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Amazonは日本を植民地にする?商店街を叩き潰したイオンも楽天も駆逐されていく=鈴木傾城

日本はアマゾンという巨大企業の植民地になっていく流れができあがっている。かつて日本各所の商店街を叩き潰したイオンも、今度はアマゾンに駆逐されていく。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

もはや誰もアマゾンに勝てない?巨大な流通網が日本を飲み込む…

アマゾンの売上は9年で3.5倍に

アメリカの巨大ハイテク企業であるアマゾン・ドット・コムは、今まで日本に税金を支払っていないということで大きな問題になったのだが、2018年12月期に約150億円の法人税を納めていたことが分かった。

これは日本にとって良いことなのだが、同時に日本人が考えなければならないことは、「今後はアマゾンはさらにきめ細かく日本に定着していく」ということである。

すでに日本人の消費活動は変化していて、モノを買うのにインターネットのショッピングサイトを経由することが多い。日本で最大にして最強のショッピングサイトは、すでにアマゾンである。

アマゾンの日本での売上高推移は着実に増え続けており、2010年は4,371億円だったのが、2018年には1兆5,350億円になっている。9年で3.5倍になっているというのがこの数字を見て分かるはずだ。

楽天はもうアマゾンに勝てなくなってしまった

アマゾンのライバルと言えば楽天だが、楽天の2018年度の決算を見ると、売上高は1兆1,014億円であり、もうとっくに楽天を追い抜いていることが分かる。強すぎるアマゾンに楽天は勝てるのだろうか。

楽天は本業のショッピングモールである「楽天市場」で躓いている。2019年1月に楽天はアマゾンに対抗するために「3,980円以上は送料を無料とする」という方策を取ったのだが、送料が無料であるならば出店者が送料を負担するしかない。

通常、送料は価格に転嫁されるのだが、利幅の薄い商品は一気に売れなくなる上に利幅の薄さを数でカバーできる大手に飲み込まれるので、中小の出店者にとっては「死ね」と言われているのと同様になる。

これによって中小出店者は「楽天ユニオン」を設立して、楽天側と激しく対立するような事態になっている。しかし、楽天側は送料無料化を強行する構えを見せている。

さらに楽天は「楽天モバイル」で新規に進出した携帯電話事業でもサービス開始にトラブルが続出している。

本業のショッピングモールでもトラブル、新規事業でもトラブルに見舞われている中で、楽天はアマゾンに勝てるだろうか。状況はなかなか難しそうだ。

Next: かつて商店街を叩き潰したイオンが、今度はアマゾンに追われる立場に…



イオンはもうアマゾンに勝てなくなってしまった

アマゾンは「アマゾン・フレッシュ」というサービスで野菜、果物、鮮魚、精肉などの生鮮食品を当日に配達するようなサービスも始めている。場合によっては最短で2時間以内に配達されるような地域もある。

このサービスが仮に成功して広がっていくようになると、アマゾンはいよいよ日本のリアル店舗の大型ショッピングモールをも駆逐していくことになるはずだ。

今、日本のリアルのショッピングモールの雄は「イオン」である。イオンはアマゾンに勝てるのだろうか。結論から言うと、イオンは今のままではアマゾンにどんどん侵食され、最終的にはアマゾンに駆逐される可能性が高い。

なぜか。

すでに、イオンは本業のショッピングモール事業で儲からない体質になってしまっているからである。

イオンは「イオンモール」や「マックスバリュ」事業が柱になっているはずなのだが、肝心の「イオンモール」は赤字転落している。「マックスバリュ」も営業利益はたった28億円でしかない。

イオンが何とか助かっているのは「イオン銀行」などの金融事業が利益を出しているからである。しかし、「イオン銀行」が今後は都市銀行なみに事業になっていくのかどうかは疑問でもある。

イオンはしょせん「小売り事業者」でしかなく金融業者ではない。イオンモールのユーザーにイオン銀行に入らせることはできたとしても、それ以外の消費者にイオン銀行に入らせる魅力は備えていない。

そもそも、フィンテックの台頭で銀行のビジネスも激動期に突入している中で金融事業が柱になっているのだから、かなり危うい事態になっていると見ることができる。

そんな中でリアルな店舗を持つイオンはアマゾンの大攻勢を受けるのである。アマゾンに勝てるのだろうか。すでに本業で赤字になっているイオンは、ここから挽回するのはかなり厳しそうだ。

商店街を叩き潰したイオン。今度はアマゾンに追われる立場に…

イオンはかつて町の商店街を叩き潰してシャッター通りにしてきた張本人である。地方都市の多くは商店街が寂れてイオンモールに客を奪われた。しかし、今度はそのイオンが赤字を抱えてにっちもさっちもいかなくなってきた。

特にイオンモールは地方で閉店が相次いでいるのだが、地方はこれから人口がさらに減っていく上に、残った人口も高齢化するので売上を上げるのは難しい状況になっていく。努力しても集客ができないのである。

集客ができないのであれば専門店も入らず、不動産事業で儲けることすらもできない。

アメリカでも地方の巨大なショッピングモールがどんどん閉鎖されてゴーストタウン化しているのだが、同じことが日本でも起こってきていると言うことだ。

Next: 地方のゴーストタウン化が通販を後押し。もはや日本はアマゾンの植民地へ…



巨大な流通網が日本を飲み込む

そして、そんな変化の中でアマゾンはどんどん地方を攻略し、消費者を貪欲に取り込んでいる。アマゾンのインターネットのショッピングサイトは都市だろうが地方だろうが関係なくアクセスできる。

注文すれば、後は流通の問題だ。

アマゾンは流通の重要性をよく理解しており、流通にもイノベーションを起こそうとしている。いずれは日本でもアマゾンの無人自動車が走ったり、ドローンでの拠点から拠点への配達も一般化することになる。

流通網をアマゾンが構築してアマゾンが一手にそれを握ると、もはや日本の「買い物」はアマゾンが支配することになっていくはずだ。

もちろん、イオンもインターネットサイトの重要性は分かっているはずだが、アマゾンに匹敵する堅牢で強固なサイトを構築することは、やはり本業ではないのでなかなか難しい。

そんなわけで、日本はアマゾンという巨大な企業の植民地になっていく流れができあがっているようにも見える。

今後はさらにハイテク企業の影響力は増していくのだが、日本を支配するハイテク企業は日本企業ではなくアメリカ企業である。

アマゾンもまた日本を支配することになるだろう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年2月14日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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