一家の大黒柱がもし亡くなってしまった時の生活の基盤を支えてくれる遺族年金。しかし、この遺族年金は家族構成や受取人の年齢によって支給額が違うというのはご存じでしょうか?ファイナンシャルプランナーの落合陽平さんが詳しく解説してくれています。
「夫」は遺族年金を受け取れるのか
一家の大黒柱が死亡したときを想像してほしい。
遺された家族は、きっと悲しみに暮れるだろう。「こんな不幸があるのか」と嘆き、苦しむかもしれない。
しかし、同時に「明日からどうやって生活していこう…」とも思うものである。まして幼い子どもを遺して逝ってしまったとなればなおさらである。
そんな遺された家族の支えになるのが、生命保険や国の社会保障である。
生命保険は民間会社のビジネスとして成り立っているが、社会保障は私たちの税金や社会保険料で成り立っている。実は生命保険も、国の社会保障も、互いが互いを助け合う、相互扶助の理念で成り立っていることを忘れてはならない。
今回は、社会保障の中でも遺族年金についてフォーカスしたい。
遺族年金は、一家の大黒柱が死亡した場合、遺族に対して支給される年金である。遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「遺族共済年金」の3つがある。
家族構成や、それまで収めた社会保険料などに応じて支給額は変動するが、遺族の生活の助けになることは間違いない制度である。
Next: 支給額の目安とは?
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支給額の目安
1.会社員が亡くなった場合
会社員の方が亡くなり、遺族に妻と子がいる場合、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受け取ることができる。遺族基礎年金は、末子が18歳に到達する年度末になると受給資格を失い、その後は遺族厚生年金のみの受け取りとなる。
ただし、婚姻期間が10年以上、妻が65歳未満などの一定の条件をクリアしていると、「寡婦年金」という年金を受け取ることができる。
- 18歳未満の子どもが1人の場合:年間約「160万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもが2人の場合:年間約「184万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が40歳未満:年間約「60万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が40~64歳:年間約「119万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が65歳以上:年間約「138万円」の受け取り
2.自営業者が亡くなった場合
自営業の方が亡くなった場合は「遺族基礎年金」のみの受給となる。ただし条件に合えば死亡一時金、寡婦年金が受け取れる可能性がある。
- 18歳未満の子どもが1人の場合:年間約「100万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもが2人の場合:年間約「142万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が40歳未満:年間約「0万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が40~64歳:年間約「0万円」の受け取り
- 18歳未満の子どもがいない場合で妻の年齢が65歳以上:年間約「79万円」の受け取り
やはり会社員(厚生年金保険料納付者)のほうが優遇はされている。(その分納付もしているので、当然といえば当然である。)記載はしていないが、公務員の場合はさらに支給額が多くなる傾向がある。
Next: 遺族年金は「夫」には支給されていなかった
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ところで、この遺族年金。実は「夫」には支給されていなかったのをご存じだろうか。あくまで母子家庭が対象であり、父子家庭には全く支給されていなかったのである。
平成26年3月まで遺族基礎年金を受給できる人は、「子どもがいる妻」や「子ども」に限られており、夫は受給の対象外となっていたが、男女差を解消する目的で、「子供のいる妻」から「子どものいる配偶者」に変更され、父子家庭でも受給ができるようになった。(平成26年4月以降のみ対象)
この制度変更は意外に知られておらず、そもそも男性は受け取れなかったのか!?ということも一般には知られていないのではないだろうか。
世の中に社会保障はもっとたくさんある。そのほとんどが、知名度がなく、名前だけは知っているが中身は知らない、というものが多い、とファイナンシャルプランの現場ではよく思う。
何のために税金を納めているのか、だれのための社会保障なのか、そういった基本理念を政府はもっと国民に伝えていくべきではないだろうか。
『落合王子のマネーアカデミー』2015/7/27号より抜粋
※太字はマネーボイス編集部による
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