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Evan El-Amin | ID1974 / Shutterstock, Inc.

ゴルバチョフが警告する大戦争。トランプとプーチンは「IS掃討後」に激突する

ISIS掃討に動く現在の米ロ関係は悪くないように見えます。しかし、プーチンは裏でパレスチナを支援しており、一方のトランプは親イスラエルを標榜しているのです。(『カレイドスコープのメルマガ』)

※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年1月31日第192号パート1の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初のご購読は特にお得です!

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米ロ共同軍事作戦によるISIS掃討後に起こる本当の危機

あのゴルバチョフが警告「第三次世界大戦が迫っている」

この2~3日、多くの欧米主流メディアが、「ミハイル・ゴルバチョフが、世界は第三次世界大戦の準備をしていると警告」と報じています。

1月27日付の英紙『テレグラフ』は、「核の脅威が再燃する中、世界は戦争の準備段階に入ったようだ」と、“第三次世界大戦”という言葉を使ってこそいないものの、世界規模の大戦が近いと警告しています。

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ゴルバチョフは、「新しい軍拡競争が再燃し、まるで世界中が戦争に備えているようだ」と警告している。彼は言う。
「政治家と軍指導者の言動は、ますます好戦的に聞こえる。各国の国防政策は、かなり危険だ。テレビのコメンテーターとテレビタレントは、この好戦的な大合唱に加わっている。明らかに、世界は戦争に備えているのだ」。

これらテレグラフその他メディアの記事は、ニュース雑誌『タイム』誌のウェブサイト(1月26日付)にゴルバチョフが寄稿した記事を引用して記者が書いたものです。その大元のソース=タイム誌の記事の梗概は以下のとおり。

世界の政治は混迷の度を増しているが、政治の軍事化や軍備拡大競争ほど、差し迫った危機はない。現在の状況は、あまりにも危険である。多くの兵士、戦車、装甲車がヨーロッパに配備されている。NATOとロシア軍の兵器は、いまや、互いの目の前で睨みあっている。

1985年11月、ジュネーブで開かれた初のサミットで、ソ連と米国の指導者がともに、「核戦争には勝者は存在しない」と宣言したことで、世界はホッと胸をなでおろしたはずだ。しかし、今日、核の脅威は再び燃え上がっている。どうやら、これは本物のようだ。

ロシアと米国の対話は、(ISISなど)テロとの戦いに焦点を当てるべきだとする多くの見解がある。しかし、それは核心ではない

両国が成し遂げるべきは、無益な軍拡競争を中止し、核を段階的に、そして、確実に削減することでなければならないはずである。国際問題のどれひとつとっても、戦争によって解決できることなどない。戦争は、非合法化されなければならないのだ。

私は国連安全保障理事会のメンバーが、そのゴールに向けての第一歩を踏み出すよう急き立てている。具体的には、国家首脳レベルの安全保障理事会で、核を拒絶し不戦の決議を採択すべきであると提案している。

私は、ドナルド・トランプウラジミール・プーチンこそが、そのような決議を採択するための起案を主導すべきであると考えている。これこそが最優先課題にならなければならない。今こそ、行動を起こすべきときである。

ゴルバチョフは、去年から、「西側諸国はロシアに対して建設的な態度に転換すべき」と主張し、「米国とロシアが、シリア問題でいがみ合っているため、世界は危険な特異点にある」と警告してきました。

果たして、ゴルバチョフの心からの叫びは、彼が、どんな犠牲をも厭わない真の意味における世界平和の求道者のそれであると証明できるのでしょうか。

彼は、いまだに原因が特定されていないチェルノブイリ原発事故を機に、米ソ冷戦構造の終結を世界政府への大きなステップであると捉えているグローバリストです。

そして、彼は、歴代の大統領の中で、もっとも大量の要人を暗殺してきたオバマと同様、ノーベル平和賞を受賞した人間です。

Next: 「ISIS掃討後」に表面化するトランプとプーチンの確執が大戦争を招く



「ISIS掃討後」に表面化するトランプとプーチンの確執が大戦争を招く

トランプは、米軍によるあらゆる軍事介入を中止すると宣言し、東西核戦争の発火点になりかねないシリア問題に終止符を打つことを公言しました。

また、ISISを完全に殲滅することを米ロ共通の政策課題に掲げ、ロシアとの協調路線を真剣に探っています。これは、トランプ政権の“富国強兵政策”にとって、もっとも利することだからです。

トランプとプーチンが、ともにシリア内戦の終結を目指すことで合意を見たことは、米ロの決定的衝突を先延ばしにするモラトリアム状態をつくりだします。

しかし、オバマが大統領任期切れ直前に、国連をプッシュして仕掛けていった「イスラエル-パレスチナ問題」が、新たな中東大戦の火種となって燻り始めています。

プーチンは、表だって表明はしていないものの、パレスチナを支援しており、一方のトランプは、親イスラエルを標榜しています。彼は、イスラエルのために「1000%働く」と宣言しているのです。

それだけでなく、シリアのアサド政権を支援するために密かに軍隊を送り込んでいるイランの影響力を無視しているプーチンと、シリアに散発的にテロ攻撃を繰り返しているイスラエルが、国連安保理決議2334号によって暴発しないよう、イランとの核合意の見直しを仄めかしているトランプとの間の溝が表面化し、今後、深くなることが懸念されます。

来るべく資源争奪戦争に備えて米国の国力を取り戻そうとしているトランプにとって、ISIS打倒をロシアとの共通目標として掲げることは、米国の有権者を繋ぎ止め、彼の強硬な態度に正当性を与える手段になります。

翻って、プーチンのほうも、米ソ冷戦の終結がもたらした旧ソ連の同盟「ワルシャワ条約機構」の崩壊によって、ロシアの足元にひたひた打ち寄せる西側諸国の新世界秩序(NWO)を波打ち際で防ぐための猶予期間を手に入れることができます。

明らかに、米ロの共通の利害は、「ISISとの戦いが長引くこと」であるはずです。

では、ISISが米ロ共同軍事作戦によって、一族郎党、完全にこの地球上から抹殺されてしまった後、何が起こるでしょう?

Next: イランの「弾道ミサイル発射実験」から始まる絶望のシナリオ



イランの「弾道ミサイル発射実験」から始まる絶望のシナリオ

1月29日、イランでミサイルが発射されました。米政府も、これを確認しているものの、単なる発射実験なのか、先制攻撃を想定しての演習なのか調査中と発表しています。

しかし、FOXニュースは、匿名の米政府高官からのリークとして、これが弾道ミサイルの発射実験であったことを明かしています。

なぜ、イランは制裁発動につながるような国連決議に違反してまで弾道ミサイルの発射実験をしたのでしょう?

これは、明らかにトランプ政権とイスラエルに対する恫喝が目的です。

トランプは、1月27日、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンなどのイスラム教徒が多数派を占める7カ国からの難民受け入れを拒否し、これら7カ国からの旅行者の米国への入国を一時禁止する大統領令に署名しました。

この措置に対して、イランのモハンマドジャバド・ザリフ(Mohammad Javad Zarif)外相は、「トランプ大統領の決断は、イスラム過激派への偉大な贈り物だ」と皮肉たっぷりに米国の新政権を批判しました。

イランも黙ってはおらず、さっそく米国民のイランへの入国を禁止しました。

これと同じセリフをトランプに向けて吐いたのがパレスチナ自治政府のアッバス議長です。トランプが、現在、イスラエルのテルアビブにある米国大使館をエルサレムに移転させると発表したからです。

アッバス議長は、「米国大使館をエルサレムに移せば、イスラム過激派を勢いづかせてイスラエルとパレスチナの地が血の海になるかもしれない」と言ったのです。

トランプの今回の大統領令によって、全米各地の空港で大混乱が起こっており、ワシントン州のインスリー知事は30日、難民・移民の入国を制限した大統領令を巡り、連邦裁判所に提訴する方針を示しています。

また、ニューヨーク州の連邦地裁では、大統領令の効力を一時的に差し止める動きが広がっており、司法と政府との対立が深まっています。

さらには、100人以上の国務省職員が入国禁止令に集団で抗議するなど、政府内からもトランプの拙速な大統領令署名乱発に反対する声が上がっています。

これに対してトランプは、「テロとの戦いのために必要な措置だ」と国民の理解を求めようとしていますが、騒動は大きくなるばかりです。ホワイトハウスは、移民に関する大統領令に反対する国務省の職員は去ってもかまわない!と強気の姿勢を崩していません。

トランプは、さっそく、難民・移民の入国を制限する大統領令を擁護しないよう司法省弁護士に指示したイェーツ米司法長官代行を解任しました。

Next: なぜトランプはこの7カ国を狙い撃ちにしたのか?本当の理由



なぜトランプはこの7カ国を狙い撃ちにしたのか?本当の理由

問題は、トランプがなぜ、この7カ国を狙い撃ちにしたのか、ということです。

トランプ大統領の側近トップであるラインス・プリーバス首席補佐官は、名指しされた7カ国は米議会とオバマ前政権によって「テロ懸念国」とみなされていた点を指摘していますが、ウォール・ストリート・ジャーナルがこうしたテロのデータを分析したところ、聖戦主義的なテロ関連の犯罪で起訴されたか、あるいは起訴される前に死亡した161人のうち、該当7カ国の出身者は、わずか11人であったと発表しています。

つまり、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7カ国に一時入国禁止令を出した理由は他にある、ということなのです。

それは、入国停止の対象7カ国の国籍を持っているだけでなく、米国のグリーンカード(永住権)を持っていても、今まで以上に厳しい審査をパスしなければ米国に入国できないようしたことから、その本当の目的が垣間見えるのです。

この7カ国は「テロ懸念国」と見なされるも、オバマ政権下で国務長官の地位にあったヒラリー・クリントンが、米国の多国籍企業に貢献できる優秀な人材にはグリーンカードを発行して、米国企業にスカウトさせていたからです。

そのうちの一人でも、優秀なイスラム過激派のテロリストであった場合、再び9.11の惨劇が繰り返されないとも限らないのです。

事実、クリントン財団への最大の資金提供者はサウジアラビアとカタールであったことが判明しています。FBIの捜査によって、明らかにクリントンの背後には、戦争ビジネスで金儲けをしようとするネオコンの存在が隠せなくなっているのです。

トランプは、大統領選挙期間中、「オバマとクリントンこそが、ISISの共同創設者である」と繰り返し暴露してきました。

大統領選でヒラリー・クリントン陣営に多額の寄付を行っていたのはジョージ・ソロスでした。ソロスは、ヒラリーが敗北した今も、反トランプ大規模抗議デモに100億円以上もの資金を提供しているのです。

ハンガリー外相は、ジョージ・ソロスが支援するNGOが、ハンガリー内部に反政府の気運を高めて政府を転覆させようと画策していると批難。ハンガリー政府は、ソロスの色付きのNGOをハンガリーから締め出すことを決めました。

オバマは、ホワイトハウスを去った今も、反トランプの姿勢を崩していません。ここぞとばかり、トランプの入国禁止令を宗教的差別主義の表れであると批難しています。彼は、ワシントンを去るつもりはないようです。

Next: 「最後の審判の日」が近いことを警告する科学者たち



「最後の審判の日」が近いことを警告する科学者たち

「大量破壊兵器をつくるための資金は、すぐに見つけることができる。それは、1発のミサイル発射によって大陸の半分を壊滅させる能力を持つ潜水艦、また、戦略的安定を損なうミサイル防衛システムをつくる資金だ」。

ゴルバチョフは、タイム誌に寄稿した記事の中で、このように書いています。

科学者たちは、米ロとも、すでに800発の核弾頭ミサイルが発射スタンバイ状態にあり、いつなんどき、偶発的、人為的ミスによって両国間で核ミサイルの応酬が勃発しないとも限らない臨戦態勢にあることを警告しています。

ゴルバチョフの真に迫った警告によって、人類滅亡までの残り時間を象徴する「終末時計(the Doomsday Clock)」が2年ぶりに30秒進められ、滅亡の時を示す午前0時までの時間があと2分半に縮んだと、各紙いっせいに報じています。

終末時計の針が一気に30秒も進んだ…世界の破滅まで残すところ、あと2分半」ワシントンポストは、厳かにそう伝えています――
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※本記事は、『カレイドスコープのメルマガ』 2017年1月31日第192号パート1の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初のご購読は特にお得です!

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2017年1月31日第192号パート1より一部抜粋、再構成

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