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経産省「原発の廃炉はチームワークやで」新電力「は?」東電「いいね!」=ちだい

怒りに震え、パソコンさえも、ぶん投げたい気分です!経済産業省は、原子力利権を守るため、新電力会社に原発で発電した電力を義務的に取り入れさせる方向で調整しています。いい加減にしろよ、クズ官僚ども!今、条件反射的に怒り狂いそうになった読者もいるかもしれませんが、この先を読んだら、もっと怒りで震えると思います。わかりやすく解説しましょう。(『原発ニュース最新情報』ちだい)

※本記事は、『原発ニュース最新情報』2016年12月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

新電力会社に原発を“強制” クソ官僚は脳味噌が沸いているのか?

圧倒的に安い「新電力会社」に対する理不尽な圧力

皆さんは、どの会社の電気を契約しているでしょうか。

僕は、福島第一原発事故を起こしてなお、何の反省も検証もなく、柏崎刈羽原発を再稼働させようとしている脳味噌沸き放題の東京電力には1円たりとも払いたくないので、新電力会社の「ENEOS電気」と契約をしました。ENEOSなので、火力発電です。

「おいおい、地球温暖化に貢献するのかよ!」と思うかもしれませんが、そもそも東京電力管内では「地球に優しい」と自称する原子力発電は動いていませんので、どのみち火力発電です。

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そうこうしている間にクリーンエネルギー100%を謳うような新電力会社ができた時には、電気料金が高くなったとしても、そちらに乗り換える準備はできています。

ぶっちゃけた話、ENEOS電気は東京電力より安いです。現時点で既に安いのですが、今後、何も規制されずに今のままだったら大手電力会社と新電力会社の価格差はどんどん開き、誰も大手電力会社と契約しなくなってしまうことは明らかです。

どうしてかって、原発は廃炉にかかる費用が非常に大きく、中間貯蔵施設やら最終処分場やらの値段はまだ加算されておらず、これからどんどんユーザーへの費用転嫁が始まるからです。

原発の値段が安いと言っているのは、あくまで「もんじゅ」が成功し、核燃料棒が半永久的に使えることを想定したもので、核燃料単品を発電コストとして計算しているから。原発にかかる総額から計算していないので、「原発が一番安い」というのは明らかに誤魔化しています。

なにしろ、誰一人として「原発コストの明細書」を出した人はいませんし、あくまでざっくりとした金額(本当の総額ではなく、都合よく抜けるものは抜いた金額)で値段を出しているので、そもそもアンフェアなのです。

新電力会社は原発を持っていません。それは規模が小さいからというのも一つの理由ですが、仮に大規模になっても原発を持つことはありません。原発を導入すると価格で競争できなくなるからです。

アホほどコストがかかる原発を持つなんて頭が悪いにも程があるから。総括原価方式で高いコストをかけても絶対に回収できるビジネスモデルではないので、アホほど高いコストをかけようという発想になりません。

既に新電力会社の方が料金は安い。この事実は衝撃的です。既に価格で勝負できなくなっている大手電力会社は、このままではどんどん顧客が新電力会社に流出し、ユーザーが少なくなったら電気代を上げなければならなくなります。

逆に、新電力会社は顧客が増えるばかりなので、さらに電気代を下げるという選択肢も生まれ、さらなる顧客の獲得に成功するでしょう。今はまだ新電力会社と契約する人は全体の2%ぐらいなので、大手電力会社もギリギリで生きていけますが、このままでは確実に新電力会社の方がお得になってしまう。

大手電力会社による新電力会社への圧力は始まったばかりです。

Next: 「廃炉費用が青天井なので新電力から調達します」意味不明すぎる論理



「廃炉費用が青天井なので新電力から調達します」意味不明すぎる論理

ぶっちゃけた話、廃炉費用は青天井です。どいつもこいつもバカなので、大手電力会社は「廃炉費用の貯金」なんてしていません。一応の貯金はあるけれど、その貯金を廃炉費用に使うなんて断固拒否。

そんなに意味のない金に使うなんて冗談じゃないからです。

そもそも、しっかり廃炉を完了させたことは一度もありません。廃炉工事に入ったところもありますが、それでもまだ完了していないし、核燃料の最終処分方法も決まっておらず、「トイレなきマンション」と言われているぐらいなので、しっかり廃炉にするために、お金がいくらかかるのかがわかっていないのです。

ただ、わかっていることとしては「金額は分からないけど、とてもじゃないけど払いきれない金額であることは確か」だということ。その金額次第では電気代が今の2倍や3倍になる可能性だってあるということです。こうなった時には税金で負担するか、借金するかの選択肢しかなく、いずれにしても明るい未来ではありません。

大手電力会社が今のままヌクヌク生きていくためには、新電力会社にも青天井の廃炉費用を出してもらわないと困ります。なにしろ、ただでさえもユーザーが減ってしまい、電気代が高くなるところに、きっちりと廃炉費用なんぞ請求した日には、1ヶ月の電気代が3万円になっても足りなくなる。

これを避けるためには「新電力会社に負担してもらう」しかないのです。しかし、新電力会社の立場からすると「オマエが無能をこじらせて原発を作っただけなんだから、こっちは知らねぇよ!」という話です。

反発が生まれるのは当然なんですが、「送電線がなければオマエたちの電気は送れないのだ」と、電線を人質に取り、強制的に払わせようとしたのです。

大手電力の原発よりも、自前の火力発電のほうが安い

百歩譲って、新電力会社が原発の廃炉費用を負担しても、依然として新電力会社が有利であることに変わりはありません。実は誤魔化しているけれど、原発そのもののコストが尋常ではなく高いからです。

どれだけ原発の方が安く思えるような計算式を編み出しても、実際のコストは高いので、原発を持たずに低コストで発電する人たちには勝てません

電力を大量に消費する大企業の工場では、自前の発電施設を持っており、むしろ電力会社に売っているほど。電気代が高くなると困ると言っているのは、ショボい町工場ぐらいなものなのです。

自前の発電施設を持っているということは、どういうことか。電力会社に発電してもらうより、自分たちで発電した方が電気代が安いということです。

つまり、大手電力会社が言い値に近い金額を出しても、自家発電(小規模火力発電)の方がコストがかからないということになります。

あの東京ディズニーランドなども自前の発電所を持っていて、東京電力は予備電力的な位置付けで契約されています。原発を持っている大手電力会社が限界まで値下げした金額よりも自前の火力発電の方が安い。これがすべてを物語っています。

Next: なぜ日本は世界の流れを無視して「オワコン」の原発にすがるのか?



なぜ日本は「オワコン」の原発にすがるのか?

原発を持たない新電力会社は、原発を持たない限り、大手電力会社に楽勝で勝ち続けられる。風力や太陽光はコストが高いとされていますが、それでも原発よりはトータルコストは安い。

なにしろ、風力や太陽光が見合わないのは大手電力会社が嫌がらせをして電気を買わないから。日本以外の国を見れば一目瞭然です。風力発電の発電能力は既に原子力発電を超えており、風力発電の方が安全で効率的でコストが安いからです。

日本のようにズブズブの原子力ムラが構成されていない世界では、どんどん風力発電が主流になっており、日本だけが旧世代的なオワコンの原発にすがっている状態です。

無能というのは、常にネガティブで、保身のために足を引っ張ることしか考えていません。有識者という名の原発利権を守るための専門家によって構成される「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」の作業部会。

「改革貫徹」という名前がつけられていますが、実際のところは「改革の阻止」でしかありません。名前だけは立派にするのが人を騙す初歩中の初歩

既に大手電力会社は新電力会社の電気を買い取っていないので不公正なのですが、経済産業省は大手電力会社とつながっているので、是正して電気代を下げるどころか、新しいルールで邪魔することを考えています。

今度から経済産業省の職員を見つけたら、カースト制度の一番下の人を見るような目で見てやりましょう。この人たちが何をしたのかと言うと、原子力市場を新電力会社に強制的に買わせることにしました。

新電力会社は発電した電気を卸会社に納めます。しかし、うまく買ってもらえないこともあるし、発電量によっては足りないこともあるので、新電力会社が卸会社から買うことになります。

こういう時は大手電力会社が発電した電気が納めた電気を買うことになるのですが、大手電力会社はベラボウに高い金額で電気を買わせる嫌がらせをしているので、新電力会社は高い金額でしか電気を調達できず、思うような値下げをできないのです。

このシステムを利用して、大手電力会社は「値下げしてほしいなら原子力発電で作った電気を売るしかない」と言いだし、結局、今の嫌がらせで高くなっているだけの金額ではなく、本当に物理的に高い原発で発電した電気を売ることにしたのです。

もともとボッタクっていたので、物理的に高い原発が安く見えるトリックです。

要するに、大手電力会社は原発利権を守るために必死。あらゆる方法で原発を再稼働させる方法を模索しているのです。あれだけの原発事故が起こっても反省もせずに再稼働させようと奮闘しているのですから、そう簡単に原発利権を手放すような輩ではありません。
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※本記事は、『原発ニュース最新情報』2016年12月6日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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原発ニュース最新情報』(2016年12月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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