B型だからズボラ、O型だから熱しやすく冷めやすい…など、血液型と性格には関係があると思っている日本人は意外と多いのではないでしょうか。しかし、ある研究者が血液型の種類と性格との関係について調査を行ったところ……。その意外な結果が、メルマガ『科学日誌』で紹介されています。
血液型と性格の関係性
A型だと几帳面だとか、AB型だと二重人格だとか、血液型と性格との間に関係があると思っている人は多い。
実際に、血液型と性格に関する多くの書籍が販売されている。
はたして、血液型と性格との間に相関はあるのだろうか?
では、どうやったら血液型と性格の間に相関があるかを知ることができるか、について考えていこう。
まず、厄介なことは「性格」である。
性格の定義をきちんとしないと、血液型間の性格の差を知ることはできない。
性格の定義として、一番簡便なものはアンケート調査だろう。
・あなたは明るいとよくいわれますか?
・小さいことでも気になるタイプですか?
などのアンケートに答えてもらい、性格をデータ化するわけだ。
このYESとNOの組み合わせが性格となる。
質問が多いほど、幅ひろい性格を記述することができる。
血液型とアンケート結果を多数集め、血液型ごとに質問に対する有意差があるかを調べれば、血液型と性格の相関があるということができるという寸法だ。
実際に、上記の方針でアンケート調査を行った研究者がいる。
その結果、血液型別でアンケート回答に有意差がある項目はいくつかあるが、差はささいなものであるという結果になった。
つまり、血液型から性格を言い当てたり、性格から血液型を予測することは難しいということである。
上記の大規模アンケート調査から、血液型と性格の間に相関はほとんどないことがわかった。
さて、ここで注意なのだが、話相手が血液型占いをはじめても、血液型と性格との相関はほとんどないと力説してはいけない。
本メルマガの読者なら、
「そうなんだ。私はA型だから几帳面なんだ。XXXさんはO型だから大雑把な性格でしょ? XXXさんの部屋はとても散らかってそう(笑)」
と、優しく返し、会話を盛り上げるような紳士であってほしいと思う。
血液型占いとコールド・リーディング
上記の議論とアンケート調査のデータにより、血液型と性格との関係はほとんどないことがわかった。
しかし、よく血液型の話をしたり書籍を読むと、血液型占いは合っているような感覚に陥る。
例えば、「A型だから、几帳面なんだね」といわれると「確かに」と思ってしまう。
これはなぜだろうか?
このなんとなくあっているように思うのは、コールド・リーディングと呼ばれる技術によるものである。
例えば、占い師に、
「あなたは周りから明るい性格だといわれることがありますが、実は寂しがり屋な側面もあります。
大人数でいることを好みますが、一人でいることも嫌いではありません。
あなたは几帳面な一面がありますが、時に大胆に行動します。
それが原因で周りを傷つけたり、失敗することがあります……」
と言われたら、つい合っていると思ってしまうだろう。
なぜなら、これらの文面は誰にでも当てはまるからである(明日は雨が降るか、降らないかのどちらかである、と同様)。
このような技術はコールド・リーディングと呼ばれるもので、占い師はもちろんのことマジシャンなどでも利用されている。
コールド・リーディングを使って相手の信用を勝ち取り、相手を思いのままに操作するのである。
このコールド・リーディングについて話すと長くなるので、またの機会に議論しよう。
image by: Shutterstock
『科学日誌』
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