マネーボイス メニュー

都の子育て支援事業がまるで「ヤクザのやり口」。約款確認不足につけ込む税金徴収に批判殺到

「#税金爆死」と「#ヤクザのやり口」という、穏やかならぬ2つのキーワードがTwitterのトレンドにあがっている。
東京都のベビーシッター利用支援事業を使うと、「1時間150円で民間のベビーシッターを利用できる」という子育て世帯に優しいように見える制度の裏に、大きな“カラクリ”があったということのようだ。

東京都福祉保健局によると、ベビーシッター利用支援事業の対象者は、「保育所等の0~2歳児クラスに相当する待機児童の保護者」あるいは「0歳児で保育所等への入所申込みをせず1年間の育児休業を満了した後、お子さんの1歳の誕生日から復職する保護者」であり、「お子さんが保育所等に入所できるまでの間、保育所等の代わりとして、東京都の認定を受けた認可外のベビーシッター事業者を1時間150円(税込)で利用できる事業」ということだ。待機児童問題を解消するための施策の一つなのだろう。

「#保育園落ちた日本死ね」が話題になってから4年が過ぎているが、厚生労働省の調査では、平成31年4月1日時点での待機児童は16,772人と、いまだ解決したとは言い難い状況だ。

保育園がなくて復職できない…という親にとって、ベビーシッターを利用するという手段はこれまでにもあったが、1時間2000円前後と高額なため、なかなか利用できずにいた家庭も多いだろう。

その点、「各認定事業者が1時間当たり2,400円(税込)を上限に定めた利用料と、利用者負担額(1時間当たり150円(税込))との差額を、東京都及び区市町村が公費で負担し、認定事業者に支払います」とするベビーシッター利用支援事業は渡りに船だったと思われる。

しかし、この制度は単に「1時間150円の負担で民間のベビーシッターを利用できる」という“優しいだけ”のものではなかったらしい。

Next: 「税金爆死」「ヤクザのやり口」と言われる所以は…



明らかになった神制度のカラクリ

ベビーシッター利用支援事業 利用案内 の最終ページに、「Qこの事業を利用することにより、確定申告等は昼用になりますか?」という問いに対する次のような答え(A)が記されている。

東京都及び区市町村が公費で負担した額(助成額)は、利用者にとって、所得税法上の「雑所得」となり、その他の給与所得以外の所得金額との合計額によって、以下の申告(注:年に20万円以上の場合は確定申告、20万円未満の場合は住民税の申告)が必要です。
(申告により、後日、所得税等が課税されます。)

つまり、助成された金額(本来の利用料と150円の差額)は「利用者の収入(雑収入)」として計算されることになり、そこには「税金」が乗ってくることになる。ベビーシッター利用支援事業では1時間当たり2,400円(税込)を上限としているが、もしその金額のベニーシッターを利用した場合、負担額150円との差額は2350円になる。1日8時間、月20日働き、保育園の代わりに利用するとなると相当な金額だ。その金額がそのまま「年収」に加算されることになり、確かに「税金で爆死する」事態となってしまうだろう。

こうした都の助成制度のカラクリに対し、ネットでは「少子化救うどころか首絞めに来てる」「(説明書きを)いちいち確認しないとダメなんて、社会保障の意味ない」「ボッタクリではないか」「子供産みたいと思わなくなる」などという投稿で溢れている。

ただ、数名の区議会議員がTwitterで投稿しているように、すでに東京都は問題として認識しているようだ。

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。
source:東京都福祉保健局ベビーシッター利用支援事業 利用案内 厚生労働省
image by:Unsplash

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。