相場の世界で勝ち組になるには、価格の変動要因やリスク・リターンの本質を掴まなければなりません。わたし矢口新が監修するこの講座で、あなたも「相場力UP」を目指しましょう。
今回の問題
FXを始めたあなたが、実際に何度か取引をしてみて感じたのは、経済指標の発表や要人発言の前後はいつもより値が飛びやすく、またスプレッドが広がるのだな、ということでした。さて、ここで問題。重要イベントの前に、個人投資家はどのような方針でポジション調整をするべきでしょうか?
矢口新(やぐち あらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。2002年5月株式会社ディーラーズ・ウェブ創業、2013年5月まで同社代表取締役社長。JTI(Japan Trading Intelligence)初代(2003~2007年)代表。
現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』のほか、『出来高急増で天底(節目)のサインを探る!リスク限定のスイングトレード』『テクニカル指標の成績表』『相場力アップドリル』『トレードセンス養成ドリル』『なぜ株価は値上がるのか』など著書多数。
今回の解答
FXを始めたあなたが、実際に何度か取引をしてみて感じたのは、経済指標の発表や要人発言の前後はいつもより値が飛びやすく、またスプレッドが広がるのだな、ということでした。さて、ここで問題。重要イベントの前に、個人投資家はどのような方針でポジション調整をするべきでしょうか?
(3)急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する
正解は、(3)の「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
インターバンク取引に携わるプロのディーラーたちは、経済指標の発表や要人発言といったイベントを、さながら格闘技の選手が月に何回かのリングに上がるような心持ちで迎えます。
自分が動く側は、どのディーラーが早くまともなレートを出してくれるかを見極め、発表とともに間髪を入れずに直通電話で、例えば「10本プライス、プリーズ」、あるいはもっとフェアに「10本売りたい」などと伝えます。その時に、長く待たされたり、あまりにひどいレートを提示されたりすると、次のイベントでは他のディーラーを呼ぶようになるのです。
値を建てるマーケットメーカー側は、顧客が興味を失わないぎりぎりの広いスプレッドをできるだけ早く提示し、売り買いのスプレッドで儲けようとします。この時、誰よりも早く値を建てれば、どんなに広いスプレッドでも、顧客はどことも比較ができないので売買する確率が高いのです。
こう書くと、非常識に高い売り値を買われたマーケットメーカーは、しめしめとほくそ笑みそうなものですが、往々にしてそこまで買うのかと不安になり、損を出しながら、自分もより高い売り値でカバーすることもしばしばです。もちろん、ほぼ瞬時に安い売り値を買い、利益を確定することも多々あります。
ここで注意を要するのは、多少スプレッドが開いていたとしても、すぐにレートが取れて、すぐにカバーできるインフラの重要性です。インフラとは、ハード面だけでなく、レートを出してくれる人がいるというソフト面が、より大切なのです。
そのため、誰よりも早く、しかも狭いスプレッドで提示したレートを見送られると、マーケットメーカー側は時間の無駄遣いをした気がして、その顧客の評価を密かに下げます。
ディーラーの世界は極めて狭い世界です。金融機関の数は限られており、その中でも、市場をサポートするとの気概を持つ者は、更に少なくなります。どんなに大手の金融機関に勤めていても、自分勝手なディーリングを繰り返し、市場で「えげつない奴」だと評判が立っていたなら、荒れた相場で、皆が苦しい時には、後回しにされてしまうのです。
とはいえ、「えげつない奴」の集団では、仲間うちの親分子分でサポートしながら、市場の新参者をいじめたりします。これは、おそらく国民性や業界を問わず、どこの世界でもあることでしょう。
また、そういった作為的なものとは無縁でも、何しろ瞬時に億円以上単位の金額がやり取りされますので、言った言わないの水かけ論もしばしばです。金融機関は、そういったトラブルに備えてすべての会話を録音しています。非常にピリピリとした世界なのです。
プロのディーラーにとって、あなたのような個人投資家は「お客さん」です。と同時に、プロのディーラーたちも、あなたと同じリスクを取っています。あなたがディーラーをいつも助けていて、覚えられていれば別ですが、そうでなければ、ディーラーが苦しい時には、あなたは後回しにされてしまうのです。
そうなると、あなたはポジションを抱えたままで身動きがとれず、損失が拡大していくのを呆然と見ているだけになります。
イベントは、プロのリングです。アマチュアの格闘家でも、プロより強い人がいるように、個人投資家でもプロのリングに上がることは可能です。とはいえ、インフラ不足なので百戦錬磨のプロたちよりも、不利な条件で戦うことになるのです。リスク管理は必須でしょう。
(1)「普段よりも難しい相場にあえて手を出す必要はない。いったんすべてのポジションを精算し、イベント通過後にあらためてロングなりショートなりで入り直す」は正論です。
このコーナーのタイトルが「安全確実な資産運用」であって、「トレードセンス養成講座」でなければ、正解だといえます。なにごともバランスです。イベント時は面白いので、小さな額で遊んでみましょう。リスクばかり見ていたなら、何もできなくなります。
(2)「値幅こそ利益の源泉、相場が動意づく時に参加しないようでは勝てない。特別なポジション調整は行わず、いつもどおりのトレードができるよう心がける」は、無謀の一言です。
したがって、正解は(3)「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
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今回の解答
FXを始めたあなたが、実際に何度か取引をしてみて感じたのは、経済指標の発表や要人発言の前後はいつもより値が飛びやすく、またスプレッドが広がるのだな、ということでした。さて、ここで問題。重要イベントの前に、個人投資家はどのような方針でポジション調整をするべきでしょうか?
(3)急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する
正解は、(3)の「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
インターバンク取引に携わるプロのディーラーたちは、経済指標の発表や要人発言といったイベントを、さながら格闘技の選手が月に何回かのリングに上がるような心持ちで迎えます。
自分が動く側は、どのディーラーが早くまともなレートを出してくれるかを見極め、発表とともに間髪を入れずに直通電話で、例えば「10本プライス、プリーズ」、あるいはもっとフェアに「10本売りたい」などと伝えます。その時に、長く待たされたり、あまりにひどいレートを提示されたりすると、次のイベントでは他のディーラーを呼ぶようになるのです。
値を建てるマーケットメーカー側は、顧客が興味を失わないぎりぎりの広いスプレッドをできるだけ早く提示し、売り買いのスプレッドで儲けようとします。この時、誰よりも早く値を建てれば、どんなに広いスプレッドでも、顧客はどことも比較ができないので売買する確率が高いのです。
こう書くと、非常識に高い売り値を買われたマーケットメーカーは、しめしめとほくそ笑みそうなものですが、往々にしてそこまで買うのかと不安になり、損を出しながら、自分もより高い売り値でカバーすることもしばしばです。もちろん、ほぼ瞬時に安い売り値を買い、利益を確定することも多々あります。
ここで注意を要するのは、多少スプレッドが開いていたとしても、すぐにレートが取れて、すぐにカバーできるインフラの重要性です。インフラとは、ハード面だけでなく、レートを出してくれる人がいるというソフト面が、より大切なのです。
そのため、誰よりも早く、しかも狭いスプレッドで提示したレートを見送られると、マーケットメーカー側は時間の無駄遣いをした気がして、その顧客の評価を密かに下げます。
ディーラーの世界は極めて狭い世界です。金融機関の数は限られており、その中でも、市場をサポートするとの気概を持つ者は、更に少なくなります。どんなに大手の金融機関に勤めていても、自分勝手なディーリングを繰り返し、市場で「えげつない奴」だと評判が立っていたなら、荒れた相場で、皆が苦しい時には、後回しにされてしまうのです。
とはいえ、「えげつない奴」の集団では、仲間うちの親分子分でサポートしながら、市場の新参者をいじめたりします。これは、おそらく国民性や業界を問わず、どこの世界でもあることでしょう。
また、そういった作為的なものとは無縁でも、何しろ瞬時に億円以上単位の金額がやり取りされますので、言った言わないの水かけ論もしばしばです。金融機関は、そういったトラブルに備えてすべての会話を録音しています。非常にピリピリとした世界なのです。
プロのディーラーにとって、あなたのような個人投資家は「お客さん」です。と同時に、プロのディーラーたちも、あなたと同じリスクを取っています。あなたがディーラーをいつも助けていて、覚えられていれば別ですが、そうでなければ、ディーラーが苦しい時には、あなたは後回しにされてしまうのです。
そうなると、あなたはポジションを抱えたままで身動きがとれず、損失が拡大していくのを呆然と見ているだけになります。
イベントは、プロのリングです。アマチュアの格闘家でも、プロより強い人がいるように、個人投資家でもプロのリングに上がることは可能です。とはいえ、インフラ不足なので百戦錬磨のプロたちよりも、不利な条件で戦うことになるのです。リスク管理は必須でしょう。
(1)「普段よりも難しい相場にあえて手を出す必要はない。いったんすべてのポジションを精算し、イベント通過後にあらためてロングなりショートなりで入り直す」は正論です。
このコーナーのタイトルが「安全確実な資産運用」であって、「トレードセンス養成講座」でなければ、正解だといえます。なにごともバランスです。イベント時は面白いので、小さな額で遊んでみましょう。リスクばかり見ていたなら、何もできなくなります。
(2)「値幅こそ利益の源泉、相場が動意づく時に参加しないようでは勝てない。特別なポジション調整は行わず、いつもどおりのトレードができるよう心がける」は、無謀の一言です。
したがって、正解は(3)「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
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FXを始めたあなたが、実際に何度か取引をしてみて感じたのは、経済指標の発表や要人発言の前後はいつもより値が飛びやすく、またスプレッドが広がるのだな、ということでした。さて、ここで問題。重要イベントの前に、個人投資家はどのような方針でポジション調整をするべきでしょうか?
(3)急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する
正解は、(3)の「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
インターバンク取引に携わるプロのディーラーたちは、経済指標の発表や要人発言といったイベントを、さながら格闘技の選手が月に何回かのリングに上がるような心持ちで迎えます。
自分が動く側は、どのディーラーが早くまともなレートを出してくれるかを見極め、発表とともに間髪を入れずに直通電話で、例えば「10本プライス、プリーズ」、あるいはもっとフェアに「10本売りたい」などと伝えます。その時に、長く待たされたり、あまりにひどいレートを提示されたりすると、次のイベントでは他のディーラーを呼ぶようになるのです。
値を建てるマーケットメーカー側は、顧客が興味を失わないぎりぎりの広いスプレッドをできるだけ早く提示し、売り買いのスプレッドで儲けようとします。この時、誰よりも早く値を建てれば、どんなに広いスプレッドでも、顧客はどことも比較ができないので売買する確率が高いのです。
こう書くと、非常識に高い売り値を買われたマーケットメーカーは、しめしめとほくそ笑みそうなものですが、往々にしてそこまで買うのかと不安になり、損を出しながら、自分もより高い売り値でカバーすることもしばしばです。もちろん、ほぼ瞬時に安い売り値を買い、利益を確定することも多々あります。
ここで注意を要するのは、多少スプレッドが開いていたとしても、すぐにレートが取れて、すぐにカバーできるインフラの重要性です。インフラとは、ハード面だけでなく、レートを出してくれる人がいるというソフト面が、より大切なのです。
そのため、誰よりも早く、しかも狭いスプレッドで提示したレートを見送られると、マーケットメーカー側は時間の無駄遣いをした気がして、その顧客の評価を密かに下げます。
ディーラーの世界は極めて狭い世界です。金融機関の数は限られており、その中でも、市場をサポートするとの気概を持つ者は、更に少なくなります。どんなに大手の金融機関に勤めていても、自分勝手なディーリングを繰り返し、市場で「えげつない奴」だと評判が立っていたなら、荒れた相場で、皆が苦しい時には、後回しにされてしまうのです。
とはいえ、「えげつない奴」の集団では、仲間うちの親分子分でサポートしながら、市場の新参者をいじめたりします。これは、おそらく国民性や業界を問わず、どこの世界でもあることでしょう。
また、そういった作為的なものとは無縁でも、何しろ瞬時に億円以上単位の金額がやり取りされますので、言った言わないの水かけ論もしばしばです。金融機関は、そういったトラブルに備えてすべての会話を録音しています。非常にピリピリとした世界なのです。
プロのディーラーにとって、あなたのような個人投資家は「お客さん」です。と同時に、プロのディーラーたちも、あなたと同じリスクを取っています。あなたがディーラーをいつも助けていて、覚えられていれば別ですが、そうでなければ、ディーラーが苦しい時には、あなたは後回しにされてしまうのです。
そうなると、あなたはポジションを抱えたままで身動きがとれず、損失が拡大していくのを呆然と見ているだけになります。
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(1)「普段よりも難しい相場にあえて手を出す必要はない。いったんすべてのポジションを精算し、イベント通過後にあらためてロングなりショートなりで入り直す」は正論です。
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(2)「値幅こそ利益の源泉、相場が動意づく時に参加しないようでは勝てない。特別なポジション調整は行わず、いつもどおりのトレードができるよう心がける」は、無謀の一言です。
したがって、正解は(3)「急激な価格変動の可能性を念頭にいつもよりポジションを軽く。イベント通過後に値動きを見て買い乗せ、あるいはドテン売りなど臨機応変に対応する」となります。
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