時価総額3兆円を超える世界的企業、任天堂。最近はDeNAやユニバーサルスタジオとの提携を発表し、投資家の注目を集めています。はたして今は「買い時」と言えるのでしょうか。長期投資家のための銘柄情報などを掲載する無料メルマガ『株式投資図鑑』では、その点について言及しています。
任天堂ってどんな会社?
任天堂は言わずと知れたゲーム製造会社です。
他の事業はほとんどやっていません。
1983年にファミリーコンピュータを発売して以降、世界の家庭用ゲームをリードしてきました。
任天堂の名を世界に知らしめたのが、2006年のWiiの発売です。
家族で体を動かしながら楽しめるこの商品は生活のあり方を変えるとまで言われ、2007年に時価総額は10兆円を超えました。
当時の日本市場ではトヨタ、三菱UFJに次ぐ第3位の水準です。
2008年度にはWiiを2,500万台、3DSを3,100万台、ソフトはそれぞれ約2億本を販売しました。
そのときの業績はうなぎのぼりで、売上高1.8兆円、営業利益5,000億円まで到達しました。
しかし、このとんでもない業績が任天堂にとって不運だったのです。
Wiiのヒットの後、間の悪いことにスマートフォンの普及が急速に進みました。人々の関心はそっちに流れ、WiiやDSの売上は急速に減少しました。
2011年度には営業赤字を記録してしまいます。
もう任天堂に未来はないのでしょうか。
実は、ここで一旦冷静になる必要があります。
売上高の推移に着目すると、Wiiがヒットする前の約5,000億円は今も上回っていることがわかります。スマートフォンに押されながら、WiiやDSに対する需要は確かなものがあるのです。
最近発売されたWiiUのマリオカートやスマッシュブラザーズは世界中で300〜600万本を売り上げるヒット作となっています。
DSでもマリオカートやポケモンは1,000万本級のお化けタイトルです。
それでも利益が出ていないのは、販売管理費が以前に比べてかさんでしまっているからです。
Wiiの世界的なヒットに対応するために、人や設備を増やしました。
それが今になってダブついているのです。
販売管理費を除く売上総利益は約2,000億円と、Wiiがヒットする前の健全な水準まで戻っています。
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時価総額3兆円を支える未来があるか
DeNAやユニバーサルスタジオとの提携で株価は急上昇し、時価総額は3兆円を超えています。時価総額3兆円を支えるためには、PER20倍だとしても純利益が1,500億円、営業利益にして2,500億円くらいは欲しいところです。
任天堂が利益を伸ばすには、
(1)Wiiヒット前の状態への回帰、
(2)様々な方法による売上の拡大、
(3)新たな会社の定義、が必要だと考えます。
(1)でWiiヒット前の状態へ回帰できれば、売上高5,000億円、営業利益1,000億円は達成できます。ただし、そのためには人件費の削減など、大規模なリストラが必要です。
(2)はスマートフォン用ゲームのヒットやテーマパークの収入、キャラクターグッズの発売などです。
スマートフォン用のゲームでは、日経ヴェリタスで「(営業利益が)仮に3本のヒットが出れば252〜315億円、5本なら420〜525億円」とされています。
ポジティブに見積もって500億円くらいとしましょう。その他はライセンスビジネスをしているサンリオを参考に、最大で200億円とします。
(1)と(2)を足すと、営業利益1,700億円程度で、まだ目標の2,500億円には届きません。そこで、(3)新たな会社の定義が必要になります。
例えば「マリオパーク」のようなものを作り、ゲームの世界を実際に体験してみるというのも面白いかもしれません。
こうすれば、テーマパークとゲームで両方の売上拡大が期待できます。
マリオの可能性は無限大とも言えます。
とはいえ、(1)のリストラすらできていない状況で、
3兆円の時価総額を見るのは時期尚早でしょう。
次の戦略が出るか、株価が下がってくるのを待つのが賢明です。
僕の投資判断はいつも慎重なのです。
『株式投資図鑑』(2015年4月28日号)より一部抜粋
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