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【2017年版】日本人がタイで不動産を買うときの重要ポイントまとめ=板野雅由

外国人による土地取得が認められていないタイ王国でも、日本人が不動産を買う方法はいくつかある。タイの法律や購入資金を送金する際の注意点とともに解説する。(『(グロビジ!)タイ不動産メルマガ』板野雅由)

プロフィール:板野雅由(いたのまさよし)
ファイナンシャルプランナー、岡山県倉敷市出身。バンコク在住でコンドミニアムを開発中。株式会社ラ・アトレ アジア(タイランド)代表、『ミャンマービジネストゥデイ日本語版』編集長。

送金方法が肝!土地を買えないタイで日本人が不動産を買う方法

外国人でも区分所有のコンドミニアムならOK

外国人による土地取得が認められていないタイ王国でも、日本人が不動産を買う方法はいくつかある。タイの法律や購入資金を送金する際の注意点とともに解説する。

以下はタイの登記簿サンプルである(※編注:意図的にボヤけた画像を掲載しています)。

まず、外国人・外国人とみなされる法人は、現状では基本的に土地を持てない

例外として、4,000万バーツ以上を投資資金としてタイ王国に持ち込む外国人は、大臣承認を経て、居住目的のために1ライ(1,600平米)を超えない範囲で土地の取得が可能(タイ王国土地法典:第96-2条)になるなどいくつかの条件は存在する。

日本人がタイ不動産を取得する場合、コンドミニアム法(Condominium Act)によって、コンドミニアム(区分所有の共同住宅、日本の分譲マンションに相当)なら保有・自己名義での登記が可能となった。

これは1979年に施行された区分所有共同住宅法が、1991年に改正されて外国人名義のコンドミニアム所有が認められたことによる。

タイ国内の法人が「外国人格」と見なされるケースとは?

前項で「外国人とみなされる法人は、現状では基本的に土地を持てない」と記述した。タイ王国土地法典の第9章第97条によると、外国法人とみなされるのは、主に下記の事由である。

したがって、株主構成の問題はあるが、タイ王国内に法人を設立して一定の条件を満たした場合、タイ法人名義で土地を保有することが可能である。

次に、タイ不動産購入時の特徴である「送金要件」と「相続」について紹介する。

Next: ここに注意!購入資金の送金方法によってはNGになるケースも



タイ不動産取得時の送金要件とは

以下は外貨送金証明書のサンプルである(※編注:意図的にボヤけた画像を掲載しています)。

外国人(外国人とみなされる法人を含む)がタイのコンドミニアムを自己名義で登記する場合、外貨をタイ王国に送金し、タイ王国内の銀行にてタイバーツに両替することが基本要件となる。さらに実務的には、送金先銀行で上図の「外貨送金証明書」を取得し、管轄の土地局にて提示する必要がある。

具体例を示そう。下記は外国人名義で登記する際のNG例である(タイ人・タイ法人名義で購入する場合は、以下の限りではない)。

※1:外貨を持ち込む際に関税で申告して証明書を取れば、登記時に土地局で「外貨送金証明書」の代用として利用できるという噂がある。土地局に問い合わせたところNGとの回答だが、担当官の判断でOKとなる可能性はある。

※2:タイ王国の労働許可証を保有し、相応の所得を得ている場合は、銀行で手続きすることにより登記が可能となる。

OKとなる例は、下記である。

タイの土地局における登記移転手続き

総括すると、タイのコンドミニアム法における送金要件は「上から目線」の法律であると言える。つまり、タイに外貨を送金した外国人には、(タイ王国が富むので)登記を認めようというものだ。だからこそ、タイ国内や海外にあるタイバーツは基本的に購入資金として認められない

実務的には、上記の要件とは別に、以下の条件を満たすことも必要である。

  1. 日本円建てや米ドル建てなど、タイバーツ以外の通貨名が送金元銀行の書類に記載されている(タイバーツ建てになっている場合、そのお金は既に送金元でタイバーツに両替されていることになる。当然登記はNG)
  2. 送金元銀行の書類に記載されている送金者名義が、購入者と同名(英語スペルまでパスポートと一致)である
  3. メモや備考欄等に「●●コンドミニアムの△△号室の購入資金」と英語で書いておく
  4. 外貨送金証明書の発行は、タイ銀行側の要件として5,000米ドル以上(それ以下の送金は外貨送金証明書が発行されない可能性がある)
  5. ディベロッパーではなく自分名義の銀行口座へ送金する場合、自身が来タイし、外貨送金証明書の発行を依頼する必要がある

次号では、タイ不動産購入時の「登記料や諸税の取扱い」について紹介する。
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(グロビジ!)タイ不動産メルマガ』(2017年5月7日, 6月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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