、理論株価の1万6925円にほぼ並びました。日経平均は今年初からほぼ一貫して理論株価を下回ってきたのが、8カ月ぶりに理論株価に追いついた形です。
下図は2015年末から8月12日までの日経平均と理論株価、そして日経平均の通常変動の領域と変動の下限を併せて示したグラフです。
日経平均、理論株価の推移と通常変動の領域、変動の下限
2015年12月30日~2016年8月12日
5本の線がいっぺんに示されているためやや見にくいですが、まず、日経平均と理論株価にご注目ください。日経平均は紺色の線、理論株価は青色の線です。上述のように昨年の12月30日以来、一時期を除いてほぼ一貫して理論株価を下回っていた日経平均が8月12日で理論株価に追いついています。
次に、相場の基本的な傾向を捉える茶色の線をご覧ください。この線で囲まれる領域が日経平均の通常の変動領域を示します。そして、一番下にある赤色の破線は通常の変動を超える相場下落の限界を示す線です。図に示した1月21日、2月12日で日経平均(紺色の線)は赤線の下限を超え、6月24日のBrexitショックでは赤線にギリギリまで接近しましたが、いずれの場合も直後に急反発しています。相場下落が行き過ぎであったことを示しています。
さて、昨年末からの日経平均の動きを理論株価との対比で見ると、特に理論株価が下げ局面にあるときに急落など不安定な動きを示すことが分かります。ファンダメンタルズが弱くなるときに、相場は過敏に反応することが読み取れます。
その意味で8月12日に日経平均が昨年末以来、理論株価へキャッチアップしたことは、いわば年初からの荒れ相場が振り出しに戻ったわけで、ここからの理論株価の動向が一層注目される局面に入ると思われます。
Next: 詳細グラフ:理論株価の推移/変動範囲の上限・下限/直近5日かい離率
<グラフと数表>
グラフ1:「日経平均と理論株価の推移」
グラフ2:「日経平均と変動範囲の上限・下限─拡大グラフ」
数表 :「直近5日間の日経平均と変動の範囲・かい離率」
日経平均と理論株価の推移
2015年1月5日~2016年8月12日
日経平均と変動範囲の上限・下限─拡大グラフ
2015年1月6日~2016年8月12日
直近5日間の日経平均と変動の範囲・かい離率
2016年8月5日~2016年8月12日
『投資の視点』(2016年8月14日号)より
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