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富裕層から支持絶大!あの不動産のプロに聞く「2018年のアパート経営」4つの大疑問

少子高齢化による人口減少や、住宅の供給過多が指摘される中、これまで安定的な資産運用の代名詞とされてきた不動産投資は、今後どうなっていくのでしょうか?富裕層の資産運用のパートナーとして絶大な支持を得る不動産投資の実務家であり、多数の著作を執筆してきた大谷義武氏に、不動産投資を始める前に解消したい4大疑問をぶつけてきました。

プロフィール:大谷義武(おおやよしたけ)……株式会社武蔵コーポレーション代表取締役。埼玉県熊谷市生まれ。東京大学を卒業後、三井不動産株式会社に入社。同社を退社後、2005年に武蔵コーポレーションを設立。賃貸アパート・マンションを用いた資産形成のサポート事業を展開し、インカムリッチの富裕層から絶大な支持を得ている。また、『改訂版 年収1000万円からはじめる「アパート事業」による資産形成入門』『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』など不動産投資に関する計5冊の著作を上梓。定期的にアパートオーナーや資産形成を考える富裕層向けのセミナーで、講師として登壇している。

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人口減少、供給過多…それでも富裕層が不動産に投資する理由

――不動産投資を熟知する大谷代表に、いきなりぶしつけな質問で恐縮ですが、人口減少や住宅の供給過多が指摘される中、不動産投資に未来はあるのでしょうか?

大谷氏(以下、大谷):まず、人口が減っていくというのは間違いありません。ただ、日本の人口が均一的に減っていくわけではない点は、重要なポイントです。例えば、東京も埼玉も秋田も福島も、均一に減っていくということであれば不動産投資に未来はないでしょう。しかし、例えば、さいたま市の人口予想を見ていくと、一説によれば、30年後も人口はほとんど減らないともいわれています。

明快なロジックの元に「不動産投資に未来はある!」と断言する大谷氏

――人口減少が進んでいく中でも、そういう地域があるんですね。
大谷:はい。つまり、これからの日本では、不動産を買っていい場所と、いけない場所というのが二極化してくるといえます。例えば、秋田とか山形などの人口が流出し続けている地域の場合、不動産投資という視点から見れば、住む人が少なくなり、アパート経営をするには難しい場所だと判断できます。

――逆に買っていい場所というのは?

大谷:とってもシンプルで、人口が減らない、もしくはあまり減らないという場所が「買っていい場所」となります。これまでも物件の場所選びというのは、不動産投資していく上では大事なポイントでしたが、これからの時代は、より重要性が高まっていくでしょう。ちなみに、国や行政が各種統計を出しているので、どの地域の人口が減っていて、どの地域なら減っていないのかは、自分で調べることができます。つまり、物件を買う前の段階で、自分自身である程度の未来予測を立てやすい。この見通しやすさが不動産投資の大きな魅力です。数ある投資ジャンルの中でも、とりわけ低リスクかつ、リスクをある程度コントロールできるジャンルだと。もちろん株式投資みたいにいきなり資産が10倍に増えるといったハイリターンはありませんが、ミドルリターンは得られる投資ジャンルだと、私は思います。

――つまり、不動産投資はまだまだ未来があるということでしょうか?

大谷:はい。 入り口さえ間違えなければですね。

大疑問その1:サラリーマンの年収で本当にアパート経営はできるのか?

――今のお話で資産形成をしていくうえで不動産投資はこれまで同様、有効だということが分かりました。一方で、不動産投資、とりわけアパート経営というと、地元の大地主のようなすごいお金持ちが行っているイメージがあります。ただ、大谷代表の著書を読むと、サラリーマンでアパート経営をされている方もたくさんいることが分かりました。実際のところ大金持ちでなくても、できるものなのでしょうか?

大谷:そもそも不動産投資の場合は、極端な話、キャッシュで1億円を持っていなくても、銀行からの借り入れで、1億円の物件を買うことができます。そういう面では、大金持ちでなくてもできますね。銀行が融資に足ると判断する方であれば、サラリーマンであっても何ら問題ありません。もちろん、自己資金があるに越したことはありませんし、キャッシュフローがあることで、より安定したアパート経営ができるという点は忘れてはいけません。

大谷氏は「数ある投資ジャンルの中でも融資が受けられることが不動産投資の最大の特徴」だと指摘する

――ちなみに銀行は、どういった点で融資すべきかを判断しているんでしょうか?

大谷:属性といわれているものです。収入だったり、資産だったり、家族構成だったり、勤務先だったり、自営業の方なら経営している会社の内容だったりと、それらの属性を元に借りられる金額は、概ね決まってくるといわれています。そして銀行にお客様を紹介する不動産会社の信用も、実は重要なポイントです。どこの不動産会社からの紹介かによって、融資の限度額が変わったり、優遇金利などがあるからです。

――確かに。自分もマイホームを購入した時に、同じ銀行でも不動産会社によって住宅ローンの金利が違うのが不思議でした。

大谷:そうなんです。銀行と不動産会社の関係で見ると、どれだけ優良なお客様を銀行に紹介しているか、その不動産会社が紹介する物件なら間違いないのか、物件の管理をしっかりできているのか、そういった点まで銀行は見ています。ですので、どこの不動産会社から銀行に紹介されるのかという点は、実は資金調達を考える上では、大事な要素になります。

――場所選びや物件選びと同じように不動産会社選びも重要なんですね。

大谷:はい。成功を左右するといってもいいかもしれません。

大疑問その2:大地震や「事故物件」化のリスクは大丈夫なのか?

――続いての疑問なんですが、アパート経営を考えた時にふとよぎるのが、大地震などの災害が起きて、予期せぬ修繕費や、何らか補償が発生したらどうしよう?座間の事件のような凄惨な殺人事件が起きて、事故物件になったらどうしよう?という不安です。そうしたリスクにはどう備えるべきでしょうか?

大谷:確かに、不動産投資においてはそうしたリスクはゼロではないです。まず災害についていうと、保険でリスクヘッジできるので心配ありません。そして殺人事件に関していえば、先日、座間市のアパートで起きたような全国区で報道されるような殺人事件が起きてしまうと、入居者が軒並み退去してしまうという事態が想定できるので、大ダメージですね。私も12年、この仕事をしていますが、あそこまでの事件を聞くのは初めてです。もっとも、日本の犯罪史の中でも前例のないケースですから、自分が経営するアパートで殺人事件が起きる確率はものすごく低いといえるでしょう。また、都市部では、ニュースで報道されない殺人事件の場合は、ほとんど影響がなかったりもします

殺人事件の発生はリスクであるものの、確率的にはレアケースだという

――なるほど。確率で考えればものすごく珍しいケースなんですね。警察庁が公表している犯罪統計などを見ても、犯罪の認知件数や殺人事件の認知件数も年々、減っていますしね。

大谷:おっしゃる通りです。また、世の中のマインドも変わってきました。10年前くらいなら孤独死もアパート経営のリスクとされてきましたが、最近では孤独死が出たアパートでも、他の入居者への影響はなく、もはやリスクではないという印象を持っています。

――確かに孤独死に対して“起こりうること”として、どこか自然に受け入れられるようになった気がします。

大疑問その3:家賃収入の「合格ライン」は? 最新利回り事情

――話はガラッと変わりますが、これから「アパート経営」を始めようと思った場合に気になるのが、どれくらいの収入が得られるのかということ。実際、どれくらいの収入があるものなんでしょう?

大谷利回りで考えると年8%以上といえます。ひと昔前は、10%といわれていましたが、今は下がっているというのは事実です。ただ、昔よりも金利が下がっているので、3%の金利で借り入れしていた時代に、10%の利回りだったら、実質的には7%の利回り。今は、1%の金利で借り入れして、8%の利回りですから、こっちもまた7%の利回りとなります。つまり、実質的には変わっていないともいえます。

「最初は木造の中古物件を収益化させる方が近道」

――なるほど。その利回りで運用できるアパートをどんどん増やしていけば、資産を増やしていけるわけですね。ちなみにアパート経営をされているオーナーの方々は一般的にどれくらいの棟数を持っているんですか?

大谷:一概にはいえませんが、持っている方なら10棟、20棟所有されています。ただ、不動産投資が簡単でないのは、1棟目の時に「入り口」を間違えてしまうと、2棟目、3棟目の購入に向けての銀行からの融資を受けられないということになります。

――「入り口」とは、著書にも書かれている事前の下調べ、不動産会社選び、物件選び、管理会社選びといった部分ですね。

大谷:おっしゃる通りです。1棟目からRC造(鉄筋鉄骨コンクリート造)の物件を、多額の融資を受けて購入するより、融資額を抑えて木造の物件を購入し、収益化させていく方が、資産運用という側面では有効です。

大疑問その4:「出口戦略」はあるのか? 不動産投資のゴールとは

――利回りの話もあったので4つ目の疑問を。不動産投資というと、家賃収入という定期的な収益があるので、未来永劫、持ち続けることもアリな気がしますが、「ゴール」はあるのでしょうか?

大谷:「ゴール」はあります。基本的には入り口で購入して、出口で売る。結局それがないと利益が出たかどうかはわかりません。株でもそうですが、1億円で買って7千万円で売ったら損してますよね。不動産投資でも同じ事がいえます。売る前の段階では、家賃収入があっても、含み益の状態ということです。そうした入り口から出口までをサポートするのが弊社の仕事です。

――多くのアパート経営者はそうされている?

大谷:ずっと持たれている方もいらっしゃいます。ただ、投資として考えるなら、売却してはじめて、利益や損益が確定するので、それを忘れてはいけないと思います。

――だいたいどれくらいのスパンで売却されるのが一般的なのでしょうか?

大谷:おおよそ5~7年スパンという方が多いかもしれません。理由としては、日本の税制では、5年以下で売却した場合の利益に対する税率が40%と高いのに対して、5年を超えてくると20%と半分になるんです。

「家賃収入だけでは、まだ含み益の段階。売却というゴールを経てはじめて投資の成否が決まります」

――それは知らないと損をしますね。

大谷:そうなんです。そういう仕組みをしっかりとわかった上でアパート経営を始めるかどうかも、成功と失敗の分岐点といえるでしょう。

11,000戸の物件で入居率96%を実現するアパート経営のプロによる入門書

――ここからは著書『改訂版 年収1000万円からはじめる「アパート事業」による資産形成入門』について教えてください。「改訂版」となっていますが、元々、いつ出された本なのでしょうか?

大谷:一番最初に出版した時は、2009年ですね。そして古くなった部分を手直して2012年に「改訂版」として出しました。多少古くなった部分はありますが、「不動産会社選び」に始まり、「物件選定」「資金調達」「物件運用」という部分は、今も変わらず、不動産投資において大事な部分です。これからはじめようと思う方々には、知っておいてほしい部分だといえます。

――著書を読むと、事前の下調べやパートナー選びがいかに重要なのかがよくわかりました。執筆にあたり、どういう思いを込められたんでしょうか?

大谷:これまで不動産投資について、体系的に語られている本がなかったというのが、コアな部分にありましたね。また、お客様からよく聞かれる融資に関する話など、金融機関の方々に入念なヒアリングをした上で書いています。

――とってもわかりやすかったです。どんな方々を読者として想定されましたか?

大谷:タイトル通り“入門書”なので、成功するための方法も書いてあるんですが、こうすると失敗するということも書いています。再三、今日も話してきましたが、不動産投資は、本当に「最初が大事」なんです。それは今でも変わらないものなので、これから不動産投資をはじめようという方にはぜひ読んでもらいたいです。

「趣味は仕事」と語る大谷氏。起業当初は1日1食しか食べられない苦しい時期もあったそうだ

――最後に不動産投資をこれから始める方に一言アドバイスがあればお願いします。

大谷:不動産投資というのは、「やり方」さえ間違えなければ、きわめて低リスクの投資だといえます。「やり方」というのは、実際にはじめるまでの準備・下調べを含めた“入口”と、実際に家賃収入を得ていくための“物件管理”の部分になります。実は、その両方で大きな役割を果たすのが「不動産会社」となるため、成功の分かれ目は不動産会社選びだといえます。詳しくは書籍を読んで頂けると幸いです(笑)。じっくりとページを割いて説明しています。

――本日は、貴重なお話をありがとうございました。


『改訂版 年収1000万円からはじめる「アパート事業」による資産形成入門』
大谷義武 著
発売:幻冬舎
定価:1,429円+税

今回のインタビューでぶつけた疑問への詳しい解説をはじめ、不動産投資、とりわけ「アパート・マンション経営」に関する失敗例、成功例を交えながら体系的にノウハウをまとめた1冊。入門書というだけあり、前半はアパート経営の基礎知識の解説や業界の特徴、成功するためのマインドの持ち方について説明、後半では実践編として、不動産会社選び、物件選び、資金調達方法、物件運用について、ロジカルに解説している。

source:武蔵コーポレーション株式会社

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